「見積もりは適正なのか」「本当に効果が出るのか」カスタマイズ発注を前に、こんな不安を抱えていませんか。実は、10の判断基準さえ知っていれば、開発会社との交渉も要件定義もスムーズに進みます。費用・期間・品質の3軸から、発注前に必ず確認すべきポイントを解説します。
はじめに
建築プロジェクトでは、BIMやCADの導入が当たり前になってきました。しかし実際に運用していると、もう少し自動化できる部分があると感じる場面が増えてきます。

こうした局面で注目されるのが、BIMカスタマイズやCADカスタマイズです。これらを実施すれば、二重作業の削減やヒューマンエラーの抑制が期待できるでしょう。
ただし発注前には気になる点が多いのも事実です。具体的にどのくらいの費用がかかるのか、開発期間はどれほど必要なのか、完成後の成果物品質はどこまで保証されるのかといった疑問が生じます。
また、BIMとCADの互換性をどう保つか、既存環境とどう整合させるかは、企業の技術マネージャーにとって重要な課題になるはずです。
この記事では、こうした疑問点を整理しながら、実際の現場で押さえておくべきポイントを解説していきます。特に費用から期間、成果物品質まで、発注前に知りたい10のテーマを中心にまとめました。
中堅建築会社の技術マネージャーが、本記事を読んでカスタマイズ発注に踏み切る一助になることを願っています。今後の業務効率化やコスト最適化を目指すにあたり、BIM導入やCAD導入の成功事例を自社に合わせて落とし込むための参考にしてみてください。筆者自身も製造業・建設業向けに20年以上のシステム開発実績があり、CADゼロからの業務構築やBIM・CADカスタマイズプロジェクトを数多く支援してきた経験から、実務で役立つ知見をお伝えします。
BIM・CADカスタマイズの必要性と基本概念
BIMやCADを単にソフトとして導入するだけでは、最大限の効果を引き出せません。企業独自のワークフローや設計手法に応じて最適化するには、必要な機能を追加したり調整したりするカスタマイズが求められます。

このカスタマイズの良し悪しが、業務効率やプロジェクトの品質を大きく左右するでしょう。たとえばBIM自動化機能を導入すれば、設計変更への対応がスピーディーになります。あるいはCAD自動化によって図面作成時間が短縮されるなど、具体的な効果を得ることができるはずです。
一方でカスタマイズの実施にはリソースが必要です。システム開発の知見が社内に十分あるのか、外部の開発会社をどう選定すればいいのかなど、事前の検討ポイントも多岐にわたります。成功への近道は、まず基本概念をしっかりと理解することにあるでしょう。
以下では、カスタマイズの基礎知識と、その必要性をより詳しく見ていきます。
カスタマイズの基本とは?
標準ソフトにない機能の開発や既存機能の拡張により自社に最適化する手法
BIMカスタマイズやCADカスタマイズとは、標準ソフトに組み込まれていない機能を新たに開発することを指します。あるいは既存機能を拡張したり修正したりして、独自に使いやすくすることも含まれるでしょう。
具体的には、項目名や属性情報の入力項目を自社ルールに合わせて変更したり、特定の図面テンプレートを自動生成したりするなど、多岐にわたります。
その背景には、標準機能だけでは業務の流れに完全には合わず、オペレーターが手動で繰り返し作業を行っている現状があるのです。たとえばモデル精度が高いBIMデータからCAD図面を自動で作成し、二重作業を減らすといったことも、カスタマイズの大きな目的になります。
こうした追加処理を明確にすれば、コストに見合う効果を得やすくなるはずです。
なぜカスタマイズが必要なのか
企業独自の設計基準への適応と長期的な費用対効果向上のため
カスタマイズを検討する理由としては、まず企業独自の設計基準や社内ルールへの適応が挙げられます。BIMとCADを使い慣れるうちに、もっと自動化できればというニーズが増えていくでしょう。
成果物の品質や作業効率を上げるために、カスタマイズが求められるわけです。
さらに設計や施工が同時進行する建築プロジェクトでは、リアルタイムで情報を更新できるシステムこそが競争力の源になります。BIM費用やCAD費用を検討する際には、単に導入コストだけを見るのではありません。
将来のアップデートやBIM保守契約、CAD保守契約も含めた総合的な評価が大切です。このようにカスタマイズは惜しみない初期投資ではなく、長期的な費用対効果を高める仕組みづくりとして捉えることが重要になります。
