「何を頼めばいい?」を卒業。BIM/CADカスタマイズ発注の完全ガイド

「何を頼めばいいか分からない」。その不安が、BIM・CADカスタマイズへの一歩を止めていませんか。しかし適切な手順を知れば、業務効率は飛躍的に向上します。本記事では、初めての方でも自信を持って進められるよう、発注の流れを計画段階から完成後まで丁寧に解説します。

はじめに

建設業界でプロジェクトマネージャーを務める方々にとって、BIMカスタマイズやCADカスタマイズを活用した作業の自動化は業務効率と品質を飛躍的に高める可能性を秘めています。しかし初めてソフトウェア開発を外注する際には何をどこまで依頼すればよいのかが明確にならず、要件定義や予算管理で戸惑うケースが実に多いのです。

そこで本記事では何を頼めばいいか分からないという状態を卒業し、効率的なBIMやCADのカスタマイズを進めたい方のために最初の計画段階から完成後のサポートに至るまでの全体像を解説します。単なる専門用語や技術選定の話にとどまらず、実際に発注する際のポイントやコミュニケーション能力の重要性にも踏み込んでいきます。

記事の内容を理解すれば、RevitやAutoCAD、Civil 3Dといったソフトウェアをどのように改良できるのか把握できるでしょう。そのために必要な情報や最終チェックリストも明らかになります。これにより建設プロジェクト全体での時間削減やヒューマンエラーの軽減、予算管理の精度向上といったメリットを得やすくなるのです。

BIMやCADを通じた自動化とデータ連携の取り組みは将来的にも企業の競争力を左右する重要テーマといえます。筆者自身も建設業界向けのCADゼロからの業務構築やDX推進を数多く手がけてきた経験から、本記事が皆様の具体的な業務改善につながることを願っています。

BIMとCADカスタマイズの基本理解

BIMとCADの基本とは?

BIMは情報統合型の3Dモデル技術、CADは図面作成ツールでAPIによる拡張が可能です

BIMは建設プロジェクトのあらゆる情報を統合して管理するためのデジタルモデル技術です。たとえば3Dモデルに建材の寸法や素材といったデータを紐付けることで設計から施工、維持管理まで一連の流れを可視化できます。

BIMとCADカスタマイズの基本理解

一方のCADはコンピュータを使って図面を描く技術であり、トレース作業や修正を効率化するのが本来の目的でした。近年は3D対応のCADも増えており複雑な形状でも正確に表現できるようになっています。

建設業界で広く使われている主要ソフトウェアの特徴を以下の表にまとめました。

表1:主要BIM/CADソフトウェアの比較

ソフトウェア主な用途得意分野カスタマイズ手法
Revit建築設計・BIM運用統合的な情報管理、建築プロジェクト全体の可視化C#、Dynamo、API
AutoCAD汎用2D/3D図面作成幅広い業種対応、柔軟な図面作成LISPスクリプト、.NET API
Civil 3D土木・インフラ設計地形モデル、道路設計、土量計算.NET API、Dynamo

これらのツールにはAPIが用意されており、C#やLISPスクリプト、あるいはPythonなどを使って機能拡張が可能です。Dynamoなどのビジュアルプログラミングツールも登場し、プログラム歴が浅い方でも基本的なカスタマイズができるようになりつつあります。

しかし標準機能だけでは建設業界特有の複雑な要望をすべてカバーするのは難しいことが多いのです。そこで自社独自の要望に合わせソフトウェア開発の形でBIMカスタマイズやCADカスタマイズを行い、業務を自動化して最適化するケースが急増しています。

なぜカスタマイズが必要なのか

社内ルールや特殊工法に対応し手作業を減らすことでミスと工数を削減できます

建設業界ではプロジェクト管理を円滑に進めるために多岐にわたる情報を扱います。標準のBIMやCADでも図面作成や3Dモデル化はできますが、社内ルールや特殊な工法、データ連携が必要になるとどうしても手作業や個別対応が増えてしまうのです。

そこでカスタマイズにより鉄骨部材の配置や仕上げ材のリストを一元出力したり、複数のExcelデータを自動で読み込んで図面に反映したりする機能を加えることでヒューマンエラーを減らせます。また同じ操作を何度も繰り返す手間が省けるため結果として大きな時短効果を得られるでしょう。

