優れた業務フローを共有してオフショア開発の課題を解決!

システム開発では、システムを利用するユーザーの業務の理解が非常に重要です。オフショア開発では業務を理解できないことが原因で問題が起こってしまうケースがあります。業務フローを図式化しクライアントと開発者チームで確認することでこのような問題を解決することができます。

今回は、実用的な業務フローの書き方や、業務フロー作成のポイントと実際の作成サンプルをご紹介します。

業務フローとは

business flow

優れた業務フローを共有してオフショア開発の課題を解決!

業務フローとは、日々の作業や仕事の手順を視覚的に表現した図表のことで、業務プロセスを図形や線によって表現します。シンプルな図面で誰にでもわかる表現に業務を落とし込むため、進捗状況の確認や、業務マニュアルとして効果を発揮します。

なぜ業務フローが必要なのか

業務フローが必要な理由としては、主に以下の二つが挙げられます。

業務を可視化するため

業務フローは、日々の業務を可視化することで、状況を整理するために使用します。多くの組織で行われている業務は、目標の設定など一部の情報を可視化することはあっても、なかなか業務プロセスの全てを目に見える形に落とし込む機会は少ないものです。

このような問題に対処するのが、業務フローの作成です。日々どのような業務が現在発生しており、どんな状況判断が迫られたり、どれだけの工程を必要としているのかを客観的に把握したりできるようになります。

職場の混乱を解消するため

二つ目の理由は、職場の混乱の解消です。これまでシンプルなルーティンワークを繰り返していた業務であっても、作業量が増えたり、業務が複雑化したりことによって、今までのように簡単な作業の繰り返しでは対処できなくなってくる場合もあります。

特に成長が著しいベンチャー企業や中小企業においては、時期によって業務内容が目まぐるしく変化することもあり、状況に合わせた柔軟な判断が問われることもあります。

職場がダイナミックな環境に置かれている場合、業務フローの作成が有効です。現場に入ってまもない人間でも、その場でやるべきことを正しく理解できますし、経歴が長い人物も現在の進捗を適切に管理するのに役立ちます。

業務フローを作成するメリット

業務フローを作成しておくことで、いくつものメリットを受けられます。主なメリットは、以下の3つです。

業務フローを作成するメリット

業務フローを作成するメリット

情報共有を円滑にできる

一つ目のメリットが、円滑な情報共有の実現です。初めてその業務に携わる新人向けの講習に役立つのはもちろん、外部の人たちとのコミュニケーションにおいても、現在の進捗を伝えるのに役立ちます。業務フローを適宜活用すれば、認識違いなどのミスが生まれる心配もありません。

業務の属人化を防げる

二つ目のメリットは、業務の属人化の回避に役立つという点です。複雑な業務に対応できる人材は重宝しますが、いざ彼らが転職や異動でいなくなってしまうと、引き継ぎ対応ができなくなってしまうケースも珍しくありません。

こういった属人化のデメリットを解消する上でも、業務フローの作成は有効です。フローチャートを参照することで、どのように業務を進めていけば良いのかを把握できるので、手詰まりがおこってしまうことはありません。

改善施策が投下しやすくなる

改善施策の投下が簡単になるのも、業務フロー作成のメリットです。更なる業務効率化を検討する際、どこのどんな工程に問題があるのかを、フローチャートを見ながら検討を進められるため、精度の高い改善を行いやすくなります。

また、業務の細かい手順についてもフローチャートに準拠して作成するため、どこのステップが複雑化しているのか、効率化の余地が残されているのかを客観的に把握できます。

オフショア開発の現場では

オフショア開発の現場では、クライアントと開発者側でコミュニケーションがうまくいかないケースがあります。実際に弊社でもテスト段階でクライアントから連絡が入り、想定と違うというケースがよく発生していました。

その際の振り返りとしてブリッジSEとの日本語でのコミュニケーションでうまく伝わっていなかったなどと片付けてしまうことがあります。しかし本質的な原因をしっかりと振り返ると業務フローかシステムの仕様漏れがあるケースが多いのです。日本人同士でも開発するシステムの対象業務の経験がないと詳細な業務の流れを理解するのは難しいです。

業務フロー図は、外国人であるオフショアの開発者にも流れが明確にわかり、言葉で伝わりづらい部分を補完してくれます。クライアントと開発者は要件定義とシステム仕様の矛盾や抜け漏れを上流工程で気づくことができます。それによりテスト時に想定と違ったという事象を防ぐことができます。

業務フロー作成のステップ

ではここで、実際の業務フローの作成ステップについて確認していきましょう。業務フローの作成は、以下の手続きに基づいて行うのが一般的です。

要件を定義する

業務フロー作成の最初のステップが、要件定義です。フローチャートを誰の、どんな目的のために作成するのかについて、具体的に検討しましょう。

あらかじめフローチャートの目的を定めることで、ゴール地点から逆算して無駄のない業務フローを作成できるようになります。逆にスタート地点から順にフローを重ねていくと、煩雑になってしまうこともあります。

業務フローは、できる限り業務ごとに細かく作成するのがポイントです。同じ営業活動内であっても、アポ取りの業務フローとリスト作成の業務フローは分けて管理するなど、使いやすさを念頭に置いて作成しましょう。

