
老朽化したオフィスビルのフルリノベーションでは、既存設備の情報が揃っていないことも多く、配管のBIM化だけで数ヶ月かかることがあります。
あるサブコンでは、Rebroを使った既存配管のBIM化に652時間(約4ヶ月)を要しました。
点群スキャンからモデリング、配管修正までの工程を合計すると、
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現地スキャン:20時間
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点群データ整理:12時間
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点群モデリング:600時間
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Rebro修正:16時間
といった作業が必要になります。
例えば、機械室100㎡だけでもBIM化に約24時間かかるケースがあります。
また別の住宅会社では、品質管理担当が2名で全国50件の住宅を担当し、写真確認や現地チェックのため全国を飛び回っています。
さらに地方の住宅メーカーでは、人手不足のため外国人スタッフが現地調査を担当していますが、戦力化までに5年近くかかる可能性があるといいます。
こうした現場の声から見えてくるのは、建設業の人手不足が単なる「人数不足」ではなく、現場の時間が足りないという構造問題として現れているという事実です。
「ウチも人手が足りなくてさ…」
「若い子が入ってこないから、この先どうなることやら…」
こんな会話、もはや日常茶飯事になっていませんか?建設業界は長年、慢性的な人手不足という大きな壁に直面しています。特に2024年4月からはいよいよ時間外労働の上限規制(いわゆる「2024年問題」)が適用され、この問題はさらに深刻化すると見られています。もはや、この問題は避けては通れない、業界全体の喫緊の課題と言えるでしょう。
若年層の入職者が少なく、ベテラン層の高齢化が急速に進むという構造的な問題は、まさに「待ったなし」の状況です。でも、正直なところ、この人手不足って、一体どれくらい深刻なんでしょう?感覚的には分かっているけれど、具体的な数字で見てみると、その実態はさらに衝撃的かもしれません。
本ブログ「建設DXシリーズ」の第1回となるこの記事では、国土交通省の最新データや関連資料をひも解きながら、建設業界が抱える人手不足の現状を徹底的に深掘りしていきます。もはや精神論や根性論で乗り越えられるフェーズではない、この構造的な問題の核心に迫りましょう。
1. 建設業界の人手不足はどれほど深刻なのか

建設業界が直面する慢性的な人手不足
建設業界は、私たちの生活を支える社会インフラの整備から、日々の暮らしに欠かせない住宅や商業施設の建設まで、多岐にわたる重要な役割を担っています。しかし、その根幹を揺るがす喫緊の課題が「人手不足」です。これは決して新しい問題ではなく、長年にわたり業界が抱え続けてきた慢性的な課題であり、その深刻度は年々増しています。
特に、2024年4月からの時間外労働の上限規制(2024年問題)は、この人手不足に拍車をかけると同時に、業界の働き方そのものに大きな変革を迫っています。これまで「あって当然」だった長時間労働が制限されることで、「これまでと同じやり方では仕事が回らない」という事態が現実味を帯びてきたのです。
この問題の根源には、若年層の入職が極めて少ないことと、一方で業界を長年支えてきたベテラン層の高齢化が急速に進んでいるという、構造的なミスマッチがあります。若い力が十分に供給されず、熟練の技術が失われつつある現状は、まさに「世代交代の危機」とも言えるでしょう。
建設業界は本当にどれくらい人が不足しているのか?
感情的な「人手が足りない!」という声は日々聞きますが、具体的な数字として、建設業界は本当にどれくらい人が不足しているのでしょうか?そして、その不足は、私たちの社会にどのような影響を与えるのでしょうか?
