この記事では、住宅スキャンアプリ「Canvas」がどんな機能を持っているのか、またどんな分野で活用できるのかという点で記事にまとめました。
ぜひiPhoneなどを使った住宅内での3Dスキャンの方法が気になる方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
住宅スキャンアプリ「Canvas」とは?
住宅スキャン技術は、建築や不動産業界に革命をもたらす、なくてはならない技術です。
現在様々な住宅スキャン技術が登場していますが、アメリカにあるOccipital社は住宅スキャンアプリ「Canvas」やユーザーが取得したスキャンデータをプロが加工して提供する半自動サービス「Scan To CAD」を用意しています。
Occipital社が提供する住宅スキャンアプリ「Canvas」は、iPadやiPhoneのLiDARセンサーを活用して、簡単に高精度な3Dスキャンを行うことが可能です。
まずユーザーは住宅スキャンアプリ「Canvas」を使って、住宅内をスキャンします。スキャンしたデータは、レビュー、測定、注釈付けに使用でき、スキャンファイルは無料でエクスポートすることが可能です。
またOccipital社では、ユーザーが「Canvas」を使って3DスキャンしたデータをもとにOccipital社の専門家が約2営業日以内にプロ仕様のCADファイルに加工し、そのデータモデルを有料で購入できるサービス「Scan To CAD」のサービスも提供しています。
「Canvas」を使用することによって、専門家が竣工作を作成する時間を節約するのに役立ちます。
Canvasを使用する条件
「Canvas」アプリの使用や「Scan to CAD」のサービスを利用するには、LiDARを内蔵したiOSデバイスが必要です。
iPhoneの場合、2020年にリリースしたiPhone 12 ProやiPhone 12 Pro Maxシリーズ以降。
iPadの場合、2020年にリリースした11インチのiPad Pro(第2世代)以降が対象になります。
半自動加工サービス「Scan To CAD」の対応アプリと拡張子
アプリケーション | 拡張子 |
SketchUp | .skp, .dwg, .dae |
Revit | .rvt, .dwg, .ifc |
Chief Architect | .plan, .dwg, .dae |
2020 Design Live | .kit, .dwg, .dae |
「Scan To CAD」の利用は、従量課金制になっています。
詳しい価格帯は、公式サイトよりご確認ください。
▼公式サイト Occipital社 Canvasの紹介
Canvasアプリの技術的背景
「Canvas」に使用されている住宅内をスキャンする技術であるLiDAR(Light Detection and Ranging)は、光を使って距離を測定する技術です。
「Canvas」アプリは、この技術を利用して部屋全体を詳細にスキャンします。LiDARセンサーを搭載したデバイスを使うことで、追加のハードウェアなしで高精度な3Dモデルを生成できます。
▼iPhoneで手軽に3Dデータをスキャンする方法とは?【 フォトグラメトリ、LiDAR】
https://onetech.jp/blog/scan-3d-data-with-iphone-photogrammetry-lidar-16532
Canvasアプリの使用方法
(引用画像:App Store)
準備と設定
LiDAR搭載のiPhoneまたはiPadを準備します。
アプリのインストールは簡単で、初期設定も直感的に行えます。
▼App Store Canvas: LiDAR 3D Measurements
https://apps.apple.com/jp/app/canvas-lidar-3d-measurements/id1169235377
スキャンの手順
Appleが提供しているLiDARセンサーの範囲は5mです。
デバイスを持って部屋を歩き回るだけで、詳細な3Dモデルが生成されます。スキャン中は、デバイスを一定の速度で動かすことが重要です。
住宅内のスキャン方法については、公式サイトの動画より確認することができます。
▼公式サイト動画 Occipital社 Canvasでスキャンする方法
https://canvas.io/how-to-use-canvas/
※注意
「Canvas」は住宅環境のスキャンに特化して設計されているので、非住宅環境でスキャンすると特定の制限が発生する場合があります。
照明が暗い環境だと正しくスキャンされない場合があります。
Canvasアプリの活用事例
Occipital社の公式サイトより、「Canvas」アプリを活用した事例を3事例程まとめました。
住宅リノベーション
(引用画像:Occipital Canvas)