業務に関わる部門と処理を定義する

二つ目のステップは、その業務にどんな部門が関わり、どんな処理が発生するのかを定義する段階です。

マーケティング部門だけで完結できる仕事なのか、配送部門と連携して取り組むべき仕事なのか、普段の業務内容からその役割分担を明らかにし、フローチャートに落とし込みましょう。
また、発生する業務では具体的にどのような処理が必要になるのかについても、確認しておきましょう。後半でも少しご紹介しますが、業務フローの作成は、記号を適切に配置することで行います。記号をあらかじめ把握しておき、どの記号をどこに配置するのか、イメージしながらアウトラインを作成しましょう。

処理を配置し、線で結ぶ

必要な処理や業務範囲が固まったら、処理の配置を行っていきます。外堀を埋めるように業務内に発生する処理を的確に配置していき、配置が完了したらそれぞれを線で結びましょう。

また、業務の流れを表す線と、データの流れを表す線は別個に用意します。線を分けて描くことにより、フローチャートを読み解く時の混乱を回避することが可能です。

業務フローマニュアルを作成する

業務フローが一通り出来上がったら、それを読解するためのマニュアル作成も行っておくと良いでしょう。マニュアルは業務フローの各処理における説明を詳しく記述するもので、読み手の理解を促す役目を果たします。

フローチャート内では簡潔で直感的な理解を促すことを意識し、具体的な説明はマニュアルで行うようにすると効率的です。

業務フロー作成に役立つ主な記号

ここで、業務フロー作成に活躍する記号について、ご紹介します。業務フローチャート内では、さまざまな種類の記号を活用することになりますが、主に活用するのは以下の4種類です。

開始/終了開始・終了

一つ目の記号は、開始と終了です。これはいわゆるスタート地点とゴール地点を表す記号で、初めにセットしておくのが理想的です。

 

処理プロセス・処理

処理の記号は、業務における手を動かす必要があるステップを表現する際に使います。どんな処理が発生するのか、どんな順序で手続きを進めていくのか、記号を使ってわかりやすく表現しましょう。

 

判断判断

判断記号は、複数の結果が存在する処理を表現するときに使われる記号です。YES/NOで分けられるもの、3つ以上の選択肢があるものなど、従事者の判断が問われる処理ではこちらの記号が活躍します。

 

効果的な業務フローを作成するためのポイント

業務フローの作成は、適切な手順とポイントを抑えることで、さらに効果を最大化することができます。業務フロー作成を成功させるポイントについて、ご紹介します。

視覚的にわかりやすくまとめる

業務フロー作成の重要なポイントが、視覚的にわかりやすくまとめるという点です。そもそもフローチャートを丁寧に作成する理由は、直感的に業務内容を理解できるよう手伝うという点にあります。

業務フローを丁寧に作ろうとするあまり、必要以上の情報を詰め込んでしまい、かえって業務を複雑化してしまうケースもあります。

こういった事態は本末転倒になるため、できる限り既存業務をシンプルに描くことを意識して作成に取り掛かりましょう。

イメージとしては、大体A4用紙一枚に収まるようなサイズ感です。詰め込みすぎず、情報が不足しすぎないバランスを大事にしましょう。

また、記号やステップごとに色を変えてみたり、文字の大きさを調整したりと、みやすくするための工夫を忘れないことも大切になります。

開始地点と目的地点を明確にする

二つ目のポイントが、開始地点と目的地点の明確化です。業務フローはあらかじめ目的地と現在地を確認する上で活躍するため、ここが明らかでなければ正確にフローチャートを描くことは難しくなります。

まずはその業務の目的を言語化するところから始め、開始地点がどんな状況であるかを確認し、チャートを描いていくようにしましょう。

適切な粒度を心がける

フローチャートを作成する際は、チャート内の表現の粒度が均一化されていることも大切です。

例えば「顧客満足度向上につながるカスタマーサポート対応」という目標が設定されている場合、さまざまなアプローチが検討できます。「顧客との接点確保」「マニュアルに則った電話応対」などが挙げられるでしょう。

ただ、「カスタマーサポート対応」という大枠のフローチャート内に「SNS運用の方法」と「電話応対の方法」が混在しているケースはどうでしょうか。こうなってしまうと、それぞれの方法について細かいフローチャートを描く必要があるだけでなく、条件設定などが成り立たなくなる可能性もあります。

そのチャートにおけるゴール地点に対して、処理対応が細かくなりすぎないか、あるいは大きくなりすぎないかということを検討しながら、記号を配置していきましょう。

弊社の作成したフローチャートのサンプル

弊社の作成したフローチャートのサンプル

弊社の作成したフローチャートのサンプル

下記は弊社のバーチャル住宅展示場システムの顧客(エンドユーザー)のモデルルームを予約するフローと、企業(クライアント)が予約を管理するフローです。このように3つの記号のみで表しています。これを見ると開発者は簡単に理解ができます。

これは非常に簡単なフローですがもっと複雑なフローの時でも業務を分類していくと一つ一つの業務のフローはそれほど難しくありません。

おわりに

今回は、業務フローの目的や、設定することで得られるメリット、そして業務フローの具体的な書き方について、ご紹介しました。

株式会社one technology japan

株式会社One  Technology Japan | ベトナムオフショア開発 | 信頼第一のONETECH

我々のオフショア開発でもシステム開発をする前に業務の理解は最も大切です。業務フロー図で図式化することで言葉で伝えるより遥かに視覚的に伝わりやすいです。

業務フローを作成しておくことで、情報共有や引き継ぎがスムーズに行えるだけでなく、業務改善のきっかけを得ることもできます。新しいプロジェクトがスタートする際や、業務の滞りが感じられた際には、一度作成してみることをお勧めします。

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