みなさんは「8th Wall」というWebAR開発プラットフォームをご存じですか?
従来のARは、専用アプリが必要なものがほとんどでした。
そんな中、専用アプリをダウンロードせずにAR体験ができるWebAR開発プラットフォームが注目を集めています。
この記事では「8th Wall」の機能や特徴を解説します。AR開発の入門にもってこいなプラットフォームなので、参考にしてください。

8th Wallとは?
「8th Wall」は、8th Wall社(アメリカ)が開発したWebAR開発プラットフォームです。
▼公式サイト: https://www.8thwall.com/
8th Wallは、WebARの技術ではトップシェアを占めていました。しかし2022年3月に8th Wall社は、ポケモンGOなどの位置情報アプリゲームで有名なNiantic社に買収され、Nianticのグループに参画することになりました。
- 日本国内: トヨタ自動車, Sony Picturesなど
- 海外: Nike, Porsche, McDonald’s, Red Bull, Adidasなど
8th Wallは数多くの企業にWebARの体験を提供しています。
▼YouTubeリンク 8th Wall
例1)マクドナルド・スウェーデンが本物の風船をARに置き換え、廃棄物を削減
スウェーデンのマクドナルドは、環境に配慮するため、飾りである風船をWebAR風船に置き換えました。
購入来たゲストも仮想空間でAR風船をポップすることに夢中になり、マクドナルドで食事やおしゃべりを楽しめます。

例2)Kinder – Jump Into Africa Portalで3Dサファリを体験
Kinder – Jump Into Africa Portalは、文字通りアフリカにとび、サファリ体験ができるゲームです。家族がアフリカのサバンナと交流し、探索できる3D WebARポータルになります。
Jump Into Africa Portalに入ると、アニメーション化された3Dサファリ動物の楽しいインフォグラフィックを観察でき、自分の自然の生息地の動物についてもっと知ることができます。
スーパーへ買い物に来た客は、店内の看板やスーパーマーケットのキンダー製品の隣にある剥がし、印刷チラシをスキャンすることで体験することができます。
▼YouTubeリンク Kinder ‘Jump Into Africa’ In-store Activation | Retail Web AR
WebARの特徴
WebARとは、
・専用のARアプリをインストールする必要がない。
・ブラウザ上で動作するため、Android、iOSのアプリを開発する必要がない。
そのためARに馴染みのないユーザーでも手軽にAR体験をする事が可能です。
8th Wallの特徴
8th Wallの特徴を理解するために、ネイティブアプリ(ARKit/ARCore)と比較し、表にまとめました。
ARKitはiOS向けのAR開発ツール、ARCoreはAndroid向けのAR開発ツールです。
8th Wall | AR Kit | ARCore | |
開発企業 | 8th Wall Inc. | Apple | |
対応OS | iOS,Android (対応ブラウザ:Safari、Chrome、Firefoxなど) |
iOS12以上 | Android7.0以上 |
料金 | Agency:$99~/月 Business:$250~/月 | 無料 | 無料 |
トライアル | 14日間のトライアルあり | ー | ー |
開発環境 | three.js、A-Frame、Babylon.js、Amazon Sumerian | iOSネイティブ(Objective-C、Swift)、Unity、Unreal | Androidネイティブ(Java)、Unity、Unreal、iOSネイティブ(Objective-C) |
8th Wallアカウントの作り方
8thWall Webの公式サイト(https://8thwall.com/)にアクセスしましょう。
手順①
公式サイト画面右上の「Start Trial」をクリックします。