感覚的な議論だけでは、具体的な対策は打てません。だからこそ、まずは客観的なデータに基づいて、現状の深刻度を正しく理解することが何よりも重要です。
次のセクションからは、国土交通省の公表データを用いて、建設業の就業者数の推移や年齢構造といった具体的な数字を読み解き、この人手不足問題の「骨格」を明らかにしていきます。
2. 国土交通省データから読み解く建設業就業者数の推移
「ピーク時からどれだけ減ったの?」
「このまま減り続けたらどうなるの?」
誰もが抱く疑問に、まずは数字で答えていきましょう。
ピークから約200万人の減少
国土交通省のデータが示す建設業就業者数の推移は、この業界の抱える課題を如実に物語っています。建設業就業者数は、1997年(平成9年)のピーク時には約685万人に達していました。当時の日本経済を支える一大産業であったことが伺えます。
しかし、その後の減少は非常に顕著です。2024年(令和6年)には、その数は約477万人まで減少しています。
ピーク時と比較すると、なんと約200万人もの就業者がこの業界を去った計算になります。これは全産業に占める建設業就業者の割合も低下させており、社会全体で見たときの建設業界の存在感や労働力の確保における競争力の低下を示唆しているとも言えるでしょう。
200万人という数字は、単なる統計上の数値ではありません。それは、多くの熟練技術者が現場を離れ、若手が業界を選ばず、一つ一つの建設プロジェクトを担う人手そのものが減り続けている現実を表しているのです。
グラフで見る減少傾向

https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001493958.pdf
もし、この就業者数の推移をグラフで見てみると、その減少傾向は一目瞭然です。右肩下がりで進む線は、過去20年以上にわたって一貫して建設業の就業者数が減少の一途をたどってきたことを示しています。
特に2000年代以降は、リーマンショックなどの経済状況も影響し、一時的な回復は見られたものの、全体としてのトレンドは変わっていません。この減少傾向は単なる一時的なものではなく、業界構造に根差した問題であることを強く示唆しています。
この数字から見えてくるのは、「人手不足」が漠然とした不安ではなく、すでに明確な「現実」として目の前にあるということです。そして、この減少傾向に歯止めがかからない限り、私たちはより困難な未来に直面することになるでしょう。
3. 建設業の年齢構造が抱える課題
建設業の人手不足を語る上で避けて通れないのが、就業者の「年齢構造」です。国土交通省のデータは、この業界が抱える高齢化と若手不足という深刻な問題を浮き彫りにしています。
高齢化の進行:55歳以上の割合
「最近、現場に若い子が見当たらないんだよね…」
建設現場でよく聞くこの言葉は、まさに現実を言い当てています。国土交通省のデータによると、建設業就業者に占める55歳以上の割合は、2024年時点で36.7%に達しています。
これは、全産業平均の32.4%と比較しても、建設業界の高齢化が顕著に進んでいることを示しています。約3人に1人以上が55歳以上のベテラン層であるという事実は、彼らが長年培ってきた知識や技能が、この業界を支えている証拠でもあります。
しかし、同時にこれは、彼らが引退を迎える時期が迫っていることを意味します。彼らの大量引退は、単なる人数の減少にとどまらず、長年の経験と勘に基づいた熟練の技術やノウハウが失われる「技能継承の危機」を招くことにもつながりかねません。
若手不足の深刻化:29歳以下の割合
一方で、高齢化と対照的に深刻なのが「若手不足」です。29歳以下の若年層の割合は、2024年時点で11.7%と極めて低い水準に留まっています。
これは、全産業平均と比較してもかなり低い数字であり、建設業界がいかに若者から選ばれにくい業界になっているかを示しています。新しい力が入ってこなければ、いくらベテランが頑張っても、いずれは限界が訪れます。
この若手不足は、単なる「人手が足りない」という問題以上の意味を持ちます。それは、業界の活力の低下、新しいアイデアや技術の導入の遅れ、そして何よりも未来への投資が不足している状況を映し出しているのです。
建設業を支える中間層の空洞化
高齢層が多く、若年層が少ないという年齢構成の偏りは、必然的に「中間層の空洞化」を招きます。
熟練技能者から若手へと技術やノウハウを継承する役割を果たすべき30代、40代の層が薄くなると、次のような問題が発生します。
- 技能継承がスムーズに進まない:担当者が不在の場合、手待ち時間が発生したり、業務が滞ったりすることが多いです。
- 現場のマネジメントを担う人材が不足する:中堅層の不足は、プロジェクト管理やリーダーシップの育成にも影響を及ぼします。
