近年耳にすることも増えているビッグデータですが、その真価はそれをどのように扱うかによって大きく変わってくるものです。
ビッグデータの代表的な活用方法として、人工知能(AI)の運用が挙げられます。
ビッグデータはAIの利活用にどう影響しているのか、見ていきましょう。
BIG DATA(ビッグデータ)とは
ビッグデータは、従来のまとまったデータとは違い、これまでのデータベースでは管理が難しい、非常に多くの性質を持った、巨大なデータ群のことを指しています。
ビッグデータ(英: big data)とは、一般的なデータ管理・処理ソフトウエアで扱うことが困難なほど巨大で複雑なデータの集合を表す用語である。組織が非常に大きなデータセット(テラバイト、ペタバイト、エクサバイトなどで測定)を作成、操作、および管理できるようにするすべてのものと、これらが格納されている機能を指す。
ビッグデータを取り巻く課題の範囲は、情報の収集、取捨選択、保管、検索、共有、転送、解析、可視化等多岐にわたる。これら課題を克服しビッグデータの傾向をつかむことで「ビジネスに使える発見、疾病予防、犯罪防止、リアルタイムの道路交通状況判断」に繋がる可能性がある。
Source: ja.wikipedia.org/wiki/ビッグデータ
ビッグデータの3つの「V」
不定形なビッグデータを定義づける上で重要なのが、3つの「V」の存在です。
純粋なデータ量を表すVolume、多様なデータを表すVariety、データが生まれる頻度や速度を指すVelocityの3つがあり、ビッグデータの価値を支えています。
ビッグデータはいたるところに存在
逆に言うと、ビッグデータは上の3つの要素を備えるデータであれば、なんでもビッグデータであるということもできます。
そのため、ビッグデータと呼べるデータ群は世の中の様々なところに眠っています。
例えば、スーパーやコンビニで買い物した時にもらえる、レシートなどはビッグデータの典型的な例です。
スーパーのPOSシステムでは、何の消費がいつ、どれだけ売れたかと言う情報は記録しますが、それ以上踏み込んだ情報はデータベースに記録されません。
にも関わらず、レシートに記載されるデータは膨大です。
いつどこで誰が、どんな商品をどれくらい購入し、どこのレジで、誰が担当の時に買ったのかなど、生活に関わる全ての情報が得られます。
こういった情報を集めて体系化し、データとして有効利用していこうというのが、ビッグデータ活用の目的です。
ビッグデータに注目が集まった背景
日常的に生成されるデータは、以前からも数多く存在していました。現代になって注目され始めたのは、いくつかの理由があります。
情報爆発
一つは、情報化社会が進展したことによる情報爆発の発生です。
ITの時代は情報の時代でもありますが、今やスマホの普及や通信インフラの向上により、人間がキャパシティを超える情報が日々飛び交っています。
データ量が無作為に増大したことにより、それらをコントロールすることは難しくなっていますが、この現象を情報爆発と呼ばれます。
既存の技術や慣習では処理できないほどの情報が発生している今、ビッグデータという枠組みを作り、新たに情報処理を行うためのソリューションを必要としているのです。
コンピューターの処理速度の向上
ビッグデータをデータとして扱うためには、非常に優れたコンピューターが必要でした。
一昔前ではそれこそスーパーコンピューターのような、巨大なハードウェアが必須でしたが、今やPCやスマホでも複雑な処理ができるほどに技術は進化しています。
演算能力がここ数年で格段に向上したことで、ビッグデータ活用はより身近な技術になりつつあるのが現状です。
ビッグデータと人工知能
そんなコンピューターの優れた処理能力は、人工知能開発の分野でも生かされており、ビッグデータが最も輝く場として注目を集めています。
機械学習に欠かせないビッグデータ
人工知能を手っ取り早く実践的なコンピューターとして育て上げるには、膨大な数のデータを用意し、機械学習を行うことが重要です。
ビッグデータは、人工知能を育てるためのデータとして非常に重宝しており、ビッグデータを収集し、それを研究機関に売却するビジネスも存在しているほどです。
人工知能、もといコンピューターの処理速度は今尋常ではない速度にまで達しています。
人間が一生かけても計算しきれないデータを、瞬く間に計算し尽くすこともできるAIは、鍛えるほどに判断能力の精度も向上していきます。
AIがビッグデータから必要な情報だけを抽出する技術も向上しており、自動的にインターネットを巡回し、必要なデータを吸収するケースも増えていくことになるでしょう。
IoTの活用や高度な分析も可能に
AIがビッグデータによって優れた機械学習効果を得ることで、様々な分野での活躍が期待できます。
例えば、IoTとの連携による卓越した認識システムです。
地方で収穫された野菜を適切なサイズのものとそうでないものを判別するシステムを、IoTセンサーとAIによって、一元管理することも可能になるでしょう。
あるいは僻地の工事現場の点検作業もAIの点検のみで済ませ、現場の無人化によるコストダウンを図ることも十分に実現可能です。
データ運用の面では、優れた精度の売り上げ分析などが実現します。
これまでのシステムでは抽出しきれなかった要素もAIで考慮することができるため、経営判断をより確かなものへとアップデートすることができます。
AIとビッグデータの組み合わせから生まれる効果は、まさに無限大と言えます。
おわりに
ビッグデータの運用は、まだまだ始まったばかりです。
AIもビッグデータも新しい技術であることに違いはありませんが、いつか必ず私たちの生活には欠かせないテクノロジーとなっていくでしょう。