CDNといったWebサイトコンテンツを届けるサービス「Cloudflare」に興味をお持ちではないでしょうか。しかし、具体的な機能がわからずにお困りの方も多いでしょう。
このコラムでは、サービスの概要や搭載されている機能、導入するメリット・デメリットについて解説します。また導入がおすすめのユーザー情報も解説しているので、導入の参考にしてください。
Cloudflareとは?
Cloudflareとは、サイトに表示される以下のコンテンツをキャッシュとして保存し、高速で配信するためのネットワークサービスです。
- 文章
- 画像
- 動画
従来、Webサイトなどにアクセスした段階でサーバーに保管されたコンテンツが配信されますが、CDNがあればユーザーはサーバーからコンテンツを取得する必要がなくなります。
例えば、列に並んでいる人とは違い、すぐに予約していた商品を受け取れるというように、時間をかけずに高速でサイトにアクセスできるのが特徴です。
Cloudflareの重要性
近年、以下の理由からCloudflareに搭載されたCDNの重要性が高まってきています。
- サイトのセキュリティ対策不足
- 悪質なウイルス攻撃
当サービスがあれば、悪質なDDoS攻撃(大量のパケットを送信してアクセスできなくする)など、搭載されているファイアウォールといった従来のセキュリティ対策だけでは防ぎきれない攻撃に対し、スピーディーに対策を打てるのが魅力です。
特にCMSを利用してWebサイトを構築している場合、ウイルス攻撃の影響がフロントエンドのみならずバックエンドにまで広がるおそれがあるため、安全に運用を続けるためにもCDNの重要性が高まりつつあります。
Cloudflareの注意点
Webサイトのアクセスを高速化し、セキュリティ対策にも役立つCloudflareですが、過去に二度のCDN障害が発生していることに注意しなければなりません。当サービスを利用しているイラストコミュニケーションサイトの「pixiv」やデザインツール「Canva」などが被害に遭い、一時的にサイトにアクセスできない状況に陥りました。
また、当サービスは違法サイトの運営に利用されることが多く、マイナスイメージが強いことにも注意が必要です。著作権侵害をほう助しているといった理由で訴訟が起きていることも含め、今後の動向から目が離せません。
Cloudflareの機能
Cloudflareの導入を検討している人向けに、役立つメイン機能を3つ紹介します。
Webアクセスを向上するCDN機能
CDN機能は、世界270拠点にあるデータセンターを通じてWebの静的コンテンツのキャッシュを保存し、アクセス速度を高速化できる機能のことです。サイトから直接配信せず、データセンターを通じてコンテンツが配信され、CPUリソースを節約できます。
不正トラフィックを遮断するDDoS攻撃対策
CloudflareにはDDoS攻撃の軽減機能が搭載されており、多量に消費される不正のトラフィックを自動で遮断します。膨大なパケットが送信されたとしても、自動で不正アクセスがガードされるため、サイトをパンクさせずに運用できるのが魅力です。
複数人で共有できるマルチユーザー管理
Cloudflareはチームメンバーなど複数人の管理者で運用できるマルチユーザー管理機能が搭載されています。管理画面上にメンバーを追加することで、それぞれに必要な権限を付与してCDN機能やセキュリティ対策の運用が可能です。
Cloudflareの料金プラン
Cloudflareは、予算や目的に合わせて以下に示す4つの料金プランが用意されています。
フリー | プロ | ビジネス | エンタープライズ | |
料金 | 無料 | 20ドル/月 年間240ドル/月 | 200ドル/月 年間2,400ドル/月 | 要見積もり ※年間支払いが必要 |
対象ユーザー | 個人趣味のサイト運用 | 商用目的でないサイト | 小~中規模のオンライン事業者向け | 大規模オンライン事業者向け |
ルール設定数 | 65 | 155 | 310 | 760 |
キャッシュ最小TTL | 2h | 1h | 1s | 1s |
最大アップロード容量 | 100MB | 100MB | 200MB | 500MB以上 |
アナリティクス分析期間 | 6h | 24h | 7day | 30day |
上表からわかるように、エンタープライズになるほど搭載されている機能が増えていきます。ビジネス目的なら「ビジネス」「エンタープライズ」、ビジネス目的でないなら「フリー」「プロ」で対応可能です。
Cloudflareのプランを選ぶポイント
Cloudflareは、料金だけでなく求める機能や制限の有無を見て選ぶのがおすすめです。
例えば、最大アップロードサイズが100MBを超える場合には、ビジネスプランやエンタープライズプランによる対応が欠かせません。また、ページごとに細かくルールを設定したい場合にも有料プランの利用が必要です。
