施工管理と設計の「情報処理」をDXする|建設DXが本当に変えるべき業務とは
建設業界の皆さん、こんにちは!ONETECHのブログ、第4回へようこそ。
深刻な人手不足や生産性低下が叫ばれる昨今、「建設DX」という言葉を聞かない日はないですよね。ロボットが現場を動き回り、重機が自動で動く…そんなSF映画のような未来を想像していませんか?
もちろん、それも素晴らしいDXの形です。しかし、実はもっと身近で、もっと本質的なDXのボトルネックがあるんです。
今回は、施工管理者や設計者の皆さんが日々「これ、どうにかならないかな…」と思っているであろう、あの“ノンコア業務”に潜む「情報処理」の課題にスポットを当てます。建設DXが本当に変えるべきはここなんだ!という熱いメッセージをお届けします。最新技術が織りなす新しいワークフローと未来像、ぜひ最後までお付き合いください!
1. はじめに:建設業のノンコア業務が招く時間ロスとその本質

1.1. 第3回の要約:施工管理者・設計者を悩ませる膨大なノンコア業務
「現場は人手不足で、もう限界!」——こんな声が、全国各地の建設現場から聞こえてくるようです。
それもそのはず、国土交通省の統計によると、建設業就業者の約35%が55歳以上、29歳以下はわずか約12%と、他産業と比較しても高齢化が顕著に進んでいます。 若手が入ってこない、ベテランは引退していく…この現状、本当にヤバいですよね。
前回の記事でフェルミ推定した通り、施工管理者や設計者の皆さんは、現場を動かす本来業務の他に、報告書作成、図面整理、写真管理、数量拾い、進捗記録、現地調査、協力会社との調整といった、膨大な数の「ノンコア業務」に追われています。ぶっちゃけ、これらの業務が日々の残業時間の原因になっていたり、せっかくの休日を返上して片付けている、なんて方も少なくないんじゃないでしょうか?
これらのノンコア業務は、日本の建設業界が抱える労働生産性低下の主要因です。そして、よ〜く見てみると、その多くが「情報処理業務」なんです。手書きのメモ、Excelへの転記、デジカメ写真のPCへの取り込みと整理、メールや電話での確認…アナログなプロセスに依存しているがゆえに、莫大な時間ロスと非効率が生まれているんですよね。
1.2. 情報処理DXによる課題解決
だからこそ、本記事では、この見過ごされがちな「情報処理業務」に焦点を当てます。建設DXが単なる現場作業の自動化に留まらず、いかにしてこの情報処理の「ムダ」をなくし、「自動化」していくか。その具体的な方法と、最先端技術を活用した解決策を、とことん解説していきます。
建設DXの真髄は、実は現場でガシガシ働くロボットだけではありません。もっと地味だけど、確実に皆さんの働き方を変える「情報処理の自動化」にある。このメッセージを、今回しっかり受け取っていただきたいと思います!
2. 建設DXの真髄:現場作業より情報処理の自動化
2.1. 誤解されがちな建設DXのイメージ
「建設DX」と聞いて、どんなイメージが浮かびますか?
おそらく、多くの人が思い浮かべるのは、ロボットが自動でレンガを積んだり、ドローンが資材を運んだり、はたまた巨大な重機がAIの指示で無人で土砂を掘削する…といった、いわゆる“派手な”現場作業の自動化ではないでしょうか。メディアで取り上げられるのも、そういったインパクトのある事例が多いですよね。
もちろん、それらの技術開発や導入も重要ですし、将来的には建設現場の風景をガラリと変える可能性を秘めています。しかし、建設DXの議論がそうした「現場作業の自動化」に集中しがちなことで、その本質が少し見えにくくなっている気がするんです。まるで、目の前の派手な花火に目を奪われて、その奥にある壮大な打ち上げシステムを見落としているようなものですね。
2.2. 情報処理こそが最大のボトルネック
実を言うと、建設プロセス全体を見渡した時、真に効率を阻害し、プロジェクト全体の足を引っ張る最大のボトルネックは、この「情報処理」なんです。
考えてみてください。設計図書の修正指示が電話やFAXで飛び交い、現場写真がデジカメからPCに手動で取り込まれ、それをExcelに貼り付けて、また別の書類に転記…。一つの情報が、デジタルとアナログの間を何往復もしているうちに、情報の分断や連携不足が発生し、それが手戻りや遅延、果ては品質問題へと繋がっていく。これって、建設業界に限らず、どんな業界でも非効率の典型じゃないでしょうか?
