今回は、起業家精神inベトナム第4弾!ということで、HBBSolutionsの代表/AI研究者Baoさんにお会いしてきました。
当初はBaoさんに会い、AIについて議論をするためにHBBSolutionsへ行く予定だったのですが、Baoさんが会社の代表者であると知り、会社についても少しお伺いしてきました。しかし内容的には、AIの話が中心になっています!
AIは今現在最もパワフルで盛り上がりのある技術で、AIを制するものが、今後の世界を制するとまで言われています。そして同時に非常にリスクが伴う技術でもあります。実際にAIについて研究しておられる方の意見を聞けることは、AIに対する理解につながりました。それではどうぞ!
ーまずはHBBSolutionsについて説明お願いします。
HBBSolutionはAIディープラーニング、MR( 機械学習)、ビッグデータ事業を取り扱っています。また、ブロックチェーンや分散化についても研究しています。顧客のほとんどがアメリカ市場やベトナム市場、ベトナム政府です。
ーAIは本当に将来性があり面白い分野です。AI事業の例を話していただけますか?
AIの一つの特徴が顔認識です。例えばカスタマーであるUBERやGrabはサービスを提供する前にドライバーに顔認識を実施し安全性を確保しています。他にも会社への出入りなどにも使われています。警察は1秒で市民の情報をチェックすることができます。
他の例としては声認識です。人々は機械に話しかけるだけで正しい情報を得ることができます。不動産分野では、カスタマーは”〇〇への行き方を教えて”というだけで機械はmapでその場所を示してくれます。曲判別にも使われます。人々はAIに曲を聴かせるだけでその曲の名前や歌詞を調べることができます。
ーベトナム市場のAI競争についてはどう思われますか?
私の意見ですが、AIはベトナムだけではなく、世界中で注目されていますね。ヨーロッパやアメリカや日本では既に発展しています。それら(最先端技術で先を越されていることが)がベトナムが未だに新興国である要因であると思います。
一方で私たちは、ベトナム人の若者は非常に数学が得意であると言えます。もちろんベトナム人だけではありませんが(笑)
私はヨーロッパやアメリカや日本で勉強したことがあるベトナム人なので言うことができますが、私たちは数学単体で見ると世界の中でも自信を持つことができると思います。AIは数学を使います、これはベトナム人がAI分野において非常に優れていることを意味します。しかし私たちには大きな野心がありません。アウトソーシングなどで、ただ指示に従うだけです。自分の意思がありません。もし仮にベトナムがサムスンやトヨタのような大きな会社を持っていたとしても、アウトソーシングにフォーカスをしているでしょう。なので、将来を考えてみても、この状況はそう簡単には変わらないのではないかと思います。
ーでもたくさんのベトナム人が海外に出て学んでいますよね?
でも彼らは帰ってこないんですよ(笑)ほんの一部だけです。例えば、日本や韓国も成長期に多くの人々がアメリカや海外へ行き、学びましたよね。そして彼らは帰国し素晴らしい文化を築き上げた。しかしベトナム人は帰ってこない。これが問題ですね(笑)
ー二種類のタイプのエンジニアがいますよね。技術をビジネスに応用できるタイプとできないタイプ。アメリカや日本は前者が多いですがベトナムは後者が多いなと感じました。
まさにその通りです。ただし、エンジニアリングは本当に上手なのです。しかし私たちは理解していないのです”なぜ今私たちがこれをしているのか”
これは教育システムから来ていると思います。なぜなら私たちの教育は、ただやるだけです。なぜこれをやらなければいけないのかと尋ねないし教えないのです。10年20年はこの状況は変わらないと思います。
ベトナムには本当にたくさんのスタートアップがあります。しかし彼らが何年も生き残っているのを見ることは非常に困難です。生き残れないのです。
ー確かに多くの成功している方は、育ちがベトナム国外というケースが多いですね。しかし、その中でも彼らは変わろうとしています。例えば僕の仕事仲間で友人である男性は、変わろう、自分の意見を恐れずに言おうと努力しています。
ベトナム人は例えそれが間違っていると心の中で思っていても、黙っていますからね。非常に大きな問題です。
ーベトナム人がAIについてどう考えているのか非常に興味があります。例えば、私たち日本人のイメージで人工知能といえばロボット、すなわちドラえもんやアトムなど、とても可愛くて愛らしく、人々のためにその知識や能力を使います。だから日本人はAIについては非常に楽観的であると言えます。
私の意見ですが、一般的にはベトナム人はAIを、ビジネスチャンスであると認識しながらも、やはりAIについて学んでいると良いお給料がもらえると思っていますね(笑)
ーBaoさん自身はどう思われますか?
