人工知能のパフォーマンスは、インプットの時点でどれだけ情報を吸収できるかにかかっているといっても過言ではありません。
そして、AIのインプットを支える技術として活躍しているのが、ディープラーニングです。
今回はディープラーニングとはどのような方法で、なぜ重要なのかについてご紹介していきます。
ディープラーニング(深層学習)とは
ディープラーニングは日本語で深層学習とも訳され、多くのAIにおいて活躍している学習形態です。
人工知能の学習プロセスの1つ
人工知能が自律的な思考を有するためには、あらかじめ大量の情報をインプットする必要があります。
しかし、ただデータを読み込ませていくだけではなく、1つのデータから少しでも多くの情報を取得することが、優れたAIの構築には欠かせません。
ディープラーニングは、1つのデータから多くの情報を取得し、自ら法則を導き出すことができるよう促す学習方法です。
例えば人間をAIに理解させようとするケースを考えてみましょう。
ただ闇雲に人の写真を読み込ませるだけでは、ある程度の確率で人を認識することができても、二本足で立っているカンガルーなどを人間と認識してしまう可能性があります。
そこで、ディープラーニングの出番です。深層学習を行うことで、AIは自動的に読み込まれてくるデータを独自のアルゴリズムで分析し、処理していきます。
その過程で、人間のパターンを独自に解析し、非常に高い精度で正解を導き出すことができるのです。
今では様々な分野でAIが活躍していますが、ディープラーニングもまた、AIの運用には欠かせない技術の1つとなっています。
機械学習とディープラーニング
ディープラーニングと並んで使われることが多いのが、機械学習です。
ディープラーニングは、正確に言えば機械学習の技術の1つということができ、より精度の高い機械学習を実現するためのアプローチです。
あえて区分分けをするなら、ディープラーニングは読み込ませるデータが増えてもパフォーマンスが衰えるばかりか、その精度を高めることができる点にあります。
通常の機械学習の場合、読み込みデータが増えてもデータを1つづつ分析しますが、ディープラーニングはこれまでのデータと自動的に比較しての分析を行います。
まるで人間が記憶を探るようにパターン化していくのと同じような仕組みを持っており、ニューラルネットワークと呼ばれる独自ネットワークを活用していることが特徴です。
AIがどのようなアルゴリズムで物事の認識を行なっているのか、ということについては開発者も知ることはできず、ブラックボックス化されています。
しかし結果を見ると、人間と同等、あるいはそれ以上の判断能力を身につけていることが、これまでの事例から立証されているのです。
なぜディープラーニングが重要なのか
ディープラーニングの考え方は以前から存在していましたが、今重要視されている理由についても見ていきましょう。
高い精度で判断する力を身につけるため
1つは、高い精度を持ったAIを用いるニーズが非常に高まっているためです。
これまでは実験的な取り組みとして扱われてきたAIですが、ここ数年でAIの地位は飛躍的に向上し、毎日の生活でも欠かせない存在となりつつあります。
そのため、さらにAIの利便性を向上させるためには、ディープラーニングの積極的な運用による、高精度の結果をもたらすことが必要なのです。
コンピューターの処理速度が向上しているため
ディープラーニングが実現したのは、コンピューターそのものの処理速度が向上していることも大きいと言えます。
ディープラーニングは人間の神経細胞を模した処理を必要とするため、非常に多くの負荷をハードウェアにもたらします。
しかし現在は高性能なコンピューターを安価で購入することができるようになったため、比較的気軽にディープラーニングを実践することも可能になりました。
ディープラーニングが活躍する場所
ディープラーニングは様々な業種で活躍することが期待されていますが、特に繊細な処理を必要とする場では、無類の強さと成長力を発揮しています。
自動運転技術
例えば、自動運転においてはディープラーニングは欠かせない技術です。
自動車の運転は非常に多くの処理を必要とするため、いくら人工知能といえどもその実現には時間がかかります。
しかしディープラーニングによってシミュレーションデータが少しづつ改善され、人間の挙動に限りなく近い、あるいはそれ以上のドライビングが可能になる段階まで来ています。
人の安全にも関わる車の自動運転においては、ディープラーニングによる高い精度での運転技術が欠かせません。
自動翻訳
翻訳システムにおいても、ディープラーニングは大いに活躍しています。
これまで、機械翻訳と言えば単語をそのまま翻訳するだけの使いづらい代物でしたが、ディープラーニングの成果により、その制度は格段に向上しています。
まだまだ拙い翻訳は散見されるものの、時には人間の翻訳と見まごうほどの、自然な言語処理も見かけるようになりました。
今後も機械翻訳は使用されればされるほど、その翻訳精度を高めていくことになるでしょう。
ONETECHのAIの取り組み
今までのところ画像認識の実績が多いです。画像認識技術はAR分野とも相性が良いです。例としては作業の工程でホロレンズHoloLensを利用してある物体を画像認識させます。あらかじめその物体の数百枚の画像を教師データとして取り込み認識さえることに成功しました。そのほか、OCRのような数値の読み取りや顔の認識などを行いました。またある大学の英語の採点をAIつかって採点業務の補助をするプログラムも作りました。
今後も画像認識分野だけでなくいわゆるビッグデータを使い社会問題を解決できるようなAIを研究してまいります。
おわりに
ディープラーニングは、AIの進化においては非常に重要な役割を担う、優れた技術です。
通常の機械学習よりも複雑な処理を必要とするため、簡単に導入することは難しいものです。
しかし、この技術の一般化が進めば、AIはより使いやすく、便利な技術となっていくでしょう。