建設業の人手不足は「人数」じゃなくて「時間」の問題だった? データで暴く見えない負担と経済的損失
「人手不足=採用が難しい」という話は、もう十分に聞いてきた。
ですが現場で起きているのは、“人数”というよりも、もっと具体的な**「時間の不足」**です。
例えば、老朽化したオフィスビルのフルリノベーションで、既存配管を点群からBIM化(モデリング→Rebro調整)するだけで652時間(約4ヶ月)かかったケースがあります。
その背景には、既存図が不正確/不足で、点群にもノイズや欠損があり、結果として現地での再確認が何度も発生する、という“時間が溶ける条件”が重なっていました。
また、700㎡のワンフロアで天井内の設備調査を行う場合、DXFがあっても4時間以上かかることがあります。記録が紙→後入力だと、現場での記録と事務所での転記が二重化し、調査時間だけでなく「整理・入力」の時間も膨らみます。
本記事では、人手不足を「労働時間不足」として捉え直し、業界全体でどれくらいの時間が失われ、どれくらいの経済損失になっているのかを、データと計算で可視化します。
1. 建設業の人手不足、その本質への問いかけ

第1回の要約:建設業就業者数の劇的な減少
前回の記事でも触れたように、日本の建設業は今、まさに「人材の荒波」に揉まれています。数字で見ると、その深刻さは一目瞭然です。
皆さん、この数字を見てください。
- 1997年:約685万人
- 2024年:約479万人
約27年間で、なんと200万人以上もの就業者数が減少しているんです。数字で見ると、その深刻さは一目瞭然です。ピーク時の3分の1近くの人が業界から去ってしまった、ということになります。
この劇的な減少は、単に「人が減った」という表面的な問題に留まりません。現場では「仕事があるのに人が足りない」「若手が入ってこない」「ベテランの技術が継承されない」といった声が日増しに大きくなっています。
発注者からの無理な納期、増え続ける業務量、そして何より、現場で働く皆さんの負担増…。これはもう、日本の社会インフラを支える建設業にとって、まさに死活問題と言えるでしょう。
建設業界の人手不足の現状と将来予測|国土交通省データから読み解く構造問題(建設DXシリーズ第1回)
人手不足は本当に「人数」の問題だけなのか?
しかし、私たちはここで立ち止まって、根本的な問いを投げかけたいと思います。人手不足とは、本当に単なる「人数」の減少だけの話なのでしょうか?
もちろん、人が減っているのは事実です。ですが、その「減った人数」が、現在の業界に「どれだけの労働時間の穴」を空けているのか、そしてその穴を埋めるために「既存の労働者がどれだけ余計に働いているのか」、さらには「どれだけの経済的損失を生み出しているのか」——この本質的な部分を数値で可視化できてこそ、真の解決策が見えてくるはずです。
現場で「時間が溶ける工程」は概ね共通しています。私たちがヒアリングでよく聞くのは、①調査 ②拾い出し(図面化・BIM化)③発注者との調整です。
次章以降の試算は、この“見えない時間”を定量化するための土台になります。
今回の記事では、「人数」という固定観念から離れ、「労働時間」という流動的な視点から人手不足を再定義します。そして、具体的な計算式と公的なデータを用いて、その見えざる負担と経済的影響を定量的に炙り出していきます。
そう、これはまるで建設業界の健康診断。あなたの会社、あなたの現場は、一体どれくらいの「時間的負債」を抱えているのでしょうか?
なお、この「時間不足」は立場によって現れ方が違います。
-
サブコン:設備調査・拾い出し・干渉調整・BIM化に時間が集中する
-
住宅会社/工務店:現地調査→図面化→報告書作成の“人依存”がボトルネックになる
-
デベロッパー/管理会社:改修案件が積み上がり、調査と設計の待ちが長期化する
本記事の計算は、この「現場の詰まり」を定量化するための土台になります。
2. 人手不足を「労働時間」に換算する:見えざる負担の可視化
さて、本題に入りましょう。まずは「減ってしまった人数」が、業界全体にとって「どれだけの労働時間の不足」になっているのか、具体的な数字で見ていきましょう。
結論:就業者減少は、年間約41億時間の労働時間不足に相当します。
式1:不足労働時間の算出
減少した人数が、どれだけの年間労働時間に相当するのか。これを計算するロジックはいたってシンプルです。
不足労働時間 = 減少人数 × 年間労働時間
「年間労働時間」は、一体どのくらいの時間を基準にすればいいでしょうか? 厚生労働省のデータを見てみると、建設業の年間総実労働時間(パートタイムを除く一般労働者)は、2022年で2027時間となっています。これを基準として計算してみましょう。
- 減少人数の算出:
- 1997年就業者数:約685万人
- 2024年就業者数:約479万人
- 減少人数 = 685万人 – 479万人 = 206万人
- 年間労働時間:
- 建設業の年間総実労働時間(2022年):2027時間
上記のデータを「不足労働時間」の計算式に当てはめてみましょう。
不足労働時間 = 206万人 × 2027時間 = 4,175,620,000時間
どうですか、この数字。「41億時間超え」ですよ!