イーロンマスク氏が、AIのレギュレーター必要性について訴えていますが、私も必要であると思います。Facebookが最近実験をストップしたことが話題になりましたよね。AIが独自の言語を作った事件です。Facebookは非常に心配になりプロジェクトをストップしました。
それはもし私たちが規制も何もしなかったら、私たちはこの問題を深刻に捉えない、深く考えないということを意味します。
ー私はイーロンマスク氏はシンギュラリティなどについて心配しすぎていると思います。ここに来る前に何冊かAIについての本を読みましたが、AIは確か今までに3回人々の期待が今のように高い時期がありました。しかし3回ともいわゆる失敗、人々の期待値を下回っているわけです。
とりわけ今回のシーズンでは、MR(機械学習)が開発され、シンギュラリティへの期待が高いですが、それははるか先の話であると思います。
なぜ、2人の天才の意見(ザッカーバーグ氏とイーロン氏)の意見はこうまですれ違っているのですか?
私は彼らが嘘をついているのではないかと思います。彼らは非常に大きな会社、AIコミュニティを所有しています。彼らはAIがどこからやって来たのか、どこへ行くのかを理解しています。彼らは未来を恐れています。なので規制やルール作りを推奨しています。私たちは彼らに比べるとビギナーです。彼らの会社にはたくさんの非常に優秀なAIエンジニアがたくさんいます。
私は、もし規制も何もしないのであれば未来は非常に危険な、映画のようにさえなる危険性があるのではと思います。Facebookの例は非常にわかりやすいです。ロボットたちは自分たちで自分たちを開発しました。彼ら自身でコミュニケーションをとりました。私たちは彼らが何を話していたのか理解できないのです。
ーもし危なくなったらプラグを抜いたらおしまいですよね?
ですが何を話してたのですか?誰もどうやって彼らがそれを作り出したのか理解できないわけです。何が起こっていたのかわからない。だから規制は非常に重要なのです。
ーアメリカはおそらく、そういった事態が起こるより、テロリスト等が利用することを恐れていますよね。もしテロリストがAIを戦争に使い出したら、彼らの戦力はアメリカやロシア、中国に匹敵するかもしれません。
そうですね。そしてさらに進んだら、テロリストはAIかもしれません。AIが私たちのテロリストなのです。
ーターミネーターみたいですね。BaoさんはAIの未来を恐れていますか?
もちろん。
これは研究者の間でも意見が分かれています、今はただの「もの」ですから。
もし規制をしっかり作っておけば、AIは良いものになっていくでしょう。そうでなければ、手がつけられません。
ー話が会社に戻りますが、この会社のAI開発者はベトナム人ですか?
そうです。見つけるのが非常に困難です(笑) インタビューをして何人かを見つけて、一緒に働くためにトレーニングします。
ーBBCSolutionsはオフィスが3つありますね。
はい。しかし2つはほとんどオフィスだけです。顧客の意見を聞くためにあります。近いうちにハノイ進出も考えています。
最初の話になりますが、ホーチミンはAIの競争が比較的にゆるいです。アメリカと比べると特に。それがここに来た理由の一つですね(笑)ビジネスを始めるのにとてもいいフィールドでした。競合他社の心配をあまりしなくてもいいです。ですが、AIプロジェクトを一緒にしてくれる人を探すのに苦労しました。たくさんの人にインタビューしましたが、AIの経験はないと。
ですので将来、AIトレーニングセンターを作りたいです。自分たちの人材を育成できますし、コミュニティーにもつながります。大学教授なども招いてトレーニングしたいですね。
-本日はどうもありがとうございました!
9/12 ホーチミンHBBSolutionsオフィスにて
Baoさんは非常に知的な方で、はじめにお会いした時からそういったことが伝わってきました。
AIディープラーニング、機械学習などについてはやはり研究者の間でも意見が割れている非常に複雑な技術であるという認識がさらに強まりました。
個人的には、イーロン氏とザッカーバーグ氏が嘘をついているのではないかという推測が非常に興味深かったです。いずれにしても遅かれ早かれ、私たちは将来的にAIと共存していかなければなりません。私は、AIが人々の暮らしをさらによくする最良のテクノロジーであると信じています。と同時に悪用されないためにも規制は非常に大切であると感じました。
HBBSolutionsはベトナムだけではなく世界のAI会社になるために、これからもAI開発を拡大していくそうです!
HBBSolutionsのホームページはこちらです!
では本日は、HBBSolutionsのBaoさんにお話をお伺いしました!