医療改革の一環として、大いに注目を集めているDX(デジタルトランスフォーメーション)がオンライン診療の導入です。
これまで限定的な導入にとどまっていたオンライン診療は、新型コロナウイルスの流行をきっかけに、次世代の医療のスタンダードとなり得るアプローチとして導入が進んでいます。
オンライン診療の普及が進んでいる背景や、そのメリットなどについてご紹介します。
オンライン診療の規制緩和による変化
オンライン診療がこの1年ほどの間に広まった背景には、2020年に進んだ規制緩和が理由として大きいと考えられます。
初診からオンライン診療を実施可能に
2020年10月、河野太郎行政改革・規制改革担当相は会見の中で、オンライン診療について初診を含め原則解禁とする方向を発表しました。
参考:ミクスOnline「初診を含めてオンライン診療は原則解禁へ 河野規制改革・平井デジタル改革・田村厚労3大臣が合意」
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=69996
これまでオンライン診療が認められる例として、2回目以降の診療であることなど、オンラインでも対面と変わらない信頼性が保たれることが原則でした。
そのため、オンラインで診療を行うにはハードルが高く、導入しても採算が見込めないということで見送られてきましたが、今回の規制緩和の決定を受け、今後は多くの病院でオンライン診療が実施されると見込まれています。
医療のDX推進を後押し
最新のテクノロジーが結集している医療業界ですが、実はデジタルトランスフォーメーション(DX)の面から見れば、いまひとつ進んでいないのが現状です。
患者の病歴や生活についてのデータは病院ごとにカルテで記録されており、情報管理の体制は昭和からほぼ変わっていません。マイナンバーカードとの紐つけも浅く、適切な治療の判断を大きく阻害する要因となっています。
オンライン診療の普及は、このような医療のデジタル化を後押しする装置として期待されています。密室では無くオンラインで診療が行われることで、患者のデータのデジタル共有も容易になり、高度な医療を手軽に受けられる可能性も高まります。
オンライン診療で得られる医療従事者のメリット
オンライン診療は病院に足を運ばずとも診療を受けられるなど、患者側のメリットはもちろんですが、医療従事者にとっても大きなICT活用となります。
感染症対策
現在最も注目されているメリットが、感染症対策です。新型コロナウイルスの感染力は非常に強く、感染者が集まりやすい病院はクラスター感染を引き起こしやすい現場でもあります。
病院におけるクラスターの発生は、大量の感染者を生むだけでなく、医者や看護師といった医療従事者が前線を離れ、病院の機能が停止してしまう可能性をはらむ危険な状態です。
こういった事態を避けるためにも、オンライン診療を実施し、感染防止に役立てることが大切です。
また新型コロナウイルス以外にも、新たな感染症やインフルエンザの流行を予め防止する上で役に立つ対策です。
場所にとらわれない効率的な診療を実現
都市への人口一極集中と地方の過疎化のなかで懸念されるのが、全国への均質の医療体制の提供です。
都市部では大量の医療従事者を必要とする一方、地方では少数の人のために医者を配置しなければならず、地域ごとの医療格差の拡大が広がりつつあります。
こういった事態を避けるためにも、オンライン診療は有効です。地方で持て余している医者が都市部の患者の診療を行えることで、日本全国の医療体制を効率的に活用できます。
軽度な症状の患者の対応に必要以上の時間を割かずに済むため、過密スケジュールにある医師が、重度症状の患者を診療するリソースを確保する上でも役に立ちます。
オンライン診療の実施にあたり必要なこと
オンライン診療を実施する上では、いくつかのポイントについて検討しておく必要もあります。
オンライン診療の問題点を把握しておく
まず、オンライン診療はあくまで対面を必要としない症状の患者の利用を想定しているため、それ以外の場面ではできる限り対面での対応が求められるという点です。
オンライン上では患者から得られる情報が視覚や聴覚に限定されるため、触診などを実施することができません。そのため、誤診が発生してしまうリスクもあり、重大な疾病を抱えた患者への対応が遅れてしまうケースも起こりうるのです。
こういった事態を招かないためにも、オンライン診療での原則初診を行うことが推奨されています。
感染症対策との天秤にかけながら、適切な実施が求められます。
ICT導入など環境整備を進める
オンライン診療を効率的に進めるためには、相応の環境整備も必要です。近年は様々なオンライン診療システムが販売されており、カード決済やセキュリティ対策など、プライベートな通信を適切に処理してくれるオンライン環境を構築できます。
テレビ電話で済ませるのではなく、十分な環境を適切に用意することが、安心して利用できるオンライン診療体制の第一歩となります。
おわりに
オンライン診療は、今後全国の医療機関で普及が予定されている期待のICT活用です。診療のオンライン化に伴う変化を理解し、今後のICT導入に活かすと良いでしょう。
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