クラウドサービスの利用を検討している方の中には、「どれを使うべきか分からない」「自分に向いているサービスは何だろう」と悩む方も多いのではないでしょうか。
本記事では、3大クラウドサービスと呼ばれる「AWS・Azure・GCP」について比較した後、クラウドサービス会社を選ぶ際のポイントを解説します。自分に合ったクラウドサービスを探している方は、ぜひ参考にしてください。
3大クラウドサービスの特徴を一覧で比較
クラウドサービスは世界中で利用されており、アメリカの調査会社Canalysの調査結果によると、AWS・Azure・GCP(Google Cloud Platform)は2022年時点で全体の62%のシェアを占めていることが分かります。
それぞれのサービスの特徴について簡単にまとめましたので、以下の表をご覧ください。
サービス | AWS | Azure | GCP |
特徴 | ・クラウドサービスの世界シェアNo.1 ・サービス数は200種類以上 ・日本語情報やサポート対応あり |
・WindowsやOfficeなどとの連携に向いている ・大企業や官公庁でも活用されている ・Microsoft365との相性が良い |
・Googleサービスとの相性が良い ・AIや機械学習の評価が高い ・ビッグデータの解析にも向いている |
無料枠 | ・12ヶ月間、指定のサービスが無料(範囲内のみ) ・決まった期間、もしくは1回限り、指定のサービスが無料 ・指定のサービスが常に無料(範囲内のみ) |
・12ヶ月間、指定のサービスが無料(範囲内のみ) ・200ドル分のクレジットを30日間利用可能 ・指定のサービスが常に無料(範囲内のみ) |
・300ドル分のクレジットを90日間利用可能 ・指定のサービスが常に無料(範囲内のみ) |
運営会社 | Amazon | Microsoft |
AWSの主な特徴
AWS(Amazon Web Service)は、世界最大手のAmazonが提供しているクラウドサービスです。2006年の提供開始から多くのサービスを展開しており、現在は200種類以上のサービスを提供し、No.1のクラウドサービスシェアを誇ります。
多くのプロダクトを使えるだけでなく、利用者の多さから豊富に蓄積されたナレッジを活用でき、自社で実現したい目的に合わせて適切な環境を構築しやすいことが特徴です。ほぼ全てのプロダクトで日本語サポートを受けられるため、初めてクラウドサービスを利用する方でも安心して使えるでしょう。
AWSの無料枠は3種類
AWSで使える無料枠は、次の3種類があります。
- 12ヶ月間、指定のサービスが無料(範囲内のみ)
- 決まった期間、もしくは1回限り、指定のサービスが無料
- 指定のサービスが常に無料(範囲内のみ)
AWSのサービスによって無料枠の条件が異なるため、利用したいサービスの条件を確認しましょう。
注意点として、無料の利用範囲を超えて利用した場合、通常通り従量課金制で料金が発生してしまいます。無料で試したい場合は、こまめに使用量を確認しましょう。
AWSがおすすめなのはどんな人?
AWSは200種類以上のクラウドサービスから自由にカスタマイズできるため、「豊富なサービスから自社に適したサービスを選んで使いたい」という方におすすめです。
また、AWSはサポートが日本語対応のため、「英語サポートでは不安がある」「初めてクラウドサービスを利用するので日本語で情報収集したい」という場合にも向いているでしょう。
Azureの主な特徴
AzureはMicrosoftが提供するクラウドサービスであり、WindowsやWord、ExcelなどのMicrosoft製品との親和性の高さが特徴です。
WindowsやOfficeは大企業や官公庁などで多く利用されていることもあり、「クラウドサービスはAzureを導入しよう」という動きが世界的に見られます。このように、Azureは急速にシェアを広げています。
Azureの無料枠は3種類
Azureには3種類の無料枠があり、それぞれ次の通りです。
- 12ヶ月間、指定のサービスが無料(範囲内のみ)
- 200ドル分のクレジットを30日間利用可能
- 指定のサービスが常に無料(範囲内のみ)
30日間利用できる200ドル分のクレジットは、全てのサービスで利用可能です。200ドルを使い切ったり30日を超えたりした場合、自動課金されることはありませんが、サービスが停止されるためあらかじめ確認しておきましょう。
また、一定の範囲内であれば40種類以上のサービスが無料で利用できることも特徴です。
Azureがおすすめなのはどんな人?