もうひとつの利点は業務フローに合わせた画面や操作性を実現できる点です。標準UIでは見落としがちな情報を必須入力にしたり不要なボタンを非表示にしたりすると、操作マニュアルの不備やオペレーターの混乱も防ぎやすくなります。

このようにBIMカスタマイズやCADカスタマイズは単なる機能追加ではなく、プロジェクト全体の効率化や品質向上につながる戦略的な投資といえるのです。

カスタマイズ可能な機能とそのメリット

プラグイン開発やデータ連携で工数削減と保守コスト抑制を同時に実現します

カスタマイズの範囲は幅広く、プラグインやアドインの開発からLISPスクリプトの作成、データベースとの連携など多種多様です。たとえば設計変更が頻繁に起こる部分を自動化しておけば図面の修正やパラメータ設定を一括で反映でき、これだけでも大幅な工数削減が期待できます。

APIを活用した拡張では各種ファイル形式の一括取り込みやクラウドとの連携機能を追加するケースも珍しくありません。未来的にはドローンやIoTによる現場データがリアルタイムでBIMモデルに集約されるなど拡張性はますます広がっています。

メリットとしてはまず人的ミスの減少や納期短縮が挙げられるでしょう。さらにC#やPythonなど扱いやすい言語で開発すれば今後の修正も容易になり、保守契約にかかるコストを抑えられる可能性もあります。

つまり自動化やデータ連携を活用して一度に多くの作業をクリアできるようになれば現場のムダを省き、建設プロジェクト全体の生産性向上に寄与できるのです。

カスタマイズの計画と準備

カスタマイズの計画と準備

カスタマイズの目的を明確にする

達成ゴールを数値化し責任分担を明確にすることで社内外の連携が円滑になります

カスタマイズを行う際はまず何を達成したいのかを明確に定義しましょう。繰り返し作業の自動化による時間短縮や特殊な図面仕様を一括反映すること、他システムとのデータ連携など具体的なゴール設定が重要です。

これらのゴールに対してどの程度の工数削減やエラー低減が見込めるかあらかじめ数値で試算すると予算管理も進めやすくなります。年間の工数が数百時間削減できる見込みならそれをコストに換算し、カスタマイズ費用と比較して投資決定の材料とするのです。

またプロジェクト管理の観点では誰が計画をリードし、誰が最終意思決定者なのかをはっきりさせることもポイントといえます。建設業界では複数の部署が関わることが多いため責任分担を明確にしないと混乱が生じるでしょう。

目的を文書化して共有しておくと社内外の関係者とのコミュニケーションがスムーズに行きやすくなります。

必要なカスタマイズの範囲を特定する

優先度の高い機能から段階的に開発しコスト増大とリスクを防ぎましょう

次にどの機能をどこまでカスタマイズするかを具体的に洗い出します。たとえばRevit用のアドインを作成するのかAutoCADのLISPスクリプトを使うのか、Civil 3Dでの特殊な地形モデルを自動生成するのかなど多岐にわたる可能性があるのです。

このときあれもこれもと機能を詰め込みすぎると要件定義が複雑化して開発フェーズのコストが一気に膨れがちです。一方で最小限の実装だけでは将来的なバージョンアップ対応に苦労する場合もあります。そこでまずは優先度の高い機能だけをリストアップし、順次拡張できるかどうかを検討しましょう。

業務フローを詳細に可視化しどの工程で一番時間を費やしているか、どの段階でミスが起きやすいかを見極めることが大切です。これによって最重要機能を先に開発し細部は追加実装というやり方が現実的になります。

最終的には必要最低限の機能と拡張候補の機能を分けて整理し、ステップを踏んで進行することで無用なリスクや費用の増大を防ぐことができるでしょう。

予算と期待する効果のバランス

工数削減の金銭的メリットを算出しROIを検討した上で予算枠を設定します

カスタマイズ案件の多くは見積もりを取得しづらく予想金額と大きく乖離する場合もあります。その理由はソフトウェア開発には明確な定価がなく、機能ごとに工数や必要スキルが大きく異なるためです。

