近年、ソフトウェア開発において、”オフショア開発センター(ODC)” の活用がますます注目されています。ODCとは、海外に開発拠点を設け、ソフトウェア開発を行うモデルです。人件費の安さや豊富な人材といったメリットから、コスト削減や開発スピードの向上を実現できると期待されています。
しかし、ODCの導入にはメリットだけでなく、リスクも伴います。文化の違いによるコミュニケーションの難しさや、品質管理の課題などが挙げられます。
そこで今回は、ODCとは何か、なぜ必要なのか、ODCを成功させるためのポイントについて解説します。
オフショア開発センター(ODC)とは?
ODCは、Offshore Development Centerの略称で、海外に開発拠点を設け、ソフトウェア開発を行うモデルです。開発拠点は、人件費の安い国や、豊富な開発人材がいる国などに設置されます。
ODCの運営方法は、大きく分けて2つあります。
- 自社運営: 自社で開発拠点を設立し、運営するモデルです。
- 現地企業との契約: 現地の開発企業と契約し、開発業務を委託するモデルです。
ODCが必要な理由?
ODCを導入する理由は、主に以下の3つが挙げられます。
- コスト削減: 人件費の安い国に開発拠点を設けることで、開発コストを削減できます。
- 開発スピードの向上: 24時間体制で開発を進めることができるため、開発スピードを向上できます。
- 豊富な人材の確保: 開発人材が不足している場合、海外に開発拠点を設けることで、豊富な人材を確保できます。
ODCを設立するには?
ODCを設立するには、以下の手順を踏む必要があります。
- 開発拠点の選定: 人件費、開発人材の量と質、文化、政治情勢などを考慮して、開発拠点を選択します。
- 現地法人の設立: 開発拠点となる国で現地法人を設立します。
- 人材の採用: 開発エンジニアやマネージャーなどを採用します。
- 開発環境の構築: 開発に必要な設備やネットワークを構築します。
- 運用体制の構築: 開発プロセスや品質管理体制などを構築します。
ODC設立時の注意点
ODCを設立する際には、以下の点に注意する必要があります。
- 文化の違い: 開発拠点となる国の文化や習慣を理解し、尊重することが重要です。
- コミュニケーション: 現地のスタッフと円滑なコミュニケーションを取るための体制を構築する必要があります。
- 品質管理: 品質管理体制を構築し、開発品質を維持する必要があります。
- セキュリティ: 情報セキュリティ対策を徹底する必要があります。
ベトナムにODCを設立する
ベトナムは、人件費の安さ、豊富な開発人材、日本企業との文化的な近さなどから、ODC設立先として人気があります。
- ベトナムは、アジア太平洋地域におけるソフトウェア開発のアウトソーシングの主要な目的地の 1 つです。 ベトナムは豊富で質の高いIT人材を擁しており、2019年時点で約40万人の開発者がいる。
- ベトナムは ODC 設立に有利なビジネス環境を備えています。 ベトナムは地域の他の国に比べて人件費が低く、上級開発者の場合、時給わずか約 20 ドルです。 さらに、ベトナムにはハイテク企業に対する優遇税制もあります。
- ベトナムには柔軟で創造的な文化があり、さまざまな種類のプロジェクトに適応します。 ベトナムの開発者は高い技術スキルを持っているだけでなく、優れた英語コミュニケーションスキルと国際市場への理解を持っています。
ベトナムとインドおよび中国におけるODCセットアップとの比較
項目 | ベトナム | インド | 中国 |
---|---|---|---|
人件費 | 安い | 中程度 | 高い |
開発人材 | 豊富 | 豊富 | 豊富 |
日本企業との文化的な近さ | 近い | やや遠い | やや遠い |
言語 | ベトナム語 | 英語、ヒンディー語 | 中国語 |
時間帯 | 日本と2時間の時差 | 日本と3.5時間の時差 | 日本と1時間の時差 |
ODC(オフショア開発センター)のメリット
ODCのメリットは、主に以下の5つが挙げられます。
コスト削減
