オンラインショッピングの増加やスマホの普及により、小売業界におけるテクノロジー活用はますます盛んになっています。中でも映像技術活用は大きなポテンシャルを秘めており、VR(仮想現実)は多くの企業が注目している技術です。今回は小売業界におけるVRの活用事例を確認し、最先端の小売事業をみていきましょう。
アリババ
中国最大のEC事業を展開し、近年はオフラインとオンラインの融合も盛んに行っているアリババでは、AIとVRを活用した新しい小売の実現に取り組んでいます。
VRを使って、まるで実際の店舗にいるような感覚を味わえる「Buy+チャンネル」では、世界各国のショッピングストアへVRを使ってアクセスができるサービスを提供しています。
日本のドラッグストアやアメリカの巨大ショッピングモールまで、様々な商品をVRで探すことができるだけでなく、実際に買い物に行く体験を提供することで、高い顧客満足度を実現できます。
実際の商品棚のように、店内の商品を手に取ってみることもでき、商品の360度写真や、詳細情報を確認できる仕組みです。
一時期流行した爆買いのように、買い物目的で海外を旅行する中国人は増加傾向にあります。こういった需要を気軽に満たせるという意味でも、このようなサービスは大きな意味を持つでしょう。
コカコーラ・マクドナルド
VRを直接小売事業に組み込むのも魅力的ですが、VRそのものを付加価値として提供する例も見られます。
アメリカのコカ・コーラ社は、VRビューアーとして組み立てられる12本入りのボトル箱を開発し、商品購入のおまけとして楽しんでもらえる企画を立ち上げました。
また、スウェーデンのマクドナルドにおいても外箱がVRビューアーとして機能するハッピーセットを展開し、子供向けのおまけとして気軽にVRを利用できるセットを販売しています。
参考:DIGIDAY「子供向けマーケティング戦略はバーチャルリアリティが流行り:マクドナルド、コカ・コーラ、マテルの事例」
VR利用が子供に与える影響については議論の余地もありますが、それでも彼らに取っては魅力的なコンテンツであることには違いありません。
VR機器は先端技術であるだけに、それを体験するには通常、高価な機器を購入する必要があります。そのため、炭酸飲料やファストフードのおまけとして利用ができるという環境は、魅力的な商品購入のインセンティブとなるでしょう。
気軽に最先端のコンテンツに触れる機会を提供することで、知育としての前向きな影響にも期待が持てるところです。
ウォルマート
アメリカ最大のスーパーマーケットであるウォルマートでは、社員教育にVR技術を導入し、トレーニング効率の向上と業務負担の削減に取り組んでいます。
VRを使ってトレーニングを行うことで、普段はなかなか経験を積むことができないようなイベントの研修も、本格的な形で行えます。
例えば全米で大セールが敢行されるブラックフライデーの日においては、ウォルマートにも大勢のお客が押し寄せ、彼らの誘導に頭を悩ませることになります。
VRを使って、あらかじめ従業員が膨大な数の顧客が訪問する瞬間を体験できるようにすることで、特殊な環境でも落ち着いて対応できるよう、経験を積ませられます。
年に一度しかないようなイベントの研修は、言葉やクローズドなトレーニングでは教えられることに限界があります。VRの擬似体験によって、実際に何度でも体感できるのは魅力的です。
ファミリーマート・ローソン
日本国内においても、小売事業におけるVR活用は実験が進んでいます。ファミリーマートとローソンが開発しているのが、VRとロボットを使って、精度の高い遠隔操作で店内業務を遂行できるというものです。
参考:ニュースイッチ「「ロボット×小売り」のスタートライン、コンビニで導入試験始まる」
VRを使って、店内に設置しているロボットのカメラ映像をモニタリングし、映像に合わせて遠隔操作を行うことで、店員に代わって商品の検品や陳列業務を行えるというシステムです。
コンビニは全国に店舗を有する小売事業ですが、それだけに各拠点へ均等に人員を配置するのが難しい分野です。
近年は人手不足の影響もあり、特に労働力の確保が難しくなっていますが、そこで生まれている余白を遠隔ロボットによってまかない、人手不足の解消とパフォーマンスの向上を狙います。
陳列業務は店舗業務の3割を占めており、少ない人ででやりくりするには負担の大きな作業となっています。効率よく、それでいて人間と同じ精度で陳列を行えるよう、改良が進められています。
2021年春には、ファミリーマートで実際の店舗への試験導入が開始し、約20の店舗での稼働を予定しています。
VRで遠隔存在?テレイグジスタンスの機能とは
VR(仮想現実)は、現実には存在しない空間を体験するための技術として進歩してきましたが、今日ではこの方向性とは少し異なる運用方法も注目されています。 VR技術を使ったテレイグジスタンスは、仮想空間ではなく実在する場所を遠隔から体験し、まるでそこへ本当に足を踏み入れたような感覚を提供してくれる技術です。 今回はテレイグジスタンスの概要について、ご紹介します。
ベトナムオフショアでのVR開発の実績
最後に弊社ONETECHのベトナムオフショアで受託開発したVR事例をご紹介します。
仮想空間で商品展示、バーチャル展示会スマホアプリをC#/UNITYで制作
スマホアプリ内の仮想空間に商品展示をできるスマホアプリです。バーチャル展示会ブースに3Dモデルの商品をリアルの展示会のように陳列できユーザーは商品を見ることができます。スマホアプリですので手軽に3D体験やVR体験が可能です。C#/UNITYで制作しました。
VRオフィスシステム(バーチャル会議デモVER.3.0) Oculus Quest2対応
ONETECHはベトナムでVR(バーチャルリアリティ:仮想現実)空間でアバターでコミュニケーションができるバーチャルオフィスシステムを開発しています。 今回のアップデートで、実際のオフィスのようにエントランスからロビーを通り会議室に入室して会議ができるように更新しました。
美容業界で活用、新人教育のためのVR動画を再生できるスマホアプリ
スマホ(Android/iPhone)で手軽にVR動画を楽しめる動画再生アプリを開発しました。VR動画と2D動画の両方で学べる美容業界の教育動画サービスとなります。VR動画を立体的に見る為の、VR用の再生アプリとなります。
おわりに
VRは小売事業において、社員のトレーニングから業務の効率化まで、様々な側面に良い影響を与えています。
海外の事例が目立ちますが、日本においてもVRを使った導入事例は増えており、今後も街中でVRが活躍している姿を見る機会も増えていくでしょう。