建設業界「2025年問題」とは?国土交通省の取り組みや人手不足の対策を紹介

少子高齢化・担い手不足が深刻化している建設業界では今、2025年問題が危険視されています。そして実際に、社内リソースや人材が不足して、何か対策を実施しなければならないと悩む方もいるはずです。

建設業界「2025年問題」とは
建設業界「2025年問題」とは?国土交通省の取り組みや人手不足の対策を紹介

そこでこの記事では、建設業界における「2025年問題」の原因・対策を詳しく解説します。また、企業で実施できる取り組み「建設DX」のことも触れているので問題解決の参考にしてみてください。

2025年問題とは?

2025年問題とは、1947〜1949年の第一次ベビーブームによって生まれた「団塊世代」の方たちが、75歳以上になり離職する人が増える問題のことです。参考として、建設就業者の年齢構成の図を以下に添付しました。

出典:厚生労働省「建設業就業者の年齢構成」

出典:厚生労働省「建設業就業者の年齢構成」

年数の経過とともに、業界の高齢化が進み平成28年の段階で55歳以上の人材が3割を超えています。また、15〜34歳の人材については、年々減少し続け、2割を切っている状態です。

建設業界に対するマイナスイメージ、少子高齢化問題などが重なったせいもあり、今後も年齢構成が高まっていくと予想されます。そして2025年問題には、高齢になった人たちが業界から抜けていき、さらなる人材不足に陥ってしまう恐れがあるのです。

2035年問題や2040年問題との違い

建設業界では、2025年問題とは別に「2035年問題」「2040年問題」という危機に直面しています。2つの問題の特徴や原因を下表にまとめました。

 2035年問題2040年問題
特徴団塊世代が85歳を超え2025年問題よりもさらに建設業の人材が不足する第二次ベビーブームの団塊ジュニア世代が65歳を迎え建設業全体の人材が不足する
原因高齢化・担い手不足高齢化・担い手不足

日本の人口割合を多く占める「団塊世代」「団塊ジュニア世代」が業界から離脱することを危惧して名づけられた問題です。今の働き方を続けると、人口割合の少ない若手世代だけでは業務を回せなくなり、建設業界の崩壊が予想されます。

2025年問題が不安視される3つの原因

2025年問題を引き起こす原因は、大きく分けて以下の3つです。

  • 少子高齢化
  • 建設業界のイメージ
  • 人手・担い手不足

世の中の状況そして建設業界という内部事情が関係しています。なぜ2025年問題が起きるのかイメージできない方は、ぜひ本項をチェックしてみてください。

原因①少子高齢化

現在の日本は、世界で最も少子高齢化が進んでいる国として有名です。1980年代以降、不況や晩婚化・非婚化といった要因により、少しずつ出生率が減少していきました。

出典:厚生労働省「出生の推移」

出典:厚生労働省「出生の推移」

上図を見て分かるように、第一次、第二次ベビーブームを除き、出生率が大幅に減少しています。つまり、人口が減少したことによって建設業就業者の人数も減少しているということです。

日本国民および高齢者を支える公共工事が必要でありながら、対応できる人材が減り続けていくというジレンマが生まれています。すでに建設業の平均年齢が45〜50歳程度まで上昇している状況であるため、2025年問題による一斉退職が建設業に打撃を与える恐れがあるのです。

原因②建設業界のイメージ

建設業界には、3K(きつい・汚い・危険)という概念があります。近年では、そのイメージを払拭するために、新3K(給料が良い・休暇がとれる・希望が持てる)を目指していますが、まだまだ建設業界のイメージが変わりそうにありません。

また、仕事量に対する給与の低さ、ブラック企業と呼ばれる会社が多いことも含め、入職者の割合が年々減少の一途をたどっています。

出典:日本建設業連合会「建設業の現状」

出典:日本建設業連合会「建設業の現状」

2025年問題までに建設業界のイメージを払拭するのが難しい状況です。さらには、その後に発生する2035年問題、2040年問題も待ち構えています。

建設業界に対する世の中のイメージをいかなる方法で変えるのか、具体的な対策そして企業努力が必要です。

原因③人手・担い手不足

建設業界は今、どの現場でも人手不足・担い手不足が問題化しています。例えば次のような状況に悩む企業も多いのではないでしょうか。

【現場の場合】

  • 職人が集まらず工期だけが延びていく
  • 現場全体が高齢化しており工事進行に時間がかかる
  • 担い手がいないため技術継承できない

【内業の場合】

  • 複数の業務を1人で対応しなければならない
  • 超過残業・休日出勤が当たり前になっている
  • 本業が忙しく若手を教育する時間がない

「人手は不足しているけれど仕事はある」という状況のせいで、1人当たりの負担が大幅に増加しています。ライフワークバランスの崩壊は過労死といったリスクもあるので注意が必要です。

しかし2025年問題を迎えると、高齢技術者の一斉退職により今以上に業務環境が悪化する恐れがあります。

2025年問題回避のために建設業界が実施すべき対策

2025年問題によって企業経営がうまくいかなくなること、従業員の負担が大きくなることを回避したいなら、原因解決のために対策していく必要があります。

具体的な対策を4つ整理しました。人材不足・業務の負担を解決する対策ですので、2025年問題回避のためにチェックしてみてください。

対策①新規人材の雇用促進

2025年問題を回避するためには、退職する人材と同じ、もしくはそれ以上の人材を雇用することが重要です。人材の補填という考えで早期対策を実施すれば、2025年問題の波を抑えられるでしょう。