現場作業の自動化も大切ですが、その現場がどう動くべきかの指示、そして現場で何が起きたかのフィードバック、これらすべては「情報」として扱われます。この情報がスムーズに、正確に、そしてタイムリーに処理されなければ、どんなに素晴らしい自動化ロボットも宝の持ち腐れ。建設DXの真髄は、まさにこの「情報処理」の変革にある、と言っても過言ではないのです。
3. 施工管理業務における情報処理の現状と課題
3.1. 「情報収集 → 記録 → 整理 → 報告」の繰り返し
施工管理業務って、結局のところ「情報処理のサイクル」で成り立っていると思いませんか?
朝から晩まで、現場のあちこちで情報を集め、それを記録し、整理して、関係者に報告する。この繰り返しです。
例えば、現地調査では測量、進捗確認、不具合箇所の特定を行います。写真管理では工程写真、品質管理写真、安全管理写真の撮影と整理が必要です。出来高管理では進捗に応じた出来高の算出と記録を行い、品質管理では検査結果の記録、材料試験結果の管理が重要です。さらに、報告書作成では日報、週報、月報、安全書類、検査書類など、山のような書類作成が求められます。
これら一つ一つが、現場の状況を「情報」として捉え、適切な形に「処理」していく作業ですよね。
3.2. アナログな情報処理による非効率
しかし、これらの情報処理業務が未だにアナログな手法に依存しているケースが少なくありません。
紙の図面に手書きでメモを書き込み、デジカメで撮った写真をPCに繋いでフォルダに整理し、それをまたWordやExcelに貼り付けて報告書を作成。協力会社とのやり取りは電話やFAXが中心…。
こういったアナログな手法が、情報伝達の遅延(「あの情報、まだ来てないんだけど?」)、転記ミス(人が手で入力する以上、ヒューマンエラーは避けられない)、情報の散逸(誰かのPCの中、紙のファイルの中…「あのデータどこいった?」)、確認作業の重複(現場と事務所で同じ情報を何度も確認)といった非効率を生み出しています。結果として、施工管理者の皆さんの長時間労働の一因になっているんです。せっかく現場で汗水流して集めた情報が、後処理の段階でロスを生んでしまうなんて、もったいなくないですか?
