SAPのモジュール機能は非常に豊富で、用途に合わせた導入ができるよう設計されています。ただ、用途にあわせての運用とはいえ、定番のモジュールはいくつかに絞られます。中でもポピュラーなのが、在庫管理と購買管理を担当するMMモジュールです。今回はMMモジュールの概要や、MMモジュール導入の目的について、ご紹介していきます。
SAPのロジスティクス系モジュールとは
SAPのモジュールには数多くの種類がありますが、中でも重要なのがロジスティクス系モジュールです。
MMモジュールはいわゆるロジスティクス系に分類されていますが、どのような役割を果たすのでしょうか。
経済活動に欠かせないロジスティクス系モジュール
ロジスティクス系モジュールは、商品の購入や生産、在庫の管理や販売業務のサポートといった役割を果たします。
それぞれの機能に応じてモジュールが用意されており、単体での活躍だけでなく、相互に補完し合う事で、企業の活動をサポートします。
特にロジスティクス系は直接企業の売り上げにもつながる役割を果たすため、多くの企業がSAPを導入する理由として、ロジスティクス系モジュールへの期待を挙げています。
MMモジュールは、そんなロジスティクス系の中でも在庫管理、および購買管理を担当するモジュールです。
在庫・購買管理をつかさどるMMモジュール
MMモジュールは、購買依頼に基づいて機能する役割を果たします。
購買依頼を受け取った際、まず製品生産や商品の販売に必要な仕入れ先に向けて見積もりを依頼、および発注をかけます。
その後調達した原材料や商品が届いた後は、それらの入庫を管理し、適切な取引や生産が行われるようサポートしてくれます。
また入庫状況と照会することによって、仕入れ先から届いた請求書を確認し、適切な支払いを促す役割も果たします。
これらの処理は、あらかじめ設定したマスタデータをもとに行われます。モジュールを導入する際には、処理作業ごとに細かなモニタリングが行えるよう、マスタ設定を丁寧に行う事が求められます。
MMモジュールの導入の目的
MMモジュールの運用は幅広く行われていますが、その目的には様々な理由がうかがえます。
購買コストの削減
一つは、購買コストの削減です。小売業や製造業においては仕入コストの負担は大きく、原価のなかで大きなウエイトを占める要素の一つです。
しかしMMモジュールを導入する事で、在庫管理や購買管理の生産性向上と省人化を進められれば、このコストはまだまだ小さくしていく事が出来ます。
原価率が小さくなればなるほど、売り上げは変わらなくとも企業の利益は大きくなっていくため、MMモジュールの導入は非常に重要です。
発注業務の効率化
MMモジュールの魅力は、なんといっても効率化を促進する事ができる点にあるでしょう。
現行の発注業務においては、注文ごとに発注処理を繰り返し、手動で行うことが多いものです。しかしこれでは多くの時間と人手を費やしてしまい、効率の良い発注への改善は見込めません。
また、発注入力も仕入れ先が国内か海外か、どこの企業かによって異なるケースもあり、非常に煩雑になってしまっているのが現状です。
しかしMMモジュールの導入によって、入力作業を1画面で行えるようになれば、その負担は大きく軽減する事が出来ます。
正確な在庫の把握
正確な在庫管理は、適切な数量の納品や仕入れを行い、余計なコストを省くために重要なプロセスです。
MMモジュールの在庫管理機能によって、正確に在庫の状態を把握し、製品在庫と資材の在庫を、保管庫ごとに把握することも可能です。
また、持て余してしまっている余剰の在庫に関しても、MMモジュールの導入で削減していく事が出来ます。
会計管理の効率化・データ分析への応用
MMモジュールは単体での活用だけでなく、そのほかのモジュールとの連携によって、相乗効果が期待できます。
特に財務会計や管理を担当するFIモジュールとの連携機能は便利で、MMモジュールで取得した売り上げや請求書のデータを自動的にFIモジュールへ転送し、会計処理を行う事が出来ます。
これまでは部署ごとに管理し、節目ごとに会計へデータを手動で転送していた、という企業もあるかもしれませんが、MMモジュールとFIモジュールを導入すれば、この作業も自動化が実現します。
また、取得したデータはBIツールと連携し、読み込ませる事で、データ分析に応用することも可能です。
取得データを余すことなく、そして迅速に利活用できるのが、SAPの特徴です。
おわりに
MMモジュールは、SAPのソフトウェアの中でも重要性が高く、企業の活動に直接関わってくる機能を備えています。
SAPの導入を検討している場合、MMモジュールがどのように自社で活用できるかについても検討しておきましょう。