カスタマイズプロジェクトの実施前に知っておくべき10のポイント
ここからは、実際にカスタマイズプロジェクトをスタートする前に知っておきたい10の項目について解説します。費用や期間、成果物品質といった根本的なテーマから、運用体制やバージョンアップ、そしてクラウド対応の可能性まで幅広くカバーしていきます。


これらのポイントを事前に確認し、具体的な要件を整理してから開発会社と相談を始めると、スムーズなプロジェクト運営を実現できるでしょう。
中堅建築会社だけでなく、設計事務所や工務店などでも同様の課題が生じやすいため、共通のチェックリストとして活用してみてください。特にBIMカスタマイズ範囲やCADカスタマイズ範囲をいかに絞り込むかは、大切な検討材料です。
無理に範囲を広げすぎると予算オーバーやスケジュール遅延につながるため、費用対効果を常に意識することが成功のカギとなります。それでは、10のポイントを順に見ていきましょう。
カスタマイズ費用の見積もりと予算計画
機能範囲を明確化し定量的な費用対効果で投資判断する
最初に気になるのは、BIM費用やCAD費用がどの程度かかるかという点です。カスタマイズと言っても、簡単なスクリプト修正から大規模なデータ連携まで幅広く、金額も数十万円から数百万円以上と大きく開きがあります。
以下の表に、カスタマイズの種類別の費用相場と主な内容をまとめました。自社のニーズに照らし合わせて参考にしてください。
表1:カスタマイズの種類別費用相場と内容
| カスタマイズの種類 | 費用相場 | 主な内容 | 開発規模 |
| スクリプト修正・マクロ開発 | 数十万円〜100万円 | 入力フォームの自動化、定型処理の効率化 | 小規模 |
| テンプレート・ライブラリ構築 | 50万円〜200万円 | 図面テンプレート、部品ライブラリの整備 | 小〜中規模 |
| 属性情報管理の拡張 | 100万円〜300万円 | 属性データベース構築、連動機能開発 | 中規模 |
| システム間データ連携 | 200万円〜500万円以上 | BIM-CAD相互変換、外部システム統合 | 大規模 |
見積もりを依頼する際は、調整したい機能の範囲や完成イメージを細かく伝えることが重要です。要件があいまいだと、不必要な開発まで含まれたり、逆に不足する機能が後から判明したりするでしょう。
加えて定性的ではなく定量的な判断基準も用意しておくとよいです。たとえばCADカスタマイズ費用対効果やBIMカスタマイズ費用対効果を、二重作業の削減量や人件費の減少見込みで算出します。どこに投資すれば一番リターンが大きいかを検討するわけです。
開発期間とプロジェクトスケジュール
要件定義から実装まで1か月から半年以上、段階的リリースが効果的
カスタマイズ開発には、要件定義や設計、実装、テストなどのプロセスが必要です。BIM開発期間やCAD開発期間は、単純なマクロ作成なら1か月から2か月程度でしょう。
複雑なシステム統合なら半年以上かかることも珍しくありません。以下の表に、プロジェクト規模別の標準的な開発期間と主要工程を整理しました。
表2:プロジェクト規模別の開発期間と主要工程
| プロジェクト規模 | 開発期間 | 要件定義 | 設計・実装 | テスト・検証 | リリース方式 |
| 小規模(マクロ・スクリプト) | 1〜2か月 | 1週間 | 2〜3週間 | 1〜2週間 | 一括リリース |
| 中規模(テンプレート・連携機能) | 3〜4か月 | 2〜3週間 | 6〜8週間 | 3〜4週間 | 段階的リリース推奨 |
| 大規模(システム統合) | 6か月以上 | 1〜2か月 | 3〜4か月 | 1〜2か月 | 段階的リリース必須 |
短縮化には、あらかじめシステム連携やテスト工程を視野に入れてスケジュールを作ることがポイントです。
大規模案件ほど段階的なリリースを採用し、部分ごとに運用テストを行った方が安定した品質を得やすくなります。また社内の稼働状況に合わせて開発期間を調整することも合理的です。
たとえば繁忙期を避けたタイミングで要件ヒアリングや検証を集中的に行うと、スムーズなプロジェクト進行が期待できるでしょう。
成果物の品質保証と検収基準
契約前に検収基準と不具合対応範囲を明確化し多角的に検証
BIM成果物品質やCAD成果物品質をどう確保するかは、契約前に明確にしておく必要があります。検収基準を設定し、何をもって合格とみなすのか、また不具合が見つかった場合の対応範囲をどうするかを事前に決めておくことが重要です。品質保証の仕組みを明確にすることで、納品後のトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
