課金を前提としたアプリやWEBサービスの開発では、オンライン決済システムの検討が必須です。BtoCだけでなくBtoBの領域でも定額制で利用できるサブスクリプション(以下、サブスク)が浸透した現在、ユーザーの要望に応えた決済方法を備えるとともに、セキュリティの面からも安心・安全なサービスの提供が求められます。
今回は、決済システムの概要を整理し、アプリ向けサブスク決済システムとしておすすめの3つのサービスをご紹介します。
アプリやWEBサービスの決済システムとは
まず、インターネットを介して決済を行うオンライン決済システムの概要と種類を解説します。
オンライン決済システムの概要
オンライン決済では、クレジットカードや電子マネーによる決済が一般化しています。また、従来からあった口座振り込みやコンビニ決済も使われています。スマートフォンのアプリの場合、契約している通信事業者の料金に加算するキャリア決済もあります。
サブスク決済では解約しない限り、月額の場合は翌月、年額の場合は翌年に自動的にシステム上で契約が更新されます。利用者は支払いを気にせず自由に使えるメリットがあり、運用する企業側にとっては管理負荷を軽減できます。
決済システムの種類
食料品や流通などの業態では、実店舗とオンライン決済の両方に対応している決済システムと、ECサイトに特化した決済システムがあります。
オンラインとオフラインの少額決済では「PayPay」がよく採用されています。全国の加盟店、ネットショッピングのほか、公共料金の支払いもできます。
ECサイトに特化した決済システムは、リンクによる画面遷移、APIによるデータ転送、JavaScriptの専用トークン、メールにリンクを記載して送信するなど、接続方式を選択できます。クレジットカード不要で、SMSに送信された4桁の認証コードを入力して使える「Paidy」のようなサービスもあります。
一方、クラウド上でネットワークを介してWEBサービスを提供するSaaS、サブスクリプションのアプリなどの課金では、プラン変更や人数の増減などに合わせて柔軟な対応が必要になります。「サブスクペイ」はサブスクリプションビジネスに最適化された決済システムで、顧客や決済情報の一元管理が可能です。
決済システム導入のメリット
決済システム導入の最大のメリットは、業務効率化といえるでしょう。複雑な入金をひとつにまとめて集計や経理処理ができるため、運用負荷を軽減できます。業務効率化以外の側面として、ユーザー側としては利便性の向上、企業側としてはリスクの低減があります。
1. 利便性の向上
クレジット決済を中心に多様なオンライン決済の方法がありますが、あらゆる利用者のニーズに応えることで使い勝手が向上します。登録時のほかには基本的に手続が不要になることから、継続的な利用を促進し、売上の増加にも貢献します。このように決済の煩わしさを解消することは、ビジネスを成功に導くために重要なポイントです。
2. リスクの低減
決済には、不正な取り引きや未払いが発生するリスクをはらんでいます。個人情報の漏えいなどセキュリティ面におけるリスクも考慮しなければなりません。多くの決済システムは、多様なリスク回避のためのサービスを備えています。被害に対する補償制度を設けている決済システムもあります。
サブスク決済システムのチェックポイント
続いてサブスク決済システムにフォーカスして、チェックポイントを取り上げます。
1.請求方法と請求のタイミング
さまざまな決済方法を提供する場合、運用面の負荷を検討しておくことが大切です。決済のタイミングは一般的には登録日のほか、15日、25日、月末などの期限で処理されます。請求のタイミングが複雑になると処理に負荷が生じます。登録や解約のときに発生する日割り計算が必要な場合は、システム上で対応できるようにします。
2.トライアル期間
トライアル期間を設定している場合、決済情報なしで利用できるのか、無償期間にも決済情報の入力が必要か、サービスの規約に合わせてシステムに適用することが必要です。
トライアル時に決済情報の入力を前提とすると、有償期間への移行がスムーズになります。しかし、利用者にとっては登録のハードルが高くなるため、トライアルの利用率を低下させます。企業側の視点だけではなく、利用者の視点も考えなければなりません。
トライアル期間から有償への移行に関しては、期間が過ぎたとき自動的に課金に移行するのか、アラートのメッセージを送信して継続利用を促すのか、利用者とのコミュニケーションも重要な検討事項です。
3. 解約、トラブル発生時
解約したときの規約にしたがって、解約時点で無償のユーザーに戻るのか、解約時から期日までは有償ユーザーとして利用できるのか、解約時点で日割り計算をして請求するのか、システム上で処理を明確に分ける必要があります。
