GNSSとGPSの違いとは?高精度衛星測位システムが生み出すもの

位置座標を計測する手段について調べていると、GNSSやGPSなど横文字の単語が数多く登場します。

どこか似ている2つの用語、なんとなく聞いたことはあるけど、どのような違いがあるのかイメージできない人もいるはずです。

GNSSとGPSの違いとは?高精度衛星測位システムが生み出すもの
GNSSとGPSの違いとは?高精度衛星測位システムが生み出すもの

この記事では、GNSS・GPSを詳しく理解できていない人向けに、それぞれの違いを詳しく解説します。

また、GNSSで用いる衛星の種類や測位方法、導入事例も紹介しているので、最新技術を使った測位方法の基礎知識を身につけていきましょう。

また、ONETECHでは、WeBXRの情報をブログにて発信しています。建設業界で負担を軽減するために業務効率化を図りたいという方は、ぜひ他記事もご参考くださいませ。

 

意外と知られていない|GNSSとGPSの違い

GNSSそしてGPSは、どちらも位置座標を計測する用語だとイメージされがちです。

https://www.youtube.com/watch?v=FU_pY2sTwTA

確かに、ドローン、測量などで位置座標を計測する「GNSS」、そしてスマホやカーナビなどに搭載された「GPS」は、同じような認識だという人も多いでしょう。

ですが実は、2つの用語には、立場・用いられ方という大きな違いがあるのです。

まずは、位置座標における基礎知識を詳しくご紹介します。

①GNSSとは?人工衛星を用いた測位システムのこと

GNSSとは、衛星軌道を回る人工衛星を用いて、位置座標を算出するシステムのことです。

地上の位置を座標として取得したい場合に受信機を設置。

受信機の座標取得をオンにして、地球の周りを回っている「人工衛星」に通信を飛ばします。

人工衛星は、その通信内容を受信し「受信機に到達するまでの時間」を距離として変換。

世界中で設定されている世界測地系という座標を測位して、計測器へと結果を送り返してくれます。

測位方法によっては、最小数cm~数mmの誤差に抑えることも可能です。

またGNSSは、元々、飛行機や船の位置を把握するシステムとして普及しました。

その後、座標のズレが数センチしか生まれないことを利用して、自動車や土木工事の測量・検査など、さまざまな用途に用いられています。

計測器の種類も豊富にあり、市販の受信機はもちろん、国土地理院が設置する大型受信機などが用いられているのが特徴です。

②GPSはGNSSの1つでアメリカが開発したシステム

一方GPSは、GNSSの中にあるひとつの要素にすぎません。

GPSは、アメリカが打ち上げた人工衛星の名称です。

後述する内容にも関係しますが、世界には他にもさまざまな人工衛星が管理されています。

またGPSは、世界で初めて構築されたシステムです。

スマホなどの私たちに馴染みのあるツールにも導入されているため、名称だけが先行して人々に定着してしまいました。

表面的にはGPSという名称が用いられていますが、実際に動いているのはGNSS。

現在スマホなどに搭載されている位置情報機能も、中ではGNSSが起動しているのです。

③GNSSとGPSの受信精度の差異

GNSSとGPSには、位置座標を測位する受信精度の違いがあることをご存じでしょうか。

まずGPSは、GPSというひとつの人工衛星から情報を取得します。

得られた位置座標の精度は約10m程度のズレが発生。

おおよその位置は確認できますが、単体で利用すると精度の信頼性に劣る状況です。

一方、GNSSは、GPSを含むさまざまな人工衛星から情報を取得します。

それぞれの人工衛星から運ばれてきたデータをもとに、位置座標を測位。

人工衛星ごとに送られてくる時間の差を活用して、単体で測位するよりも高精度な位置座標を取得できます。

その誤差は1cm以内に収められることから、土木工事など座標管理が必要な仕事にも活用。

このように、GPS単体の精度と、GNSSで複数の衛星を活用した精度は、大きく異なるのが特徴です。

そのため、専門的な業界では、衛星測位のことをGNSSという用語で表現するようになっています。

また、国土地理院では、2011年4月からGPS測量という名称をGNSS測量へと変更。

すでに世界的にもGNSSというキーワードが浸透しつつあるのです。

GNSSで用いられる人工衛星の種類

前述したように、GPSはGNSSで利用されるひとつの要素です。

また、GPSと同じように、世界中からさまざまな人工衛星が、衛星軌道へと送られています。

続いて、GNSSの測位で利用できる衛星の種類を詳しく見ていきましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=Tiq1va8QfYA

