人工知能開発において、重要なのが効率的なデータのインプットです。
優れたAIを構築するためには、膨大な量の情報を読み込ませる必要がありますが、それを効率的に行うことを実現するのがMNISTデータです。
今回はMNISTデータの概要や、なぜ多くのAI開発の現場で重宝されているのかについて、ご紹介していきます。
MINISTデータとは
MNIST(エムニスト)データは、人工知能学習者向けに無料で配布されている、機械学習に特化したデータセットです。
機械学習に最適なデータセット
優れた人工知能の開発に欠かせないのが、機械学習による経験値の獲得です。
優れた精度のAI開発においては、とにかく大量のデータをインプットすることが最善とされており、そのためには研究者が自らデータを集めてこなければなりません。
人工知能を新たに開発するたびにデータを集めているようでは、研究に膨大な時間を要しますし、何より人工知能開発を盛り上げていくことができません。
そこでMNISTの登場です。これは無料でインターネット上に公開されているAI向けのデータセットで、誰でも簡単に機械学習を行うことができるようになります。
MINISTデータの中身
MNISTに含まれているデータの中身は、至ってシンプルです。
手書きの数字の画像が6万枚、テスト用の画像が1万枚含まれているセットになっており、基本的な認識能力をMNISTデータセットで賄うことができます。
人工知能学習のチュートリアルとしても利用価値があり、公教育の現場で運用する際にも活躍が期待できます。
なぜ人工知能開発にMINISTデータが有効なのか
MNISTはAIに適切なデータセットと言われていますが、そもそもAIが認識機能を高めるために必要なもの、そして効果的な学習方法はどのようなものなのでしょうか。
人工知能とディープラーニングが求めるもの
AIが人間のような判断力をうまく身につけるために重要なのが、ディープラーニングと呼ばれる学習方法です。
ディープラーニングは機械学習の一種で、インプットしたデータの特徴を独自の判断で理解できるようになり、自律的な判断能力を身につけていく手助けをします。
この際、AIがどのようにインプットしたデータを仕分けているかについては人間もその様子を伺うことはできず、AIのアルゴリズムを信用するしかありません。
そして、そのプロセスをより正確かつ迅速に実現するのが、教師あり学習と呼ばれる方法です。
これは学習データにあらかじめ正解を与えてあるデータを読み込ませるもので、ゼロベースでAIにインプットを行う際には有効な手段です。
教師あり学習を容易にするMINISTAI
MNISTは、教師あり学習をシンプルな形で実現してくれるデータセットであるというのも、AIに適していると言われる理由の一つです。
手書きの数字の画像には、それぞれラベルデータとして各数字が施されており、初めて読み込む画像でも、AIが判断できるようサポートしています。
例えば1と手書き文字で書かれた画像データには「1」の数字が割り振られ、0の画像データには「0」の情報が与えられています。
あらかじめ正解が提示されていることによって、AIの理解を促すことができ、結果的に迅速で精度の高い学習を進めていくことが実現します。
その結果、早期に高い判断力を持ったAIの開発を促すことができるというわけです。
各ライブラリでのMINISTデータ利用について
MNISTデータは、以下のサイトから自由にダウンロードすることができます。
THE MNIST DATABASE:http://yann.lecun.com/exdb/mnist/
ダウンロードを行う際は、以下の四つのファイルを漏らさず実行しましょう。
- Train-images-idx3-ubyte.gz: training set images (9912422 bytes)
- Train-labels-idx1-ubyte.gz: training set labels (28881 bytes)
- T10k-images-idx3-ubyte.gz: test set images (1648877 bytes)
- T10k-labels-idx1-ubyte.gz: test set labels (4542 bytes)
またここでは、各ライブラリにおけるMNISTデータの呼び出し方について、簡単にご紹介しておきます。
Tensorflow
Googleが開発・提供しているオープンソースライブラリのTensorflowでは、MNISTデータを使ったチュートリアルが用意されています。
以下のinput_dataを利用することで、MNISTデータを呼び出せます。
from tensorflow.examples.tutorials.mnist import input_data mnist = input_data.read_data_sets(“/tmp/mnist_data/”, one_hot=True)
ちなみに、オンライン環境に接続している場合、MNISTデータをダウンロードしていなくともインターネットからMNISTを呼び出してもらうことができます。
Keras
PythonでコーディングされたライブラリのKerasも、MNISTデータセットを提供しています。
以下を実行することで、容易にMNISTを呼び出すことが可能です。こちらも、インターネットからMNISTデータを呼び出すことができます。
from keras.datasets import mnist (x_train, y_train), (x_test, y_test) = mnist.load_data()
Chainer
ニューラルネットワークの計算と学習に強いChainerでは、以下のコードでMNISTデータを呼び出します。
ChainerでもインターネットからMNISTを呼び出せるため、ネット環境があればダウンロードは必要ありません。
import chainer train, test = chainer.datasets.get_mnist()
おわりに
MNISTデータは初歩的な人工知能学習において、頻繁に利用されているデータセットです。
多くのライブラリにおいて容易に呼び出すことができるため、積極的に活用していきましょう。