AzureはWindowsやOffice製品と相性が良いため、「Microsoftで構築した環境をクラウド移行したい」と考えている方や、「Microsoft製品を使っており、親和性の高いクラウドサービスを探している」という方におすすめです。
現在急速にシェアが進んでいることもあり、今後はさらに便利なサービスの提供も期待できるでしょう。
GCP(Google Cloud Platform)の主な特徴
GCP(Google Cloud Platform)は、Googleが提供するクラウドサービスであり、GmailやGoogleMaps、YouTubeなどのGoogleサービスにおけるインフラ技術を一般向けに提供したものです。
現在Googleは世界でもトップレベルの技術力を持ち、その強力なテクノロジーインフラを使えることは大きなメリットといえます。
GCPはAI・機械学習やビッグデータの解析に強く、世界中のエンジニアから評価されています。Google WorkspaceなどのGoogle製品と連携しやすいことが強みです。
GCPの無料枠は2種類
GCPには2つの無料枠があり、それぞれ次の通りです。
- 300ドル分のクレジットを90日間利用可能
- 指定のサービスが常に無料(範囲内のみ)
300ドル分のクレジットについては、全てのサービスで使えます。また、Azureより利用可能な期間が長いため、気軽に使いやすいことが特徴です。
指定されたものに限りますが、アプリ開発のプラットフォーム「App Engine」やデータウェアハウスの「BigQuery」などの人気サービスについては、毎月決められた範囲内まで無料で利用できます。
GCPがおすすめなのはどんな人?
GCPはGoogle関連サービスとの相性が良く、「Google Workspaceなどを利用している方」におすすめです。
また、AI・機械学習やビックデータの分析に強いため、これらの技術にクラウドサービスを活用したい方にも向いているでしょう。
クラウドサービス会社を選ぶ際のポイント6つ
3つのクラウドサービスを紹介しましたが、「結局どれを選ぶべきか分からない」という方も多いのではないでしょうか。ここでは、クラウドサービス会社を選ぶ際のポイントについて、次の6つを紹介します。
- 無料枠の違い
- ストレージ
- データ解析
- コンピューター性能
- リージョン設定の差
- クラウドの使用料金
1つずつ確認しましょう。
無料枠の違い
3つのクラウドサービスは全て、アカウントを発行すれば無料でインターネット接続が可能です。
クラウドやデータベースを利用すると料金が発生しますが、AWSとGCPは最大12ヶ月分の無料枠、Azureは最大1ヶ月分の無料枠が用意されているため、自社が利用するサービスの無料枠について押さえておきましょう。
ストレージ
それぞれのサービスのストレージについては、次のように異なります。
- AWS:S3と呼ばれる堅牢度99.99%のセキュリティーを完備
- Azure:Microsoftの利用者であれば、クラウド上で簡単に使用可能
- GCP:高速ストレージを無制限で利用可能
プランによって使用制限があったり、無制限で利用できたりするため、事前に確認しておきましょう。
データ解析
クラウドサービスにはデータ解析ツールが搭載されており、特にGCPはAIによるAPIが提供されています。そのため、機械学習のデータ解析にも活用できるでしょう。
また、AWSは大きなデータにも対応しており、管理が簡単であることが特徴です。
コンピューター性能
クラウドサーバーは、それぞれのサービスによって名称が異なります。
- AWS:「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」
- Azure:「Virtual Machines」
- GCP:「Compute Engine」
AWSとAzureについては、コア数・メモリ・ディスクがあらかじめ決められており、複数のプランから選択します。GCPはツールをカスタマイズ可能であり、メモリやCPU、ストレージなどを自由に構築できることが特徴です。
リージョン設定の差
リージョンはデータセンターの数を表しており、多いほど通信が安定する傾向にあります。
クラウドの拠点となるリージョンは、日本国内においてAWSは3箇所、AzureとGCPは2箇所設定されています。
クラウドの使用料金
3社とも使用量に合わせて料金が発生する「従量課金制度」を採用しており、AWSよAzureは1時間単位、GCPは分単位で計算されます。
GCPは長期利用の際に自動的に割引が適用されますが、AWSとAzureについては契約時に長期利用を申し込みが必要であるため、忘れずに行いましょう。
まとめ
今回は、3大クラウドサービスである「AWS・Azure・GCP」の比較とクラウドサービスの選び方について解説しました。
それぞれのサービスによって特徴やメリットが異なるため、自社の環境や目的に合わせて適切なサービスを選択し、有効活用していけるようにしましょう!
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