- 新しい技術や働き方への適応が遅れる:新しい知識や変化への対応を推進する役割を担う人材が不足します。
ベテランの経験と若手の新しい視点を繋ぐ「橋渡し役」が不足することで、業界全体の生産性維持や持続的な成長に大きな影響を与えることは想像に難くありません。この年齢構成の課題は、まさに建設業界が抱える構造的な問題の象徴であり、早急な対策が求められています。
4. なぜ建設業で若手不足が起きるのか

データが示すように、建設業界は深刻な高齢化と若手不足に直面しています。では、なぜ若者は建設業を選びにくいのでしょうか?その背景には、長年にわたる業界特有の課題が横たわっています。
建設現場では、特定の人に業務が集中する「属人化」が起きやすいという課題があります。
例えば、既存設備のBIM化や現地調査は、経験のある技術者しか対応できないケースが多く、業務が特定の人に集中します。
実際に、老朽化したオフィスビルの設備調査では、700㎡のワンフロアの天井設備調査に4時間以上かかることもあります。
現地調査は多くの場合1人で行われるため、担当者の負担は非常に大きくなります。
また、オフィスの入居工事では、建築士が150㎡程度の現地調査を約3時間かけて実施し、
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CAD図面をPDFで印刷
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手書きで寸法や設備をメモ
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事務所でCADへ再入力
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レポート作成
という作業を行うケースも珍しくありません。
本来は設計や判断に集中すべき資格者が、こうしたノンコア業務に多くの時間を使っていることが、生産性低下の一因となっています。
長時間労働の常態化
建設業のイメージとして、「キツイ、汚い、危険」という「3K」が挙げられることは少なくありませんが、特に「キツイ」の象徴が長時間労働でしょう。
2023年度における建設業の年間平均労働時間は2,018時間でした。これは、他産業の平均と比較して62時間も長いというデータが示しており、建設業において長時間労働が常態化していることを如実に物語っています。
さらに、多くの他産業では当たり前となっている「週休2日制」の導入も、建設業界では依然として遅れています。国土交通省の調査では、建設工事全体で「4週6休程度」が最多という状況であり、若者にとって大きな障壁となるでしょう。プライベートの時間を確保しにくい環境は、ワークライフバランスを重視する現代の若者にとって、建設業を敬遠する大きな理由の一つとなっているのです。
2024年4月からの時間外労働の上限規制(原則として月45時間、年360時間)は、この長時間労働の是正を目指すものですが、単に規制するだけでなく、労働生産性の向上とセットで考える必要があります。
他産業との賃金差

https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r06/hakusho/r07/html/n1111000.html
「大変な仕事の割には、給料が…」
これもまた、建設業でよく聞かれる正直な声かもしれません。2023年における建設業生産労働者の年間平均賃金は432万円でした。しかし、全産業平均(非正規雇用を除く)が508万円であることを考えると、建設業の賃金水準は他産業と比較して低い水準にあることが分かります。
長時間労働という厳しい環境で働くにもかかわらず、賃金面での見返りが他産業よりも少ないとなれば、若年層が建設業界を敬遠するのも無理はありません。将来の生活設計を考える上で、収入の安定性や成長性は非常に重要な要素であり、この賃金差が若年層の入職を妨げる大きな一因となっているのは間違いないでしょう。
賃金の引き上げは、人件費として企業にとって大きな負担となり得ますが、優秀な人材を確保し、定着させるためには避けて通れない課題です。
業務の属人化と非効率性
建設現場では、特定の個人、特に熟練の技術者やベテランに業務が集中しがちな傾向があります。これは「この仕事はあの人にしかできない」「あの人なしでは現場が回らない」といった状況を生み出し、まさに「業務の属人化」と言われる問題です。
属人化が進むと、以下のような問題が発生します。
- 作業の引き継ぎが困難になる:担当者が不在の場合、手待ち時間が発生したり、業務が滞ったりすることが多いです。
- 知識やノウハウが共有されない:特定の個人の中に情報がとどまり、組織全体としての知見が蓄積されにくいです。
