ImmersalがAR開発に与える影響とは?可能性について解説

ARは近年最も注目を集める最先端の視覚技術の一つですが、注目の理由は急速に発展が進む周辺技術の進化にあります。

ImmersalがAR開発に与える影響とは

フィンランド発のImmersalもまた、AR技術の発展に大きく貢献しており、最近ではその買収が話題になりました。この記事ではImmersalがもたらすAR開発への影響や、ImmersalがARでどう活躍するのかについて、解説します。

Immersalとは

Immersalは、スマホアプリを通じてユーザーが位置している空間のマッピングを行い、画像認識技術を用いてGPSによる実際の位置情報と、画像の方角をタグづけすることができる技術を開発する企業です。

基本的には開発者向けのサービス提供を推進しており、同社のAR空間把握ツールをSDKとして開発者にツールを提供し、 AR開発を下支えしてきました。

Immersalは比較的新しいツールでありながら、すでに日本国内での運用事例も登場しています。例えば株式会社MESONと博報堂DYホールディングスが取り組んだ「Project GIBSON」は、Immersalを採用した国内の代表的な事例です。

「GIBSON」のコンセプトは、「バーチャルとリアルの融合した体験を、VRとARで実装する」ことです。渋谷の一区画の3DCGを生成し、VR映像に投影することで、ARユーザーはARグラスやスマホカメラを通じて渋谷のAR空間を肌で体験することができ、VRユーザーは遠隔地から、ARユーザーと一緒に精巧に再現されたVRの渋谷をリアルタイムで共有ができるというものです。

「GIBSON」から覗く未来
「GIBSON」から覗く未来 (moguravr)

参考:https://www.moguravr.com/project-gibson/

これまで、VR空間はARとは異なり、現実世界とは切り離された空間であると考えられてきました。しかし「GIBSON」においては現場から離れた人でも現場の空気を体験できるよう、ARのマッピング情報をもとにしたVR体験をユーザーに提供し、ARユーザーとVRユーザーの共存の可能性を探っています。

Immersalはそんな「GIBSON」におけるARユーザーとVRユーザーの位置関係を同期する上で役割を果たし、多少のズレこそたまに発生するものの、おおむねほぼ同時での位置関係の維持が実現しました。

「GIBSON」から覗く未来 (moguravr)
Project GIBSON (moguravr)

Immersalの機能

Immersalのアプリユーザーはスマホカメラをかざしながら現実空間を歩き回ることで、現実空間のさまざまなシーンをキャプチャし、その画像情報からAR認識ができるマップを作成します。

ここのユーザーが作成した画像マップは、他のユーザーのマップとともに統合され、巨大なマップを生成する際のデータとして活躍します。

Start building AR experiences today
Start building AR experiences today with Immersal

グローバルに共有された座標を用い、ARオブジェクトとナビゲーションデータを重ね合わせたARマップを作成するので、従来のGPS情報単体よりもはるかに精度の高い位置情報を特定したり、高精度で同期ズレの少ないマッピングが実現可能です。

https://youtu.be/M62Bb3MlPos

上記の動画では、フィンランドのヘルシンキをImmersalを使ってARマップ化しています。ヘルシンキ市内のランドマークにはARを使った広告表示が行われ、街中にはテキストオーバーレイと矢印を使った街案内情報が表示されるなど、多くの人が望んでいたようなAR活用が実現している様子がわかります。

街中で正確にARオブジェクトを表示し、街の案内情報や広告を邪魔にならないよう展開するためには、アプリそのものが極めて正確に都市空間を捉えている必要があります。ImmersalによるAR空間生成技術が普及すれば、このような実用性の高いAR活用も容易に行えるようになるでしょう。

Immersalの活躍が期待できるシーン

Immersalの活躍が期待できるシーンは多岐にわたります。例えば以下の動画では、Immersalを採用したARを映画館に適用した例が紹介されています。

動画内で紹介されている仕掛けは、映画館というエンターテイメント空間の価値を最大限高めるためのコンテンツとなっています。映画館のドリンクにちなんだARゲームや、ARで表示されるデジタルポスター、ユーザーごとに異なるアニメーションなど、多様な展開が想定されています。

https://youtu.be/h3XCgbu7PcM

また、ユーザーの映画館チケット情報を参考にしたナビゲーションの表示など、エンターテイメント性だけでなく、実用性の面でも確かな効果が期待できます。劇場案内員がいなくとも、観客は迷うことなく観たい映画のスクリーンまで案内してもらえるので、現場の人件費削減や混雑の解消に役立ちます。

現実世界に忠実かつ正確なAR技術が開発されることで、日々のライフスタイルに大きな改善効果がもたらされることが期待できます。

Immersalの買収について

このように、Immersalが提供している技術はいずれもユーザーはもちろん、開発者にとっても豊かな未来をもたらすものですが、2021年7月、同社はスウェーデンに拠点を構える測定サービス大手ヘキサゴンによる買収が発表されました。

ヘキサゴン社は産業向けの測定用ハードウェア、およびソフトウェアを提供する測定器業界では最大手のIT企業で、3D測定技術を持つ企業の買収をこれまでも行ってきました。

同社は産業向けのAR活用や視覚技術の更なる発展を促すための買収としており、ARを使った同社のサービスをより優れたものへ高めることを期待しています。

参考:https://www.moguravr.com/hexagon-ab-immersal-acquisition/

Immersalはより大きなIT企業に買収された形になりましたが、Immersalの組織そのものが解体されることではないことも発表されています。Immersalはヘキサゴン社の子会社として今後もチームが存続し、開発者向けの無料ライセンスを含め、全てのサービスは今後とも変わらず提供されるとしています。

