商談や市場調査等の目的で日本からベトナムへ短期出張するためには、日本におけるビザ(在留資格)を取得する必要があります。ビザ取得のためには書類を準備し申請するのですが、書類の種類が多く、日本側の招聘機関等の協力も必要で、手続のハードルは高いです。今回は、ベトナムから日本へ短期出張する際に取得するビザや申請のための必要書類を解説します。
行政書士:柏木 太郎(カシワギ タロウ)
東証一部上場企業の法務部門での勤務を経て行政書士として開業。
行政書士として外国人のVISA申請を手掛けるとともに、法務部員としての
経験を活かし契約書の作成・修正や企業のコンプライアンスを受け持つ。
短期出張を行うためには「短期滞在」ビザを取得
日本からベトナムへ短期出張する際に取得すべきビザ(在留資格)は「短期滞在」ビザです。この「短期滞在」ビザは観光や在日親族訪問のためにも用いることができますが、短期出張の場合は短期商用等の目的で申請を行います。申請が許可されれば短期出張が可能となります。短期商用等を目的とする申請は、会議出席・文化交流・自治体交流・スポーツ交流等・商用目的の業務連絡・商談・契約調印・アフターサービス・宣伝・市場調査等を目的とするものです。
他にもビザはたくさんの種類がありますが、就労ビザの多くは日本の企業との雇用契約を前提としているためベトナムの企業で働いている方の短期出張には適しません。また、身分系のビザは家族が日本にいたり特殊な事情あったりして長期的に日本に在留することを目的とするため、こちらも短期出張には向きません。
短期滞在ビザの特徴
- 在留期間は90日以内
- ビザの更新は原則として不可能
- 収入を伴う活動や報酬を受ける活動を行うことはできない
短期滞在ビザは、“短期”と名付いているだけあり日本に在留できる基幹である在留期間が最長でも90日と短く設定されています。申請に係る事情次第で、15日・30日・90日のいずれかの在留期間が認められることとなります。
また、短期滞在ビザは原則として更新できません。許可された在留期間を超過するまでに帰国・出国が求められます。人道上のやむを得ない事情があれば更新できますが、短期出張において当該事情が生じる可能性は極めて低いでしょう。
短期出張では、前述した「短期商用等」の目的意外の活動はできません。特に、収入を伴う活動や報酬を受ける活動を行うことはできないという点は留意しておきましょう。例えば、日本で会社を経営する、アルバイトをするとった活動はできないのです。これら事業活動と短期商用等の目的とする活動は線引きがあいまいになりやすく、知らない間に「短期滞在」ビザでは認められていない活動を行い法令違反となってしまう可能性もあります。
短期出張目的の短期滞在ビザには2種類ある
短期出張を目的とした「短期滞在」ビザには、一次有効と数次有効の2種類があります。一次有効とは、有効期間内に一度だけ使用できるビザをいいます。一方、数次有効とは、有効期間内に何度でも使用できるビザをいいます。数次有効のビザは便利であるものの要件が厳しいため、一次有効のビザを取得するケースが多いです。以下では2種類のビザの申請要件を解説します。申請要件を満たさなければそもそも「短期滞在」ビザの申請すらできません。
一次有効のビザの申請要件
とくになし
商用目的での数次有効のビザの申請要件
- (1) 国公営企業の常勤者
- (2) 株式市場上場企業(第三国・地域を含む)の常勤者
- (3) 大使館/総領事館がある都市に所在する日系企業商工会(各都市の日本商工クラブ等を含む)の会員企業であり, かつ,本邦に経営基盤若しくは連絡先を有する日系企業(駐在員事務所を含む)の常勤者
- (4) 株式上場企業(日本及び第三国・地域を含む)が出資している合併企業,子会社,支店等の常勤者
- (5) 日本の株式上場企業と恒常的な取引実績がある企業の常勤者
- (6) 過去3年間に日本へ商用目的での渡航歴があり,かつ,過去3年間にG7(日本を除く)へ短期滞在での複数回の 渡航歴がある有職者
- (7) 過去3年間に日本へ商用目的での3回以上の渡航歴がある有職者
このように、商用目的での数次有効のビザを申請するためにはある程度の規模を有している企業の常勤者であったり頻繁に商用目的で渡航を行っていたりするなど、社会的信用が高いことが要求されます。
申請のための必要書類
次に、申請のための必要書類を解説します。個別事情により必要書類は増減します。
一次有効の「短期滞在」ビザの必要書類
● 申請人が用意する書類
- ①パスポート
- ②ビザ申請書
- ③申請人の顔写真
- ④利用予定の航空便又は船便の予約確認書等
- ⑤渡航費用支弁能力を証する書類(ex所属先からの出張命令書)
- ⑥在職証明書
- ⑦本人確認書類(ex出生証明書、運転免許証)
- ⑧補足資料(ex履歴書)
● 日本側の招聘機関等が用意するもの
- ①招聘理由書または在留活動を明らかにする書類
- ②滞在予定表
商用目的の数次有効の「短期滞在」ビザの必要書類
- ①パスポート
- ②ビザ申請書
- ③申請人の顔写真
- ④申請人が申請要件を満たすことを証する書類
- ⑤数次の渡航目的を説明する資料
- ⑥本人確認書類(ex出生証明書、運転免許証)
- ⑦補足資料(ex履歴書)
申請先
上記の書類の準備ができたら、申請人は、申請人の居住地を管轄する日本大使館または総領事館へ申請書類一式を提出しビザ申請を行います。日本国内で申請するわけではありませんのでご注意ください。
申請人側で申請を行うため、日本側で準備した書類は申請人へ送付しましょう。
まとめ
今回は、ベトナムから日本へ短期出張する際に取得するビザの種類やビザ申請のための必要書類を解説しました。短期出張の際はぜひこの記事を参考にしてみてください。
行政書士:柏木 太郎(カシワギ タロウ)
東証一部上場企業の法務部門での勤務を経て行政書士として開業。
行政書士として外国人のVISA申請を手掛けるとともに、法務部員としての
経験を活かし契約書の作成・修正や企業のコンプライアンスを受け持つ。
エンジニア不足に対応するONETECHグループの3つのソリューション
ベトナムオフショア開発
ONETECHでは、短期的なシステム開発のリソース不足の解決のためベトナムオフショア 受託開発、ラボ開発を提供しています。
ベトナムでの拠点づくり
GROWUP JVでは、中長期的な人材戦略パートナーとしてのベトナムでの拠点づくり。駐在員事務所の設立、支社の設立、ONETECHラボ開発での御社社員の開発管理、会社運営のためのバックオフィス支援を提供しています。日本語教育、ビジネスマナー教育、I T教育などの支援も行っています。
日本でのベトナム人チームの構築支援
ベトナム人募集サイト「GrowUpWork」では、多くのベトナム人エンジニアと出会うことが可能です。ホーチミンでの面接会や、ジョブフェアでの大学との連携は非常に高い評価をいただいております。すでに「GrowUpWork」を通じて、優秀なベトナムI Tエンジニアの採用に成功している企業様、また日本で活躍しているベトナムI Tエンジニアも増えております。
GROWUP JVには、来たる人材不足に備えるためのソリューションがありますので是非お気軽にお問い合わせください。
Website: https://growupwork.com/client