人工知能は様々な分野で活躍するテクノロジーですが、AIならではの汎用性を維持しているのが、機械学習と呼ばれる取り組みです。
機械学習はなぜAIにとって大切なのか、どのように運用するのかについて、ご紹介していきます。
機械学習(マシンラーニング)とは
機械学習は、AIを構成する要素の1つとして大きな役割を果たします。
AIには欠かせない技術の1つ
一言で言えば、機械学習はプログラムにデータを読み込ませ、コンピューターが自律的な判断が行えるよう育成する過程のことを指します。
例えば、人の顔をコンピューターに理解させるためには、大量に人の顔のデータを読み込ませる必要があります。
人間は感覚的に人の顔を理解できるものですが、AIは人の顔の定義を行うために、多くのデータを読み込ませる必要があります。
どの部分が人間の輪郭で、一般的な人間の顔とはどのようなものかということを、自律的に理解できるよう促すのです。
ビッグデータの重要性
機械学習において重要となってくるのが、どれだけ多くの情報をコンピューターに読み込ませることができるかという点です。
どれだけ処理能力に優れた人工知能であっても、判断材料である情報のインプットが少なければ、そのパフォーマンスを生かすことができません。
そこで、とても人間では処理できないような情報量を短期間でインプットする必要があるのですが、ここで注目を集めるのがビッグデータです。
大量のユーザーデータは人間が直接処理することはできませんが、機械学習においてはインプットに欠かせない貴重な情報源です。
優れたAIを構築できるかどうかは、どれだけ機械学習を質と量で進められるかにかかっています。
大企業ほど優れたAIの構築が実現しているのは、彼らが途方もない数のユーザーデータを所有しているからとも考えられます。
機械学習の仕組み
機械学習のプロセスは、いくつかのアプローチに分けて行われています。
教師あり学習と教師なし学習
1つ目は教師あり学習と呼ばれる学習方法です。あらかじめ正解を提示しておき、その条件に当てはまる情報をひたすらインプットしていくものです。
これは女性の顔写真であるという正解をあらかじめ与え、のちに与える顔写真もその条件に当てはまるものとすることで、「正解」を理解させることができます。
どういった条件が当てはまれば女性と言えるのかということを、AIが自律的に判断できるよう促していくのです。
一方の教師なし学習は、大量のデータを必要としない一方、1つのデータをしっかりと吟味させることが特徴です。
インプットしたデータが持つ要素に注目し、どのような特徴を持っていて、どういったクラスタリング、つまり仲間分けができるのかを探ります。
データの裏にある法則や、より本質に迫った理解を促したいときに行う手法です。
機械学習を発展させたディープラーニング
このような機械学習をさらに発展させた学習形態として、ディープラーニングと呼ばれる手法があります。
ディープラーニングは単純な機械学習とは異なり、より複雑な判断を可能にする働きをします。
特定の情報をより多層的に深く読み込みことで、その事象に共通するパターンを見いだすことができます。
人の神経細胞を模したニューラルネットワークを多層化し、情報を具体的に理解できるよう促しています。
一般的な機械学習の精度は優れてはいるものの、まだまだミスも多いものです。
ディープラーニングはそんな情報判断の精度をさらに高め、ミスのない技術を実現してくれるのです。
機械学習の運用方法
実際に機械学習が必要なAI運用としては、どのような事例が考えられるのでしょうか。
2つの分野から事例を考えていきましょう。
セキュリティ強化
ひとつ目は、セキュリティの強化に運用できるという機械学習の可能性です。
例えば顔認証技術については、多くの人の顔をAIに読み込ませることによって、パターンを理解し学習させていきます。
インプットするパターンが増えれば増えるほど、そのセキュリティの精度は増していきます。
ディープラーニングによって深く情報を読み取り、判断できるようになれば、まるで人間か、それ以上のセキュリティレベルを実現することが可能です。
売上予測
小売店やマーケティング担当者にとっては、売上予測などにも運用できるのは強みと言えるでしょう。
売り上げや集客の増減は一定の法則に基づいているとも言え、今やECソフトなどにも売り上げデータをもとにする予測機能が搭載されています。
機械学習が施されたAIマーケティングソフトにおいては、直近のデータも参考にしつつ、高い精度を持って予測を立てることが可能です。
人間のこうあってほしいという願望が反映されることもなく、あくまで確率とこれまでの経験に基づいた予測を立てることができるため、非常に重宝するでしょう。
データさえあれば、いずれはAIが人よりも優れた予測を立てることができるようになるはずです。
ONETECHのAIの取り組み
今までのところ画像認識の実績が多いです。画像認識技術はAR分野とも相性が良いです。例としては作業の工程でホロレンズHoloLensを利用してある物体を画像認識させます。あらかじめその物体の数百枚の画像を教師データとして取り込み認識さえることに成功しました。そのほか、OCRのような数値の読み取りや顔の認識などを行いました。またある大学の英語の採点をAIつかって採点業務の補助をするプログラムも作りました。
今後も画像認識分野だけでなくいわゆるビッグデータを使い社会問題を解決できるようなAIを研究してまいります。
おわりに
AIを支えている技術として、機械学習は大きな役割を果たしていると言えます。AIの強みと仕組みを学び、どういった業務に生かすことができるのかを、検討してみましょう。