ある程度長い歴史を持った会社において、レガシーシステムを抱え込んでしまう問題に悩まされているケースが見られるようになってきました。
現在一般的なシステム環境よりも旧型で、なおかつ自社での修正などが難しくなってしまったものは「レガシーシステム」と呼ばれています。
今回は、そんな「負の遺産」とも呼べるこの環境がもたらす問題点や、効果的な解決策についてご紹介していきます。
レガシーシステムの課題
まず、レガシーシステムがもたらす課題について見ていきましょう。
現行環境よりも遅れているレガシーシステムを使い続けることで、いくつかの問題が次第に鮮明化していきます。
「2025年の崖」問題
一つは、「2025年の崖」と呼ばれる経済的な損失です。
経産省の発表によると、レガシーシステムの運用によって生まれる経済的損失は、近い将来看過できないものになるとされています。
日本全体では2025年以降、年間で最大12兆円もの損失が生まれるという試算もあり、各企業における損失も大きなものとなるでしょう。
参考:経産省「D X レポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_01.pdf
最新システムの運用に遅れも
また、レガシーシステムの運用は、現行の環境で盛んに利用されているクラウド技術など、利便性の高いサービスの利用が制限されてしまうリスクもはらみます。
パートナー企業との情報共有やシステムの共有を行う際、レガシーシステムの運用を続けていると、思うような連携が取れないケースも増えてきてしまいます。
先進的なデジタル化を推し進めている企業との取引の機会損失も発生してしまいかねず、レガシーシステムの刷新はもはや急務であると言えるでしょう。
レガシーシステムのオープン化について
レガシーシステムを取り巻く問題の解決策として、オープン化と呼ばれるアプローチに注目が集まっています。
具体的なオープン化のアプローチとは
オープン化とは、その名の通り公共の場へ開かれたシステムやサービスの運用へと以降していくことを指しています。
レガシーシステムが「レガシー」となってしまったのは、クローズドに構築された自社専用コンピューター環境が要因です。
一般医普及されているOSやハードウェアを導入し、積極的な外部のアプリケーションやクラウドプラットフォームを活用することで、オープンな環境を構築できます。
これにより、現代的で優れたオペレーション環境へと刷新できるだけでなく、他の企業とのコミュニケーションも円滑になっていくことでしょう。
注目されるマイグレーション
オープン化を進めていく上で重視されている概念が、マイグレーションです。
マイグレーションは、レガシーシステムにおいて有用なシステムやデータを、新しいプラットフォームでも活用できるよう移行することを指しています。
抜本的なシステムの再構築に比べて優れた点も多く、段階的なシステムのアップデートも可能ということで、注目が集まっています。
マイグレーションのメリット
ここで、マイグレーションのメリットについて簡単にご紹介しておきます。
既存システムやデータの有効活用
一つは、これまでに積み重ねてきたシステム運用環境や、データをそのまま新システムにおいても活用することができる点です。
マイグレーションはシステムを一から作り直すのではなく、あくまで次世代の環境でも運用が可能なよう「移行」するにとどまります。
そのため、具体的なオペレーションについては大幅な刷新を必要とせず、データについてもこれまで通りアクセスすることができます。
培ってきたノウハウや、積み上げてきたデータが無駄にならないという点は、マイグレーションの大きな魅力の一つと言えます。
高いコストパフォーマンス
また、マイグレーションはコストパフォーマンスの面においても優れています。
ソフトからハードまで、全てを新しくするわけではなく、使えるものはそのまま継続して使用するため、設備投資は安価に抑えられます。
また、旧型のシステムの保守運用には専門のエンジニアを必要とするため、その費用も高額になってしまうものです。
マイグレーションによってオープン化したシステムを導入すれば、専門性が低減し、維持管理のコストも抑えられるというわけです。
おわりに
レガシーシステムの運用は年々コストがかさんでしまい、セキュリティリスクの増大も懸念されます。
システムのオープン化は喫緊の課題ですが、データマイグレーションなど、できる範囲でシステムの移行を進めていけば、費用負担は抑えることができます。
現在、会社で運用しているシステムにおいて、すぐに移行を行えそうな箇所はないかを見直しつつ、オープン化を進めていくと良いでしょう。
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