クレジットカードの限度額の超過、期限切れなどによって、決済処理が失敗するトラブルも想定しておくことが必要です。アプリやWEBサービス上の告知、アラートの送付などの機能はもちろん、FAQなどによって利用者に分かりやすく説明することがサービス品質を高める上で重要といえるでしょう。
不正な取り引きによって損害を被る場合の補償制度を提供している決済サービスもあります。さまざまな側面からリスクを回避します。
アプリ向けサブスク決済システム3選
サブスク決済システムのチェックポイントを踏まえて、実績のある決済システムを3つご紹介します。
1. Stripe/ストライプジャパン株式会社
世界中の大企業からスタートアップまで幅広く利用され、クレジットカードや銀行との接続からブラウザによる決済フローまで対応するオンライン決済システムです。ソフトウェアとAPIを提供しています。
米国の成人のうち90%がstripeから購入経験があり、1日あたりのAPIリクエスト件数は2億5,000万件以上。サポートされている通貨と支払い方法は135種類以上あるといわれます。
システムは99.99パーセント以上の高可用性で運用され、機械学習モデルによってコンバージョン率、売上回収、不正使用などを学習して収益増加のために最適化を行います。
2. PayPal/ペイパルジャパン株式会社
認知度と信頼性でトップを誇る決済システムです。20年以上の実績があり、世界中の3億6,000万以上のユーザーが利用しています。共有リンクをシェアする簡単なサービスから、ECサイトの決済まで対応していることが特長です。
BtoBでは世界で2,700万以上の企業に採用され、エンタープライズ(大企業)向けと中小企業向けに最適化されたサービスを提供しています。機械学習による不正検知に加えて、運用条件を満たせばチャージバックや支払いの取り消しを回避する売手保護制度を設けています。
3. PGマルチペイメントサービス/GMOペイメントゲートウェイ株式会社
GMOグループの提供する通販・ECサイト向けの総合決済システムです。多様な決済方法を一括で導入できるメリットがあります。さまざまな決済を画面で一元管理できるほか、決済の手段によっては、複数の決済の締め日や入金日を統一することも可能です。カードに関する情報を保護して情報漏えいのリスクを回避できます。
セキュリティに関しては、機械学習を活用した不正取引防止サービスの「sift」、高度なスクリーニング技術で不正な利用を検知する「ReD Shield」、なりすまし防止の3Dセキュアなど安全な環境を提供しています。チャージバック補償団体保険も備えています。
ベトナムオフショアで決済サービスを利用したWEBシステム制作実績
ONETECHはベトナムでたくさんのWEBシステム開発の実績がございます。最近では直接課金をしたいというお客様が増えてきました。それに伴い決済サービスの導入事例も増えております。
Vimeo動画配信システム開発 サブスクリプション会員サイト
ファンクラブ会員サイト(サブスクリプション)を管理できるプラットフォームの追加開発。動画プラットフォーム「vimeo」を使いファンクラブ限定の動画配信システムを実現しました。STRIPEでサブスク決済を実現しています。
ECプラットフォーム「STORES(ストアーズ)」システム開発
ECサイト構築プラットフォームで有名な「STORES(ストアーズ)」のCSVファイルを 自動変換するシステムを開発しました。 基幹システムにアップロード可能な注文ファイルに自動変換、 新しいCSVファイルを自動生成しアップロード用のFTPサーバーに送信する中間システムを構築しました。
Windowsアプリのライセンス認証とサブスク課金サイト開発
クライアント様にて販売しているWindows用ネイティブアプリのサブスクリプションの認証サイトを開発しました。 WordPressをベースに課金の仕組みを開発、決済サービスは、「Stripe」を利用して実装しました。
世界で最も選ばれているECサイト「Shopify(ショッピファイ)」のカスタマイズ開発
最近話題のShopify(ショッピファイ)のカスタマイズ案件です。Shopify(ショッピファイ)には様々な機能を追加できるアプリケーションが用意されています。今回はサブスクリプション機能をカスタマイズして追加しました。
おわりに
アプリやWEBサービスの決済サービスは、サブスクリプションの拡大にしたがって多様な決済方法やトライアル期間の設定などが求められるようなりました。セキュリティ面からも信頼性の高い決済サービスを選択し、決済に関連するリスクを回避することがポイントです。