VR(拡張現実)は様々な業界で活躍していますが、今国内外で大きな注目を集めているのが、教育分野です。現実で実践的に教えるのが難しかったり、環境を再現するのが難しく、座学に終わってしまうような指導要領も、VRによって体感的な経験を得られるようになります。今回は実際に活躍している、教育現場で活躍するVR技術について、ご紹介します。
中央大学
中央大学では、VR英語教育プラットフォームを利用した実証授業が開始しています。
![VR英語教育プラットフォームを利用した実証授業が中央大学で実施](https://onetech.jp/wp-content/uploads/2021/04/VR%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E6%95%99%E8%82%B2%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%92%E5%88%A9%E7%94%A8%E3%81%97%E3%81%9F%E5%AE%9F%E8%A8%BC%E6%8E%88%E6%A5%AD%E3%81%8C%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%81%A7%E5%AE%9F%E6%96%BD.jpg)
VR英語教育プラットフォームを利用した実証授業が中央大学で実施 (出典元:digital-shift.jp)
参考:DIGITAL SHIFT TIMES「VR英語教育プラットフォームを利用した実証授業が中央大学で実施」
こちらの取り組みでは、英語教育プラットフォームの「immerse」を用いた授業を促進しています。immerseは実際に英語を使用する場面をVRで再現し、旅先やビジネスシーンで活躍する英会話のノウハウを体感で身につけられる教育を提供するサービスです。
数十種類の現実に近い英語利用シーン仮想的に体験できるため、留学先や旅行先で頻繁に体験する現場においても、スムーズにコミュニケーションが取れるよう学習者をサポートしてくれます。
今回の中央大学における取り組みでは、VRを使った英語教育によって得られる定量的な学習効果を測定した他、バーチャルでの語学学習によってもたらされた英会話における心理的負担の軽減が、英語学習にどう影響したかなどを測定しています。
また、定量的な検証を確認するために行ったTOEIC Speaking Testの結果を確認すると、英語コミュニケーション能力については半数の学生の能力が上昇した可能性が高いと確認されました。
英語能力だけでなく、会話に欠かせないロジカルシンキングや、課題解決能力の向上が見られたケースもあり、今後もその効果についての検証が求められるところです。
角川ドワンゴ学園
学校法人角川ドワンゴ学園のN高等学校、およびS高等学校では、2021年春から学習にVR機器を併用する「普通科プレミアム」コースを新設します。
![「VR学習」で激変するリモート教育の最前線](https://onetech.jp/wp-content/uploads/2021/04/%EF%BD%A2VR%E5%AD%A6%E7%BF%92%EF%BD%A3%E3%81%A7%E6%BF%80%E5%A4%89%E3%81%99%E3%82%8B%E3%83%AA%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%88%E6%95%99%E8%82%B2%E3%81%AE%E6%9C%80%E5%89%8D%E7%B7%9A.jpg)
「VR学習」で激変するリモート教育の最前線 (出典元:businessinsider.jp)
参考:BUSINESS INSIDER「VR学習」で激変するリモート教育の最前線…体験レポート【角川ドワンゴ学園「N高・S高」】」
普通科プレミアムを選んだ生徒には、フェイスブックが提供する最新VR機器「Oculus Quest 2」が貸与され、日々の授業にVRを組み込んだ形で学習を進められます。
通信制の学校ではオンラインでの座学など、リモート環境での教育に力を入れている反面、普通科の学校で得られる体験型の授業による効果を得づらいのが課題とされています。
VRを導入したことで、仮想空間におけるリアルな体験が得られるようになり、自宅からでも五感を刺激する、魅力的な授業で生徒の興味関心につながる経験を提供できると考えられます。
アメリカの金融教育
