AWSの保守運用業務の内容や効果とは?業務時の注意点と合わせて解説

IT業界ではクラウド環境の導入が進み、なかでも大手ECを運営するAmazonが提供するクラウドサービス「AWS」は、世界トップのシェアを誇ります。

AWSを使ったシステム開発に取り組んでいる方のなかには、「保守や運用に必要な業務範囲が分からない」「AWSのサービスを使いどうやって保守・運用を行えば良いのか分からない」と悩む方も多いのではないでしょうか。

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今回は、AWSに必要な保守運用業務や保守運用を行う効果、業務時の注意点について解説します。

AWSは「従量課金制のクラウドサービス」

AWS(Amazon Web Services)は、アマゾンが提供するクラウドコンピューティングプラットフォームで、従量課金によって料金が発生します。

ユーザーは仮想サーバーを提供する「Amazon Elastic Compute Cloud」(EC2)や、データベース「Amazon Aurora」、ストレージ「Amazon S3」(S3)などの多くのクラウドサービスを利用し、必要に応じてリソースをスケーリング可能です。

AWSは高可用性、セキュリティ、拡張性に優れ、世界中の企業や開発者にコンピューティングリソースを提供しています。AWSは、アプリケーションのホスティング、データ分析、IoTなど幅広い用途に利用されています。

https://youtu.be/OCK8GCImWZw

AWSにおける保守運用業務とは?

従来のような物理的なサーバーを管理する場合、定期的な保守運用(アップデート、リプレイスなど)の業務が必要でした。AWSの場合、クラウドシステムのため物理サーバーの管理は必要ないものの、「責任共有モデル」を元にした保守運用が求められます。

「責任共有モデル」とは、AWS側と利用者側で持つ責任を明確に分ける考え方で、AWSはクラウドそのもののセキュリティを維持する一方、利用者はクラウド内のセキュリティを管理する必要があります。

そのため、AWSを利用する際の保守運用業務として、システムの監視や障害対応のほか、セキュリティや技術的な課題に対処するための適切な対策が必要です。

AWSの保守運用を行う3つの効果

AWSの保守運用を行う効果には、次の3つが挙げられます。

  • 自動化機能による保守運用業務の負担の軽減
  • フルマネージド型サービスによる負担の軽減
  • 監視・メール通知サービスによる負担の軽減

それぞれの点を確認し、適切なAWSの保守運用で快適なクラウドシステムを構築しましょう。

自動化機能による保守運用業務の負担の軽減

AWSのサービスを組み合わせて活用すると、保守運用業務の負担を軽減可能です。運用を自動化して業務負担を減らすことにより、次のようなメリットが期待できます。

  • 運用コストの削減
  • リソース効率の最適化

AWSにはさまざまな自動化機能があり、EBSスナップショットの定期的な作成や営業時間外には必要のないEC2の自動停止、AMIイメージの自動取得などを自動化することで、運用コストを削減可能です。

また、Auto Scaling機能を利用してEC2インスタンスを自動的に増減させることで、過剰なリソースの使用を防ぎ、コストを最適化できます。

自動化機能を使えることはAWSの利点の一つであり、オンプレミスよりも管理を簡素化させ、柔軟性の向上を実現できるでしょう。ただし、自動化の導入は計画的に行うことが欠かせません。AWSを運用してからすぐに導入するのではなく、運用が安定した段階で取り組むことで、手戻りを最小限に抑えられます。

フルマネージド型サービスによる負担の軽減

AWSは、ほぼ全てのサーバー管理を担うフルマネージド型サービスを提供しているため、ユーザーはサービスに関わる保守・運用の負担を軽減できます。

AWSはリレーショナルデータベース(Amazon Relational Database Service)

など、多くのフルマネージド型サービスを提供しており、これらのサービスでは以下の業務をAWSが担当します。

  • バックアップ管理
  • ソフトウェアパッチの適用
  • 障害検出と普及 など

利用者は、これらの面倒な作業から解放され、運用業務の負担を軽減できるでしょう。

また、フルマネージド型サービスの利用には、特定の専門知識を持つ必要はありません。AWS側でサービスを運用するため、ユーザーはサービス設定や管理に専念でき、技術的な負担を減らしてリソースを活用可能です。

運用負担の軽減だけでなく、フルマネージド型サービスはセキュリティやパフォーマンスの向上にも寄与します。AWSは、最新のセキュリティパッチやベストプラクティスを適用したサービスを運用しているため、ユーザーはセキュリティリスクを最小限に抑えつつ、運用の効率を向上させられるでしょう。