- 若手育成の機会損失:ベテランの業務が忙しく、若手を指導する時間が確保できないため、人材育成が滞ります。
- 労働時間の増加:業務が集中するため、特定の人の残業が増え、長時間労働に拍車がかかります。
これにより、全体として非効率な状況が生まれやすく、これが若手から見たときに「働きにくさ」「成長しにくさ」につながってしまっています。
デジタル化の遅れと魅力の低下
現代の若者にとって、仕事を選ぶ上で「かっこよさ」「スマートさ」も重要な要素です。しかし、建設業界は他産業と比較してデジタル化の導入が遅れていると言わざるを得ません。
手作業や紙ベースでの業務が多く、最新のテクノロジーが十分に活用されていない現場もまだまだ存在します。これが、次のような悪循環を生み出しています。
- 生産性の低さ:非効率な業務プロセスが原因で、同じ時間で生み出せる成果が他産業よりも少ない傾向にあります。
- 若年層にとっての魅力低下:IT技術やデジタルツールを使いこなすことが当たり前になった世代にとって、「アナログな業界」というイメージは敬遠される要因となるでしょう。
もちろん、BIM/CIMやICT施工、ドローン活用など、ICT(情報通信技術)を活用した業務効率化の取り組みは進んでおり、現場における機械化の進展や施工技術の向上により、労働力(就業者)の金額原単位は令和5年度に21.7%減少しており、労働生産性改善の取り組みが進んでいることも事実です。しかし、一層の推進と業界全体への普及が課題であることは変わりません。
デジタル技術の導入は、単なる効率化だけでなく、業界のイメージアップ、ひいては若手人材の確保にも直結する重要な要素なのです。
5. 今後の労働者数の予測と構造的な問題
現在の状況を理解したところで、次に目を向けるべきは「未来」です。今のままでは、建設業界の労働者数はどうなってしまうのでしょうか?すでに迫り来る「2025年問題」や「2030年問題」が、その厳しさを物語っています。
団塊世代の大量引退と「2025年問題」
日本の人口構成において大きな影響力を持つ「団塊の世代」。この世代が、2025年には全員が75歳以上の後期高齢者となります。この社会全体の高齢化の波は、建設業界にも大きな影響を及ぼします。
2025年には、75歳以上の人口が2,000万人を超え、全人口の約18%に達すると推計されています。建設業界を長年支えてきた熟練技能者の多くがこの団塊の世代に含まれており、彼らの大量引退が予測されています。これが、いわゆる「2025年問題」です。
建設業においても約90万人もの労働者不足が生じるとの予測もあります。熟練技能者の引退は、単に「人が減る」だけでなく、長年培われた専門知識、高度な技術、そして現場での判断力といった、OJTだけでは簡単に習得できない貴重な「知恵」が失われることを意味します。これは、建設品質の維持、安全性の確保、そして若手への適切な指導に大きな影を落とすでしょう。
「2030年問題」が示す未来
2025年問題のその先に控えているのが、「2030年問題」です。この頃には、日本国内の総人口の減少と高齢化がさらに進み、国内人口の3人に1人が65歳以上になると推計されています。
このような深刻な人口動態の変化の中で、建設業界の労働力はどのように推移していくのでしょうか。国土交通省の試算は、非常に厳しい未来を示唆しています。建設業の就業者数は、このまま新規入職者の増加が進まなければ、将来的に大幅な減少が予測されています。
技能者・技術者不足の深刻化
さらに具体的に、職種別の減少予測も見てみましょう。令和7年版国土交通白書によると、
- 建設技術者数は2020年以降、5年ごとに約1.5~3.0%減少
- 建設技能労働者数は5年ごとに約7~8%減少
すると予測されており、高齢化は今後も進展すると見られています。これは、現場の最前線で作業を担う技能労働者の減少ペースが、技術的な管理・監督を担う技術者の減少ペースよりも速いことを示しています。つまり、現場で手を動かす人が特に急速に減っていくというわけです。
この予測が現実になれば、単に「人が足りない」だけでなく、「専門的な技術や知識を持った人がいない」という、より深刻な「質」の問題に直面することになります。これは、日本の建設技術力そのものの低下を招きかねない、極めて憂慮すべき事態と言えるでしょう。
これらの予測は、もはや「他人事」では済まされない、業界全体で取り組むべき構造的な課題であることを強く私たちに突きつけています。
6. 人が減ると何が起きるのか?
これまでのデータから、建設業界の人手不足がいかに深刻であるか、そして今後さらに悪化する可能性が高いことが明らかになりました。では、実際に人が減り続けると、私たちの社会には一体何が起こるのでしょうか?
