「自社独自の動画配信システムを作成したい」と考えている方も多いでしょう。しかし、具体的な構築方法や手順がわからず動き出せない人も多いはずです。
そこでこのコラムでは、動画配信システムの作り方をわかりやすく解説します。システム構築の選択肢と各種メリット・デメリット、そして構築の流れもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
動画配信システムとは?
動画配信システムとは、文字通りインターネットを通じて動画を配信するシステムのことです。主にビジネス向けとして構築を始めている企業が多く、次のような動画配信のために活用されています。
- ホームページ上で公開するPR動画
- 研修時に使う社内研修動画
- 営業活動時に利用する商品説明動画
ただ動画配信と言えば、YouTubeといったサービスを利用するものだと思われがちです。しかし、動画管理や公開の条件が提供元に縛られてしまうことから、ルールや制限をなくすために自社独自の動画配信システムが構築されています。
カスタマイズ性のほか、拡張性も自由に調整できることから、多数の企業が独自の動画配信システムを持とうとしているのです。
動画配信システム構築の選択肢
動画配信システムを構築するうえで最初に理解しておくべきなのが、構築する方法に3つの選択肢があることです。参考として、各構築方法の特徴をわかりやすくまとめました。
①スクラッチですべて自作する
スクラッチとは、ゼロから開発をスタートする方法です。サーバーの準備はもちろん、プラットフォーム、デザインまですべて自作します。
また、スクラッチは開発スキルが必要になるため、専門の開発会社に外部委託するのが一般的です。自社の要望に合わせて開発を進めてもらい、時間と費用をかけつつ独自のシステムを組んでいきます。
自社だけの動画配信システムを構築したい場合におすすめです。
②パッケージでシステムを組み立てる
パッケージとは、あらかじめデザインや開発プラットフォームが整った状態からシステム構築を進めていく方法です。サーバーの準備など、かんたんな構築だけでシステムを開発できるため、外部委託する企業もあれば、企業自らエンジニアを雇い制作するケースもあります。
ただし、パッケージを活用した場合競合他社と似通ったデザイン・UIになりやすいのがネックです。独自要素を出しづらいことに注意しなければなりません。
システム構築費用・期間を抑えたい場合におすすめです。
③無料の配信プラットフォームを活用する
動画配信システムを作らず、無料配信プラットフォームを利用して動画を管理する方法もあります。例えば、次のような配信プラットフォームが有名です。
- YouTube
- Vimeo
- Veoh
しかし、自社独自で政策を実施しないため、利用規約や投稿ルールを守らなければなりません。また、動画を利用する際に必ずプラットフォームを通して動画を再生しなければならないことに注意してください。
システムを構築する人材が不足していたり、運用スキルに自信がない場合におすすめです。
動画配信システムをスクラッチ開発するメリット・デメリット
ゼロからシステムを構築する「スクラッチ開発」に興味をお持ちの方向けに、構築のメリット・デメリットをまとめました。
スクラッチ開発のメリット
スクラッチ開発のメリットは、次の通りです。
- 完全オリジナルのシステムを制作できる
- 自社の要望や目的をすべて反映できる
- 競合他社との違いを生み出せる
まずスクラッチ開発では、デザイン・UI・機能をすべて自作します。他社にはないオリジナルの動画配信システムの構築が可能であり、自社の要望・目的を自由に反映できるのが魅力です。
また、競合他社との違いを生み出したい場合に、独自要素を自由に取り込めます。新たな機能を自由にカスタマイズできるほか、容量・スペック不足が発生した場合に早急な拡張にも対応できるのがメリットです。
スクラッチ開発のデメリット
自由自在にシステムを構築できる「スクラッチ開発」ですが、以下のデメリットがあることに注意してください。
- 開発費用が高額になりやすい
- 開発期間が長期的になりやすい
- 専門の人材・ノウハウが必要になる
特に問題となるのが、開発費用・期間です。すべて自作となるため人件費等がかさむことに注意しなければなりません。もしスクラッチ開発を検討しているのなら、あらかじめ予算・スケジュールを決め、計画性をもってシステム構築に取り組むことが重要です。
もうひとつ、スクラッチ開発を実施する際には構築の知識・技術を持つ人材の確保が欠かせません。もし社内で対応できないとお悩みなら、外部委託やオフショア開発へ依頼するのが良いでしょう。
動画配信システムをパッケージ開発するメリット・デメリット
あらかじめ開発の土台が整った「パッケージ開発」を検討している人向けに、メリット・デメリットをまとめました。
パッケージ開発のメリット
パッケージ開発を採用すると、次のようなメリットが得られます。
- 開発期間を短縮できる
- 初期費用を抑えやすい
- 高品質な機能を搭載できる
まず、パッケージ開発ではすでに構築済みの機能等を反映できることから、開発期間を短くし、費用負担を抑えやすいのがメリットです。前述したスクラッチ開発と比べて低価格で動画配信システムを構築できます。
