建設工事では、工事工程、そして人員配置や進捗管理など、膨大な管理作業が必要となります。このとき、各種現場の管理に限界を感じている人も多いでしょう。
そこでこのコラムでは、世界で利用されている3D技術を活用した建設工程管理ソフトを合計6つ紹介します。国内・海外の生産性向上に役立つソフトを解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
世界の3Dを活用した建設工程管理ソフト6選
まずは、世界で利用されている3Dを活用した建設工程管理ソフトを6つ紹介します。製品の概要はもちろん、用途、メリットなども含めて解説しているので、気になるソフトの情報をチェックしてみてください。
Fieldwire|世界で200万件以上の施工プロジェクトに利用
Fileldwire(フィールドワイヤー)は、次のような目的で施工業務を効率化できるソフトウェアです。
- 施工管理
- 受発注者間のファイル共有
- BIM業務
例えば、施工業務全体の管理に役立つタスクマネジメント機能はもちろん、クラウド上でデータの共有ができるファイル共有機能、また日本で主流化しているBIM業務への対応として、BIMデータの閲覧機能が備わっています。
データ管理の電子化に役立つほか、BIM業務など新技術への対応にも役立つことから「施工業務を一元管理したい」「作業中の荷物を削減したい」「ペーパーレス化を実現したい」という方におすすめです。
提供会社 | Hilti North America |
無料プラン | あり |
有料プラン | 39ドル/月~ |
おすすめのユーザー | ゼネコン 専門業者(施工業者) 依頼者(土地所有者) 建築家・デザイナー |
SnagR|建設・開発・製造向けのソフト
SnagRは、業務の進捗状況管理、レポートの自動生成、ファイル共有に対応している建設工程管理ソフトです。
下請け業者との情報共有を円滑化できることはもちろん、アプリを使って現場状況を撮影することにより、点検やメンテナンスを一元管理できます。「バラバラに管理されている工事作業をアプリで一元管理したい」「写真管理をわかりやすく、効率化したい」問う方は、SnagRを導入するのがおすすめです。
提供会社 | SnagR |
無料プラン | あり(無料デモ) |
有料プラン | 要見積もり |
おすすめのユーザー | 建設業 開発業 製造業 |
Scanat|NETIS登録の建物スキャニングソフト
Scanatは、屋内空間をスキャニングできるアプリケーションです。LiDARセンサーが搭載されたスマートフォンに導入し、対象の空間を撮影することで手軽に2D・3Dのモデルを生成できます。
スキャンしたモデルでは、計測、図面変換、データ共有が可能であり、撮影したデータをすばやく別のユーザーに共有することも可能です。NETISにも登録されていることから「信頼できるアプリを導入したい」「手軽に屋内の状況を3D化したい」という方におすすめします。
提供会社 | nat株式会社 |
無料プラン | なし |
有料プラン | 12,000円/月~ |
おすすめのユーザー | 建設業界 不動産業界 設備・メンテナンス業界 住設・建材業界 家具・家電業界 イベント業界 |
eYACHO|工程表や報告書を電子管理
eYACHOは、以下に示す作業などをまとめて効率化する電子野帳アプリです。
- 現場管理
- 報告書の作成業務
(引用画像:eyacho)
紙の野帳に代わりアプリ上でデータを管理し、クラウド上で共有することにより、担当者同士のスムーズな連携やリアルタイムでの進捗を確認できます。「資料・図面チェックや書き込みを効率化したい」「事務所とのリアルタイム連携が必要である」という現場におすすめのアプリです。
提供会社 | 株式会社eNote |
無料プラン | あり(無料トライアル) |
有料プラン | 3,520円/月~ |
おすすめのユーザー | 建設 土木 設備管理 発注者 |
HyparAI|BIMデータの自動生成に対応
HyparAIは、SaaSを利用して手軽にBIMモデルを作成できるソフトウェアです。
直感的な操作だけでBIMモデルの作成できることはもちろん、完成したデータをBIMソフトの「Autodesk Revit」へ送信できます。また、テキストを入力するだけでBIMモデルを自動生成するなど、便利な機能が搭載されているのが特徴です。現在開発中のソフトウェアであることから、BIM業務の効率化ができると注目を集めています。
提供会社 | HyparAI |
無料プラン | 開発中 |
有料プラン | 開発中 |
おすすめのユーザー | 建設(建築・土木) |
Archstar|複数のデバイスをクラウド対応化
Archistarは、不動産業界向けのAIプラットフォームです。
(引用画像:Archistar)