手順②
無料トライアル申込み画面にページが遷移します。自分のメールアドレスを入力し、
「Start Trial」をクリックします。

手順③
記入したメールアドレス宛てに「Verfication Code」が届きます。
6桁のコードを記入しましょう。
手順④
名前やメールアドレス、パスワード、電話番号など必要事項を入力します。
手順⑤
クレジットカードやプラン情報の入力画面に遷移しました。必要事項を入力していきましょう。
※14日間の無料トライアル期間中いつでもキャンセル可能です。有料プランを利用しない場合は、トライアル終了後キャンセル作業を行ないましょう。
8th Wallアカウント作成後にできること
8th Wallアカウントを作成し、プランに加入すると次の機能が利用できるようになります。
・Cloud Editor + Hosting
8th Wallは、AR開発に必要なクラウドエディタやホスティングサーバーを提供しています。
・World Tracking (SLAM)
8th Wallでは、モバイルブラウザに最適化されたマッピング(SLAM)エンジンを提供しています。
●SLAMとは?
SLAMとは、「Simultaneous Localization and Mapping」の頭文字をとってSLAM(スラム)と呼びます。これを日本語にすると”Simultaneous=同時に起こる”、”Localization=位置特定”、”and=と”、”Mapping=地図作成”となり、「位置特定と地図作成を同時に行う」という意味になります。(引用:MACNiCA)
World Trackingを使用することで、6-DoF、照明推定、瞬時の平面検出などの機能を使用することができます。
・Image Target
8th Wallでは、ポスターや看板、ディスプレイ、広告などの画像認識を行ないトラッキングすることができます。
Image Target APIを使用すると、ARコンテンツ体験ごとに最大1000個のアップロードされたマーカー画像にアクセスすることが可能です。
・Face Effects
人物の顔を認識して、顔に合ったテクスチャを貼ることができます。この技術によりメガネやジュエリーなど試着体験を提供することが可能になります。
アプリを必要とせずに、スマートフォン、タブレット、デスクトップを含むすべてのデバイスで使用することが可能です。
8th Wallの商用ライセンス
14日間の無料トライアル終了後、有料プランへの加入が必要になります。
また商用利用する場合は、商用ライセンスであるBusinessプランを購入する必要があります。(Agencyプランでは、商用利用できないので注意しましょう)
商用プラン | Agencyプラン | Businessプラン |
料金 | $99/月 | $250/月 |
Cloud Editor + Hosting | 〇 | 〇 |
Unlimited Seats | 〇 | 〇 |
World Tracking (SLAM) | 〇 | 〇 |
Image Target | 〇 | 〇 |
Face Effects | 〇 | 〇 |
Includes 1 Develop License | ー | 〇 |
どんな方に8th Wallがおすすめか
・ARコンテンツを制作したいが、iOSとAndroidの両方を用意することが難しい方。
・ネイティブアプリほど本格的にARを動かす必要がない方。
まとめ

いかがでしたか?
これからARコンテンツが日常的に普及し、ARを活用した宣伝も一般的になります。今から宣伝企画やアイディアを練るといいでしょう。
そしてARコンテンツを提供したいと思ったときのために、専用アプリとWebARのどちらでAR体験をするか検討しておきましょう。
- しかしARを活用したいが制作をどのようにしたらいいか分からない。
- WebARの制作で相談したい。
などWebARやARコンテンツ専用アプリ制作でお困りのことがありましたら、ONETECH にお問い合わせください。
現在ONETECHでは、WebARの研究を進めております。
ARアプリ開発実績も多数あり、下記にまとめました。
▼ONETECH ARアプリ開発実績
■XR開発に特化したベトナムオフショア開発企業 ONETECH
ONETECHは、XRに特化した開発会社です。
VR/ARコンテンツ開発を始めさまざまなシステム開発、アプリ開発、ソフトウェア開発をベトナム オフショアで開発しています。ベトナムのXRトップ企業として紹介されています。
2015年の創業から上場企業からスタートアップ企業までお客様100社以上の300以上のプロジェクトに関わってきた豊富な開発実績があります。
ONETECHはUNITYでAR/VRアプリの開発
AR/VR/MR開発は2015年より取り組んでおります。UNITYの技術者育成に力を入れて取り組んでいます。
VR開発:ベトナムでのVR開発分野において最も開発実績のある企業の一つとなっています。
AR開発:ARkit、ARcoreなどを利用して多数のアプリ開発、Babylon.js、8thWallなどでのWebAR開発実績がございます。
UNITY開発:ONETECHはUNITYを利用し様々なVR開発、AR開発、アプリ開発をしています。HoloLens/Oculus/HTC VIVE/Pico/Nreal Lightなど最新のデバイスも取り揃えています。
ホロレンズ開発:ベトナムで最も多くのHoloLens開発実績のある企業の一社です。
WEBXR開発:WEBXRは、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)および混合現実(MR)をWebブラウザで利用するための技術スタンダードです。ユーザーは、特別なアプリをダウンロードすることなく、多様なデバイスで豊かな3Dコンテンツを体験できます。
CG制作:製品やゲームのアセット、業務用の映像などの3DCGコンテンツの3DCG制作(モデリング・アニメーション・レンダリング)をエンジニアと連携しながらワンストップで受けることが可能です。