4. 設計業務における情報処理の現状と課題
4.1. 設計も情報処理が中心
「設計って、クリエイティブな仕事じゃないの?」
もちろんです!素晴らしい建物を生み出す設計者の仕事は、まさにクリエイティブの結晶です。しかし、そのクリエイティブなアウトプットに至るまでには、膨大な「情報処理」が不可欠なんです。
具体的には、既存図面整理では過去のデータや関連法規の確認を行います。現況調査では敷地や周辺環境のデータ収集が必要です。CAD/BIM作成では構想を具体的な形にするためのデジタルモデリングを行い、設備数量拾いでは設計図から必要な資材の数量を算出します。さらに、設計変更管理では施主や関係者からの要望、現場状況に応じた修正と記録が求められます。
これらも全て、情報を集め、加工し、整理し、アウトプットする作業ですよね。設計段階でデータ連携や情報交換がスムーズに行われないと、その後の施工工程で手戻りやトラブルが発生するリスクが跳ね上がってしまいます。
4.2. ツールやフォーマットの非統一が招く情報分断
設計業務における情報処理の大きな課題の一つは、関係者間で利用しているツールやフォーマットがバラバラであること。これ、すごく「あるある」ですよね。
設計事務所はA社のCADを使っている、ゼネコンはBIMを導入している、下請けの協力会社は未だに紙の図面がメイン、といった状況が往々にしてあります。
こんな状況だと、せっかくデジタルデータとして存在する情報も、別のツールに移行する際に変換作業が発生したり、そもそも互換性がなくて手入力し直したり…。「あれ?このデータ、最新版はどれだっけ?」なんて情報が散逸するリスクも高まります。
まさに「情報分断(サイロ化)」の状態です。これでは、どんなに高性能なツールを個別に導入しても、プロジェクト全体としての生産性はなかなか上がりません。それぞれの部署や会社で最高のパフォーマンスが出せていても、連携で躓いてしまうのは、もどかしいですよね。この情報分断こそが、設計業務ひいては建設プロジェクト全体の効率を大きく阻害しているんです。
5. 情報処理DXの具体的なアプローチ:主要技術と活用

さて、ここからは本題です!施工管理と設計のノンコア業務に潜む「情報処理」の課題を、どうやってDXで解決していくのか。その具体的なアプローチと、キーとなる最新技術をご紹介します。
5.1. ① LiDAR:現場の3Dデータ取得を革新
LiDAR(ライダー)ってご存知ですか?レーザー光を対象物に照射し、その反射光が戻ってくるまでの時間で距離を測る技術です。これを使うと、現場の状況を高速かつ高精度に3Dデータ(点群データ)として取得できるんです。
今までは、測量士さんが専用の機器を使って計測したり、ドローンで空撮したりと、それなりの手間とコストがかかっていました。しかし、最近ではなんとスマートフォン、特にiPhone ProシリーズにもLiDARセンサーが搭載されているって知ってました?これにより、誰もが手軽に、ポケットの中のスマホで現場を3Dスキャンできる時代が来ているんです。
これにより、現況把握の迅速化(数分で広範囲の3Dデータを取得可能)、高精度な計測(人の目では見落としがちな微細な凹凸や傾斜も正確にデジタル化)、非接触での計測(危険な場所や立ち入りにくい場所でも安全にデータ取得)といったメリットが生まれます。もう、巻き尺片手に何時間も現場を歩き回る必要がなくなるかもしれませんね!
5.2. ② 点群処理:現況のデジタル化と解析の基盤
LiDARで取得したデータは、無数の点の集まり、「点群データ」と呼ばれます。このままではただの点の集まりですが、ここからが「情報処理」の腕の見せ所です!
取得した点群データは、ノイズ除去、座標の統合、メッシュ化といった処理を経て、実際の現場を忠実に再現した「デジタルモデル」として活用されます。これまでの2次元図面では決して捉えきれなかった、現場の「奥行き」や「形状」といった三次元の情報を、まるごとデジタルで記録できるんです。
例えば、既存建物の改修工事で正確な既存躯体寸法を把握したり、土木工事で切盛土の出来形管理を行ったり、構造物の経年劣化状況を定期的に記録し変化を比較したり、といった使い方が可能になります。まるでタイムカプセルに現場の姿をデジタルで封じ込めるようなものですね。この点群データが、次のAI解析やBIM連携の強力な基盤となるんです。
5.3. ③ AI解析:数量・不具合・進捗の自動化
点群データや画像データが揃ったら、次はAI(人工知能)の出番です!
AI技術は、施工管理や設計の情報処理を劇的に変える可能性を秘めています。手作業で行っていた、時間のかかる煩雑な作業を、AIがサクッと自動でこなしてくれるようになるんです。
具体的には、点群データから床面積、壁面積、土量などを自動で計算する数量の自動拾い出しで積算業務が劇的に効率化されます。また、既存構造物のひび割れや変形、施工中の品質基準からの逸脱などを、画像や点群データからAIが自動で検知する不具合の自動検出も可能です。さらに、撮影された現場写真や点群データと設計モデルを比較し、工事の進捗率を自動で算出する進捗状況の自動判定も実現します。
これにより、手作業による確認作業が大幅に削減され、正確性とスピードが格段に向上します。
実は、AIは写真の整理や報告書の作成、データ入力といった作業を自動化し、作業効率の向上、生産性向上、リスク回避、業務品質の改善、技術・ノウハウの蓄積・継承に貢献するポテンシャルを秘めているんです。 まるで、優秀なアシスタントを何人も雇ったようなものですね!