地図データを基盤として不動産情報を整理できるほか、3D結成の機能を使って建築許可のコンプライアンス評価やエリア評価・分析などを実施し、その土地の価値を自動で分析できます。
なお、日本エリアにおいてはまだ開発が未定ですが、現在急速にサービスが拡大していることから、近いうちに日本版の開発情報が発表されるかもしれません。
提供会社 | Archistar |
無料プラン | あり |
有料プラン | 95ドル/月~ |
おすすめのユーザー | 不動産開発者 建築家 住宅建築業者 政府 |
建設工程管理ソフトの導入メリット
建設工程管理ソフトを導入することで、工程管理業務の課題を解決しやすくなるメリットがあります。
ソフトを導入するメリットを解説しているので、必要性を判断する参考にしてください。
【メリット1】クラウドを通じた社内連携
建設工程管理ソフトは、クラウドを通じて操作ができるため、工事関係者が入力した情報をリアルタイムでチェックできるのがメリットです。
例えば、現場状況の写真を撮影し、ソフトにアップロードすることで、離れた場所にいる管理者にデータを届けられます。作業状況の確認はもちろん、社内にいる従業員に写真を送ることで写真台帳の作成を代わりに実施してもらえるのが魅力です。
また、工程表などもリアルタイムで更新できることから、各従業員へ作業状況を通知し「次に何をやるべきか」を判断してもらいやすくなります。アナログな情報共有の場合、状況報告や写真台帳の作成などに膨大な時間がかかっていたため、作業効率化および残業時間の縮小を期待できるでしょう。
【メリット2】業務状況の見える化
建設工程管理ソフトを活用すれば、作業進捗状況などをすべて見える化できるのがメリットです。
クラウドを通じて関係者一同に情報を共有できることから、工事管理者は現場作業員から送られてきた情報をもとに全体像を把握できます。
また、さらに社内にいる別の管理者とも情報を共有でき、作業状況の判断を仰げるのもメリットのひとつです。オフラインのソフトを使っている場合、後から遅れていることが発覚する、ミスに気がつかないまま取り返しがつかない状況に陥るという場合もあるため、安全に工事を進めたい場合に役立ちます。
建設工程管理ソフトの選び方
複数ある建設工程管理ソフトに魅力を感じているものの、どの製品を導入すべきか判断できないとお悩みの人も多いでしょう。
そこでここでは、各企業が実施している工程管理業務に合うソフトの選び方を紹介します。比較にも役立つポイントを解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
【選び方1】機能との相性をリサーチする
まずやらなければならないのが、提供されているソフトの機能と、現在実施している工程管理業務との相性を調べることです。
例えば、機能が豊富なソフトを選んだとしても、特定の機能以外は使わないというケースも少なくありません。また主力の機能が、自社の悩み解決につながらないというケースもあるでしょう。
さらには、すでに別の製品でカバーできている機能などもあることから、導入前には上記のポイントを確認しておくことをおすすめします。
【選び方2】導入費用やランニングコストを比較する
建設工程管理ソフトは継続して利用を続けることから、以下に示す2点についてリストアップし、他製品と比較をすることが重要です。
- 導入費用
- ランニングコスト
例えば、サブスクリプション形式で、初月からランニングコストを支払うだけで利用できるSaaS型のソフトもあれば、初期導入費用が◯◯円、その後にランニングコストを支払うタイプの製品もあります。
それぞれ支払いの形式やトータルコストが違うため「1年の使用でいくら」「3年利用するといくら」というように将来かかる費用まで見越してソフトを選ぶことで、予算確保をしやすい製品を見つけられるでしょう。
【選び方3】トライアルを使って操作性を確認する
気になるソフトが複数ある場合には、まずトライアルを利用してお試しの導入から始めるのがおすすめです。
多くのソフトは30日間無料で利用できるトライアル期間が設けられており、トライアル期間中を通して機能や操作をチェックできます。
なかには「便利な機能は多いものの、操作性が悪く使いづらい」「操作手順が多すぎるせいで現場活用が難しい」というケースも少なくありません。建設工程管理ソフトの目的は現場への定着、従業員の利用、そして社内での連携であるため、どの製品がもっとも使いやすいのかを比較したうえで導入を検討しましょう。
おわりに
3Dを活用した建設工程管理ソフトは世界中で提供されており、日本でも活用できる便利な機能を利用できます。とはいえ、製品によって特性や用途が少しずつ異なります。また、金額の考え方などが変化する点にも注意しなければなりません。
国内向けのソフトだけではなく、世界向けのソフト導入を検討したい方は、ぜひ本記事の情報を参考にしてみてください。