そこでまず必要なのは期待する効果と照らし合わせた予算の大枠を設定することといえます。自動化による工数削減やエラー減少がどれほどの金銭的メリットを生むのか、あるいは早期納期によるプロジェクトの経済的効果はどれほどかを算出しましょう。

その上でカスタマイズ費用が適切な範囲内であればROI、つまり投資対効果を検討しプロジェクトとしてゴーサインを出す体制を整えます。逆に予算が不足する場合は機能を絞る、内製化を検討するといった柔軟な対応が必要です。

開発会社の提案を受け取る際にもあらかじめ想定予算を共有しておくと無駄なやり取りを減らしスムーズな見積もり取得につながります。

発注前の準備

発注の流れとチェックポイント

複数社の技術力と対応力を比較しコミュニケーション能力も重視して選びます

カスタマイズの発注は単に見積もり依頼を出して契約するだけではありません。まずは複数の開発会社に相談し技術力や過去の実績、対応可能なプログラミング言語やAPIへの理解度などを確認するステップが大切です。

発注の流れとチェックポイント

次に相手会社から基本的な要件や納期、費用感などのラフな聞き取りを行ってもらいます。ここで双方の認識のズレを減らすことで後の詳細見積もりの精度も高まるでしょう。

チェックポイントとしてはコミュニケーションの取りやすさも重要です。専門用語が多い領域なだけに丁寧に説明してくれるか、要望を理解しようとしてくれる姿勢があるかを確かめましょう。特にプロジェクト管理に慣れていない担当者の場合、相手会社のサポート体制がとても大きな助けとなります。

最終的には走りながら要件を追加したり修正したりすることも多く、柔軟に対応できる会社を選ぶと失敗リスクが低減します。

必要な情報の整理と提供方法

業務フロー図とバージョン情報を正確に伝え環境制約も事前共有しましょう

開発会社に正確な見積もりを出してもらうためには、必要な情報を漏れなく整理して提供することが重要です。以下の表に、発注時に準備すべき情報をまとめました。

表2:開発会社に提供すべき情報チェックリスト

情報カテゴリ具体的な内容重要度
ソフトウェア環境使用中のソフトウェア名とバージョン(例:Revit 2023、AutoCAD 2022)必須
業務フロー現在の作業手順を示したフロー図、課題が発生している工程の明示必須
入出力データ入力データ形式(Excel、CSV、他CADデータ等)、出力イメージのサンプル必須
画面操作現在の操作画面のスクリーンショット、改善したい操作の具体例推奨
環境制約セキュリティポリシー、外部ライブラリ制限、ネットワーク構成重要
運用体制利用者数、同時接続数、サポート体制の有無推奨

Revit 2023を使っているのかAutoCAD 2022か、あるいはCivil 3Dの特定バージョンかなど正確なバージョンを伝えるのは必須です。また入力データの形式がExcelファイルなのか他のCADデータなのか、出力する図面の例や仕上がりイメージなどを具体的に提示すると話がスピーディーに進みます。

要件定義を行う際には技術仕様書ほど厳密でなくても現場での課題を把握しやすいドキュメントを用意しましょう。なおオフィスやネットワークの制限など環境面の条件も忘れずに伝えます。セキュリティポリシーで外部ライブラリを導入できない場合や社内だけで完結しなければならないシステム構成などは開発方法や保守契約にも影響を与えるのです。

このように事前情報をしっかり共有することで開発会社の想定や見積もりと実態のズレを最小化できます。

見積もりと契約の注意点

項目内訳と知的財産権の帰属を確認し保守契約の範囲も事前に詰めます

見積もりを依頼した際はどの項目が含まれていてどの項目が追加費用になるのかを厳密にチェックしてください。たとえば要件定義やテストフェーズ、操作マニュアルの作成は別料金になりがちです。

また納期や修正回数の制限など契約の細かい条件をよく確認することも重要といえます。後から仕様変更が入る可能性がある場合は事前に柔軟に対応してもらえるかを確かめるとトラブルを避けやすくなるでしょう。