5.4. ④ BIM連携:設計データの一元化と活用
BIM(Building Information Modeling)は、単なる3D CADではありません。建物の3Dモデルに、資材の種類、数量、コスト、工程、維持管理情報といったあらゆる「属性情報」を付加し、設計から施工、維持管理までを一貫して管理する「情報モデル」です。
BIMと点群データを連携させると、その真価をさらに発揮します。
LiDARで取得した現況点群データとBIMモデルを重ね合わせることで、設計通りに施工されているか、あるいは既存構造物に予期せぬズレがないかなどを、一目で確認できるため、現況と設計の乖離を即座に把握できます。これにより、手戻りや手直しを未然に防ぎ、コスト削減に繋がります。
また、設計段階でBIMモデルに集約された情報は、施工計画、資材調達、工程管理、品質管理へとシームレスに引き継がれ、関係者間で常に最新の、そして統一された情報が共有されるため、情報の一元管理によって情報分断の問題が解消されます。
ちなみに、国土交通省は土木分野のCIM(Construction Information Modeling)と統合し、「BIM/CIM」として土木・建設分野を横断した3次元データ活用を強力に推進しています。 BIM/CIMは、建設事業をデジタル化し、関係者間のデータ活用・共有を容易にすることで、事業全体における一連の建設生産・管理システムの効率化を図るもの、と位置付けられているんですよ。 もはや、建設DXの「核」とも言える技術ですね。
5.5. ⑤ クラウド:情報共有とコラボレーションの基盤
どんなに素晴らしいデータが生成されても、それが共有されなければ意味がありません。そこで活躍するのがクラウドサービスです。
クラウドは、インターネットを介して、図面、写真、工程表、各種報告書などの情報をリアルタイムで共有できる仕組みを提供します。現場にいながら最新の図面を確認したり、事務所から現場の進捗状況をリアルタイムで把握したり、協力会社と瞬時に情報をやり取りしたり…まるで、全員が同じ空間で仕事をしているかのような感覚になります。
クラウド技術を活用することで、現場と事務所、協力会社の間でリアルタイムに情報を共有でき、情報伝達の遅延や連絡ミスを防ぐことが可能になるんです。
これにより、情報伝達のスピードアップ(現場からの報告がリアルタイムで共有され、意思決定が迅速化)、ミスの削減(最新情報に常にアクセスできるため、古い情報に基づく作業ミスが減少)、遠隔地からの管理(現場に行かなくても、オフィスのPCから現場状況を把握・指示することが可能に)といったメリットがあります。
クラウドは、まさに建設DXにおける情報連携の「神経」のような役割を果たすんです。これからの建設業に、クラウドはなくてはならない存在になっていくでしょう。
6. 新しいワークフロー:情報処理DXが変える業務プロセス
さて、これらのテクノロジーがどう組み合わさって、私たちの働き方をどう変えるのでしょうか?従来のワークフローと、DX後の新しいワークフローを比較してみましょう。
6.1. 従来のワークフローの課題
ちょっと想像してみてください。
「よし、今日の進捗確認だ!」と現場に出て、巻尺とデジカメと手帳を手に、ひたすら計測と撮影とメモ。事務所に戻ったら、デジカメからPCに写真を取り込み、フォルダ分け。撮り忘れた写真がないか、メモと照らし合わせながら確認。
次に、Excelを開いて数値を入力し、報告書のフォーマットにコピペ。CADで図面修正があったら、また別のソフトで対応…。協力会社からの問い合わせには、過去の紙の書類を引っ張り出して確認したり、電話で何度もやり取りしたり…。
これって、まさに「現地調査 → 写真撮影 → メモ → 図面作成 → Excel入力 → 報告書作成」といった、手作業とデータ転記が中心の非効率なプロセスですよね。一つ一つの作業は当たり前のように見えますが、これが積み重なることで、膨大な時間と手間、そしてミスの温床を生み出しています。
6.2. DX後の新しいワークフロー
では、情報処理DXが進んだ未来のワークフローはどうなるでしょうか?
