建設業界における施工管理のテクノロジーは、日々進歩しています。BIMを用いた設計や施工など、様々な技術が導入されていますが、これらの運用を手伝う役目を果たすのが、「BIM Collaborate」です。
BIM360から名前が変わったこちらのサービスは、BIM運用のサポートはもちろん、施工管理の業務効率化に役立ってくれます。
今回はBIM Collaborateの強みについて、いくつかのポイントをご紹介します。
施工管理における業務上の課題
BIM Collaborateが登場した背景として、これまでに施工管理業務においてはいくつかの課題が山積していたことが挙げられます。
特に近年は効率化の必要性が高まっており、これらの課題の解決が急がれています。
複雑な情報共有
例えば、施工管理現場における情報共有のプロセスです。現場に図面を持ち込む場合、従来の方法では紙で行うのが一般的でした。
しかしこの方法では図面を印刷後に修正の必要が生じた場合、修正前のデータで施工に取りかかってしまうことにもなりかねず、業務にミスが発生する原因となります。
また、デジタルデータで図面を共有する場合においても、同様のリスクが残ります。メールなどで送信したデータも、修正が後から発生した場合には修正前のデータを活用してしまうことになるため、紙面と同じ問題を抱えています。
労働人口の減少
最近では建設会社のオフィスだけでなく、施工現場においてもICTを活用しようという動きが活発になっています。というのも、施工に従事できる労働人口の減少が顕著になってきており、少ない人の数で最大限のパフォーマンスを発揮することを求められるようになっているためです。
施工に従事する人間だけでなく、現場を監督する立場の人間も同様です。従来は一つの現場に一人配置できていたのが、一人での複数の現場をマネジメントする必要も生まれつつあるため、情報を管理するのが複雑になってきています。
業務量が増えると、作業においてエラーや遅れが発生する可能性も高まります。こう言ったパフォーマンスの低下を防ぐための施策も課題です。
BIM Collaborateの強み
このような業務上の課題を解消するために導入を推奨しているのが、BIM Collaborateです。実際の導入効果について確認しましょう。
クラウドベースでどこでも作業可能
まず、BIM Collaborateはクラウドベースで活用できるプラットフォームである点が、最大の魅力です。
クラウドを介してBIMデータや図面はリアルタイムでやり取りができるため、インターネットさえあれば誰でも利用可能です。
メールでのコミュニケーションとは異なり、アクセス権限のあるユーザーなら誰でも利用できるため、共有漏れが生まれてしまう心配もありません。
また、現場でも閲覧ができるよう、タブレットやスマホからでもクラウドにアクセスが可能なので、わざわざPCを設置する必要もないのが嬉しいところです。
リアルタイムで編集と共有を実現
クラウドを介して情報共有できるのはもちろんのこと、クラウド上でアップロードしたデータをそのまま編集できるのも特徴です。
通常、共有するデータはアップロード前に編集し、受け取ってもらうものですが、修正が発生した場合は再度別のデータを共有する必要が生まれます。
しかし、BIM Collaborateの場合はクラウド上にアップしたデータをそのまま編集し、同一のデータで共有が可能です。
これまでいくつもの修正データが生まれていたことに悩まされていた場合、大きな改善効果が見込めそうです。
チームのワークフロー改善
BIM Collaborateは共同作業も可能ですが、チーム内のコミュニケーションを円滑にしてくれる機能にも優れます。
簡単操作で送信できるフィードバック機能や、ツールを用いたコミュニケーションなど、豊富な機能を有しています。
リアルタイムで図面を共同で作成し、オンラインで従来よりもはるかにスケジュールを短縮するといった効果も期待できます。
これまで複数のソフトやツールを使ったり、対面での時間を割いてこれらの業務を遂行していた場合には、大きな業務効率化を促進できるでしょう。
その他のAutodesk製品とのコラボレーションにも活躍
BIM CollaborateはAutodeskが提供するプラットフォームということで、他のAutodesk製品との相性にも優れています。
BIM運用やシステムの一心を考えている場合には、これらのサービスと併用するのも良いでしょう。
おわりに
BIM Collaborateは、クラウドを用いて施工管理に伴う業務の効率化を大きく促進してくれるプラットフォームです。活躍の機会は幅広く、様々な課題の解決に役立てることができるはずです。
他のAutodesk製品の導入を検討している、あるいはすでに導入しているという場合には、合わせての運用を検討したいプラットフォームとなっています。
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