監視・メール通知サービスによる負担の軽減

AWSでは、さまざまなサービスとツールを活用し、監視とメール通知を効果的に行い、負担を軽減できます。

Amazon CloudWatchは、AWSのリソースとアプリケーションの監視や管理に役立つサービスです。Amazon Simple Notification Service (SNS) と組み合わせることで、ユーザーはアラームアクションを設定し、異常なステータスの変化などの障害が発生した際に通知を受信できます。また、CloudWatchはパフォーマンスメトリクスの収集やダッシュボードの作成にも活用でき、システムの健全性を保つのに役立ちます。

AWSインフラ構築・運用

また、AWS Command Line Interface (CLI) を活用すれば、ステータスチェックの自動化が可能です。スクリプトやタスクに組み込むことで、定期的なステータスチェックを効率的に行えます。これにより、手動での監視作業から解放され、運用効率が向上するでしょう。

さらに、AWS Healthを使うとAWS側での障害情報を提供し、障害の予兆や発生状況をAWS Health Dashboardでユーザーへ通達してくれます。運用者はシステムに対する影響を正確に把握し、適切な対策を取りやすくなります。

このように、AWSの監視とメール通知サービスを適切に活用することで、システムの監視と運用における負担を軽減し、システムの安定性と可用性を確保できます。

AWSを使ったインフラの保守運用における注意点

インフラの保守運用を行う際は、以下の点に注意しましょう。

  • AWSのベストプラクティス集を参考にする
  • AWSが担当する保守運用の範囲を確認する
  • 障害発生を想定した「Design for Failure」が推奨される

それぞれのポイントについて、解説します。

AWSのベストプラクティス集を参考にする

AWSでは、クラウドの利用におけるベストプラクティス集として、6つの要素を含めた「AWS Well-Architected Framework」を提供しています。

  • オペレーショナルエクセレンス
  • セキュリティ
  • 信頼性
  • パフォーマンス効率
  • コスト最適化
  • 持続可能性

参照:AWS Well-Architected

「Well-Architected Tool」を利用することで、AWSのフレームワークに従った設問に回答し、運用やセキュリティの課題を特定できます。ただし、一概に全てのガイドラインを遵守する必要はなく、自社のビジネスニーズとの関連性を検討し、最適なAWS環境を構築することが重要です。

AWSサポートのプランに加入すると利用できる「AWS Trusted Advisor」では、ユーザーのサービス使用状況を測定し、セキュリティ対策からコスト最適化まで幅広いアドバイスを提供してくれます。AWS Trusted Advisorの通知をチェックし、改善策を実行することで、インフラのセキュリティと効率を向上させられるでしょう。

AWSが担当する保守運用の範囲を確認する

上述のように、AWSでのセキュリティは、AWS側とユーザー側での責任範囲が明確に決められています。この仕組みと責任範囲について理解し、ユーザーは適切なセキュリティ管理を行う必要があります。

以下に、AWSの責任共有モデルにおけるユーザー側とAWS側の管理範囲をまとめましたのでご覧ください。

  セキュリティの管理範囲
ユーザー側 ・顧客データ ・プラットフォーム、アプリケーション、IDとアクセス ・オペレーティングシステム、ネットワーク、ファイアウォール構成 ・クライアント側のデータ暗号化とデータ整合性認証 ・サーバー側の暗号化 ・ネットワークトラフィック保護
AWS側 ・ソフトウェア ・コンピュート ・ストレージ ・データベース ・ネットワーキング ・ハードウェア/AWSグローバルインフラストラクチャー ・リージョン ・アベイラビリティゾーン ・エッジロケーション

参照:責任共有モデル|AWSクラウドセキュリティ

障害発生を想定した「Design for Failure」が推奨される

AWSを用いたインフラの保守運用において、「Design for Failure」(障害を前提にした設計)は重要なポイントです。システムやインフラの構築において、障害が発生する可能性を想定し、それに対処できる設計を行うことが推奨されています。

この設計アプローチでは、単一障害点を排除して冗長構成を構築し、耐障害性を向上させます。アベイラビリティゾーンやリージョン間をまたぎ、物理的に離れた場所でリソースを配置するため、障害が発生してもシステムは停止しません。

また、障害の検知のために「Amazon CloudWatch」などの監視ツールを活用することも重要です。これにより、障害が迅速に検出され、自動的な復旧措置が講じられます。

まとめ

今回は、AWSの保守運用業務の内容や保守運用を行う効果、業務の際の注意点などを解説しました。

AWSを使ったインフラの構築において、保守運用に関わる業務は重要です。ユーザー側の責任範囲をしっかりと確認し、適切なサービスやツールを活用してセキュリティ対策を取りましょう。

本記事の内容を参考に、AWSの保守運用業務を最適化してみてください。

参考にしたリンク

https://hnavi.co.jp/knowledge/blog/aws-maintenance/

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