現状の部屋の寸法を正確に把握することで、リノベーション計画がスムーズに進みます。
Occipital社の顧客であるデザインビルド社では「Canvas」を使用することによって複雑なプロジェクトの並列化ができるようになり、住宅リノベーションを効率よく進めています。
住宅リノベーションでは、スコープや焦点が変わるたびに(計画的または計画外)、まったく異なる理由で何十回も家に触れる傾向があります。
「Canvas」がなければ、プロジェクトの第4週または第5週まで、完全なサイト調査を行い、竣工時のドキュメントを作成するのが理にかなっているまでプロジェクトを固めるまで、物件の3Dモデルを取得できない可能性があるのです。
デザインビルド社は「Canvas」を活用することによってプロジェクト全体のスケジュールを数週間短縮することができたそうです。
インテリアデザイン
(引用画像:Occipital Canvas)
「Canvas」を活用すれば、インテリアデザインにおいて家具の配置やデザインのシミュレーションが容易になります。
はじめに「Scan To CAD」を使用して、スキャンを簡略化された編集可能なCADモデルに変換しました。
そしてCADソフトの「SketchUp」を使用して3D空間を設計し、クライアントに提案する資料用に3Dレンダリングを作成しました。
「Canvas」などを使用することによって、現場での現状把握や3Dモデルの再作成にかかる時間を大幅に短縮し、設計を開始 インテリアデザイナーを対象に実施したケーススタディ全体で、平均的なデザイナーは「Canvas」を使用すると、プロジェクトごとに約7〜10時間の時間を節約できることがわかりました。
不動産業界
(引用画像:Occipital Canvas)
不動産業界では、物件の詳細な3Dモデルを提供することで顧客に対する説明がより効果的になります。
「Canvas」を活用することで、施工の専門家との相談をスムーズに済ますことができたそうです。
Canvasアプリの利点と課題
利点
・利点① 高精度なスキャン
互換性のあるLiDAR対応のiPadまたはiPhoneでCanvas LiDAR 3D Measurementsを使用している場合、CADファイル内のほとんどの測定値は、巻尺、レーザー距離計、または既存の設計図で手動で検証された測定値の1〜2%以内に収まります。
・利点② 使いやすさ
「Canvas」はiOSアプリとして提供されているため、誰でも簡単に操作することができます。
・利点③ 時間の節約
アプリとして提供されているため、ユーザーが自分で測定することができます。測定データをOccipital社のプロがCADファイルに加工する有料サービスもあるので、時間の節約ができます。
課題
・課題① デバイスに依存する点
LiDARセンサーが搭載されているiPhoneやiPadにデバイスが制限されています。現状、Androidでの利用ができません。
・課題② スキャンデータの精度の限界
「すべての測定値は常にXミリメートル以内である」などの絶対的な許容範囲を提供することはできません。
厳密な精度を期待する場合、「Canvas」の使用をおすすめしません。
まとめ
いかがでしたか?この記事は住宅スキャンアプリ「Canvas」について記事にまとめました。
「Canvas」は、住宅スキャン技術の未来を切り開く存在です。今後の技術進化により、さらに多くの分野での活用が期待されます。
「Canvas」を使えば手軽に住宅内を3Dスキャンすることができ、ユーザーがスキャンした3Dデータを専門家が加工し竣工に役立てることができます。
住宅内のスキャンを専門家が全て行う場合多くの時間を要しますが、「Canvas」を使用すれば専門家が現地に行く必要がありません。短時間で測定データを手に入れることができます。
高精度な住宅内の3Dデータが必要な場合は専門家に依頼したほうがいいと思いますが、インテリアデザインなど大まかな空間データが必要なときは「Canvas」の使用や「Scan To CAD」のサービスを利用することをお勧めします。
しかし「Canvas」はアメリカの会社が提供しているサービスで、どのように利用したらいいか悩んでいる場合、ONETECHにご相談ください。
またONETECHでは住宅内をスキャンできる「Canvas」に似たアプリ「バーチャル住宅展示システム:HOUSE DECOR」を開発しております。
もし住宅展示での3Dシミュレーションの生成でお困りのことがありましたら、ご相談ください。
▼住宅、マンション3Dシミュレーション「HOUSE DECOR」追加改修
住宅、マンション3Dシミュレーション「HOUSE DECOR」追加改修
下記にONETECHでの3Dシーン生成事例「iPhoneのLiDARを使用し、保守点検業務で必要な空間の点群データ作成」をあげました。
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