これ、一瞬で「うわ、とんでもない数だな」って思いませんか? 単に「200万人減った」と聞くのと、「年間41億時間以上もの労働力が失われた」と聞くのでは、そのインパクトが全く違いますよね。これは、業界全体が背負っている、とてつもなく大きな「時間負債」と言い換えることができるでしょう。
この41億時間という膨大な時間は、1997年当時であれば、約206万人の人々が一年間働いていた合計時間です。しかし今、この時間が文字通り「消滅」してしまっているわけです。
この不足時間は、単に“現場作業”が回らないという意味ではありません。実務では、既存図が不正確/不足だったり、点群にノイズや欠損があったりして、現地再確認や手戻りが発生します。
こうした手戻りは「人数を増やせば解決」というより、情報の整備やプロセス改善なしには減りにくい“時間コスト”として積み上がります。
この「消滅した時間」の重みが、今の建設業界の現場にどれほどのし掛かっているのか。それが次のステップで明らかになります。
3. 現在の労働者一人あたりの「追加負担時間」を解析する
結論:不足分を現在の就業者で割ると、1人あたり年871時間分の負担に相当します。
さて、業界全体で41億時間以上もの労働時間が不足していることがわかりました。では、このとてつもない量の「穴」を、現在残っている約479万人の建設業就業者たちが、一体どれだけ肩代わりしているのでしょうか?
式2:一人あたり追加労働時間の計算
この不足している労働時間を、現在の建設業就業者数で割ることで、一人あたりに課せられている「追加の労働時間」、つまり「見えない残業時間」を算出することができます。
一人あたり追加労働時間 = 不足労働時間 ÷ 現在の労働者数
先ほど算出した「不足労働時間」と、現在の建設業就業者数を当てはめてみましょう。
- 不足労働時間:4,175,620,000時間
- 現在の労働者数(2024年):約479万人
上記のデータを式に当てはめます。
一人あたり追加労働時間 = 4,175,620,000時間 ÷ 479万人 ≈ 871時間/人
年間約871時間という結果になりました。
これは1日8時間換算で約109日分に相当し、月換算で約9日間、常に余計に働いている計算です。現場負担としては極めて大きい水準です。
週休二日制の定着が課題の中で、この追加負担は現場の持続性を損なう水準です。
この数字は、今の建設業界で働く皆さんが、どれほど過酷な労働環境に置かれているかを如実に物語っています。多くの現場で「残業が当たり前」「休日出勤もやむなし」といった状況が常態化していますが、それはまさに、この「871時間」という見えない負担が根底にあるからに他なりません。
この「追加負担時間」は、もちろん単純計算であり、個々の業務内容や企業の規模によって実態は異なります。しかし、業界全体の傾向として、一人ひとりの肩にこれだけの重圧がのしかかっていると理解すれば、目の前の労働環境の改善がどれほど喫緊の課題であるか、改めて認識できるのではないでしょうか。
社員のモチベーション低下、離職率の増加、過労による健康問題、そしてヒューマンエラーのリスク増大…これら全てが、この「871時間」という数字の先に繋がっているのです。
4. 「働き方改革」で求められる「必要削減時間」とは

さて、ここまでで建設業界には年間41億時間もの不足があり、それを現在の労働者が年間約871時間も肩代わりしているという衝撃の事実が明らかになりました。
しかし、ご存知の通り、建設業は2024年4月から労働基準法の改正により、時間外労働の上限規制が適用されています。これは、これまで「例外」として扱われてきた建設業にも、いよいよ「働き方改革」の波が本格的に押し寄せたことを意味します。つまり、これまでの「追加負担時間」を「見て見ぬふり」することは、もはや許されない状況なのです。
では、この「働き方改革」を実現し、より健全な労働環境を築くためには、一人あたりどれくらいの労働時間を削減する必要があるのでしょうか?