さらにソースコードの所有権や知的財産権は誰に帰属するのか、バージョンアップの際にどこまで無料対応してくれるのかといった保守契約の部分も見逃せません。長期的に見るとメンテナンス費用が大きくなるケースもあるため慎重に検討しましょう。

もし提示された見積もりが高額に感じる場合は機能の優先度を再度見直し、開発対象を絞り込むことで予算管理を最適化する方法もあります。

開発プロセスと発注者の役割

要件定義と開発の進行管理

曖昧な点は必ず確認し定期的な進捗チェックで想定外の方向転換を防ぎます

要件定義は開発プロセスの最初であり最も重要なフェーズです。どのような機能が必要かどの時点でデータ連携が起こるのか、どの工程を自動化するのかなどを明文化し開発会社との認識を共有します。

ここで曖昧な部分を残したまま開発に入ると後々大きな仕様変更が必要になりコストと時間が増大するリスクが高まるのです。したがって理解できないIT用語や技術仕様があってもそのままにせず必ず確認する姿勢が大切といえます。

また発注者としてはプロジェクト管理の視点で定期的に進捗をチェックし、問題があれば早期に解決へ向けて行動することが重要です。開発会社任せにしてしまうと想定外の方向に進んでしまう恐れがあるためマメなコミュニケーションを心がけましょう。

ソフトウェア開発の経験が少ない場合はすでに類似カスタマイズを経験したメンバーやIT部門と連携しながら進めることで要件の抜け漏れを防ぎやすくなります。

テストとフィードバックの重要性

実際の業務データで動作確認し具体的なフィードバックで完成度を高めます

開発途中や最終段階でのテストはカスタマイズが期待通りに機能しているか確かめるための大事なステップです。実際の業務データや複雑なパターンを用いて試し問題点があれば早めに修正してもらいましょう。

テスト範囲にはユーザーインターフェイスの使いやすさも含まれます。特にBIMカスタマイズやCADカスタマイズの場合、操作ミスが増えるようなレイアウトだと返って効率が落ちてしまう恐れがあるのです。

フィードバックは具体的に出すのが望ましくここをもう少し自動化できるとかこの部分は処理速度が遅いといった要望を開発会社に伝えます。何度かやり取りを重ねることで完成度の高い仕上がりを得ることができるでしょう。

テスト段階を軽視すると納品後に大きな手戻りが発生するリスクが高まりトータルのコストが上がる原因になりかねませんので注意しましょう。

納品後のサポートとメンテナンス

保守契約の範囲を明確にしドキュメント確認で長期的な活用体制を整えます

正式に納品された後もバージョンアップや運用開始時の不具合対応は必ず発生し得ます。ソフトウェアは更新されるものですからRevitやAutoCADの新バージョンでAPIが変われば従来のカスタマイズが動かなくなる場合もあるのです。

そのため保守契約をどうするか考えておくことが大切といえます。年に一度の保守点検やバージョンアップ時の動作確認などプロジェクト全体の流れを乱さないためにもサポート範囲を最初から明確にしておきましょう。

また操作マニュアルやソースコードの提供を受けていれば外部に相談しなくても一部のトラブルは社内で解決できるかもしれません。特に内製化を検討している場合は納品時にドキュメントをしっかり確認しておくべきです。

納品後の活用状況を社内で定期的にレビューし改善要望があればアップデートしていく姿勢がカスタマイズ投資を最大限に活かすコツといえるでしょう。

内製化と外注の選択

内製化のメリットとデメリット

柔軟な対応と知識蓄積が利点ですが人材確保と工数増大に注意が必要です

内製化と外注のどちらを選ぶべきか迷う方は多いでしょう。それぞれの特徴を比較した表を以下に示します。

表3:内製化と外注の比較

比較項目内製化外注
メリット・急な仕様変更に柔軟対応<br>・長期的なコスト削減<br>・社内に知識とノウハウが蓄積・高品質な成果物<br>・専門技術者の活用<br>・短期間での開発が可能
デメリット・プログラミング人材の確保が必要<br>・開発工数が想像以上にかかる<br>・本来業務が圧迫される可能性・コストが高額になりがち<br>・開発会社への依存度が高まる<br>・即座の対応が難しい場合がある
適した状況・IT人材が社内にいる<br>・頻繁な仕様変更が予想される<br>・長期的な運用を見据えている・専門性の高い開発が必要<br>・短期間で確実に成果を出したい<br>・社内リソースに余裕がない
初期投資低〜中(人材育成コスト)中〜高(開発費用)
ランニングコスト中(人件費)低〜中(保守契約費)