コスト削減は、ODC 開発の主な利点の 1 つです。 海外の専門家チームを雇えば、人件費、事務費、設備費、管理費を大幅に節約できます。 また、オンライン決済サービス、オンライン会議、プロジェクト管理ツールを利用して、取引コストや出張コストを最小限に抑えることもできます。 ただし、すべてのコストを削減できるわけではないことにも留意する必要があります。 製品の品質、情報セキュリティ、関連国の法律の遵守に関連するコストは依然として支払わなければなりません。
時間を節約する
プロジェクトにすぐに参加できるようにソフトウェア開発チームを構築、採用、トレーニングするには、多くの時間とリスクが必要です。 ODC は、この状況を克服するのに最適な形式です。 必要な人材の要件を設定するだけで、パートナーは短時間で迅速に対応します。
拡張が容易
海外の専門家によるイノベーションと科学的研究を利用して、生産技術とソリューションを向上させることができます。 ニーズや市場に合わせて、ODC チームの規模や勤務時間を柔軟に調整することもできます。 これにより、時間とコストを最適化し、効率と競争力を向上させることができます。
最新の管理および開発手法
ODC フォームを使用すると、海外パートナーからの最新の専門的な管理方法を導入できます。 バグ管理ツールやエラー テスト ツールを使用して、製品の品質とデータのセキュリティを確保することもできます。 これは、ビジネス内で問題を解決し、コミュニケーションし、共同作業する能力を向上させるのに役立ちます。
質の高い専門家
ODC フォームを通じて、プロジェクトの実際の要件に応じて迅速にアプローチし、選択します。 プロの ODC サービス プロバイダーには、多くの場合、必要なすべての段階とプログラミング言語を利用できる経験豊富な開発者のチームがいます。 彼らは一緒に働く環境にも慣れているため、新しく設立されたチームと比較して最高のパフォーマンスを生み出すことができます。
専門リソースを活用する
ODC 開発は、企業がソフトウェア開発分野で広範なリソースまたは専門化されたリソースを活用するのにも役立ちます。 規模やニーズに応じて、これらのリソースにすぐにアクセスして、低コストまたは無料で使用できます。
ODCのリスクとODCのリスクを最小限に抑える方法
ODCにはメリットがある一方で、導入にあたっては注意すべきリスクも存在します。主なリスクと、そのリスクを最小限に抑える方法についてみてみましょう。
文化の違いによるコミュニケーションの難しさ:
リスク軽減方法: 現地スタッフとの交流を深め、互いの文化を尊重し合う姿勢が大切です。日本人駐在員を配置するなど、円滑なコミュニケーションをサポートする体制を構築しましょう。
品質管理の難しさ:
リスク軽減方法: しっかりとした開発プロセスと品質管理体制を構築することが重要です。定期的な監査を行い、品質を維持・向上させましょう。
セキュリティリスク:
リスク軽減方法: 情報漏洩対策を徹底し、アクセス制御や暗号化などセキュリティ対策を厳しくしましょう。
プロジェクトマネジメントの難しさ:
リスク軽減方法: 現地スタッフとの緊密な連携と、明確な進捗管理が必要です。日本側と現地側でしっかりと情報共有を行い、プロジェクトをスムーズに進めましょう。
ODCとアウトソーシングの違い
ODCと似ている概念として、アウトソーシングが挙げられます。アウトソーシングは、開発業務全体を外部の企業に委託するモデルです。
ODCとアウトソーシングの違いは、以下の点にあります。
- 開発拠点の有無: ODCは自社で開発拠点を設けるのに対し、アウトソーシングは外部の企業に委託します。
- 管理・統制: ODCは自社で開発チームを管理・統制するのに対し、アウトソーシングは委託先の企業が管理・統制します。
- コスト: ODCは初期投資が必要ですが、長期的に見るとコストパフォーマンスが高くなる可能性があります。アウトソーシングは初期投資が少なくて済む反面、ランニングコストが高くなる傾向があります。
どちらの方式を選ぶべきかは、プロジェクトの規模や要件によって異なります。
まとめ
ODCは、ソフトウェア開発においてコスト削減や開発スピードの向上を実現できる魅力的な選択肢です。しかし、ODCを成功させるためには、メリットだけでなく、リスクについても理解し、適切な対策を講じることが重要です。
ODC に興味があり、さらに詳しい情報が必要な場合は、今すぐお問い合わせください。自社にとって最適な開発モデルを選択し、しっかりとした計画を立てて運営することで、ODCを成功に導きましょう。