SAP製品を導入する際、運用されているのがABAPと呼ばれるプログラミング言語です。SAPを導入する際には欠かせない言語ということで、近年はABAPを使えるエンジニアへの注目も高まり、新たにエンジニアを志す人には是非扱えるようになっておくことがお勧めできます。ABAPの特徴や、運用の基礎知識についてご紹介していきます。
ABAPとは
ABAPはAdvanced Business Application Programmingの略称で、SAP製品の開発、
および構成に用いられる言語です。
SAP開発に特化した言語
ABAPはSAP社が独自に開発した言語となっており、実際にSAPを導入する際、機能拡張や導入企業独自の機能を付与する際にも用いられます。
SAP製品に特化した言語であるため、一般的なプログラミング教室やカリキュラムの中で触れられるケースは少ないのですが、SAP製品を扱うには欠かせません。
C言語やJavaなどに比べれば汎用性は低いものの、SAP製品の人気が高まっており、今後も様々なサービスの活躍が期待されることから、決して取得が無駄になることはありません。
実は初心者でも学びやすい
ABAPはSAP製品以外での活躍の場がない一方、実は学びやすさに関してはそこまで難易度の高いものではありません。
ABAPはJavaなどのポピュラーなプログラミング言語と同様、オブジェクト指向言語となっているため、すでにプログラミングに触れたことのある人であれば、十分に理解できる内容となっています。
ただ、ABAPしかプログラミングができないというケースはかえって不便なので、Pythonなど他のポピュラーな言語と並行して学習を進めていくと良いでしょう。
なぜABAPは注目されているのか
次に、ABAPがなぜ今になって注目されているのかについて、その理由を見ていきましょう。
SAP導入が増加傾向に
ABAPの需要が急増しているのは、SAP製品の導入を2025年までに完了したいという、駆け込み需要がヒートアップしていることに原因があります。
2025年以降、従来のシステムを使用し続けることで膨大な負担が発生するという試算が経済産業省から発表されたことで、これまでシステム刷新に興味のなかった企業も、積極的にSAP導入を実施するようになっているのです。
企業のシステムは、セキュリティやソフトウェアのサポート対応、ソフトの互換性の観点から、定期的に刷新するのが良いと言われています。
2025年という節目をきっかけに、SAPの運用はますます進展し、ABAPを扱えるエンジニアの需要も一段と高まると考えられます。
ABAPエンジニアの希少性が高い
そんな需要の急騰とは裏腹に、ABAPを扱えるエンジニアは現状まだまだ数が少ないとされています。
前述の通り、ABAPはSAP専門のプログラミング言語であるため、汎用性の面では劣っており、学習カリキュラムもあまり整備されていません。
そのためABAPを扱えるようになろうというエンジニアの数も少ないので、ABAPエンジニアは慢性的な不足状態にあります。
逆を言うと、ABAPエンジニアの需要は非常に大きく、高い給料を期待することができる点は魅力的です。
ABAPの主なプログラム
ABAPの運用において、その基礎となるのが3つのプログラムです。それぞれの特徴を理解し、これらをマスターしておけば、ABAPエンジニアとしては十分の活躍が期待できます。
レポート
ABAPのプログラムとして最も基本的なのが、レポートです。レポートプログラムは、主にデータを出力することを目的としており、データ照会や取得、一覧表示の機能に用いられます。
会計業務から人事管理まで、幅広く用いられる機能となっています。
パッチインプット
パッチインプットは、ある物事をまとめて処理することができるようにするためのプログラムです。
通常、売れた商品の記入や入出金の記録は、その行為があった時点で表へ書き込みが行われます。
これはリアルタイム処理と言われるもので、システムへのデータ反映は素早いというメリットがあるものの、大量の処理を行うには不適な手法です。
一方でパッチ処理と呼ばれるアプローチでは、一つ一つ書き込みを進めるのではなく、何百・何千という処理をまとめて行うことができるようにしてくれます。
パッチインプットは、そんなパッチ処理を実現してくれるプログラムとなっています。
Dynpro
Dynamic programmingの略称であるDynpro(ディンプロ)は、ユーザー入力に合わせた画面の処理を行うためのプログラムです。
検索窓に紹介したいデータを入力し、「結果表示」のコマンドを入力することで、画面には検索結果が一覧で表示される仕組みは、Dynproによって構成されています。
いわゆる対話型の画面入力と呼ばれる機能を実装するのがこのプログラムですが、開発機会は上記二つに比べて少ない一方、その難易度は高いというのが特徴です。
おわりに
SAP導入の人気に合わせて、ABAP言語への注目も集まってきています。
主要なプログラミングのアプローチさえ抑えておけばエンジニアとしての道も十分に用意されているため、是非抑えておきたいスキルと言えるでしょう。