ITシステムの構築にあたり、クラウド化を検討する企業が増加傾向にあります。
なかでも、AWS(Amazon Web Services:アマゾン ウェブ サービス)は特に注目されており、近年では多くの企業が導入しているようです。
今回は、AWSが選ばれている7つの理由に加え、代表的なAWSサービスや導入における注意点を紹介します。
AWSを導入する企業は年々増加している
AWSは、Amazonが提供するクラウドサービスです。自社サイトである「Amazon.com」の運営ノウハウやプラットフォームを活用し、2006年7月からクラウドサービスの提供を開始しました。
昨今、AWSは世界各国のさまざまな企業で導入されています。主な例として、北米航空宇宙局のNASAや、配信登録制のストリーミングサービスであるNetflixなどが、AWS製品を通して配信を行っています。
また、日本の各省庁もAWS上にプラットフォームを構築しており、大企業だけでなく政府の間でもシェアを拡大させているのがAWSです。
AWSが選ばれる7つの理由とは?
多くの企業にAWSが選ばれている理由として挙げられるのは、次の7つです。
- クラウド市場において世界シェア1位を記録
- 初期費用ゼロ・低料金で利用可能
- ビジネスチャンスを逃さないシステム構築
- サイジングからの解放
- グローバル展開のスムーズさ
- いつでも最先端のテクノロジーを利用可能
- 高いセキュリティの確保
1つずつ内容を見ていきましょう。
クラウド市場において世界シェア1位を記録
クラウドサービスは、AWSだけでなく「Microsoft(Microsoft Azure)」や「Google(Google Cloud Platform)」など、さまざまなものがあります。
なかでもAWSはクラウド市場において世界シェア1位を獲得しており、調査会社canalyによると、2022年のクラウドシェアは次の通りです。
2022年第1四半期 | 2022年第2四半期 | |
AWS | 33% | 31% |
Microsoft Azure | 21% | 24% |
Google Cloud Platform | 8% | 8% |
その他 | 38% | 37% |
AWSは、2022年第1四半期から第2四半期にかけて2%ほどシェアが減少しているものの、変わらずトップシェアを記録していることが分かります。
初期費用ゼロ・低料金で利用可能
AWSは、初期費用無料で導入できます。また、月々の料金は利用料に応じた従量課金制度を設けており、低料金でITリソースを調達できることが特徴です。
必要なタイミングでサービスを有効化し、必要がなくなったら停止することで課金を停止できるため、最低限のコストでスモールスタートが実現するでしょう。
また、サービスの開始から129回以上にわたり、継続的な値下げを行っています。サービスの提供開始から速いスピードで規模を拡大し、サーバの調達コストや維持コストの削減、さらには利用料金の値下げに繋がっています。
ビジネスチャンスを逃さないシステム構築
従来のITインフラの構築には、納品まで時間のかかる複雑な工程で、なおかつ多額の初期費用が必要でした。さらに、納品後のエンジニアによる各種設定で多くの時間が必要になるため、構築開始から1ヶ月以上かかることも珍しくありません。
AWSでは、ワンクリックで新しいインフラを構築できる仕組みを提供しています。そのため、管理者画面やAPI経由の操作によって、初期費用をかけずに数分でITインフラを構築可能です。
ビジネスチャンスを逃さず、必要な時に必要なリソースを調達できる仕組みを実現しています。
サイジングからの解放
サイジングとは、運用するサービスやシステムに合わせてリソースを準備しておくことです。
従来であれば、ITシステムの設計においてユーザー数や利用状況を予測し、変動するITリソースを確保する必要がありました。しかし、サイジングにはかなりの労力が必要であり、設計における負担を増やしてしまう可能性があります。
AWSでは、必要な時に数クリック、数分でサーバー台数を変更したり、稼働中のサーバーにおけるCPU・メモリ・ストレージのサイズを変更したりできます。
さらに、日中と夜間、平日と週末などで稼働状況を変更できるため、最低限の維持コストでITリソースの調達が実現するでしょう。
グローバル展開のスムーズさ
通常であれば、システムをグローバル展開するためには、現地の視察や現地のデータセンターとの契約など、時間のかかる工程が必要でした。AWSでは、わずか数分でグローバル展開に向けたシステムの構築が可能です。
2022年時点で、AWSは世界に30のリージョン、96のAZを展開しています。
リージョンとは、AWSセンターのデータゾーンであり、アベイラビリティーゾーン(AZ) と呼ばれる複数のデータセンター群で構成されています。
AZの構成はさらに細かなデータセンターが集結しているため、アカウントの開設時点で世界中のデータセンターに展開できることが特徴です。
いつでも最先端のテクノロジーを利用可能