式3:目標達成に必要な削減時間の定義
現状の年間労働時間から、私たちが目指すべき「目標とする年間労働時間」を設定することで、「必要削減時間」を割り出すことができます。
必要削減時間 = 現在の年間労働時間 − 目標労働時間
ここでポイントとなるのは、「目標労働時間」をどう設定するかです。日本の「働き方改革」が目指す大きな方向性の一つに、週休二日制の定着や残業時間の削減があります。例えば、完全週休二日制(年間約104日の休日)と祝日、年末年始などを考慮し、さらに無理のない残業時間を含むと、年間労働時間は約1800時間程度が現実的な目標として挙げられることが多いです。これは、OECD諸国の平均などと比較しても、より人間らしい働き方に近づくための目安と言えるでしょう。
- 現在の年間労働時間(2022年):2027時間
- 目標とする年間労働時間:1800時間 (例:週休二日制の定着と無理のない残業時間を考慮した仮定)※ここでは「週休二日を前提にした現実的な目標値」として仮置きしています。
上記のデータを式に当てはめてみましょう。
必要削減時間 = 2027時間 – 1800時間 = 227時間
この「227時間」という数字。これが、建設業で働く一人ひとりが、健康で文化的な最低限度の生活を送り、家族との時間や自己啓発に充てる時間を確保するために、年間で最低限「削らなければならない時間」なんです。
この数字は、先ほどの「追加負担時間871時間」と合わせて考えると、さらに重みを増します。本来、871時間もの「見えない残業」をこなしているところに、さらに「227時間の削減」が求められている。ぶっちゃけ、めちゃくちゃハードル高いですよね?
しかし、これは「やらないといけないこと」なのです。2024年問題は、単なる罰則強化ではありません。業界全体の生産性向上、人材定着、ひいては持続可能な発展のための、待ったなしの警鐘なのです。
そして重要なのは、この負担を“気合い”で吸収する時代が終わったことです。
これまで現場を圧迫してきた「調査・拾い出し・発注者調整」のような時間コストは、上限規制の下では吸収しきれません。削減すべき時間を、業務改善とDXで捻出する必要があります。
5. 「簡易労働生産性」で見る建設業の現状
さて、ここまで「労働時間の不足」という観点から、建設業の現状を見てきました。しかし、労働時間が減れば、当然ながら企業の生産性にも影響が出てきます。ここでは、少し簡易的な指標ではありますが、「労働生産性」という視点から建設業界の課題を浮き彫りにしてみましょう。
ここで注意点があります。賃金は生産性そのものではありません。
ただし、DX投資対効果を議論する際に「時間1時間あたりのコスト」を置くことは有効です。
以降では、賃金データを用いて“時間の金額換算”を行います。
簡易指標による労働生産性の算出
一般的な「労働生産性」は、例えば「付加価値額 ÷ 労働者数」や「付加価値額 ÷ 労働時間」で算出されます。しかし今回は、より手軽に、そして賃金という「労働の対価」に焦点を当てて、簡易的な指標を考えてみます。
ここでは、「一人あたりの賃金」を「簡易労働生産性」として捉えてみます。これは、労働者が生み出す価値の一部として受け取る賃金が、どれくらいの水準にあるのかを示す指標です。
簡易労働生産性 = 総賃金 ÷ 労働者数
この式で「総賃金 ÷ 労働者数」を行うと、結局は「一人あたりの賃金」になりますよね。つまり、ここでは「一人あたりの賃金」を、その労働者が生み出す(と期待される)価値の簡易的な尺度として用いるわけです。
- 平均月額賃金(2023年):349,000円
- 平均年収(近似):349,000円 × 12ヶ月 = 4,188,000円
この平均年収(近似値)418.8万円が、簡易的ながらも「一人あたりの労働生産性(賃金ベース)」として捉えられます。
この指標が示す、建設業界の生産性課題の側面を考察してみましょう。もし労働時間が過剰にもかかわらず、一人あたりの賃金が伸び悩んでいるとしたら、それは「時間あたりの付加価値が十分に高められていない可能性」を示唆します。
つまり、「長く働いている割には、生み出している価値(対価として受け取る賃金)が十分に高くない」という課題が浮き彫りになるわけです。例えば、単純な作業に多くの時間を費やしている、非効率な業務プロセスが多い、高付加価値な仕事に集中できていない、といった状況が背景にあるのかもしれません。