①GPS衛星|アメリカ

前述したように、GPSはアメリカが打ち上げた世界初の人工衛星です。

最初の人工衛星が1978年2月22日に打ち上げられ、現在でも位置座標取得のために利用されています。

また、GPSの衛星は1基だけではなく、過去に50基以上の衛星が打ち上げられていることをご存じでしょうか。

時代の変化とともに、衛星の通信技術も高まっており、アメリカ空軍50宇宙航空団によりGPSが運用されています。

②GLONASS衛星|ロシア

GLONASSとは、ロシアにより打ち上げられた人工衛星です。

1976年から開発が進められ、1982年10月12日に打上げを開始。

現在までに24基の人工衛星が打ち上げられています。

当初、GLONASSの打上げは、軍事的な目的として利用されていましたが、高品質な測位ができるため、サービス提供を含めたシステムへと改良されました。

現代では、GNSSを用いて、GLONASSからも位置座標を取得できるようになっています。

③BaiDou衛星|中国

BaiDouとは、中国により打ち上げられた人工衛星です。

正式名称を「北斗衛星導航系統」と言い、2020年6月23日に合計35基の打上げが成功しました。

近年のうち、新しい人工衛星としてもメディアで紹介されており、記憶に新しい人工衛星ではないでしょうか。

現在では、グローバルサービスの構築を目的に、世界中にサービス提供を行っています。

④Galileo衛星|欧州委員会(EU)

Galileoは、欧州委員会(EU)により打ち上げられた人工衛星です。

2005年12月~2008年4月にかけて複数台の人工衛星が打上げられ、現在は22基が運用されています。

また、Galileoは、EUだけではなく、ノルウェーやスイス、インドなども参加国として加わっている共同開発の人工衛星です。

Galileoもグローバルサービスの提供を目的に、世界中で位置座標取得のために利用されています。

事例紹介|GNSSを活用することで生み出されるもの

人工衛星と受信機を活用して座標を取得するGNSSですが、どのような目的で利用されているのでしょうか。

続いて、最新技術を活用することで生み出される事例を3つご紹介します。

位置座標の取得が必須の業務を効率化できるので、今後の動向を探っていきましょう。

①人力作業の負担を軽減|測量業務の精度向上

GNSSの技術は、土木、建築などの業務で必要な「測量業務」に活用できます。

一般的な測量業務では、トータルステーションといった計測機器を用いて人力で測量するのが当たり前でした。

しかし、広範囲の測量が必要な場合に人力で作業するのは非効率的です。

一方、GNSSが登場してからは、GNSS測位ができるドローンや、受信機を用いて、時間をかけずに測量できるようになりました。

取得したデータはひとつずつ座標を持った点群データとして取得。

ただ座標を取得するだけではなく、3次元モデルなど建設業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現できます。

また、近年ではGNSSを使ってドローンを活用した写真測量や航空測量なども実施されています。

定期的に現場を飛行して撮影することで、作業状況のチェックや報告が必要な精度管理を効率的に実施可能です。

②高精度衛星測位サービス「ichimill」の登場

GNSSにより、従来のGPS取得がより高度化しています。

その影響を色濃く受けているのが、自動車や計測機器の測位システムです。

近年では、位置座標の精度を活用して、車両などの位置をリアルタイムに追跡できる「ichimill(SoftBank提供)」といったサービスが登場しています。

RTK測位を活用して、誤差数cmの測位を実施。

SoftBankが設置している基地局を活用して、安定的に位置座標の取得が可能です。

すでに農業や測量業務、運転アシストなど幅広い分野で研究が進んでおり、最新の技術を導入する企業が増えています。

また、ichimillのサービスを詳しく知りたい方は以下の記事がおすすめです。

ichimillのサービス概要はもちろん、活用事例、導入事例を学べます。

「ichimilとは?車両位置を追跡できる高精度測位サービスを紹介」[1] 