内製化とは自社でソフトウェア開発を行うことを指します。メリットとしては急な仕様変更に柔軟に対応できる点また長期的には外注コストを抑えられる点などがあるでしょう。BIMカスタマイズやCADカスタマイズの知識を社内に蓄積できるのも利点です。

一方でC#やPythonなどのプログラミングスキルを持つ人材を確保しなければならないなど組織的な課題も生じます。LISPスクリプトやDynamoといった技術選定を誤ると保守や拡張が難しくなるリスクもあるのです。

またソフトウェア開発はプロジェクト管理やテスト、ドキュメント作成など想像以上に工数がかかります。建設業界の担当者が慣れない作業に追われ本来の業務が圧迫される可能性を考慮しなければなりません。

したがって内製化を検討する際は開発スキルの習得や作業時間を見込んだ計画をしっかり立てることが成功の鍵となります。

外注の利点とリスク

高品質な成果を得やすい反面コストと依存度の高まりに留意が必要です

外注ではBIMカスタマイズやCADカスタマイズを専門とする技術者に依頼できるため高品質な成果物を得やすいのがメリットです。特に建設業界のソフトウェア開発にノウハウを持つ会社を選べば要件定義から運用までスムーズに進められます。

ただしリスクとしてはコストが高くつく場合や開発会社に依存しすぎる可能性があるでしょう。一度外部に出したシステムで不具合が見つかってもすぐには対処してもらえないこともあります。

またコミュニケーションが不十分だと発注者の意図が十分に伝わらず出来上がったツールが使いにくいと感じるケースもあるのです。プロジェクト管理の観点からは外注先との連絡体系や進捗報告の仕組みをあらかじめ決めておくことが大切といえます。

加えて知的財産権や法的確認といった側面も見逃せません。ソースコードの帰属や秘密保持契約などをしっかりと詰めておかないと後々トラブルに発展する恐れがあります。

最適なバランスの模索

コア部分は外注し微調整は社内で行うハイブリッド型が理想的です

内製化と外注はいずれも一長一短があります。そこで重要になるのが両方の利点を活かすハイブリッド型のアプローチです。つまりコアとなる部分は外注でしっかり開発し運用上の微調整は社内で行うなど役割分担をはっきりさせる工夫といえます。

たとえばメインツールの土台を外注会社がC#やPythonで開発しDynamoを使った軽微な拡張やテンプレート作成を社内で進めるといったやり方です。こうすることで高度な部分はプロの力を借りつつ社内にもカスタマイズのスキルとノウハウが溜まります。

また発注の段階で将来の拡張性を確保してほしいとかソースコードは見やすくドキュメント化してほしいと盛り込めば後々の改修がしやすい構成になるでしょう。バージョンアップやシステム連携の追加にも柔軟に対応しやすくなるのです。

結果としてコストや時間を抑えつつ発注者が望む機能を必要なタイミングで実装できる体制を整えることが最適化につながります。

失敗しないための最終チェックリスト

必要な機能を明確化し優先度を設定しているかどうかをまず確認しましょう。開発会社の実績や技術力、コミュニケーション能力を確認しているかも重要なポイントです。

見積もりの内訳として要件定義やテスト、操作マニュアル作成などのコストを把握しているかチェックしてください。ソースコードや知的財産権の帰属、保守契約の内容を事前にチェックしているかも確かめましょう。

社内でのプロジェクト管理体制や関係部署との連携方針が確立しているかどうかも見逃せません。運用開始後のフィードバックとバージョンアップ対応を想定しているかも確認が必要です。