AWSでは、200を超えるサービスを提供しており、常にバージョンアップを繰り返して最適化されています。そのため、利用者は国境を問わず、いつでも最新のサービスを体験できることが特徴です。
また、豊富なサービスにより、AWSのみでコンポーネントの構築を実現できます。従来のようにサードベンダーとの打ち合わせを繰り返さなくて良いため、ビジネスをより加速させられるでしょう。
高いセキュリティの確保
AWSでは、リリース当初よりセキュリティを最優先事項として、サービスを提供しています。セキュリティ機能の実装、コンプライアンス要件への対応に加え、第三者機関による検証によって高いセキュリティを確保していることが特徴です。
セキュリティインシデントによる365日間の監視により、万が一の場合でも即座に対応できる仕組みとなっています。
AWSの代表的なサービス4選
前述にて、AWSには200を超えるサービスがあると述べました。
ここでは、代表的なサービスとして次の4つを紹介します。
- Amazon EC2
- Amazon S3
- Amazon RDS
- AWS Lambda
それぞれについて、サービス内容を解説していきます。
Amazon EC2
Amazon EC2とは、仮想サーバーの構築サービスです。利用することで、クラウド上にOSを乗せた仮想環境を構築できます。
システム構築にかかる時間を短縮し、数分でEC2上にインスタンスを立ち上げられることが特徴です。
また、サーバーをローカルで作成する場合、サーバーの設定に加えてネットワーク設定が必要になりますが、EC2では仮想ネットワークの構築サービスが提供されているため、簡単にサーバーを冗長化できます。
さらに、ハードディスクやメモリが不足した際は、画面上の設定で簡単に増設することが可能です。
Amazon S3
Amazon S3では、ストレージ機能に加え、静的なコンテンツの配信が可能です。主な活用方法としては、ウェブサイトやアプリケーションにおける、バックアップ・復元・アーカイブなどが挙げられます。
ストレージに保存できるデータやファイルの容量に制限がなく、使用量に応じて料金が算出されることが特徴です。
また、データの耐久性にも優れており、エラーや脅威などでデータが破損する可能性は、1,000万年に1回の確率と言われています。
Amazon RDS
Amazon RDSは、AWSクラウドで使えるデータベースを提供しているサービスです。MySQLやPostgreSQL、Oracleなどを簡単に作成でき、フルマネージドで労力を抑えたデータベースサーバーの管理が実現できます。
また、データベースの保存容量に上限がないため、保存したいデータが増えた場合、ストレージの追加が可能です。
そのほか、KMSやAWS CloudHSMという暗号化サービスを使うこともでき、データベースを暗号化してより高いセキュリティで保護できます。
AWS Lambda
AWS Lambdaは、サーバーの準備や管理を必要とせずにプログラムを実行できる、サーバーレスコンピューティングサービスです。
実際にコンピューティングした時間にのみ課金されるため、プログラムが実行されていない間は料金が発生しません。
AWSの導入で気をつけたいポイント
AWSでは、機能性の高いサービスが多数リリースされていますが、いくつか注意すべきポイントがあります。
ここでは、導入にあたって気をつけたいポイントとして、次の2つを紹介します。
- 必要なサービスに絞って利用する
- セキュリティに十分配慮する
それぞれ確認しましょう。
必要なサービスに絞って利用する
AWSには多くのサービスがあり、目的に応じて必要なサービスの組み合わせが可能です。
ただし、利用量に応じて料金が発生する従量課金制となっているため、多くのサービスを利用すればするほどコストが高くなってしまいます。そのため、必要なサービスに絞って利用し、最適な組み合わせを見つけることが大切です。
また、導入後も定期的に見直しを行い、後からサービスを停止したり、追加したりすることでコストを抑えられます。
セキュリティに十分に配慮する
前述にある通り、AWSはセキュリティを重要視したクラウドサービスであり、高いセキュリティレベルを実現しているということでした。
ただし、クラウド環境のセキュリティはAWSのシステムによって守られているとはいえ、クラウド内におけるセキュリティについては、自社で対策しなければなりません。
AWSのページに「AWSがクラウド環境自体の責任を、お客様にはクラウド内のセキュリティに対する責任と管理を担っていただく」と記載があるように、自社が負うべき責任を把握し、運用していくことが求められます。
まとめ
今回は、AWSが世界中の企業に選ばれている7つの理由や、代表的なサービス、導入時の注意点などを紹介しました。
AWSは、ITリソースの調達やITシステムの設計を効率化するツールとして、優秀なサービスが多くリリースされています。セキュリティ面やコスト面に留意しながら、自社に最適なサービスの組み合わせを見つけられるようにしましょう。
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