膨大な開発費と維持費、そして多くの労力を投じてきたシステムも、老朽化などによる問題が発生すると社内での対応が難しくなります。
今回の記事では、このような問題に対応するためのポイントとして、「システム資産可視化」の重要性についてご紹介します。
そもそも可視化とは具体的にどのような作業を行うことなのか、そして可視化ができるとシステム再構築にどんなメリットがあるのか、このようなことについてお伝えします。ぜひ最後までお読みください。
「見える化」という言葉
「見える化」という言葉を、みなさんもどこかで耳にしたこと、もしくは使ったことがあるかと思います。実は、元々は自動車メーカーが製造現場の問題点を見えるようにしよう、という意味でこの言葉は使われるようになりました。
そして今では、意味の変化はそこまでありませんが、製造部門だけでなく営業部門や医療分野など、業種を問わず様々な場面で目にする言葉となりました。
システム資産の可視化とは?
今回の記事でキーワードとなるのは、「システム資産の可視化」です。
システムは、企業にとって大きな資産です。なぜなら、企業はシステムを動かせるIT人材の確保やシステムの開発・維持に今まで膨大な費用を投じてきたからです。
しかし、ここまでのコストを投じていながら、システムの老朽化などの問題に対してしっかりと対策を打てている企業は非常に少ないです。それは、上手く社内システムを可視化できていないからではないでしょうか?
システムのブラックボックス化
「システムを可視化できていない」、それはつまりシステムの中身を知らないということです。
このようなことが多くの企業で起こる理由としては、例えば何度も繰り返されるプログラム改修の履歴が残されていない、システムが年々複雑化・煩雑化しているなどのことが挙げられます。
このように、システムがブラックボックス化してしまい、システムの運用管理者でさえ把握できていない、なんてこともあるでしょう。これではシステムの老朽化に対してアクションは起こせないため、ここで可視化が求められるのです。
可視化するための作業
それでは、システム資産の可視化には具体的にどのような作業が必要となるのか、続いてご紹介します。
資産棚御を行う
まず挙げられるのが、ドキュメント、ソースプログラムなどの現行システムの資産をすべて分析することで、まずは全体像を把握することです。資産の存在を知るだけでなく、例えばプログラムであればその使用状況などもすべてドキュメント化しましょう。
この作業を行うことで、有効な資産と未使用のプログラムなど、不要な資産とに区別することができます。だんだん見える化されることで、どれだけ有効活用できていなかった資産が多いのか、分かるかと思います。
3つの視点からの分析
システムの可視化は3つの観点から行われます。
1つ目の視点は「業務」です。どのように企業システムが利用されているのかを調査するために、業務プロセスのヒアリングや既存ドキュメントの分析などを行います。
2つ目の視点は「機能」です。この視点からはソースやデータ構造に関する様々な情報を統合的に蓄積し、今後も一元的に管理できるようにします。
ここでは、各企業が利用する可視化ツールを可能な限り活用することで、これらの作業を自動化できると良いでしょう。
3つ目の視点は「データ」です。この観点では、より資産をミクロの視点で分析し、データディクショナリーの整備やプログラムの整構造化を行います。とにかく可視化がされていないシステムは、スパゲッティの麺が絡まったようにデータが混在しているため、丁寧な整理が必要です。
このようなプロセスを経て、最新のシステム状況が可視化されるだけでなく、全メンバーがシステム全体を俯瞰できるようになります。
今後の方針を定める
先述したプロセスを経て、企業はシステム再構築をする上で新規開発、マイグレーション、クラウドでの運用などの中からどの以降方針が最適なのか、決めていくことができます。やはり可視化は、どんな状況・条件下においても必要な作業となるのです。
おわりに
今回の記事では、システム資産の可視化とは何か、そしてそれらの可視化を行うための重要な3つの視点についてご紹介しました。
システムは社内資産の中でも大きなウェイトでコストのかかるものであることに加え、セキュリティ面など様々なリスクも伴うため、非常に管理や整備を丁寧に行う必要があります。そして、エンジニアだけでなくより多くの人材がシステムについて理解することも重要です。
ぜひ今回ご紹介したような3つの視点を参考にし、システム資産の可視化を実践してみてください。
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