【2025年版】施工管理における品質管理とは?4大管理の違い・チェックリスト・資格まで徹底解説 

建設業における品質管理は、ただの検査ではなく、工期・コスト・安全と並ぶ「4大管理」の中核です。特に施工管理における品質管理は、施工不良やクレームを未然に防ぐことはもちろん、最終的には発注者からの信頼と評価につながる極めて重要な役割を担っています。 

そこでこのコラムでは、建設業における品質管理の基本的な定義を説明したのち、安全管理との違いや「4大管理」における位置づけ、具体的な業務内容、チェックリスト、関連資格までをわかりやすく解説します。 

【2025年版】施工管理における品質管理とは?4大管理の違い・チェックリスト・資格まで徹底解説 

施工管理における「品質管理」とは? 

施工管理における品質管理とは、設計通りの性能・仕上がりを保証するための重要な工程管理です。 

たとえば、コンクリートの打設において、温度や水分量の管理を怠ると、ひび割れや強度不足が発生します。施工直後には問題が見えなくても、数年後に深刻な劣化につながる恐れがあることから、使用材料の受け入れ検査・配合比の管理・施工後の強度試験などを、品質管理として事前・中間・完了の3段階でチェックする必要があります。 

(参考:国土交通省「施工における品質確保の向上について」) 

品質管理は単なるチェックではなく、設計品質を施工で実現するためのプロセス全体の管理です。全工程において重要な役割を果たすため、工事業務のすべてで実施します。 

品質管理と安全管理の違いとは? 

施工管理では、よく「品質管理」と「安全管理」を混同されがちです。参考として以下に、2つの管理の違いを整理しました。 

項目 品質管理 安全管理 
管理対象 完成物の性能・仕様 作業員の健康・命 
主な内容 材料検査、施工手順管理、完成検査 作業手順確認、安全装備、KY活動 
目的 設計通りの建物を完成させる 労働災害を防止する 
失敗時のリスク 施工不良、補修費用、施主からの信頼喪失 労災、工期遅延、社会的責任追及 

たとえば、品質管理が不十分だと図面通りの施工ができず、強度不足などの問題が発生します。一方で、安全管理が不十分だと、墜落・転倒・感電などの事故が発生する恐れがあり、労災や工事停止といった重大なリスクにつながるケースも少なくありません。 

後述でも各管理の概要をわかりやすく解説しているので、違いをイメージしたうえで読み進めてみてください。 

施工管理の「4大管理」と品質管理の位置づけ 

施工管理は大きく4種類に分けることができ、工事を「予定通り・予算内・高品質・安全」に進めるための基本指標として用いられます。 

参考として以下より、4大管理の概要と、そのうちのひとつである品質管理の位置付けについてまとめました。 

工程管理|納期を守るための時間管理 

工程管理とは、建設工事を予定通りに進め、納期に間に合わせるための時間管理を意味します。以下に、主な業務内容をまとめました。 

業務内容 内容 
工程表の作成 WBS(作業分解構成)を基に、各工程の順序・所要日数を可視化 
工程会議の実施 各業者と進捗確認・調整を行い、問題点を共有 
進捗の記録と管理 実際の作業と予定の差異を把握し、是正対応を検討 
リスク対応 天候・資材遅延などに備え、予備日や代替案を用意 

建設プロジェクトには複数の業者・職種(下請け業者や協力業者など)が関与するため、ひとつの工程が遅れると、domino(ドミノ)式の遅延が発生します。工期延長・原価増加・施主からの信頼低下などのリスクがあるため、計画実行確認是正というPDCAサイクルを回しながら、リスクを回避していくことが欠かせません。 

原価管理|利益を確保するコスト管理 

原価管理は、コストを適正に管理し、赤字工事を防ぐための「お金の管理」です。 

特に建設工事では、人件費・材料費・外注費など多くの変動費が発生します。もし当初の見積もりが甘かったり、追加工事が頻発したりすると、利益が圧迫されるだけでなく、場合によっては以下のように、工事業務が赤字になってしまうかもしれません。 

  • 資材価格の急騰に対応できず、当初予算を20%超過した 
  • 図面の不備でやり直し工事が発生し、外注費が30万円増加した 
  • 下請業者の作業遅延により人件費が1週間分余分に発生した 

企業利益を生み出す重要な管理であるため、品質や工程と並行して常にコストの見える化が求められます。 

品質管理|完成品の性能や仕上がりを保証 

品質管理は、成果物の精度・安全性・仕上がりを設計通りに実現するための管理です。以下に、主な確認ポイントを整理しました。 

管理項目 内容 関連するチェック作業 
設計図との整合性 仕様・寸法・材料の確認 図面確認・承認図チェック 
材料の品質 材料証明書・出荷証明の確認 受け入れ検査、JIS適合品か 
施工手順 作業フローと施工順序 手順書・施工マニュアルの準拠 
検査・記録 中間・完成・竣工の各検査 写真記録・是正処置の報告 

参考:国土交通省「品確法の改正について」 

たとえ工程通り・予算通りに進んでも、完成した建物が図面通りでなければ、施主や利用者の満足は得られません。また、建築基準を満たさなければ法令違反となるおそれもあり、瑕疵担保責任や損害賠償といった法的リスクにも直結します。 

施工の全プロセスにおいて「設計品質=施工品質を保証する管理」であることから、クレームのない引渡しや信頼性確保のために慎重な管理が求められます。 

安全管理|作業員の命を守る環境づくり 

安全管理は、作業環境・作業手順・安全教育などを通じて、次のような労働災害を未然に防ぐための取り組みです。 

  • 足場からの転落事故 → 手すり未設置・安全帯未使用 
  • 感電事故 → 配線の絶縁処理漏れ 
  • 挟まれ・巻き込まれ事故 → 重機周辺での立ち入り管理不足 