また、今回の買収によって新たに生まれたリソースを生かし、R&Dやマーケティング、カスタマーサポートを拡充する予定であることも伝えられています。

AR関連企業の買収は珍しいことではなく、さまざまなARベンチャーがお互いに統合したり、より大きな企業に買収されたりといった動きが各地で見られます。ImmersalもまたそのようなAR市場におけるダイナミックな変化に対応していったと考えられ、サービスが消滅してしまうというよりも、買収を通じてより大きな影響を今後社会に与えてくれるようになるかもしれません。

ImmersalがAR開発に与える影響

ImmersalによるAR技術の提供は、世界各国の研究機関や企業におけるAR開発はもちろん、日本の研究者や企業への影響も今後大きくなることが予想できます。

すでに個人レベルでのImmersal運用の試行錯誤も進み、インターネットを介した情報共有が進んでいます。

Immersal-Use-Case-Industrial
Immersal Use Case Industrial ( Immersal )

精度の高いARマップの全国的な普及に期待

日本は小さな島国ですが、広く通信網やその他インフラが行き渡っており、デジタル化に適した環境が整っています。東京以外の都市部においても高い水準の都市と人口を備え、ARマッピングの価値の高い地域が広がっています。

ユーザー経由でマッピングを行うImmersalのアプリが全国で用いられるようになれば、極めて高い精度のAR空間を日本でも形成することができるでしょう。

精度の高いAR空間を早期から形成できれば、世界に先立って日本のAR開発が進み、世界各国から最新のARサービスなどがもたらされる可能性も高まります。

ARはインターネットやARゴーグル、スマホなど、周辺環境に大きく左右される技術でもあるため、ARインフラが整えばそれだけARサービスの開発スピードも早くなっていくでしょう。

VPSなどの技術との連携にも注目

ARマップを高精度で生成する技術は、Immersalの開発キットだけではありません。近年注目されているのがVPS(Visual Positioning System)と呼ばれる技術で、現実世界の特定の場所や地域において極めて精度の高いARマップを提供し、遠近感や現実世界のオブジェクトを正確に反映したAR体験を提供します。

スマホカメラで捉えた映像をもとに空間や現在地を把握する技術がVPSで、現在地だけでなく、その方角までも特定できることから、ユーザーの位置情報に適したARサービスの提供にも対応します。

GPSで発生していた数メートルの誤差を、わずか数十センチにまで縮められることから、VPSのポテンシャルには世界中の開発者が注目しています。

そんなVPSとImmersalの連携が実現すれば、より精度に優れるAR体験の提供につながるでしょう。

 Immersal Use Case Public Spaces ( Immersal )
Immersal Use Case Public Spaces ( Immersal )

まとめ

Immersalが提供している画像をもとにしたARマッピングは、商業施設や街中に至るまで、あらゆるシチュエーションでのAR体験を期待できる技術です。エンターテイメントとしてはもちろん、実用性も兼ねたARの本格的な運用を支えてくれるとされ、世界中で研究が進んでいます。

現在は別会社に買収されたImmersalですが、今後もサービスは継続して提供されるとともに、リソースを生かしたより便利なサービスの提供も予定されています。国内での運用事例も登場しつつあり、日本のユーザーからも注目度の高い技術を提供しています。

■XR開発に特化したベトナムオフショア開発企業 ONETECH

ONETECHは、XRに特化した開発会社です。
VR/AR
コンテンツ開発を始めさまざまなシステム開発アプリ開発ソフトウェア開発をベトナム オフショアで開発しています。ベトナムのXRトップ企業として紹介されています。

2015年の創業から上場企業からスタートアップ企業までお客様100社以上の300以上のプロジェクトに関わってきた豊富な開発実績があります。

ONETECHはUNITYAR/VRアプリの開発
AR/VR/MR
開発は2015年より取り組んでおります。UNITYの技術者育成に力を入れて取り組んでいます。

VR開発:ベトナムでのVR開発分野において最も開発実績のある企業の一つとなっています。


AR開発ARkitARcoreなどを利用して多数のアプリ開発、Babylon.js8thWallなどでのWebAR開発実績がございます。


UNITY開発ONETECHUNITYを利用し様々なVR開発AR開発、アプリ開発をしています。HoloLens/Oculus/HTC VIVE/Pico/Nreal Lightなど最新のデバイスも取り揃えています。


ホロレンズ開発:ベトナムで最も多くのHoloLens開発実績のある企業の一社です。

WEBXR開発WEBXRは、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)および混合現実(MR)をWebブラウザで利用するための技術スタンダードです。ユーザーは、特別なアプリをダウンロードすることなく、多様なデバイスで豊かな3Dコンテンツを体験できます。

CG制作:製品やゲームのアセット、業務用の映像などの3DCGコンテンツの3DCG制作(モデリング・アニメーション・レンダリング)をエンジニアと連携しながらワンストップで受けることが可能です。

株式会社one technology japan
株式会社One Technology Japan | ベトナムオフショア開発 | 信頼第一のONETECH

WebxRを実現するためには、UnityをWebGLに変換して実現することも可能です。またA-frame、Three.js、Babylon.jsなどのwebxRフレームワークの利用もONETECHでは実績があります。下記のブログではWebxRの紹介をしています。

【比較】WEBXRフレームワーク 今回ご紹介したImmersalも研究開発でwebxRの研究をしております。ご興味のある方は是非ご相談ください。

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