インフラ業界でAR(拡張現実)の業務へ応用が進展

様々な業界で活用が期待されているAR(拡張現実)技術が現在どのようなシーンで使われているか気になりませんか?

インフラ業界ではすでにARの導入が進んでおり、従業員や製品の安全性や業務効率、顧客満足の向上に活かされています。

自社の業務に応用できないか検討してみてはいかがでしょうか。

インフラ業界でAR(拡張現実)の業務へ応用が進展

インフラ業界でAR(拡張現実)の業務へ応用が進展

 

自動車メーカーのフォルクスワーゲンが修理にARを導入

フォルウスワーゲンでは車体修理にARを応用しています。
目的は修理業務の効率を上げて、顧客が車に乗れない期間を短くすることでした。

作業員は装着したヘッドセットを通して、本社にいる技術者とリアルタイムにコミュニケーションをとります。
サポートする技術者は作業員の視界を共有してアドバイスを行うことができ、参考になるマニュアルや資料を提示することなどができます。

VRを用いた医療

VRを用いた医療

修理支援ARシステムはイギリス67ヵ所のディーラーと30ヵ所の公認修理工場に導入されました。
その結果、修理の効率は93%改善し、車に乗れない期間は1年分削減されました。
また、サポート部隊が現場に行く必要が無くなったため、移動の際のCO2発生が2.5トン分相当の抑制につながりました。

鉄道車両向けボルト締結業務にARを応用

複数の企業が鉄道車両向けのARを応用したボルト締結業務管理システムを共同開発しました。

共同開発は株式会社日立製作所、YAMAGATA株式会社、京都機械工具株式会社の三社で行われました。

ARを応用したボルト締結業務管理システムでは鉄道車両の製造、メンテナンス時に締める必要のあるボルトの位置をARで示すことで締め忘れを防止します。

近年AR/VRの技術は、ゲーム業界に留まらず、様々な業界で実験的に利用され始めています。

近年AR/VRの技術は、ゲーム業界に留まらず、様々な業界で実験的に利用され始めています。

また、ボルトを締める力もデータで利用できるため、締めきれているかの確認にも活用されます。

日立は将来的に、熟練した作業員の作業記録をARデータとして応用することで、業務効率の向上と熟練作業員不足の課題解消に繋げていくとのこと。

 

建築現場の設計データをARを用いて約95億円分効率化

イギリスのXYZ Realityは約6.7億円の資金調達を行い、建築現場の設計データをAR化して業務の非効率さを解消しました。

建設現場の設計データは3Dで作成された後に、2Dの平面図に起こします。
この工程が非効率さを生んでおり、予算の7~11%は無駄になっています。
大規模な建設であれば、平均95.4億円分に上ります。

XYZ Realityが開発したARシステム(HoloSite)では作業者は3Dの設計データを3Dのまま、確認できます。
設計データとの誤差は5ミリ程度であり、業務効率を上げ、予算の無駄を削減しました。

 

UBIMAX社の作業効率化に対応したARソリューション

ドイツのUbimax 社は人手不足による技術伝承や作業効率化のために世界400社以上にARソリューションを展開しています。

北米ではBMW社が自動車購入後のアフターメンテナンスに遠隔地からARソリューション「xAssist」による遠隔支援や品質チェックが行われる様になりました。

COCACOLA社の物流倉庫現場ではARソリューション「xPick」が導入され作業者のARグラス越しにピッキングする製品情報、ピッキング場所や、作業ルートが表示されハンズフリーで作業が行われ、作業効率が改善されている様です。

Ubimax社は現在以下のARソリューションを展開しています。

物流現場における商品のピッキング作業を支援する「xPick」
製造工程での作業を支援する「xMake」
点検業務の効率化や正確性を向上させる「xInspect」
グループトークやリアルタイム文書共有等で熟練者が現場作業者をリモート支援する「xAssist」

ARVRエンジニアはOnetech-Asiaで働いています

ARVRエンジニアはOnetech-Asiaで働いています

 

三井住友建設「トンネル内の補修履歴をARで見える化」

三井住友建設株式会社は導水路トンネルの点検業務に以下の様な課題がありました。
導水路トンネルの点検は薄暗い環境の上、表面の汚れや藻類などの視界を阻む状況で、数十年の蓄積された補修記録とのひび割れなどの補修箇所の比較が目視で行うしかなく困難を極めていた。

上記を解決するためにARソリューショントンネル・メンテナンス・ナビゲーションシステム「MOLE-FMR(モール-Field Mixed Reality)」が開発されました。

まずは、長年蓄積されていた調査・点検記録や施工・補修履歴情報を線形情報や縦横断情報から3Dモデルに自動生成しました。「ジェネシスLTR」
さらにスマートグラスで現実空間に補修履歴や調査・点検記録を3D画像表示させることに成功しました。薄暗いトンネル内でもLED照明のわずかな光源でも正確な位置情報でリアルタイムで3D画像を表示できる様になったそうです。

静岡県富士宮市内の導水路トンネルの点検作業では従来より作業時間を半減できたそうです。同社はより一層のトンネル等の社会インフラの維持管理にARソリューションを積極活用していく様です。

まとめ

インフラ業界ではARを応用して、多様な業務の効率化が進み、安全性の向上が進んでいます。今後AR技術が発展し日本国内のXR市場規模は、1兆円まで伸びると矢野経済研究所は発表しました。

期待大!1兆円まで拡大!XRの市場規模と5Gによる影響とは

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それを後押ししているのが2020年から始まる5Gです。5Gが始まり従来よりも大量のARコンテンツが、低遅延で同時に配信されるようになります。それを見越してスマートグラスなどのハードも新製品が次々に投下される様です。通信・アプリケーション・ハードウェアが進化し新しい価値観が生まれていくでしょう。

今後、インフラ業界以外でも活用が見込まれているAR技術を自社の業務でも応用できないか検討してみてはいかがでしょうか。

-追加参考-

  • 日立、AR技術利用の鉄道車両向けボルト締結作業管理システムを実用化

https://news.mynavi.jp/article/20200316-997347/

  • Ubimax Frontline: The Augmented Reality Platform for Enterprises | Ubimax
  • 導水路トンネル調査・点検システム「MOLE-FMR」の開発と適用

https://www.smcon.co.jp/topics/2019/03051300/

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