現場では、施工管理者がスマートフォンやタブレットのLiDARを使って現場を数分でサッと3Dスキャンします。この瞬間に、現場の精密な3D点群データがクラウドに自動アップロードされます。事務所のPCでは、AIがその点群データとBIMモデルを照合し、資材の数量を自動で拾い出し、出来形を判定し、設計との乖離箇所や不具合を自動で検出。さらに、進捗率も自動で計算し、日報や報告書のフォーマットにデータを自動生成してくれる、といった具合です。
まるで魔法のようですが、これが実現可能な未来のワークフローです。
具体的には、「3Dスキャン(LiDAR) → 点群データ生成 → AI解析(数量・不具合・進捗) → BIM連携 → 自動レポート生成」といった、一連の情報処理がほとんど自動化・効率化されます。
これにより、施工管理者は現場にいなくても現場状況を「見る・把握する・判断する」ことが可能になります。これこそ、まさに「遠隔現地調査(遠隔臨場)」の実現です。現場への移動時間やコストが削減され、より多くの現場を効率的に管理できるようになります。
さらに、RPA(Robotic Process Automation)の活用も忘れてはいけません。RPAは、PC上で行う定型的な事務作業を自動化するソフトウェアロボットのこと。工事台帳更新や出来高(査定)反映、協力会社情報の取り込みといった、面倒なデータ入力や転記作業をRPAが肩代わりしてくれるんです。 これにより、転記ミスや残業を削減し、施工管理者が本来業務である「現場での判断」「品質・安全管理」「関係者との密なコミュニケーション」といった、人間にしかできない業務に集中できる体制が実現するんです。
7. ONETECHの取り組み:建設DX研究開発の方向性
私たちONETECHも、この「情報処理DX」こそが建設業界の未来を拓く鍵だと信じ、日々研究開発に取り組んでいます。
7.1. iPhone LiDARによる現場スキャン技術
私たちは、誰もが手軽に持ち運び、高精度な3Dデータ取得が可能なiPhone LiDARに注目しています。この技術を活用することで、特別な測量機器や高度なスキルがなくても、誰もが簡単に現場の3Dデータを取得できるようなシステムを開発中です。
「現場でスマホを取り出してサッとスキャン」——これが当たり前になる日を目指しています。これにより、熟練の職人さんから若手の技術者まで、誰でも気軽にデジタルツイン構築の入り口に立てるようになります。
7.2. 点群からのBIM生成とAI解析
LiDARで取得した点群データを、いかにBIMモデルとして活用するか。そして、その点群データからAIがいかに価値ある情報を引き出すか。これが、私たちの研究開発の大きな柱です。
具体的には、点群からのBIMモデル自動生成(既存建物の改修やリノベーションにおいて、現況モデルを自動でBIM化する技術)、AIによる不具合検出・数量抽出(点群データからひび割れや変形などの不具合を自動で検知したり、必要な資材の数量を自動で抽出したりする技術)、施工管理データの自動生成(撮影された現場写真や点群データから、進捗状況や出来形をAIが自動判定し、日報や報告書を自動で作成する技術)に取り組んでいます。
これらの技術は、施工管理者や設計者のノンコア業務を大幅に削減し、彼らが本当に集中すべき「価値創造」の業務に時間を割けるようにすることを目的としています。
7.3. 情報処理の根本的な変革を目指す
私たちの取り組みは、単に便利なツールを開発することに留まりません。施工管理や設計といった建設業の中核を担う業務における「情報処理」そのものを、根本的に変革することを目指しています。
情報処理の効率化と自動化を通じて、建設業全体の生産性を向上させ、長時間労働の是正、そして魅力的で持続可能な働き方を実現する。これが、ONETECHが建設DX研究開発に情熱を注ぐ理由です。
8. 今後の建設DX:現場のデジタルツインが拓く未来
8.1. デジタルツイン:現実と仮想の融合
今後の建設DXを語る上で、避けては通れないキーワードが「デジタルツイン」です。
デジタルツインとは、現実世界の物理空間(リアルな建設現場)をデジタル上で精密に再現し、そこにリアルタイムのデータ(LiDARによる点群データ、IoTセンサーデータなど)を反映させることで、あたかも双子(ツイン)のようにリアルとデジタルが連動するシステムのことです。
これにより、私たちは現場に行かなくても、オフィスのPCやタブレットから、現場の隅々までリアルタイムで「見る」「測る」「シミュレーションする」ことができるようになります。
