iOSやiPadに搭載されているAR機能「ARKit」は、新機種が登場するごとに機能を高めています。
2022年6月7日、Appleの年次開発者会議「WWDC(World Wide Developer Conference)」でRoom Plan APIという機能が発表されました。
Room Plan APIは空間測量を手軽に行えるARKit6を使ったAPIです。
この記事では、Room Plan APIが「どんな機能を持っているのか?」と「どんな分野で活用できるのか」という点でまとめました。ぜひiPhoneなどを使った3D空間の測量が気になる方は、ぜひこの記事を参考に読んでください。
Room Plan APIとは?
(引用画像:Apple公式サイト)
Room Planとは、ARKit ※1で動作するAPIです。通常iPhone・iPadでARアプリを動かしたい場合、ARKitを使用したARアプリを使う必要があります。
※1 ARKitはiPhone・iPad対応の開発者向けARフレームワーク
参考
ARKitとは、iOSとiPadOSにおけるAR機能です。開発者向けのARフレームワークも用意されており、これを用いてARアプリを制作することが可能です。 この記事ではARKitの最新バージョン「ARKit6」でどのようなことができるのかをまとめました。参考にしてください。
RoomPlanAPIは、iPhoneやiPadのカメラとLiDARスキャナによって撮影された空間の見取り図を3Dデータで作成します。
従来では専用の機器を使った測量が必要でしたが、Room Plan APIの登場によってiOS16を搭載したiOSまたはiPadのみで簡単な測量が可能になりました。
▼公式サイト RoomPlanの紹介
https://developer.apple.com/jp/augmented-reality/roomplan/
Room Plan APIの主な機能
RoomPlanAPIには、おもに3つの機能が用意されています。
・機能① 3D間取り図の作成
・機能② リアルタイムスキャン
・機能③ データ出力
▼YouTube動画 Apple RoomPlan API — WWDC 2022
機能①3D間取り図の作成
iPhoneまたはiPadのカメラとLiDARスキャナを使用して、部屋の3D間取り図を作成する機能です。
機能②リアルタイムスキャン
(引用画像:Apple RoomPlan API — WWDC 2022)
リアルタイムで部屋のスキャンを行い、寸法や家具の種類を認識する機能です。
機能③データ出力
(引用画像:RoomPlanAPIドキュメント)
Room Plan APIでは、USDまたはUSDZファイル形式でのデータを出力することができます。
USDZファイルと互換性がある下記ツールでさらに細かな調整をすることが可能です。
・Cinema 4D
・Shapr3D
・AutoCAD
など
RoomPlanAPIで室内をスキャンする
検出した部屋の情報は「CapturedRoom」というオブジェクトとして検出されます。
「CapturedRoom」のオブジェクトの中に、様々な検出情報が格納されます。
検出されたオブジェクトにはそれぞれ「カテゴリ」が付与されます。
「カテゴリ」には、「部屋のパーツに関するもの」や「家具や家電に関するもの」などがあります。
「部屋のパーツに関するもの」は、下記のような物があります。
床 | ドア(開閉状態も検出可能) |
開口部 | 壁 |
窓 |
「家具や家電に関するもの」は、下記のようなものが検出されます。
机 | ソファ | 椅子 |
テレビ | 階段 | 収納 |
ベッド | 洗濯機 | 乾燥機 |
オーブン | 冷蔵庫 | シンク |
食洗機 | バスタブ | トイレ |
ストーブ | 暖炉 |
さらに、検出した情報を元に今スキャンしている部屋がどんな部屋なのかについても識別することが可能です。
- お風呂
- ベッドルーム
- ダイニングルーム
- キッチン
- リビングルーム
- その他(識別できなかった部屋)
①RoomPlanAPIの使用に適した環境
・最大約9 m×9 mの大きさの部屋一室
・最低50ルクス(夜間のリビングの照明に相当)以上の明るさ
②RoomPlanAPIの使用に適さない環境
・フルサイズの鏡や窓
・高い天井
・暗い壁色の表面
③RoomPlanAPIを使用するうえでの注意点
・バッテリーの消耗が激しい
・iPhoneやiPadの発熱問題
上記の注意点から、繰り返しのスキャンまたは5分以上のスキャンは避けた方がいいでしょう。
またカーテンが閉まっていたり、ドアが開いていると上手くスキャンが行われないことがあります。
・カーテンを開ける
・ドアを閉める
などの1ステップの作業を事前に行うだけで、スキャンをスムーズに行うことができるので試してみましょう。
マルチルームサポート
(引用画像:WWDC23)
RoomPlanAPIでスキャンした複数の部屋のスキャンデータを統合する方法です。
iOS17からは「RoomPlan」でスキャンした結果を結合させる「CapturedStructure」という機能が追加されています。
「CapturedStructure」を使用すれば、1部屋単位でスキャンを行っていき、複数のスキャンデータを大きな構造としてマージすることができます。
(引用画像:WWDC23)
Room Plan APIの活用事例
(引用画像:WWDC23)
●事例① 不動産
部屋の見取り図を3Dデータで作成して、物件情報を顧客に提供することができます。
顧客が現地へ行き物件を確認する事ができなくても、部屋の状況を共有することができます。
●事例② インテリアデザイン
部屋の寸法や家具の配置を計画する際に利用できます。
例えば壁の色等の変更をプレビューし、部屋の塗り替えに必要な塗料の量の計算をする事も可能です。
●事例③ eコマース
RoomPlanAPIを使用して、家具やインテリア商品の配置シミュレーションとして利用できるでしょう。
●事例④ メンテナンス業務
部屋の中や現場の状況をデータとして保全するといった活用方法が考えられます。清掃やメンテナンス等の作業に活用できるでしょう。
Room Plan APIの利点と課題
この章ではRoom Plan APIの利点と課題についてまとめました。
RoomPlanAPIの利点
・利点①オブジェクトの生成スピードが速い
・利点②ユーザー体験の向上
・利点③効率的なワークフロー
以上の3つの利点が挙げられます。RoomPlanAPIの登場によって、手軽に安価にBIMを作成することが可能になります。
高性能なリアルキャプチャには精度が及びませんが、誰もが高精度の空間データを欲している訳ではありません。
速く手軽に空間データを必要としている場合、RoomPlanAPIは従来のアプリから十分代替できると思われます。
RoomPlanAPIの課題
・課題①一度のスキャンで認識できる範囲が限られている
→公式のスキャン推奨サイズは9m×9mのワンルームです。
・課題②階段は認識した床面を基準としている
現時点での課題は、iPhoneやiPadでスキャンできる範囲が限られていることだと思います。WWDC23でRoomPlanAPIの機能のマイナーアップデートを行っていることから、今後改善されるかもしれません。
RoomPlanAPIのアップデートに引き続き、注目しましょう。
まとめ
いかがでしたか?この記事はiOS16に搭載されたRoomPlanAPIについて、機能の詳細と活用できる分野について記事にまとめました。
「RoomPlanAPI」は手軽に3D間取り図を作成することができ、そのデータを他の人と共有することが可能です。共有の結果、意見交換がスムーズになるなど多くの利点があります。
またメンテナンス業務として、部屋の状態を3Dデータとして保存することで効率よくメンテナンス作業を進めることも可能です。
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