品質保証のための主要チェックポイント
- 検収基準の明確化:合格判定の基準を具体的に定義し、サンプルデータやシナリオを用いた検証方法を事前に合意する
- 多角的なテスト実施:動作速度、モデルの一貫性、図面の自動生成時の精度など、複数の観点からBIMテスト工程やCADテスト工程を実施する
- 保守契約の確認:納品後のバグ修正やサポート範囲を明確にし、バージョン管理やアップデートポリシーまで含めて契約時に確認する
こうした品質保証の仕組みを事前に整えることで、開発会社との認識のズレを防ぎ、安定した成果物を得ることができます。できる限り契約時に詳細な取り決めを行っておくと安心でしょう。
カスタマイズ範囲の決定方法
ボトルネック箇所を特定し段階的に改修することで費用対効果を最大化
プロジェクトの成功は、BIMカスタマイズ範囲やCADカスタマイズ範囲をコンパクトかつ的確に設定できるかにかかっています。社内のボトルネックになっている部分がどこかを特定し、そこを重点的に自動化すれば費用対効果が高まるでしょう。
最初にヒアリングシートなどを使って実際の作業フローと課題点を洗い出し、優先度をランク付けします。特に二重作業やヒューマンエラーが多い箇所に注力するのがコツです。
すべてを一気にカスタマイズしようとすると、時間もコストもかかり過ぎるリスクがあります。段階的に改修し、運用で効果が確認できてから次のステップに進む方法がおすすめです。
既存環境との互換性確保
ファイル形式とデータ連携の仕組みを整え運用フロー再構築も実施
BIMとCADの互換性をスムーズに保つためには、ファイル形式やデータ連携の仕組みに注目する必要があります。IFCや独自の変換ツールを用いて、複数のソフト間でデータを行き来できるようにすると、移行時のトラブルを軽減できるでしょう。
ただしBIMとCADの二重作業を完全になくすためには、社内ルールの見直しや運用フローの再構築も必要です。最初はBIMモデルで情報を作り、それをCADに反映するという手順を徹底すれば、整合性の齟齬が起こりにくくなります。
高いレベルでの互換性を追求するほどシステム導入コストも上がりますが、長期的に見れば工数削減やプロジェクト全体の品質向上に寄与する可能性が大きいです。
必要なLOD(詳細度)の設定
用途と段階に応じた最適なLOD設定で操作性と精度のバランスを確保
BIMモデル精度やCADモデル精度は、用途と段階に応じて最適なLODを設定することが肝心です。LODを過剰に高めてしまうと、モデルデータが重くなり操作性が損なわれてしまいます。プロジェクトの進行段階に合わせて適切な詳細度を選択することで、効率的なモデル運用が可能になるでしょう。
プロジェクト段階別のLOD設定方法
- 設計初期段階(LOD100〜200):全体の形状や主要寸法を確認する段階で、概略的なモデル構築に留め、データの軽量化を優先する
- 設計詳細段階(LOD300):部材の形状や寸法が具体化する段階で、施工に必要な情報を段階的に追加していく
- 施工段階(LOD400):施工に必要な詳細情報を含め、製作や組立に必要な精度まで詳細度を高める
大切なのは、どのプロセスでどの精度が必要かを社内で合意形成し、カスタマイズ段階で明確に組み込むことです。そうすることで、過不足のないモデル構築が可能となるでしょう。
属性情報の管理と自動化
入力フォーム自動化とモデル連動でヒューマンエラーを削減
BIM属性情報管理やCAD属性情報管理は、建築プロジェクト全体を通じて非常に重要です。材質や仕上げだけでなく、数量情報やコスト情報まで一元化できれば、見積精度や計画精度が格段に上がります。
カスタマイズの際は、属性情報入力フォームの自動化や、モデルと図面の連動による一括更新機能に注目するとよいでしょう。ヒューマンエラーの削減が期待できるからです。
実際にリスト出力を試しながら検証し、想定していない抜け漏れがないか確認するのが望ましいです。また外部のデータベースやクラウドサービスを活用して情報を同期させるアプローチをとる場合、セキュリティとバージョン管理のルールづくりも同時に検討する必要があります。
運用体制の構築と社内トレーニング
人材育成と業務フロー再設計により実効性のある運用体制を構築
