不動産業界向けのDXツールの導入を検討している人のなかには、ArchistarというAIプラットフォームに興味をお持ちの方もいるはずです。しかし、基本言語が英語であるため、具体的な機能がわからずお困りの人もいるでしょう。
そこでこのコラムでは、製品の概要やできること、導入するメリットについてわかりやすく解説します。製品が役立つ業界や目的に関する情報も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
Archistarとは?
Archistarは、オーストラリアのシステム開発会社である「Archistar社」が提供している不動産業界向けのAIプラットフォームです。地図データを基盤として不動産情報を整理できるほか、3D結成の機能を使って建築許可のコンプライアンス評価やエリア評価・分析などを実施し、その土地の価値を自動で分析できます。
また、当製品はオーストラリア・アメリカ・カナダを中心に機能や言語が用意されており、今後はEU諸国やサウジアラビア、ニュージーランド向けにも開発が進められていく予定です。日本エリアにおいてはまだ開発が未定ですが、現在急速にサービスが拡大していることから、近いうちに日本版の開発情報が発表されるかもしれません。
Archistarの価格情報
Archisterの価格情報を以下に整理しました。利用できる機能情報も整理しているので、自社の場合どのプランが役立つのかをチェックしてみてください。
ベーシックプラン | プロフェッショナルプラン | ナショナルプラン | |
料金 | 95ドル/月 | 345ドル/月 | 595ドル/月 |
事業規模 | 小規模 | 1州分の不動産管理 | 国全体の不動産管理 |
利用できる機能 | ・土地エリアの3D建物デザイン ・選択した土地の情報取得 ・不動産市場法の取得 | ・基本プランすべての機能 ・高解像度空中画像の表示 ・高度な土地情報取得 ・土地検索ツールおよびフィルタリング機能 | ・基本プランすべての機能 ・高解像度空中画像の表示 ・高度な土地情報取得 ・土地検索ツールおよびフィルタリング機能 |
例えば、簡単な情報取得や基本機能だけを利用したいならベーシックプランで事足ります。ただし、州全体・国全体の不動産情報を取得したい場合には、プロフェッショナルプラン・ナショナルプランまでグレードアップが必要です。
現在は日本版には対応していないことから、もし開発がスタートした際には、県ごと・国全体というようにプランが分かれると予想されます。
操作性や機能確認は無料トライアルがおすすめ
もし当製品の機能性や使いやすさをチェックしたいのなら、無料トライアルを利用できます。参考として以下にでも申し込みの流れを整理しました。
- Archisterの公式サイトにアクセスする
- 料金ページにあるでも申込みボタンをクリックする
- デモ申込みページに本人情報やメールアドレス、電話番号を入力する
なお、デモを受ける際にはサポート国がオーストラリアであることに注意してください。また、日本では製品が対応していないことから、開発が発表されたタイミングでデモを利用するのがおすすめです。
Archistarでできること
当製品では、不動産業界における土地評価、そして土地選定後の概略設計を実施できる機能が搭載されています。具体的な機能を解説しているので、自社の課題を解決できるのかチェックしてみてください。
不動産開発の分析・評価
Archisterでは、地域の土地情報を市場に公開してある情報をもとに、自動で抽出し評価してくれます。参考として自動で表示されるサマリーの情報を以下にまとめました。
- 土地面積
- 長さ
- 家の種類
- 土地や建物の外観
- 評価額
- 販売履歴
また、当製品には25,000以上のデータソースから情報が抽出され、土地の取扱いに関する情報を一元管理できるのが魅力です。また検索した土地情報は資料としてまとめることもでき、不動産取引のデータベースとして活用できます。
災害シミュレーション
当製品では、高解像度の航空写真を表示できるほか、次のような詳細情報をレイヤー化し、災害シミュレーションを実施できます。
- 洪水地帯
- 山火事地域
- 遺産リスト
例えば、過去の降雨状況などをもとに、冠水した実績のあるエリアなどを判別できるのが特徴です。複合的な情報をもとに土地の価値を算出できるのはもちろん、AIの機能によって投資機会を計算するなど、担当者の負担を必要最小限に抑え、作業効率化を実現できます。
3Dコンセプトの設計
投資価値のある土地を見つけた場合に活用できるのが、3Dコンセプトの設計です。
当製品には土地の形状に合わせてさまざまな3Dモデルが用意されており、目的ごとに複数の選択肢のなかから概略の建物デザインを反映できます。
