トヨタ「GR Garage」へのHoloLens(ホロレンズ)導入の効果とは

MR(Mixed Reality)の導入は、エンジニアリングの分野に大きな影響を与える取り組みです。2020年10月、トヨタは全国に56箇所存在するGR GarageへのHoloLens(ホロレンズ)導入を発表し、業務の効率化や技術力の向上に向けて動き始めています。今回はそんなGR GarageにHoloLensがもたらす効果について、ご紹介していきます。

トヨタ「GR Garage」へのHoloLens(ホロレンズ)導入の効果とは (Photo:Microsoft)

トヨタ「GR Garage」へのHoloLens(ホロレンズ)導入の効果とは (Photo:Microsoft)

トヨタ GR Garageの役割

トヨタが運営しているGR Garageは、スポーツカーブランドのGRを基調とした店舗で、コミュニティ形成から試乗イベントまで、車に関する幅広いコンテンツを取り扱うショップです。

地域のドライバーコミュニティをサポート

GR Garageは通常のトヨタ車販売店とは異なり、車を買うことよりも自動車文化の醸成を目指して運営されているものです。

公式サイト:https://www.toyota-mobi-tokyo.co.jp/gr_garage

店内には自由に使えるラウンジスペースが用意されており、近所のドライバーたちが集い、車についての情報交換や、ドライブの予定を立てることができるよう設計されています。

車好きが集える場というのを街中に設置するのは難しいものですが、GR Garageであれば気兼ねなく集えるというわけです。

GR関連の専門的な技術や知識の提供

また、GR Garageは単なるコミュニティースペースにとどまらず、GRに特化したコンサルタントやエンジニアが常駐しており、いつでも相談に乗ってもらえます。新しいGR購入の相談や、カスタマイズの内容まで、スペシャリストでなければ対応できない質問にも答えてもらうことが可能です。

また、カスタムパーツは実際に店内に展示されているので生で確認できる上、ドライブシミュレーターやレンタカーまで、GR体験が可能な設備も豊富です。

GRのメンテナンスなど、毎日のドライブに欠かせない質の高い整備もGR Garageでは可能です。

GR Garageの課題

このように、地域に根付いた店舗運営が特徴的なGR Garageですが、運営については向上の余地もあります。

技術レベルの維持・向上

一つは、全国の店舗で同一の技術レベルを提供し、より高めていくシステムの整備です。どれだけ専門的な技術が集う店舗であっても、配置されている人員の習熟度に応じて受けられるサービスの質は異なってきます。

全国に存在するGR Garageですから、消費者としてはどこに行っても高品質で同様のサービスを受けられることが望ましいのですが、これを実現するのは人間だけでは限界があります。

人員の不足

また、現在日本の労働人口は減少傾向にあり、熟練の技術者も一線を退きつつあります。熟練のノウハウを持つスタッフがいなくなれば、それを形容する若いスタッフもいなくなり、慢性的な技術者不足が懸念されます。

単に働き手の分母が減少していることもあり、今後ますます深刻になっていく問題です。

MR技術のHoloLensがGR Garageにもたらす機能

このようなGR Garageの課題に応えてくれるのが、マイクロソフトのHoloLens 2です。トヨタは2019年より自動車の修理・点検業務における MR および HoloLens 2 の活用に向けた検証を実施してきましたが、その1年後にGR Garageへの導入が実現しました。

左: 従来の 2D の艤装図、右: 実車に重ね合わせて表示した 3D の艤装図 (Photo: Microsoft News)

左: 従来の 2D の艤装図、右: 実車に重ね合わせて表示した 3D の艤装図 (Photo: Microsoft News)

参考:Microsoft「トヨタ自動車が全国の GR Garage に HoloLens 2 を導入開始。自動車整備の働き方改革に Mixed Reality テクノロジを活用

MR を用いた配線図・艤装図の表示

従来のマニュアルでは配線図や艤装図といったものは2Dで表示されていましたが、立体感がなく、感覚的に配置を覚えるのは難しいものでした。

HoloLens 2を使って立体的に可視化できるようになったことで、本物と違わぬ位置感覚を技術者は養えるようになりました。非エンジニアの人間でもわかりやすく表現されることで、クライアントにメカニックに関する知識を広げてもらうこともできるでしょう。

車両の解説や作業ガイドの提供

実際の車両をHoloLens 2を使って眺めることで、具体的なパーツごとの説明をナレーションや動画付きで確認できます。

新米の整備士であっても、直感的にパーツの名称や機能を把握できるため、研修にかかる時間を短縮可能です。

また、実際の作業においてもHoloLens 2を装着して行えば、QRマーカーなどを使わなくとも正確な位置情報と手順で修理や部品交換を進められます。

コミュニケーション支援

トヨタ販売店で採用されているコミュニケーションソフト、Microsoft Teamsと併用することで、オフィスの従業員とHoloLensを装着した整備士がリアルタイムでそのまま会話可能です。

HoloLens 2が捉えている映像を本部に配信できるので、熟練の技術者からオンラインで話を聞きながら、複雑な修理を経験の浅い整備士でも行えるよう促せます。

おわりに

GR Garageは地域密着型のサービスを提供していますが、その求心力はスタッフの専門性の高さがあってこそです。

HoloLens 2の採用により、GR Garageではさらなる技術力の向上が進み、多くのドライバーから頼りにされることになるでしょう。

ONETECHは、ベトナムオフショア開発でAR/VR関連の開発実績が多数ございます。AR、VR、XR開発UNITY開発3DCG制作でお困りのことがあればお気軽にお問い合わせください。

ホロレンズの開発実績もございます。

HoloLens2をつかったMRソリューションの事例紹介

HoloLens2をつかったMRソリューションの事例紹介

建設予定の倉庫を3Dホログラムで表示。HoloLens2(ホロレンズ)プレゼン用MRアプリ開発

マイクロソフトのMRデバイスHololens2向けに建設予定の倉庫を3Dでホログラムでプレゼンテーションが可能です。プレゼンターがiPadでホロレンズ側の3Dホログラムを動かすしながら説明ができます。

スマートファクトリーへ製造業向けHoloLens2でMR作業支援システム開発

ホロレンズ2でMR業務支援システムを制作。作業の手順がARガイドとして表示。IoTデバイスと連携してデバイス情報と作業結果の情報をホロレンスアプリで保存します。

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