③維持管理で活用|モービルマッピングシステムの向上

測量業務や公共施設の維持管理として、モービルマッピングシステムの導入が進んでいます。

このシステムにもGNSSの機能が活用されており、自動車の移動に合わせて、リアルタイムで3次元データを取得。

点群データや画像を重ね合わせることによって、運転するだけで道路状況を詳細に把握できるようになりました。

公共施設の長寿命化はもちろん、道路状況を細かく管理できるため、土木工事の発注者や維持管理担当者の負担を軽減できるのが魅力です。

GNSSで利用できる3つの測位方法と誤差

GNSSで用いられる測位方法は、大きく分けて3項目あります。

それぞれ用いる受信機の数が異なるほか、測位により発生する誤差が異なるのが特徴です。

その中でも、業務などでよく使われている測位方法の特徴や、具体的な使用方法について見ていきましょう。

①1台の受信機で取得する「単独測位」

単独測位とは、1台の受信機を利用して、位置座標を取得する方法です。

4基以上の人工衛星からデータを受信して、具体的な位置を把握します。

受信機を1台設置してデータを取得するため、座標精度は低いのが特徴です。

主に自動車や飛行機、船舶に利用されており、電波状況によっては約10m程度の誤差が発生する場合もあります。

測位方法の中でも一般的な方法であり、スマホや自動車などが受信してる位置座標は、単独測位により取得。

たまに位置座標にズレが発生するのは、電波状況などの影響があります。

データ受信時に遮蔽物などがあると、うまく座標を取得できない場合もあるので注意が必要です。

②2台の受信機で取得する「相対測位」

相対測位とは、2台の受信機を利用して、位置座標を取得する方法です。

前述した単独測位と同様に、4基以上の人工衛星からデータを受信して位置を把握します。

相対測位を実施するメリットは、2点で座標を計測して補正できるという点にあります。

2点の観測値を測定して誤差を調整。

高い位置座標精度を取得でき、10kmあたり1cm以内の誤差まで抑えることが可能です。

誤差が小さいことから、測量業務など位置座標取得が必要な業務に活用しています。

2台の受信機で同時に位置座標を取得するため、位置座標の調整は、あらかじめ既知点などから取得しておくと効率的に座標を把握できます。

国土地理院に掲載されているマニュアルでは、誤差精度が決められているため、管理表を用いて発注者への提出が必要です。

③2つの受信機かつ4つの衛星から取得する「RTK測位」

https://www.youtube.com/watch?v=257WX_agvtg

RTK測位とは、あらかじめ取得していた基地局の座標データ、そしてGNSSの測位を行い、2つの方法で同時に位置座標を導きだす測位方法です。

観測点の受信機、基地局といった既知点に置いた受信機の2つで4つ以上の人工衛星からデータを取得。

誤差数cm以内に抑えられるため、高精度な位置座標が必要な測量業務に活用しています。

また、一般的なRTK測位とは別に、国土地理院が設置した電子基準点をもとに測位する「ネットワークRTK測位」という方法が実用化に向けて開発されています。

RTK測位を用いる際には、事前に基地局などから座標を取得しておく必要があります。

事前申請が必要な場合もあるので、国土地理院に掲載されているルールに従い実施しなければなりません。

おわりに

位置座標取得の技術向上により、近年ではGNSSという測位システムを活用する機会が増えてきました。

GNSSのシステムのひとつであるGPSはもちろん、世界中で管理されている人工衛星を活用して、小さな誤差で位置情報を把握できます。

株式会社one technology japan
株式会社One Technology Japan | ベトナムオフショア開発 | 信頼第一のONETECH

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