公式サイトの料金情報を参考にしつつ、予算と目的に合うプランを探してみてください。
Cloudflareのメリット・デメリット
Cloudflareの導入理由を具体化したい人向けに、サービスを活用するメリット・デメリットを紹介します。
メリット①Web表示速度の向上
Cloudflareは従来のWebサイトアクセスの仕組みとは違い、データセンターを間に介して訪問するため、サイトの表示速度を向上できるのが魅力です。
まず、従来のWebサイトの場合サーバースペックにより、文字や画像といった静的コンテンツの送信速度が変化します。もしサーバーのスペックが低い場合にはサイトを完全に読み込むまで、膨大な時間を消費しなければなりません。
対してデータセンターを介せば、あらかじめキャッシュが保存されている状態でアクセスできることから、ユーザーのアクセシビリティの向上に役立ちます。
メリット②外部攻撃からWebサイトを守れる
Webサイトを運営するときに注意しなければならないのが、悪意のある第三者からのウイルス攻撃です。
近年では、DDoS攻撃など膨大なパケットを送信してサーバーを落としてしまう悪質な攻撃が頻発化しています。大手企業もDDoS攻撃の影響を受け、サイトに訪問できなくなる事例があるため、サイト運営者はセキュリティ対策に力を入れなければなりません。
しかし、DDoS攻撃の場合、単純にパケットを送るという単純な方法の攻撃であることから、従来のファイアウォールでは攻撃からWebサイトを守れないのが特徴です。対してCloudflareは、不正のトラフィック自体を検知し、自動で訪問できなくします。
DDoS攻撃に強いサイトを構築できるほか、もしウイルス攻撃などを受けても、キャッシュなどを保存したデータセンターで食い止められるのが魅力です。サーバー自体にウイルスが入り込みにくくなり、サイトの安全性を維持しやすくなります。
メリット③SEO対策として効果を発揮できる
Cloudflareは、以下の項目の向上・改善により、検索エンジンのSEO対策に役立ちます。
- アクセス速度が向上する
- Webページの高速表示により内部リンクを移動されやすくなる
- セキュリティ対策の向上により信頼性が増す
SEO対策ではコンテンツの質だけでなく、アクセシビリティやセキュリティといったポイントも評価に含まれていると言われています。CloudflareによるWebサイトの向上・改善は、一般ユーザーのストレスを軽減するほか、Webサイトの運営者にとってもSEO対策という面で効果を生み出します。
デメリット①ダウンするとサイト利用が不可になる
Cloudflareは、世界中のデータセンターでWebサイトのキャッシュが保存されていますが、データセンターが何らかの理由でダウンすると、復旧が終わるまでWebサイトにアクセスできなくなります。
過去の事例として、イラストコミュニケーションサイトの「pixiv」はデータセンターのトラブルにより、約2時間利用しづらくなる状況に陥りました。
復旧までに時間を要することから、ビジネス向けのWebサイトを運営する際には、ダウンするかもしれないリスクを容認しなければなりません。
デメリット②設定ミスでキャッシュ事故を招く
導入する際には、必ずCDNについて理解しているエンジニアに導入作業を任せましょう。なぜなら導入時にページのルール設定を適切に実施しなければ、キャッシュ事故が起きるおそれがあるからです。
キャッシュ事故が起きると、一般ユーザーが管理画面を操作できたり、管理人が管理画面を閲覧できなくなったりと、アクセス面でさまざまなトラブルが起きてしまいます。個人情報を取り扱うサイトの場合、大問題に発展するケースがあるので導入はプロに任せるのがおすすめです。
Cloudflareを導入すべきWebサイトとは?
CDN機能やDDoS対策機能が搭載されたCloudflareは、次のようなWebサイトにおすすめです。
- 静的コンテンツの読み込みに時間がかかるサイト
- アクセスユーザーが増えて読み込みが遅くなっているサイト
- 過去にDDoS攻撃の被害を受けたことがあるサイト
- セキュリティ対策の向上に必要性を感じているサイト
例えば、予約サイトやECサイトなどは、アクセスが集中しやすいためCDNがあると便利です。画像や動画といった静的コンテンツのせいで処理が重いのなら、ぜひ導入して問題を改善しましょう。
まとめ
Cloudflareは、データセンターにキャッシュを保存できるCDN機能、DDoS攻撃からサイトを守る自動ブロック機能が搭載された便利なサービスです。 もし「導入方法がわからない」「ほかのCDNも活用してマルチCDNに対応したい」と検討されているのなら、ONETECHまでご相談ください。導入・開発のサポートを提供しています。