国土交通省 関東地方整備局が公開している「工事事故の現状と対策について」によると、工事事故は年々減少傾向にあるものの、年間100件以上発生している点に注意しなければなりません。 

高所作業、重機運転、感電、熱中症など、建設現場は多くのリスクを伴います。安全管理が甘いと、死亡事故や重傷事故に直結し、企業の信用失墜や工期遅延、罰則処分にもつながる可能性があるため「KY(危険予知)活動 」「安全教育」「安全パトロール」などを徹底することが重要です。 
 

品質管理の具体的な業務内容 

品質管理の実務は「計画どおりに良いものをつくる」ために必要な確認と記録の連続です。以下に、品質管理のなかで発生する具体的な業務内容をまとめました。 

工程段階 管理業務 チェック内容 主な記録 
着工前 施工手順・仕様書の確認 図面・仕様の整合性、施工条件 着工前打合せ議事録 
材料搬入時 材料検査・品質確認 品質証明書・規格適合性・外観 検収簿・受入検査表 
施工中 中間検査(各工程) 鉄筋・型枠・設備の寸法・施工精度 写真記録・是正報告書 
完成時 竣工検査・引渡し 内装・外装・設備仕上がり・動作 竣工検査記録・検査済証 

上表からもわかるように、計画段階から完成引渡しまで、各フェーズで品質を確認しなければ、不備や施工不良を見逃し、結果的に補修・クレーム・事故につながる可能性があります。そのため品質管理は、事前準備→中間確認→最終検査という段階的管理が重要です。 

品質管理に用いるチェックリスト 

品質管理の現場では、フェーズごとに分けたチェックリストを使うことで、品質のバラつきや見落としを防ぐことができます。参考として以下にコンクリート打設時におけるチェック要素の一例を整理しました。 

検査段階 チェック項目例 
施工時 施工条件や気象条件に適した運搬時間、打設時の投入高さ及び締固め方法が、定められた条件を満足していることが確認できる。 
打設前 施工条件や気象条件に適した運搬時間、打設時の投入高さ及び締固め方法が、定められた条件を満足していることが確認できる。 

参考:国土交通省「品質証明チェックシート(実施状況)」 

チェックリストは、品質を「個人の経験による判断」ではなく「組織の仕組み」で実施するために役立つツールです。国土交通省などからチェックシートのテンプレートも公開されているため、現場ごとにアレンジして活用しましょう。 

施工管理の「品質管理」に関連する資格 

品質管理の専門性を高めることはもちろん、社内外にスキルを証明する手段として「施工管理技士」「QC検定」「ISO9001審査員補」などの資格取得が注目されています。 

ここでは、それぞれの資格の特徴と活用シーンを詳しく解説します。 

建築施工管理技士(1級・2級) 

建築施工管理技士は、施工品質を担保し、現場を統括できる国家資格です。 

現場代理人や監理技術者として工事全体の品質・工程・原価・安全を管理する役割が認められており、特に公共工事では、1級取得者が配置要件となるケースも少なくありません。 

品質管理を現場で実践するための“技術責任者資格”として欠かせない資格ですので、まずは2級資格から取得を目指してみてはいかがでしょうか。 

(参考:国土交通省「令和7年度技術検定の合格基準について」) 

品質管理検定(QC検定) 

QC検定は、品質管理の理論と手法を体系的に学べる民間資格です。 

統計的品質管理(SQC)やPDCA、QC7つ道具など、品質管理の基礎と改善スキルを段階的に身につけることができ、現場の標準化・不具合削減・再発防止策の策定に役立ちます。 

現場レベルの“考える品質管理者”を育成する実務直結型の資格ですので、品質管理能力を高めるために取得してみてはいかがでしょうか。 

(参考:日本規格協会「QC検定」) 

(参考:日本規格協会「QC検定」) 

ISO9001審査員補 

ISO9001審査員補は、国際規格にもとづいた品質マネジメント体制の構築・評価に関われる資格です。 

ISO9001は企業全体の品質方針・プロセス・改善サイクルに関わるため、審査員補は第三者的視点から「品質の仕組み」を評価・改善する立場となるほか、品質管理の現場実務と管理部門の橋渡しにもなります。 

(参考:IRCA JAPAN「ISO審査員制度」)

(参考:IRCA JAPAN「ISO審査員制度」) 

まとめ 

建設業における「品質管理」は、単なる検査や記録業務ではありません。設計図どおりに性能・仕上がり・安全性を確保するための、全工程にわたるプロフェッショナルな管理活動であることから、徹底した管理を意識することが重要となります。 

役立つ資格も多いため、業務経験を積みながら、品質管理の資格取得等を目指してみてはいかがでしょうか。 

無料相談・お問い合わせ
insightscanXのお問い合わせもこちらからお願いします。
2025年1月からフリートライアル募集中
ご相談やお見積もりは全て 無料 で対応いたします。

    「個人情報保護方針」をお読みいただき同意いただける場合は「送信」ボタンを押して下さい。
    入力していただいたメールアドレス宛に自動返信メールを送信していますので、お手数ですがそちらをご確認ください。
    無料相談・お問い合わせ
    insightscanXのお問い合わせもこちらからお願いします。
    2025年1月からフリートライアル募集中
    ご相談やお見積もりは全て 無料 で対応いたします。

      「個人情報保護方針」をお読みいただき同意いただける場合は「送信」ボタンを押して下さい。
      入力していただいたメールアドレス宛に自動返信メールを送信していますので、お手数ですがそちらをご確認ください。
      無料相談
      お問い合わせ