人手不足が深刻化し、一人あたりの負担が増大している中で、もしも生産性が停滞していれば、それは従業員の疲弊だけでなく、企業の収益性にも直結する問題です。賃金を上げたくても、生産性が上がらなければ企業は体力が持ちません。結果として、賃金は上がらず、若者は魅力を感じず、さらに人手不足が加速するという悪循環に陥るリスクがあるのです。
この簡易的な指標は、建設業界が抱える「賃金と生産性のバランス」という課題を示唆しています。そして、このバランスを改善するためには、やはり「いかに効率よく、より高い価値を生み出すか」という問いに向き合う必要があります。
6. 削減されるべき「時間の経済的価値」を算出する
さて、ここまでで「人手不足が引き起こす時間不足」と「働き方改革で必要な時間削減」が見えてきました。そして、その削減が必要な時間が年間227時間であることも分かりました。
では、この「削減されるべき227時間」は、経済的に見てどれくらいの価値があるのでしょうか? 時間は金なり、と言いますが、具体的に金額に換算してみましょう。これが分かれば、建設DXへの投資がどれほどのリターンを生むのか、具体的な数字で語れるようになります。
時間単価と削減価値の明確化
現場で時間が膨らむ典型例の一つが、紙で記録して後から入力する運用です。
調査そのものに時間がかかるだけでなく、写真整理・転記・CAD反映・報告書化が二重化し、結果として「削減すべき時間」が見えにくくなります。
だからこそ、次のように“時間を金額で見える化”すると、改善余地が議論しやすくなります。
まずは、労働時間1時間あたりの「経済的価値」、つまり「時間単価」を算出します。
時間単価 = 平均年収 ÷ 年間労働時間
これは、従業員一人に対して支払われる年収を、その従業員が実際に働いている時間で割ることで、「1時間あたりどれくらいのコストがかかっているか」あるいは「1時間あたりどれくらいの価値を生み出すことが期待されているか」を簡易的に表す指標となります。
- 平均年収(近似):4,188,000円 (前章で計算)
- 年間労働時間(2022年):2027時間
上記のデータを式に当てはめます。
時間単価 = 4,188,000円 ÷ 2027時間 ≈ 2066円/時間
これは意外と高いと感じる人もいるかもしれませんね。「1時間あたり2066円」。もちろんこれは賃金だけを考慮した簡易的な数字ですが、企業が従業員を雇用し、その労働時間に対して支払っている直接的なコスト(または期待される価値)がこれだけある、ということです。
次に、この時間単価を使って、「年間227時間の削減」がもたらす経済的なメリットを具体的に算出してみましょう。
削減価値 = 時間単価 × 必要削減時間
- 時間単価:約2066円/時間
- 必要削減時間:227時間 (第4章で計算)
上記のデータを式に当てはめます。
削減価値 = 2066円/時間 × 227時間 ≈ 469,000円/年
一人あたり年間で約46.9万円もの経済的価値が生み出されるという結果になりました。
これは驚くべき数値となります!
この46.9万円という金額は、単なるコスト削減というだけでなく、「余剰時間の創出によって得られる価値」としても捉えられます。例えば、
- 人件費削減: 残業代削減に直結し、企業のコストを直接的に減らす。
- 生産性向上: 削減された時間で、より付加価値の高い業務に集中できるようになる。
- 離職率低下と採用コスト削減: 労働環境改善により従業員満足度が向上し、離職を防ぐ。新規採用にかかる費用(求人広告費、研修費など)も削減できる。
- 従業員の健康とモチベーション向上: 過労による疾病リスクが減り、従業員が健康に働き続けられる。結果的に生産性が向上する。
- 新たな価値創造: 削減された時間を研修や自己啓発に充てることで、従業員のスキルアップや新しいアイデアの創出に繋がる。
まさに、この約47万円/年という数字が、「建設DXへの投資対効果」を考える上での強力な根拠となるわけです。一人あたり年間47万円の価値を生み出せるなら、それを実現するためのITツールやシステム、コンサルティングへの投資は、十分にペイする可能性を秘めていると言えるでしょう。
7. まとめ:人手不足は「時間不足」、そして「コスト」である
皆さん、ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございます! 建設業の人手不足という長年の課題を、「人数」ではなく「労働時間」という切り口で深掘りしてきました。その結果、見えてきたのは、業界が抱える想像以上に深刻で、具体的な「時間的負債」と「経済的損失」でした。