具体的には、工事の効率化(事前の綿密なシミュレーションで無駄を排除)、リスク管理の向上(潜在的な問題をデジタル上で早期に発見し対策)、将来的には建設現場全体の最適化(資材の搬入タイミング、重機の配置、作業員の動線など、あらゆる要素をデジタル上で最適化)が期待できます。
ただし、デジタルツインの導入には、初期コスト、膨大なデータの管理、そしてそれを扱う技術者の育成といった課題も存在します。 しかし、これらを乗り越えた先には、圧倒的な生産性向上と、より安全で効率的な建設プロセスが待っています。
8.2. 点群、AI、BIMの統合によるワークフロー変革
LiDARで取得した高精度な点群データ、AIによる高度な情報解析、そしてBIMによる設計から維持管理までの一貫した情報統合。これら三つの技術がシームレスに連携することで、建設業のワークフローは劇的に変革します。
デジタルツインという未来の基盤の上で、情報収集から解析、共有、意思決定までが自動化・高速化され、人間はより高度な判断や創造的な作業に集中できるようになるでしょう。建設現場が、もっとスマートで、もっと働きやすい場所へと変わっていくはずです。
8.3. 国土交通省の推進と中小企業への普及
このような建設DXの動きは、国も強力に後押ししています。国土交通省は2016年より「i-Construction」を推進し、2025年度までに建設現場の生産性を2割向上させることを目指しています。 さらに、2024年4月には「i-Construction 2.0」を策定し、2040年度までに省人化率3割、生産性1.5倍を目標に掲げているんです。 中小企業へのICT普及拡大に向けた支援策も講じられており、DXはもはや大企業だけの話ではありません。
国を挙げての取り組みが進む中、私たち建設業界全体で、この波に乗り遅れないようにする必要があります。
9. まとめ:人手不足ではなく「情報処理不足」の解消へ
9.1. 建設業の課題の本質は情報処理不足
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
建設業が直面する課題は、表面的な「人手不足」だけではなく、その根底にある「情報処理の非効率」と「自動化の遅れ」に起因する「情報処理不足」である、ということを強く感じていただけたのではないでしょうか。
現場の人が足りないからといって、闇雲に人を増やそうとしても、情報処理のボトルネックが解消されなければ、結局は同じことの繰り返しになってしまいます。むしろ、人件費というコストだけが増えて、生産性は頭打ち…なんて状況にもなりかねません。
9.2. 情報処理DXがもたらす生産性向上
だからこそ、施工管理と設計のノンコア業務における「情報処理」を徹底的にDXすることが、建設業界の未来を拓く鍵なんです。
情報処理の自動化と効率化によって、労働生産性の劇的な向上(無駄な作業がなくなり、限られた人員でより多くの価値を生み出せる)、長時間労働の是正(人手に頼っていた作業が自動化され、残業時間が削減)、人材確保・定着(魅力的でスマートな職場環境が、若手人材の確保とベテランの定着に繋がる)といった好循環が生まれる可能性があります。それは、働く人にとっても、会社にとっても、そして建設業界全体にとっても、まさに「三方よし」の状況ですよね。
9.3. デジタル技術を戦略的に活用する重要性
残念ながら、建設業におけるDXの取り組み状況は進んでいるとは言い難いのが現状です。独立行政法人情報処理推進機構の2023年調査によると、すでに実施している企業は2割程度に過ぎず、約8割が未実施。そのうち60.5%が検討すらしていない状況だそうです。
この数字は、裏を返せば、これからDXに取り組む企業には大きな成長のチャンスがあるということ。デジタル技術をただ導入するだけでなく、自社の業務プロセスを深く理解し、どこに「情報処理」のボトルネックがあるのかを見極め、戦略的に自動化・高度化していく視点が不可欠です。
建設業の持続可能な発展のためには、もはやデジタル技術の活用は避けて通れません。
ONETECHは、これからも建設DXの推進を支援し、皆様と共にスマートな未来を築いていきたいと願っています。
建設業界の人手不足の現状と将来予測|国土交通省データから読み解く構造問題(建設DXシリーズ第1回)
建設業の人手不足は「時間」の問題?データで経済損失を暴く(建設DXシリーズ第2回)