新しくBIM運用体制やCAD運用体制を整えるには、システムの導入だけでなく、社内の人材育成と業務フロー再設計が不可欠です。せっかくカスタマイズしても、担当者が使いこなせなければ本当の効果は得られません。効果的な運用体制を構築するには、組織全体での取り組みが必要になります。
効果的な運用体制構築の実践ポイント
- 導入初期トレーニングの実施:社内トレーニングを実施し、実務担当者同士で知識共有の場を設けることでスムーズに定着させる
- 部門横断的な理解促進:設計チームだけでなく、施工や管理部門も共通理解を深めることで、組織全体での活用を推進する
- 外部リソースの戦略的活用:より専門的なBIM自動化やCAD自動化を進める上で、製造業・建設業に精通した外部のコンサルティング会社に支援を仰ぐことも有効な選択肢となる
こうした多層的なアプローチにより、カスタマイズされたシステムが社内に根付き、実務で活用される体制を整えることができます。必要に応じて外部リソースの活用も検討しながら、持続可能な運用体制を目指しましょう。
バージョンアップとメンテナンス計画
定期的な保守契約でソフト更新に対応し将来の使用不能リスクを回避
ソフトウェアは常にアップデートが行われるため、BIMバージョンアップやCADバージョンアップに合わせてカスタマイズも見直す必要があります。カスタマイズ部分が古い環境に固定されてしまうと、将来的に使えなくなるリスクが高まるでしょう。
そこで定期的な保守契約を結び、バージョンアップのタイミングで改修を行う計画を立てると安心です。ランニングコストとして予算化し、年度ごとに見直しをかける方法も一般的になります。
またメンテナンス中に一時的なシステムダウンを防ぐため、更新作業のタイミングをプロジェクトスケジュールと照らし合わせることも大切です。稼働停止の影響度が大きい現場では、事前に代替手段を確保しておくなどの対策を講じるようにします。
データ連携とクラウド対応の実現
クラウド環境で遠隔地との情報共有を実現しリアルタイムコミュニケーション
最後にデータ連携やクラウド対応も近年重要視されています。CDEなどを活用し、クラウド上でBIMモデルやCAD図面を一括管理することで、遠隔地の関係者とも瞬時に情報を共有できるでしょう。
たとえばAutodesk APSを利用することで、ブラウザからモデル閲覧やコメントの書き込みが可能になり、リアルタイムなコミュニケーションが実現します。ただしセキュリティポリシーやアクセス権限の調整は慎重に行う必要があります。
クラウド対応は導入後の運用コストやシステム可用性に大きく影響するため、導入前の試験運用や利用規約の確認をしっかり行い、プロジェクト要件に合ったサービスを選定することが重要です。
カスタマイズ成功のための実践的アプローチ
ここからは前章で示した10のポイントを踏まえ、実際にプロジェクトを成功へ導くためのアプローチをいくつか提案します。特にプロジェクト管理とリスク評価、技術イノベーション、そしてステークホルダーとのコミュニケーションは、カスタマイズ開発を滞りなく進めるための重要要素です。
それぞれの要素を意識しながらプロジェクトに取り組むと、最終的に得られる成果物の質や社内の満足度も高まるでしょう。途中で課題が発生しても、的確なリスク対策と柔軟なコミュニケーションがあれば、大きなトラブルになる前に対処できるはずです。
以下では3つの観点から、より実践的な進め方を確認してみましょう。
プロジェクト管理とリスク評価
過去事例からリスクを洗い出しWBSで進捗管理を緻密化
カスタマイズプロジェクトを円滑に進めるには、プロジェクトマネージャーが中心となり、進捗管理やリスク評価を緻密に行う必要があります。過去の同種プロジェクトで問題になった点を事前にリストアップし、対策を検討しておくのがベターです。
以下の表に、カスタマイズプロジェクトでよく発生するリスクと推奨される対策をまとめました。プロジェクト開始前のリスク評価にご活用ください。
表3:主要リスクと推奨対策一覧
| リスク項目 | 影響度 | 発生しやすい状況 | 推奨対策 |
| データ重複管理 | 高 | 設計・施工部門の連携不足 | 運用フローの明確化、CDE導入 |
| 要件の認識ズレ | 高 | 要件定義の曖昧さ | 詳細な仕様書作成、定例レビュー |
| スケジュール遅延 | 中 | テスト工程の見積もり不足 | WBSによる工程管理、バッファ確保 |
| システムダウン | 中 | メンテナンス時期の調整不足 | 更新タイミングの事前調整、代替手段準備 |