アメリカの学校において、現在大きな注目を集めているのがVRを使った金融教育です。お金に関するリテラシーを学び、実践的にそのやりとりを体験できるVRは、あまりお金に触れる機会のない子供達にも気軽に金融の仕組みを経験できるとして、注目を集めています。
例えばメリーランド州ランハムの学校で行われたのは、VRを使った旅行型の企画です。仮想現実上の歴史的名所に旅行するため、まずは行きたい場所について調べて、計画と予算を立てて旅費を支払うというものです。
また、テキサス州デイトンの学校では、生徒が授業に出席したり宿題を終えたりすると、架空の銀行口座にお金が振り込まれる仕組みを採用しました。そのお金を使ってロケットや惑星探査機を組み立てる部品を購入し、最終的には「火星旅行」へ出かけられるという仕組みです。
参考:ロイター通信「コラム:米で体験型の金融教育に脚光、VR型企画が人気」
金融リテラシーについての学習は、経済格差を是正する上でも大いに役に立ちます。特に低所得者層における金融教育の浸透は進んでおらず、こういった世帯の子供たちにも適切なお金の使い方や向き合い方を指導することで、実践的なノウハウを身につけられることが期待されています。
Osso VR
Osso VRは、外科手術や医療機器の訓練にVRを活用するというものです。高度な医療技術は座学や模型を使った研修で基本的なスキルは身につけるものの、実践的な技術や経験は、現場でしか得ることはできないものです。
そこで、医療の教育現場でもVRを使って実践さながらの訓練が進んでいます。
いつでも好きなだけ受けられるよう環境を整えることで、現場経験が浅くとも優れたスキルを持った医師の育成に役立てられるというわけです。
Osso VRは、現在Oculus Questヘッドセットを使用したカリキュラムを提供しており、20カ国にある20の教育病院に配備されています。2020年には約15億円もの資金調達に成功しているため、今後もさらなる普及が期待されるところです。
![外科手術や医療機器の訓練にVRを利用するOsso VR](https://onetech.jp/wp-content/uploads/2021/03/Medic-care-with-VR-AR-MR-Technology.jpg)
外科手術や医療機器の訓練にVRを利用するOsso VR (出典元:Shutterstock)
参考:Tech Crunch「外科手術や医療機器の訓練にVRを利用するOsso VRが約15億円調達」
ベトナムオフショアでのVR開発の実績
最後に弊社ONETECHのベトナムオフショアで受託開発したVR事例をご紹介します。
美容業界で活用、新人教育のためのVR動画を再生できるスマホアプリ
![VRコンテンツビューワアプリ開発](https://onetech.jp/wp-content/uploads/2020/01/VR%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%84%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AF%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AA%E9%96%8B%E7%99%BA.jpg)
VRコンテンツビューワアプリ開発
スマホ(Android/iPhone)で手軽にVR動画を楽しめる動画再生アプリを開発しました。VR動画と2D動画の両方で学べる美容業界の教育動画サービスとなります。VR動画を立体的に見る為の、VR用の再生アプリとなります。
作業現場における危険体験をVRでリアルに体感_VR安全トレーニングアプリを開発
VRヘッドマウントディスプレイのHTC VIVEを使用し、実際の現場で起こりうる事故を仮想空間内で体験 できる危険体験シミュレーター
[Oculus Quest]企業の研修コスト削減!飲食チェーン接客トレーニングVRアプリ開発
企業の研修コスト削減!Oculus Questで飲食チェーン接客トレーニングVRアプリ開発 VR(バーチャルリアリティ:仮想現実)コンテンツとVRアプリ開発を行いました。 新人やアルバイトの従業員がOculus QuestのHMDを装着して 飲食店にお客様が来客してからお会計までのトレーニングのシミュレーションができます。
おわりに
VRの教育現場におけるポテンシャルはめざましく、すでに実証実験を重ねて高い効果を発揮しているサービスも登場しています。
今後、VR機器がより安価で高性能になっていけば、ますます多くの期間や組織で教育用のVRが普及していくことになるでしょう。