建設業界の2024年問題に挑むDX。施工管理者・設計者のノンコア業務に潜む年間数千億円規模の時間ロス(建設DXシリーズ第3回)
建設DX!施工管理・設計のノンコア業務をLiDAR、AI、BIM、クラウドを活用し、施工管理・設計のノンコア業務をDXで自動化・効率化(建設DXシリーズ第4回)
References:
建設業の就業者数と技能者数の推移 – 国土交通省. https://www.mlit.go.jp/common/001476831.pdf
建設業の現状と課題 – 建設産業戦略会議. https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001594950.pdf
「人手不足」を感じる企業は5割超。建設業では7割近くに – 帝国データバンク. https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p240201.html
令和4年労働時間調査結果の概況 – 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/wagakuni/2022/dl/r04_02.pdf
建設業の働き方改革の現状と課題 – 国土交通省. https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s204_hatarakikata.html
建設業における時間外労働の上限規制(2024年問題)とは? – 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04618.html
建設業を取り巻く現状 – 国土交通省. https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/content/001602166.pdf
令和4年賃金構造基本統計調査の概況 – 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/index.html
施工管理の平均年収は? | 仕事内容とやりがい、資格について – マンパワーグループ. https://www.manpowergroup.jp/client/jinji/survey/126.html
建築士の平均年収は?仕事内容から資格取得方法まで徹底解説 – 建設・設備求人データベース. https://www.kensetsu-d.jp/contents/architect-salary.html
建築士の年収は?給料が高い建築士の特徴や年収アップの方法を解説 – 建築転職. https://kenchiku-tenshoku.jp/media/architect-salary/
建設業の施工管理技士、残業時間の平均は?削減するための対策も紹介 – 建築・建設業界専門メディア「けんせつプラス」. https://www.kensetsu-plus.com/column/detail/20230206103310.html
働き方改革とDXで変わる設計者の未来 – オートデスク. https://www.autodesk.co.jp/blogs/architecture-engineering-construction/future-of-designers-with-work-style-reform-and-dx
建設業界のBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)の活用例 – 株式会社パソナ. https://www.pasona.co.jp/clients/bpo/kensetsu/
労働力調査 長期時系列データ – 総務省統計局. https://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/03.html
労働時間 – 日本労働研究雑誌. https://www.jil.go.jp/jil/j_lex/14_1_JIL.html
建設DXとは?推進ステップと成功事例、課題解決のヒント – 富士通. https://www.fujitsu.com/jp/innovation/digital-transformation/dx-column/construction-dx/
建設DXとは?注目される背景やメリット、具体的な事例を紹介 – NEC. https://jpn.nec.com/dx/blog/20230214.html