本記事の結論と建設DXへの示唆
今回の分析で明らかになった主要なポイントを改めて振り返ってみましょう。
- 就業者数の劇的な減少: 1997年のピークから2024年までに200万人以上が減少し、業界全体で年間41億時間以上もの労働時間が不足している。
- 一人あたりの過剰な負担: この不足を補うために、現在の建設業就業者一人あたり年間約871時間もの「見えない残業」を強いられている可能性がある。
- 働き方改革で必要な削減時間: 健全な労働環境を目指すには、一人あたり年間227時間の削減が必須である。
- 削減時間の経済的価値: この227時間の削減は、一人あたり年間約46.9万円もの経済的価値を生み出すポテンシャルを秘めている。
つまり、建設業の人手不足は、単なる「人がいない」というシンプルな問題ではなく、具体的には「労働時間の圧倒的な不足」であり、それが現在の従業員に過度な負担を強いることで、結果的に「生産性の低下」や「離職リスクの増大」、そして「莫大な経済的コスト」として企業にのしかかっている、という非常に複雑で深刻な構造を持っていることが明らかになりました。
一人ひとりが過剰な労働を強いられ、疲弊していく中で、建設業の未来を明るく描くことはできません。2024年問題は、もはや待ったなしの状況。この「時間不足」というコストを認識し、真剣に削減に取り組むことこそが、建設業界が生き残り、発展していくための唯一の道だと言えるでしょう。
そして、その具体的な解決策として、最も強力な武器となるのが建設DXです。非効率な業務プロセスを見直し、デジタル技術を活用して、これまで手作業で行っていた業務、あるいは「なんとなくやっていた」業務を効率化・自動化する。これによって、一人あたり年間227時間、ひいては871時間という「時間負債」を解消し、その時間をより価値の高い仕事や、従業員の心身の健康、自己成長に充てていくことができるはずです。
8.次のアクション:まず「時間不足」を3分で試算してみる
本記事の計算は業界全体の概算です。次は、貴社の業務に置き換えて「どこで何時間溶けているか」を見える化すると、打ち手が明確になります。
-
(診断) 現地調査/図面化/BIM化/報告書作成…貴社の工程を入力すると、年間の時間損失を概算できる「簡易診断(3分)」
-
(事例) 設備調査・BIM化・報告書作成など“情報処理工程”の短縮事例(PDF)
-
(相談) 現状ヒアリング(15分)— 課題整理のみ。提案は次回
※次回(第3回)では、施工管理者・設計者のノンコア業務に焦点を当て、どこをDXすべきかをさらに具体化します。
次回予告:第3回「施工管理者・設計者のノンコア業務DXの必要性」
今回の記事で、建設業の人手不足が具体的な「時間不足」であり、それが「コスト」として跳ね返ってくることが数値で可視化できたかと思います。
では、実際にどの業務をDXすれば、最も効果的に時間を削減できるのでしょうか? そして、具体的に誰の時間を削減すべきなのでしょうか?
次回の第3回では、本記事で得た知見を土台に、建設業における主要な職種である「施工管理者」や「設計者」に焦点を当てます。彼らが日々行っている業務の中から、特に「ノンコア業務」、つまり本来の専門業務ではない、付帯的な業務をピックアップし、その削減によってどれほどの時間とコストが浮くのかを、さらに深掘りして分析していきます。
次回は、フェルミ推定も活用しつつ、施工管理者や設計者の人数、賃金総額を推定し、どの業務のDXが最も時間削減に貢献するのかを、具体的なデータとロジックで解き明かす予定です。
業界の未来を切り拓くための具体的な一歩を、ぜひ次回の記事で一緒に考えていきましょう。建設DXは、もはや「選択肢」ではなく「必須」の戦略です。次回の記事も、ぜひお楽しみに!
建設業界の人手不足の現状と将来予測|国土交通省データから読み解く構造問題(建設DXシリーズ第1回)
建設業の人手不足は「時間」の問題?データで経済損失を暴く(建設DXシリーズ第2回)
建設業界の2024年問題に挑むDX。施工管理者・設計者のノンコア業務に潜む年間数千億円規模の時間ロス(建設DXシリーズ第3回)
建設DX!施工管理・設計のノンコア業務をLiDAR、AI、BIM、クラウドを活用し、施工管理・設計のノンコア業務をDXで自動化・効率化(建設DXシリーズ第4回)