内製化と外注のバランスを検討し将来的な発展を見据えているかどうかも最終的なチェック項目といえます。

結論:効率的なプロジェクト運営への道

BIMカスタマイズやCADカスタマイズは建設プロジェクトの作業を自動化するだけでなく、品質向上やリスク低減にもつながる重要な取り組みです。予算管理や要件定義、コミュニケーション能力を強化しながらカスタマイズという手段を上手に活用することでプロジェクト全体の生産性を高めることができます。

特にRevitやAutoCAD、Civil 3Dのような主力ソフトウェアはAPIが充実しておりC#やPython、LISPスクリプトを通じて柔軟に拡張できるのです。技術仕様書をしっかりまとめ開発会社と要件をすり合わせることで使い勝手と効果を両立したツールを手にすることが可能といえます。

しかし成功のカギは準備と管理にあります。発注前にいつ、どこまで、なぜカスタマイズするのかを社内で合意し見積もりや契約の内容を十分に確認しておく必要があるでしょう。また開発フェーズでのテストや修正には発注者の積極的な参加が欠かせません。

最終的には内製化と外注をうまく組み合わせ長期的な保守契約やバージョンアップ対応にも目を向けることで建設プロジェクト全般の効率性を飛躍的に向上させられるでしょう。本記事で解説した手順を実践することで、皆様のBIM・CADカスタマイズプロジェクトが成功へと導かれることを願っています。

FAQ

BIMカスタマイズとCADカスタマイズの違いは何ですか?

BIMは情報統合型の3Dモデル、CADは図面作成ツールという点で異なります。

BIMカスタマイズは建材情報やコストデータなど多次元情報を統合管理する機能拡張を指し、設計から維持管理まで一貫した情報活用が可能になります。一方CADカスタマイズは主に図面作成の自動化や効率化に焦点を当てており、繰り返し作業の削減や特殊な図面仕様への対応が中心です。プロジェクトの性質に応じて最適な方を選ぶか両方を組み合わせることが重要です。

カスタマイズの費用相場はどれくらいですか?

規模や機能により数十万円から数百万円と幅広く明確な定価はありません。

簡単なLISPスクリプト作成なら数十万円から可能ですが、複雑なアドイン開発やデータベース連携を含む場合は数百万円規模になることもあります。費用を抑えるには優先度の高い機能から段階的に開発する方法が有効です。見積もりを取る際には要件定義やテスト、保守契約など全項目を含めた総額で比較することをおすすめします。

内製化と外注のどちらを選ぶべきですか?

両者の利点を活かすハイブリッド型が最も現実的な選択肢です。

内製化は柔軟な対応と知識蓄積が利点ですが人材確保と工数が課題となります。外注は高品質な成果を得やすい反面コストと依存度が高まります。そこでコア機能は外注で開発し軽微な調整や拡張は社内で行うハイブリッド型が理想的です。この方式なら専門性と機動性を両立でき長期的なコスト最適化にもつながります。

カスタマイズにはどれくらいの期間がかかりますか?

機能の規模により1か月から半年程度と幅がありますが計画的な進行が重要です。

シンプルな自動化スクリプトなら1〜2か月で完成しますが、複数機能を含む本格的なアドイン開発では3〜6か月以上かかることもあります。期間を短縮するには要件定義を丁寧に行い曖昧な点を残さないことが鍵です。また開発会社との定期的なコミュニケーションにより進捗を管理し想定外の遅延を防ぐことができます。

RevitとAutoCADとCivil 3Dのどれを選べばいいですか?

プロジェクトの用途に応じて最適なソフトウェアを選択します。

Revitは建築設計やBIM運用に特化しており統合的な情報管理が得意です。AutoCADは汎用的な2D・3D図面作成に適し幅広い業種で活用されています。Civil 3Dは土木・インフラプロジェクトに特化し地形モデルや道路設計に強みを持ちます。自社の主要業務内容と既存の運用環境を考慮して選定することが大切です。

カスタマイズで失敗しないための最重要ポイントは何ですか?

要件定義を丁寧に行い曖昧な点を残さないことが最も重要です。

多くの失敗は要件定義の不足から生じます。何を自動化したいのか、どのデータと連携するのか、どの程度の処理速度が必要かなど具体的に明文化しましょう。また開発会社との認識のズレを防ぐため定期的な進捗確認とテスト段階での積極的なフィードバックが欠かせません。事前準備に時間をかけることが結果的に最大のコスト削減につながります。

保守契約は必ず必要ですか?