建物タイプは合計10種類用意されており、外観やエクステリアなどは土地の形状に合わせて自動で調整されるのが特徴です。また、3Dコンセプトの設計と一緒に次のような分析機能を活用できます。
- 日照状況
- 換気状況
さらにはAIの機能を駆使して、開発の可能性が高い土地を抽出できるといった機能も搭載されていることから、概略設計の効率化を図りたい場合に最適なツールだと言えます。
Archistarを導入するメリット
Archisterの機能は、不動産業務の効率化を図れるのはもちろん、リサーチ〜分析における作業を一部自動化できるといった便利な機能が備わっています。
そこで、実際にツールを導入することで得られるメリットを4つ紹介します。不動産業務の課題解決にも役立つため、自社の課題にあてはまる項目があるかチェックしてみてください。
多面的な情報をもとに収益化しやすい土地を見つけ出せる
当製品では、合計25,000もの情報をもとに土地・建物に関するさまざまな情報を自動でピックアップしてくれます。
例えば「これから自社で土地を購入したいけれど、どの土地が収益化を期待できるのだろう?」と考えたときにArchisterを活用すれば、土地価格や周辺状況、また過去の土地購入履歴などをもとに、ニーズの高さを分析できます。
複合的な情報から、見た目だけではない土地の本当の価値を分析できることから、不動産会社における土地活用のヒントを得やすくなるでしょう。
自然災害のリスクを視覚化できる
Archisterを活用すれば、どの地域で災害のリスクがあるのかを瞬時に分析できるのがメリットです。
例えば「豪雨災害の影響が少なく、山火事や自身の影響を受けにくい土地に建売住宅を建てたい」と考えた際には、当製品のマップに過去の災害履歴などを反映することで、すぐに影響の少ないエリアを分析できます。
マップを使って視覚的に分析ができることから、影響範囲を見誤りにくいのもツールの魅力です。気象庁など国が公開しているデータを使わずに災害リスクを分析できるため、GISなどを使わずに検討を実施できます。
不動産売買履歴などをもとに投資収益率を計算できる
当製品では、気になる土地の価格相場や売買履歴をチェックできることから、購入後にどれくらいの投資収益率を生み出せるのかを事前に計算できるのがメリットです。
今まで人間の手で実施されてきた収益率の計算ですが、ArchisterではAIの機能を活用した児童の計算機能が搭載されています。市場と開発の傾向を見て、対象のエリアでどれだけの活動が行われているかを知ることもできるため、不動産に対する投資回収率を安定的に生み出したいという会社に最適なツールだと言えます。
AIを活用して3Dコンセプトを生成できる
Archisterでは、選択した土地にワンクリックで素早く3Dコンセプトを反映できるのがメリットです。
例えば「土地購入者に対して、実際にどのような家を建てられるのか事前にデザインしておきたい」と考えた際には、コンセプト機能を使うだけで簡単に数案の建物デザインを反映できます。
土地形状に合わせて自動でデザインが調整されるため、操作者が細かく調整をするといった必要はほとんどありません。数案のデザインを用意しておきたいという際にも役立つ機能ですので、建物デザインの概略設計としても役立つでしょう。
Archistarが役立つ業種一覧
将来Archisterの日本版がリリースされた際に、自社で製品を導入すべきなのかあらかじめ検討しておきたいという方も多いでしょう。参考として以下に、製品が役立つ業種を整理しました。具体例も載せているので、ぜひ参考にしてみてください。
製品が役立つ業種 | 活用例 |
不動産開発者 | ・土地購入や建物建築の計画・分析ができる ・分析した情報を資料として整理する |
建築家 | ・対象となる土地の建物形状の案などを事前に抽出できる ・取得した不動産情報をもとに必要な設計の対策などを検討する |
住宅建築業者 | 同上 |
政府 | 国内における土地の価格状況などをチェックできるほか、国が実施した調査に基づく情報を企業に共有できる |
土地や建物を取り扱う企業が活用しやすいツールであることはもちろん、国など日本全体の土地を管理する立場の人などが、製品の対象者です。土地や建物、またエリアごとの環境に関わる情報をArchisterで一元管理できるため、建設・不動産に関わる仕事をしている人は、日本版開発の情報がないか継続的にリサーチを実施するのが良いでしょう。
おわりに
Archisterは不動産に関わる土地・建物・環境の情報を一元管理できる便利なツールです。また、膨大な情報をもとに土地の本当の価値や投資回収率などを手軽に分析できます。
現在オーストラリアやアメリカ、カナダなどで提供されていますが、今後は日本でもリリースされる可能性があります。不動産業務の効率化を実現できるDXツールを探している方は、ぜひひとつの選択肢としてArchisterを検討してみてください。