工程の詰まりが発生
人手不足が進むと、現場ではまず「工程の詰まり」が発生します。
特に詰まりやすいのは、
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現地調査
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設備確認
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図面作成
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BIMモデリング
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報告書作成
といった情報処理に近い工程です。
例えば、老朽化したオフィスビルの設備BIM化では、配管モデリングだけで600時間以上かかるケースがあります。
この工程が詰まると、
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設計が遅れる
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見積が遅れる
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施工が待ちになる
といった形で、プロジェクト全体のスケジュールに影響します。
つまり、建設業の人手不足は単に「作業員が足りない」問題ではなく、設計・調査・情報処理のボトルネックとして現れるケースが増えているのです。
人手不足が招く社会インフラへの影響
建設業の人手不足は、単に「工事が遅れる」「コストが上がる」といった経済的な問題に留まりません。私たちの生活に直結する、より深刻な影響を及ぼす可能性があります。
まず、日本の社会インフラ、例えば道路、橋、トンネル、上下水道、ダムなどの維持管理が困難になります。高度経済成長期に整備されたこれらのインフラは、老朽化が進んでおり、定期的な点検や補修が欠かせません。しかし、それを担う人材が不足すれば、次のような事態が懸念されます。
- インフラの劣化が放置され、事故のリスクが高まる:メンテナンス不足により、予期せぬ事故や故障が発生しやすくなります。
- 予防保全が追いつかず、大規模な改修が必要となるケースが増える:小さな不具合が放置され、結果として大規模な費用と時間のかかる工事が必要になることがあります。
- 災害発生時の復旧作業が遅延し、被災地の復興に支障をきたす:災害からの迅速な復旧・復興にも、十分な建設労働力が必要です。
また、都市開発や再生、さらには防災・減災対策といった新たな建設需要が高まる中で、人材供給のミスマッチが拡大すれば、これらの重要なプロジェクトに支障をきたす可能性も出てきます。私たちの「安全・安心」な暮らしの基盤が揺らぎかねない、極めて深刻な問題なのです。
不足しているのは何人なのか?そしてそれは労働時間に換算するとどれくらいなのか?
「人手不足」という言葉は、とかく「頭数」の不足として語られがちです。「あと何人いれば解決するのか?」と。しかし、私たちはこの問題をもっと深く、本質的に捉え直す必要があります。
単に「人が足りない」というだけでなく、次のような視点が重要です。
- 一人あたりの労働負荷はどれくらい増しているのか?
- その負荷を解消するためには、単純に何人増やせばいいのか?
- それとも、一人ひとりの「労働生産性」を向上させることで、不足分を補えるのか?
例えば、年間2,018時間も働いている建設業の労働者が、もし他産業並みの1,956時間に労働時間を短縮できたとしたら、その「浮いた時間」は、一体どれだけの労働力に相当するのでしょうか?
あるいは、現在非効率な業務によって発生している無駄な時間を削減できれば、それは新たな人材を雇用するのと同じくらいの効果を生み出すかもしれません。
「人手不足」を「労働時間の不足」という視点から捉え直すことで、私たちは単なる「人集め」ではない、より本質的な解決策、すなわち「働き方の変革」や「生産性の向上」へと目を向けることができるはずです。
7. 次回予告:建設業の「労働時間」と「労働生産性」から読み解く人手不足の本質
建設業界の人手不足は、単に「人が足りない」という表面的な問題に留まらず、その背景には長時間労働、低い労働生産性、そしてそれらが招く若手離れという構造的な問題が横たわっていることを、今回の記事で具体的に見てきました。
このブログ「建設DXシリーズ」の第2回となる次回記事では、厚生労働省のデータに基づき、建設業の平均賃金、年間労働時間、そして労働生産性の現状をさらに深掘りします。
「人手不足を『労働時間』で考える」という新たな視点から、建設業界が抱える課題の核心に迫り、なぜ「人が足りない」と感じるのか、その本当の理由と、そこに隠された解決のヒントを探っていきます。
建設DX推進の第一歩は、現状を正しく理解することから始まります。ぜひ次回の記事もご期待ください!
建設業界の人手不足の現状と将来予測|国土交通省データから読み解く構造問題(建設DXシリーズ第1回)
建設業の人手不足は「時間」の問題?データで経済損失を暴く(建設DXシリーズ第2回)
建設業界の2024年問題に挑むDX。施工管理者・設計者のノンコア業務に潜む年間数千億円規模の時間ロス(建設DXシリーズ第3回)
建設DX!施工管理・設計のノンコア業務をLiDAR、AI、BIM、クラウドを活用し、施工管理・設計のノンコア業務をDXで自動化・効率化(建設DXシリーズ第4回)