マイクロソフトが2019年2月に「HoloLens 2」を発表して早1年が過ぎようとしています。
HoloLensを使ったMixed Reality(複合現実、MR)アプリが様々な活用をされ始めているのでいくつか事例をまとめました。今回は自動車業界、建設業界、コールセンター業界の事例の紹介です。
ONETECHでも既にベトナムに2台の「HoloLens 2」が到着していくつかアプリの開発を同時進行しています。「こんなこともできるんだ」などのインプットを増やして自社の業務に応用できないか検討してみてはいかがでしょうか。
MR(エムアール) とは
MRとは、Mixed Realityの略で「複合現実」などと訳されます。ARだけでは表現しきれないに拡張現実に仮想現実(VR)の要素を加えたり、反対に、VRに拡張現実(AR)の要素を加えたりすることによって、現実世界と仮想現実を融合させる技術です。大きく括ればMRもVRやARと同様に、現実の世界と仮想の世界をITの活用で融合させる技術のひとつである
整備の待ち時間を短縮したトヨタのMR活用事例
トヨタ自動車株式会社は車の整備や修理の工程でMRを活用しています。
整備や修理の際に車種ごとに参照する診察物やWEB情報がHoloLens2上で参照できるため、複数の資料に渡る確認手順が不要となりました。
また、作業手順などが3D表示で直感的に理解できるため、作業クオリティのばらつきが減少し、整備士のスキル習得のスピード向上に期待されています。 いままで点検作業に1STEPに20分から30分かかっていた作業が70%から80%削減されるようです。
自動車整備におけるMR技術の導入は日本企業の先行事例となっています。
この取り組みは順次、全国のトヨタ系の販売店で展開されていく予定です。
販売店にとっては整備にかかる時間の短縮が実現すれば、顧客の待ち時間短縮に繋がり、顧客満足が向上します。
このように何か複雑な仕組みを3Dホログラムで、作業図や指示書が視覚的にわかりやすく表示されることによりオペレーターのスキルが足りなくても作業が可能です。
また熟練者もハンズフリーで目の前に作業図や指示書が表示されることにより時間短縮ができるという事例です。
ベルシステム24 & デロンギ・ジャパンがHoloLens2を活用したコールセンターの業務改革
株式会社ベルシステム24、デロンギ・ジャパン株式会社、日本マイクロソフト株式会社、DataMesh株式会社の4社はHoloLens2を活用したコールセンターの働き方改革を実現する「コールセンター・バーチャライゼーション」を共同開発しました。
これは国内初のコールセンター業務における MR の活用事例です
ベルシステム24はデロンギ・ジャパンのコールセンター業務を請け負っており、オペレーターはHoloLens2越しにコーヒーメーカー等の3DデータをMR表示できるようになります。
コールセンター業務の対応中に実機が見られない状況であっても、実機を見ているように案内ができるようになります。
このMR技術により地方在住の働く意欲やスキルがある人材の活用が期待されます。
また、社員の教育や研修についてもコールセンター・バーチャライゼーションによりリモートで実施できるようになり、現場では顧客の製品設置イメージに役立ちます。
3Dホログラムのデータは、マイクロソフトのパブリッククラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」に保存されるため、複数の人がどこからでも利用できます。地方でも自宅でも仕事ができるようになり、働き方改革や人手不足解消のソリューションになっているようです。
今後のコールセンター業界のMR活用の参考となる事例です。
Bentley SystemsがHoloLens 2を活用した建設現場管理ソリューションを美術館プロジェクトで導入
Bentley SystemsはHoloLens2を活用した、建設現場での設計、建設、運用それぞれの工程を管理するための「SYNCHRO XR」を開発しました。
SYNCHRO XRはMR技術を活用して、建設物のイメージを直感的なジェスチャで操作しながら建設工程を計画することができます。
また、立体モデルの操作だけでなく、時間軸の推移にも対応しており「3D+時間」の4Dオブジェクトを体験することもでき、建設の進捗状況、プロジェクトのスケジュールを管理するのに役立ちます。