ソフトウェアのバージョンアップに対応するため保守契約の締結を強く推奨します。

RevitやAutoCADは定期的にバージョンアップされAPIの仕様が変わることがあります。保守契約がないと新バージョンでカスタマイズが動かなくなる可能性があります。年間保守費用は開発費の10〜20%程度が相場ですが長期的な運用を考えると必要な投資といえるでしょう。契約時にはバージョンアップ対応の範囲と費用を明確にしておくことが大切です。

専門用語解説

BIM(Building Information Modeling):建設プロジェクトの全情報を3Dモデルに統合して管理するデジタル技術です。建材の寸法や素材、コストなど多次元のデータを一元化することで設計から施工、維持管理まで一貫した情報活用が可能になります。近年は建設業界のデジタル化推進により導入が急速に進んでいます。

API(Application Programming Interface):ソフトウェアの機能を外部から利用するための窓口となる仕組みです。RevitやAutoCADにはAPIが用意されており、C#やPythonなどのプログラミング言語を使って独自の機能を追加できます。これによりソフトウェアの標準機能を超えたカスタマイズが実現します。

アドイン・プラグイン:既存のソフトウェアに後から追加する拡張機能のことです。本体ソフトウェアを改変せずに新しい機能を組み込めるため安全性が高く、バージョンアップ時の影響も最小限に抑えられます。BIMやCADのカスタマイズで最も一般的な手法といえます。

LISPスクリプト:AutoCAD用の軽量なプログラミング言語です。比較的シンプルな構文で繰り返し作業の自動化や図面操作の効率化が可能なため、初心者でも取り組みやすいカスタマイズ手法として広く使われています。本格的な開発の前段階としても有用です。

Dynamo:ビジュアルプログラミングツールの一種でRevitと連携して使用します。ブロックをつなぎ合わせる視覚的な操作でプログラムを作成できるため、プログラミング経験が少ない方でもパラメトリックデザインや自動化処理を実現できます。

要件定義:開発プロジェクトの最初に行う、実現したい機能や仕様を明文化する作業です。何を作るのか、どのような動作をするのか、どんなデータを扱うのかなど詳細を決めることで開発会社との認識のズレを防ぎます。成功の鍵を握る最重要フェーズといえます。

ROI(Return On Investment):投資対効果を意味する経営指標です。カスタマイズに投じた費用に対してどれだけの効果が得られるかを数値化することで投資判断の根拠とします。工数削減による人件費圧縮や納期短縮による機会損失回避などを金額換算して評価します。

執筆者プロフィール

本記事は、建設業界向けのBIM・CADカスタマイズ支援を専門とする小甲健が執筆しました。

小甲 健(Takeshi Kokabu)
AXConstDX株式会社 CEO

製造業・建設業に精通し、20年以上のソフトウェア開発実績を持つ技術起点の経営者型コンサルタントです。CADシステムのゼロからの業務構築や大規模DX推進プロジェクトを数多く手がけ、赤字案件率0.5%未満、提案受注率83%という高い成果を維持しています。

特に建設業界向けのBIM・CADカスタマイズにおいては、要件定義から開発、運用保守まで一貫した支援を提供し、現場の課題を確実に解決へと導いてきました。技術的な専門性だけでなく、プロジェクト管理やROI設計の観点からクライアントの投資対効果を最大化することに注力しています。

近年は生成AIを活用した業務改革やDX推進に加え、GX(グリーントランスフォーメーション)を経営・DXと統合した実装型GX戦略にも取り組んでいます。先見性と迅速な意思決定を武器に、業界構造転換を見据えた先行アクションを得意としています。

主な実績・活動

  • ハーバードビジネスレビュー寄稿:2回
  • シリコンバレー視察:5回以上
  • btraxデザイン思考研修(サンフランシスコ)修了
  • CES視察:1回

建設業界の皆様がBIM・CADカスタマイズを通じて業務効率と品質を向上させ、競争力を高めるための実践的な支援を提供し続けています。

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