今ではすっかり馴染みのある先端テクノロジーとして注目されているAR(Augmented Reality、拡張現実)ですが、ここ数年の人気の高まりは目を見張るものがあります。そもそもARはいつから存在し、どのように普及していったのかについて、見ていきましょう。
AR技術の始まり
ARは最近になって登場した新しいテクノロジーと思われることも多いのですが、その歴史は100年以上に渡ります。
構想は1900年代に登場
拡張現実と同じ構想が練られたのは、確認できるものでも1901年にまで遡ることができます。
この年、劇作家のライマン・フランク・ボームが「キャラクター・マーカー」と呼ばれるデバイスを考案しており、今のARに近いアイデアが採用されていました。
60年代から活発化した技術開発
ARの技術開発が進んだのは、それから半世紀以上先の60年代でした。ARが初めて技術的に実現したのは、1968年にアメリカの科学者であるアイバン・サザランドが開発したモデルと言われています。
頭に直接装着して使用する、ヘッドマウントディスプレイ方式を用いたサザランド氏のARゴーグルでしたが、現代のそれとは異なりまだまだ本体が大きく、実用化には程遠い代物だったのです。
しかし90年代以降からは軍事シミュレーションにもARが採用されるなど、コンピューターの普及とともにARの開発および登場機会も増えていきます。2000年代以降はその活用方法について、多くの研究や、ビジネス化が進められていきました。
スマホで広がったARの可能性
ARという技術そのものは存在していたものの、どのように実用化していくかに悩んでいた2000年代後半、流れを変えたのがスマホの登場でした。
「セカイカメラ」の爆発的な流行
携帯電話機能からインターネット利用、そしてカメラ撮影に至るまで、様々な役割を果たせるスマホですが、転機となったのはARアプリの登場です。
2009年当時、話題となったのが「セカイカメラ」と呼ばれるアプリでした。位置情報とカメラの映像をリンクさせ、ARで街のスポット情報を映像にリアルタイムで表示するという設計は、とても斬新なアイデアでした。
SNSのようなコミュニケーションが可能で、レビューシステムも搭載したことで、初めてARアプリの中でも実用性の高いアプリとして評判をよんだのです。
ウェアラブルデバイスの開発も進む
また、同時期から直接デバイスを身体に身につけ、コンピューターを利用するウェアラブルデバイスの開発も進みました。
中でもGoogleが構想していた「Google Glass」はその実用性の高さから大いに注目され、サードパーティのARアプリ開発も急激に進められたのです。
また、各社で独自のARアプリを開発するだけでなく、少しでも多くの人がARに触れられるようにということで、AR開発キットの流通も進みました。
2010年代前後は、ハード・ソフトの両面で飛躍的な進歩を遂げた時代でもありました。
ゲームで変わったARの潮流
技術的な成熟が進んだAR業界ですが、ついにキャズムを超えることになったきっかけが、ARゲームの世界的な流行です。
『Pokemon GO』の記録的な大ヒット
ARゲームブームの火付け役となったのが、Nianticが開発した『Pokemon GO』です。2016年にリリースされた今作は、スマホを周囲にかざすだけでポケモンが現れ、彼らを自由に捕まえられるということで、驚異的なブームを巻き起こしました。
アメリカではサービス開始一週間で6,500万人のユーザーを獲得し、世界全体でも2ヶ月で5億回のダウンロードを達成するなど、数々の記録を打ち立てたのです。
これ以降、人々の間でARという技術は広く一般的になり、ゲームに限らず様々な分野でARツールが活躍する機会も増えていくこととなりました。
現在も無数のARゲームが登場
『Pokemon GO』以外にも、すでに多くのIPがAR化を遂げていることはもちろんのこと、新しい遊びの模索も進んでいます。
例えばポケモン同様に世界的な人気を誇る「マインクラフト」シリーズもAR化を果たし、『Minecraft Earth』として親しまれています。
ドラゴンクエストも位置情報を利用したARゲーム「ドラゴンクエストウォーク」が販売されており、今なお人気の高い作品です。
もちろん有名IPだけでなく、完全新規のARゲームも日々開発が進んでいます。現実空間とバーチャルの融合の可能性はまだまだ底知れない部分もあり、今後さらなる話題作が展開されることにも期待できます。
スマホとスマホゲームを通じて、ARは一躍一般的な技術として親しまれるようになったのでした。
おわりに
ARの歴史は遡ると1世紀も昔の話となりますが、ここ数年の進化はこれまでにない飛躍が見られた時期でもありました。
今後も開発は活発に進められ、私たちを驚かせてくれる技術として昇華するでしょう。
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