こんにちは、今日のブログでフォトグラメトリという興味深い技術について説明します。これは3Dモデリングの世界を革新するテクノロジーであり、その実践的な応用についても詳しく見ていきましょう。
あるクライアントから相談があり、弊社ではLiDARを利用したスキャンアプリの実績はありましたがフォトグラメトリの実績はなかったので急遽調べて作ってみました。思ったより綺麗にできました。
1. フォトグラメトリとは?
フォトグラメトリは、写真から物体やシーンの3D形状を再構築する技術です。このプロセスでは、複数の角度からの写真を使用して、物体の詳細な3Dモデルを生成します。
2. 使用ツール: OpenMVG と OpenMVS
OpenMVG: 多視点画像の3Dビュー生成
OpenMVG(Open Multiple View Geometry)は、複数の写真から3Dの全体的なビジュアルを迅速に生成するためのライブラリです。このツールは、特に大量の画像データを効率的に処理することを目的としています。多視点の画像群からカメラの位置や姿勢を高精度に推定し、3D空間上での物体の位置を同定します。平均的な処理時間はわずか6〜7秒と非常に高速であり、初心者からプロのユーザーまで幅広く利用されています。そのスピードと正確さが、このツールを多くの3Dモデリングエンジニアに支持される理由となっています。
OpenMVS: 3Dモデルの詳細再構築
OpenMVS(Open Multi-View Stereo)は、3Dモデリングの詳細部分を特化して再構築するためのライブラリです。OpenMVGで得られた粗い3Dビジュアルを基に、細部のテクスチャーや形状を高い精度で補完する役割を持っています。平均的な処理時間は30秒とやや長めですが、その結果として得られるモデルの質は非常に高く、リアルタイムのゲームや映画のVFXなど、要求レベルが高い分野での利用が増えています。また、ユーザーインターフェースが直感的であり、専門的な知識がなくても操作が容易であるというメリットも持っています。
3. システム要件
20モデル未満: 8GB RAMのPCが推奨。
50モデル以上: 8GB RAMのPCでは遅延が生じる可能性がありますが、16GB RAMならば問題なし。
4. AWSクラウドの活用
大規模なプロジェクトや複雑な計算のために、AWSクラウドのようなクラウドコンピューティングサービスの利用を検討することもできます。これにより、高度な計算能力を持つサーバーを利用して、迅速に処理を行うことが可能になります。
5. 実践ガイド
1. 複数の角度から物体の写真を撮影。
オーバーラップ率80%以上になるように撮影します。同じ領域が複数枚の写真に映るように撮影することをオーバーラップといいます。
2. OpenMVGを使用して全体的な3Dビューを生成。
- SfM(Structure From Motion)
- 画像に写っている特徴点を手がかりとして撮影時のカメラ位置を算出
- 特徴点から三角測量により復元された低密度点群データを生成
- 距離計算のため、撮影カメラのサイズを登録する必要があります。
- スマホとカメラのメーカのサイトで確認できます。
3. OpenMVSを使用して詳細な3Dモデルを再構築。
OpenMVSは低密度点群データを使用して、MVS技術で高密度点群データを生成するライブラリです。
6. デモンストレーション動画
思っている以上に綺麗にできました。
7.フォトグラメトリの応用分野
最後にフォトグラメトリが活用される分野をまとめました。
分野 | 応用内容 |
考古学・文化遺産 | 古代の遺跡や美術品、彫刻の3Dスキャン、保存・研究・展示用のデジタルモデル作成 |
映画・ゲーム産業 | 実際の場所やオブジェクトの3D再現、映画のVFXやゲームの背景作成 |
不動産 | 物件や土地の3Dモデル作成、バーチャルツアー・販売促進プロモーション |
農業 | 農地の地形や作物の成長状況の3Dキャプチャ、最適な農業戦略の計画 |
都市計画・土木 | 地形や建物の3Dモデル作成、大規模建築プロジェクトや道路計画の基盤 |
犯罪捜査 | 犯罪現場の3D再現、証拠収集・再現動画作成 |
自動車産業 | 車や部品の3Dスキャン、設計・シミュレーション・品質検査 |
医療 | 体の一部や医療器具の3Dスキャン、研究・診断・手術計画 |
地質・環境研究 | 地形や自然環境の変化モニタリング、定期的な3Dモデル作成・変化分析 |
旅行・観光 | 人気の観光地や歴史的な場所の3Dモデルキャプチャ、バーチャルツアー・プロモーション |
まとめ
いかがでしたかフォトグラメトリは、3Dモデリングの未来を切り開く魅力的な技術です。今回のブログでの情報が役立つことを願っています。質問やコメントがあれば、お気軽にどうぞ。
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