事例としてはロッテルダム市の大規模な美術館プロジェクトでSYNCHRO XRはすでに導入されています。
建設業界では、建設現場の手戻り作業が大きな課題となっていますが、美術館プロジェクトでは工程の手戻りを回避するためにスケジュールや進捗状況を確認しながら、潜在的な問題を検討することに役立っています。
MRは単なるシミュレーションではなく、様々なIotデバイスとの協調によりリアルタイムでデジタルツインを実現するソリューションとなっていくようです。
TrimbleがHoloLens2を搭載した「Trimble XR 10」を開発
アメリカのTrimbleがHoloLens 2 Customization Programを活用して、HoloLens2を搭載したヘルメット「Trimble XR 10」をBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)などの3Dデータが普及してきた建設業界向けに開発しました。
以前のHoloLensは屋内での使用を想定した仕様であり、屋外で使用するには視野角の広さや帽子や眼鏡の着用への対応に問題がありました。
しかし、HoloLens2では長時間の使用が楽になり、屋外での使用を想定された作りに改善されました。
またTrimble社はTrimble Connect for HoloLensというHoloLensアプリケーションのプラットフォームを展開済みです。
建設現場で設置できる配管設備を3Dモデルで表示するなどの用途の「Trimible Connect」や「Trimble Connected Mine 」(下の動画では)、HoloLensを装着した4、5人がテーブルを囲んで、テーブルの上に表示されたホログラムを同時にあらゆる角度から見ることができホログラムの操作やアニメーションなども可能です。
ONETECHでのHoloLens2でのアプリケーションの開発
ONETECHはベトナムオフショア開発でHoloLens2のMRアプリの開発をしています。物流倉庫業社向けのHoloLens(ホロレンズ)アプリを開発。
物流事業者向けにデジタル模型を3Dホログラムで投影
物流業務向けに複数のホロレンズで3Dの物流倉庫の建屋や内装情報を共有。
物流倉庫内のコンテンツ再生や表示制御もHoloLens(ホロレンズ)アプリを開発
計画中の施設のエリア情報や倉庫の導線を立体的に把握することができます。
3DCGコンテンツの制作も一部ONETECHで対応いたしました。
実際の模型からMRバーチャル模型へ
実際には都市再生計画のため、複合型の都市計画をしています。その中の一つの施設が物流拠点としての倉庫として活用される予定です。いままでは一般的には実際の模型を使ってプレゼンテーションをしていたそうです。そこで考えたのがHoloLensを使ったMRアプリです。営業マンはHoloLensを抱えクライアントへこのアプリを提示します。実際の建屋の中を透かして確認したり、トラックが動いている様子がアニメーションで見ることが可能です。営業プレゼンテーション以外にも倉庫内レイアウトや導線のシミュレーションにも活用できます。
Hololens(ホロレンズ)で点検、メンテナンス
Hololens(ホロレンズ)はシミュレーション以外でも点検や、メンテナンス、サポートツールなど様々な分野での活用が広まっています。
HoloLens 2は初代HoloLensからスペックや操作性などが改善されたデバイスです。
体験でも初代のHololensと比べて、性能が大幅に良くなっています。
大幅に拡大された視野によって、ユーザーの快適性が向上していて、長く装着していても疲れにくいデバイスになっています。
ONETECHの優秀なエンジニアは、積極的にAR MR Hololens アプリの研究開発に取り組んでいます。
まとめ
さまざまな業界でMRの活用が進んでいます。今回紹介したポイントはハンズフリーでの視覚化による業務の効率化、3Dホログラムでの指示書による見える化でのスキルレス、クラウドとの連携でどこでもアプリケーションを使える点、3DCADやBIMなどの既存3Dデータの有効活用による業務効率化などです。
最近では農業や漁業でも人手不足解消や業務の効率化のためにHoloLensアプリの問い合わせが増えています。
MR技術を自社の業務でも応用できないか検討してみてはいかがでしょうか。
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