近年、クラウドレンダリングというサービスが、CG制作現場などで徐々に普及してきています。クラウドレンダリングを導入すれば、映像編集や3DCG制作をするときに、作業にかかる時間や費用といったコストを大幅に削減できる可能性があります。今回は、クラウドレンダリングの基本からメリットまで解説し、主要なサービスをご紹介します。
クラウドレンダリングとは
クラウドレンダリングは、「クラウド」と「レンダリング」という単語が合わさったものです。
簡単に言えば、クラウドはインターネット上で動くサービスのことです。レンダリングは、3DCG制作や映像編集などのコンピュータ作業においてイメージを処理することです。
つまりクラウドレンダリングとは、イメージ処理をインターネットの向こう側のコンピュータ(サーバー)で処理することを意味します。
レンダリングは特にコンピュータを使った映像やアニメーション動画、3Dデザインなどの製作時に行われる作業です。
クラウドレンダリングを導入するメリット
それでは、クラウドレンダリングを導入するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。3つご紹介します。
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サーバーの負荷を気にせずレンダリングできる
従来は、レンダリングの作業をするときにサーバーへ大きな負荷をかけてしまい、新しい仕事に自由に着手できないことがありました。
クラウドサービスなら、サーバーの負荷を気にせずレンダリングの作業ができるため、サーバーを増強せずに自由に作業することができます。
必要なソフトをライセンスフリーで使える
従来のレンダリングでは様々なソフトを使うため、複数のライセンスを保持している必要がありました。
ソフトの導入やライセンスの購入にはそれなりの費用がかかり、更新もしなければなりません。
しかしクラウドレンダリングを導入すれば、作業に必要なソフトをライセンスフリーで使用できる上、更新の必要もありません。
そのため、ソフト導入やライセンス購入にかかるコストを削減することができます。
サーバーを運用するコストが不要
自社でレンダリング作業をするには、コンピュータやサーバーの設置場所を用意する必要があります。さらにサーバー運用には電気代や人件費といったコストもかかります。
クラウドレンダリングでは、クラウド上で全ての作業が完結するため、こうしたコストが発生しません。
さらに、使用した分だけ料金を支払うシステムを採用しているクラウドレンダリングサービスもあるため、そのようなサービスを選べばさらなるコスト削減が可能です。
クラウドレンダリングサービスを紹介
ここからは、各社が提供しているクラウドレンダリングサービスを3つ紹介します。
ZYNC(Googleクラウドプラットフォーム)
ZYNCは、Google社が提供するクラウドレンダリングサービスです。
個人でも企業でも使いやすいサービスで、専用のサーバーや回線、レンダーライセンスを用意する必要がありません。
利用価格もリーズナブルで、さらに初回限定で60日間、$300の無料利用枠がプレゼントされます。
また、ZYNCのサービスはGoogleアカウントで管理することができるので、既にGoogleアカウントを持っていれば導入も楽です。
参考:Qiita「ZYNCネットワークレンダリングを利用する」
URL:https://qiita.com/karasusan/items/91b762b899f469d2ffe5
Azure Batch Rendering
Azure Batch Rendering は、Microsoft Azure上で構築されたサービスで3DCGレンダリングを行うサービスです。
クラウドの潤沢で柔軟性の高いコンピューティングリソースを利用することで、ユーザーが使いたいときに必要なだけ使う仕組みになっています。ユーザーはAzureが提供する各ソフトウェアのライセンスを利用できます。
プロジェクト中に負荷に応じてスケールアップまたはスケールダウンでき、必要な分だけコンピューティングとストレージ容量が割り当てられます。
割り当てられている容量に対して課金されるので、負荷がかかっていない内容については課金されず、作業に使用した分だけの支払いで済みます。
参考:Microsoft「Azureを利用したレンダリング」
URL:https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/batch/batch-rendering-service
Render Pool
Render Poolは、モルゲンロット社が開発・運用するクラウドベース分散型のレンダリングサービスです。
Render Poolは、複数のGPUを内蔵した数千のサーバーを利用することで、高速なレンダリングを可能にしました。
そのためこのサービスを利用すれば空き時間が増えるので、品質を高めるために別の作業を行ったりできます。
また使い方も簡単で、ワンクリックでRender Poolにアップロードできます。一度に1000フレーム以上のデータでも簡単にレンダリングできます。
今なら10万ポイントのデモ用クレジットをもらえるので、まずは無償体験で試してみることもできます。
参考:Render Pool 公式サイト
URL:https://jp.renderpool.net
まとめ
クラウドレンダリングについての基本からメリット、そして各社サービスを見てきました。
クラウドレンダリングを導入すれば、従来は大きな負荷だった処理時間を大幅に削減することができます。
サービスによっては使った分だけ課金されるシステムを採用しており、作業自体のコストパフォーマンスも高めることができます。
無料利用枠を作っているサービスも多いので、この機会にぜひ試してみてはいかがでしょうか。