新規人材の雇用を考える際には、今後退職が見込まれる社内従業員を推定することが欠かせません。どのような資格・技術を持つ人材が何人辞めるのか、そしてその補填のためには資格を持つ転職者を何名、労働力としての新卒人材が何名必要なのかを分析します。

ただし、少子高齢化が進む現代において、新規人材の雇用は簡単なことではありません。計画通りに人材を集めるためにも、雇用形態の再検討、働き方改革の実施が必要不可欠です。

対策②外国人材の受け入れ

近年では、外国人材を受け入れて、人材不足の問題を解決する流れが生まれています。特に2012年から外国人材を受け入れる流れが大きくなっており、当初1万人程度だった国内の外国人材が、2020年に入ると11万人を超えています。

出典:日本建設業連合会「建設業の現状」

出典:日本建設業連合会「建設業の現状」

ただし、5年契約で更新が必要な「技能実習生」の割合が多いことに注意しなければなりません。外国人材の中には出稼ぎを目的として長期就労を視野に入れていない人々も大勢います。場合によっては、5年契約を終え自国に戻る人材も出てくるため、短期的な解決にしかならない恐れもあるでしょう。

外国人材で2025年問題、そしてその後に起きる問題を解決したいのなら、離職を防ぐために、労働条件の改善・向上といった外国人材に魅力的な条件を与え続けることが重要です。

対策③労働環境の改善

2025年問題を回避し、人材を呼び込みたい・呼び止めたいのなら、企業の労働環境を改善してみるのはいかがでしょうか。

労働環境を改善すれば、ただ人材確保できるだけでなく、すでに従事している人材のパフォーマンス向上が期待できます。例えば、日本で慢性化している低賃金での雇用をやめ、業務量・作業量に見合った報酬を与えることが重要です。また、働き方改革によって自由な働き方ができる現代では、リモートワークといった仕組みを社内に浸透させることも大切でしょう。

さらには、ライフワークバランスを考えたフレックスタイムの導入、超過残業規制といった取り組みも労働環境の改善に欠かせません。社内アンケートを取り、どういった改善が人材確保・パフォーマンス向上につながるのか検討してみてください。

対策④新技術・システムの導入

2025年問題に向けた人材確保に取り組めないとお悩みなら、建設DXの一環として、新技術やシステム導入を検討するのがおすすめです。例えば建設業界では、次のような技術・システムが役立ちます。

  • XR(AR・VR・MR)を活用した人材育成・情報共有
  • AI技術・RPAを活用した単純作業の効率化

建設業界のICT化が進んでいる現代では、XRを使って効率的かつ低コストで従業員を教育できるほか、AI技術やRPAを活用して業務負担を削減できる環境が整っています。

社内で手間に感じている項目や取り組みたい項目をピックアップし、人材不足に対応できる業務効率化を目指してみてください。

企業が国土交通省から得られるサポート・助成金

新技術・システムを導入したいが、予算に限界があるとお悩みの方もいるでしょう。それなら、国土交通省といった機関が提供しているサポート・助成金を活用するのがおすすめです。以下に2023年現在で利用できるサポート・助成金を整理しました。

 ものづくり補助金IT導入補助金事業再構築補助金
補助金額100~1,250万円(通常枠)最大450万円1,500~5億
補助率・中小企業者の場合1/2 ・小規模企業者・小規模事業者・再生事業者の場合2/3・A類型(補助率1/2以内) ・B類型(補助率1/2以内)枠の種類によって変化
補助対象条件・資本金3億円以下 ・従業員数300人以下・資本金3億円以下 ・従業員数300人以下・新型コロナウイルスまん延以前より10%以上売上が減少している中小企業等 ・事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む中小企業等

新技術・システム導入や、業務転換・開拓にかかる費用の一部を補助してもらえます。高額補助を適用できるケースもあるため、ぜひ国の支援を活用してみてください。

「新技術・システム」による建設DXならXRの導入がおすすめ

ONETECHでは、建設DXで役立つXR(AR・VR・MR)の技術を活かしたシステム開発を提供しています。「社内教育で利用するXRを準備したい」「受発注者間の協議に利用できるXRの技術を導入したい」とお考えなら、ぜひ開発についてご相談ください。(補助金対象)のご相談も多く受けております。

ONETECHのXR(AR・VR・MR)開発事例を見る

また、ONETECHでは、YouTubeチャンネルにてXRを活用した開発サービスの紹介や解説動画を公開しています。XRのことを詳しく知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。

おわりに

建設業界で危惧されている2025年問題が、もう間近に迫っています。しかし、人材確保ができていないと悩む企業も多いのではないでしょうか。それならぜひ、この記事で紹介した新技術・システムの導入を検討してみてください。

XRやAI技術など、少ない人材で効率的に業務を回すシステムが豊富にあります。ONETECHではXR開発を提供しています。自社に新技術・システムを導入したいと考えているのなら、ぜひお問い合わせください。

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