また、パッケージ開発はすでに高品質なデザインや機能が準備されているため、カスタマイズしていくだけでシステム構築できるのが魅力です。イメージに近いデザイン・機能を持つシステムを作り出せるほか、バグ・修正のない安定稼働が期待できます。
パッケージ開発のデメリット
手軽な開発が魅力の「パッケージ開発」ですが、以下のデメリットに気を付けなければなりません。
- パッケージの要素に依存してしまう
- 融通が利かないケースもある
- システムがブラックボックス化しやすい
例えば、すでにパッケージという「型」が決まっているため、機能やUI、デザイン等が準備したパッケージに依存してしまいます。場合によっては、自社が求める拡張機能等がない(不足している)といったリスクがあることに気を付けてください。パッケージ開発に利用する製品にも複数の種類があるため、自社の目的に近いものを比較して探すことが重要です。
また、パッケージに元からあった機能がどのようにして稼働しているのかといった情報がわからずエラーが起きた場合の対処法をすぐに見つけられないのもデメリットです。システム自体がブラックボックス化してしまうため、利用する際にはサポート体制の充実度をチェックしましょう。
配信プラットフォームを利用するメリット・デメリット
予算をかけずに手軽な動画配信を実施する目的で「配信プラットフォーム」を活用したい人向けに、メリット・デメリットを整理しました。
配信プラットフォームのメリット
配信プラットフォームのメリットは、なんといっても「無料から利用できること」です。
お金をかけず(一部有料版あり)に動画をアップロードし、ビジネスや社内業務として活用できます。また、開発の手間や期間がかからず、すぐに活用できるのが魅力です。プラットフォームの提供元がシステムを運用しているため運用の手間も必要ありません。
配信プラットフォームのデメリット
無料・手軽という部分に魅力を感じる配信プラットフォームですが、次のデメリットがあります。
- 提供元の規約に依存してしまう
- 自社の要望を反映できない
- トラブルが起きても対処できない
まず配信プラットフォームは、提供元が示すルールや規約に同意することが前提です。自社で新たに機能を追加したいと考えても、一企業の意見だけでは対応してもらえないことに注意してください。
また、配信プラットフォームでトラブルが起きた際、復旧するまでに時間がかかることに注意しなければなりません。もし何かの障害で自社のアカウントが消えたとしても、保証してもらえないケースが多いことにも気を付けてください。
動画配信システムを構築する流れ
動画配信システムを構築する際には、必ず完成までの道筋を立てたうえで動き出すことが重要です。参考としてシステム構築全般を対象とした開発の流れをまとめました。
①企画・コンセプトをまとめる
まずは自社にどのような動画配信システムが必要なのか、企画・コンセプトを決めましょう。例えば、提供したいサービスによって次の要素が変化します。
- 機能
- デザイン
- UI
また、誰向けの動画配信システムなのかを考えることも重要です。対象ユーザー・ペルソナを設定し、利用者が満足する要素をまとめてみてください。
②要件を定義する
企画・コンセプトが決定したら、必要な機能・デザイン・UIを具体化し、要件をまとめてください。
また要件定義する際には、動画配信システムとして必要なサーバースペック、バックアップ体制、セキュリティ対策といった項目まで明確にまとめておくことが重要です。
要件定義の資料は、完成をイメージするために欠かせない説明書です。開発前に必ず準備しておきましょう。
③システム開発会社を探す(自社開発する)
自社で開発するのか、外部委託するのかを検討してください。
外部委託する場合にはシステム開発会社に相談し、要件定義した内容をブラッシュアップしながら見積もりを作成してもらいましょう。また、システム開発会社によって実績や品質、サポート力に違いがあるため業者の比較検討も実施してください。
④実装する
開発準備が整ったら、スケジュールやリリースに向けて実装を進めましょう。
また、外部委託した際には、計画的に開発が進んでいるのか、段階を踏みつつ打ち合わせを実施することが重要です。完全に任せたままにしてしまうと、後々トラブルが発生するケースもあるので、進捗状況の確認に力を入れてください。
⑤動作テスト・β版をリリースする
動画配信システムが完成したら、まずは動作テストを実施し、正しく機能してくれるのかを確認してください。
問題がないと判断できた場合にはβ版をリリースし、利用者から意見を集めましょう。ちなみに本リリースが完了した後も継続的に運用・チェックを続けることが重要です。利用者の要望を取り入れつつ、システムの品質を高めていきましょう。
おわりに
近年、自社で動画配信システムを構築し、サービス提供や自社ホームページで利用している企業が増えてきています。配信プラットフォームに頼らない運用方法を採用することによって、自由な動画管理が可能です。
もしスクラッチ開発・パッケージ開発でお悩みなら、動画配信システムの構築実績のあるONETECHにご相談ください。外部委託・オフショア開発としてシステム構築をサポートします。