| 互換性の問題 | 中 | ソフトウェアバージョン差異 | 事前検証環境の構築、IFC活用 |
たとえば設計部門と施工部門の連携でデータが重複管理されてしまう、社内サーバーが更新休止中に重要データにアクセスできないなど、起こりうるリスクを洗い出します。
さらにそのリスクが顕在化した場合の影響度と対策をバランスよく整理しましょう。またWBSを活用し、タスクと依存関係を明確にすることで、スケジュール遅延や品質低下を防ぎやすくなります。
技術的挑戦とイノベーションの取り組み
社内技術ノウハウ蓄積と先進技術導入で長期的競争力を強化
カスタマイズ開発は企業の技術力を高める絶好のチャンスでもあります。BIM自動化やCAD自動化の手法を学び、社内に技術ノウハウを蓄積することで、今後のプロジェクトにも活かせる資産が増えていくでしょう。
たとえばスクリプト開発の基礎研修を実施して、社内の技術者が簡易的なカスタマイズを自主的に行えるようにすると、軽微な修正のたびに外部へ依頼する必要がなくなります。
またAIや機械学習の導入を視野に入れておくのも、長期的なイノベーションを促進するうえで重要です。生成AIを活用した業務改革は建設業でも進んでおり、設計パターンの自動提案やクラウド上での大規模演算など、先進的な取り組みを同時並行で試してみるのも良いでしょう。
ステークホルダーとの効果的なコミュニケーション
定例ミーティングと中間レビューで認識のズレを最小化
カスタマイズ開発では社内スタッフだけでなく、外部の開発会社やクライアント、施工業者など多くのステークホルダーが関わります。彼らとの情報共有が不十分だと、認識のズレや作業ミスが発生しやすくなるので注意が必要です。
効果的な方法としては定例ミーティングやオンラインツールを活用して、進捗レポートをこまめに共有することが挙げられます。疑問点や要望は早めにフィードバックし、プロジェクトの方向性を常に共有しましょう。
さらに開発段階の中間成果物をレビューしてもらい、誤差を最小限に抑える工夫も有効です。ステークホルダー全員に自分ごととしてカスタマイズ開発に参加してもらう姿勢が、成功への大きなステップになります。
まとめと次へのステップ
ここまでBIMとCADカスタマイズの必要性や基本概念、そして発注前に押さえておきたい10のポイントを順に確認してきました。費用や開発期間、成果物品質、さらには運用体制やバージョンアップ計画、クラウド対応など、多方面に渡る話題を取り上げています。
結論としてカスタマイズは単純なソフト開発ではなく、企業そのものの業務効率や品質を大きく変える投資活動と言えるでしょう。BIM費用やCAD費用の初期コストばかりに目を向けるのではなく、長期的なBIMカスタマイズ費用対効果やCADカスタマイズ費用対効果を念頭に置きながら計画を立てることが重要です。
最後に次のステップとして、まずは自社の現状分析と要件整理を行い、必要最低限のカスタマイズ箇所をリストアップしてみてください。そして実績と専門知識を持つ外部パートナーに相談し、スモールスタートで着手するところから始めるのがおすすめです。DX推進やシステム構築で実績のあるコンサルタントに相談することで、費用対効果の高いカスタマイズ計画を立てることができます。
しっかりと段階を踏めば、将来的な運用コストの削減や、設計から施工業務の効率化による競争力強化につながるでしょう。
FAQ
BIMカスタマイズの費用相場はどのくらいですか? 簡単なスクリプト修正なら数十万円、大規模なシステム統合なら数百万円以上が一般的です。 費用は開発内容の複雑さによって大きく変わります。要件を明確にして見積もりを依頼し、二重作業の削減量や人件費の減少見込みから費用対効果を算出することが重要です。複数の開発会社に相見積もりを取り、実績や技術力も含めて総合的に判断しましょう。
開発期間はどのくらいかかりますか? 単純なマクロ作成なら1〜2か月、複雑なシステム統合なら半年以上かかります。 要件定義から設計、実装、テストまでのプロセスを含めた期間です。大規模案件では段階的なリリースを採用し、部分ごとに運用テストを行うと安定した品質が得られます。社内の繁忙期を避けたタイミングで要件ヒアリングや検証を集中的に行うと、スムーズなプロジェクト進行が期待できるでしょう。
カスタマイズ範囲はどのように決めればいいですか? 社内のボトルネック箇所を特定し、そこを重点的に自動化することが費用対効果を高めます。 ヒアリングシートなどを使って実際の作業フローと課題点を洗い出し、優先度をランク付けします。特に二重作業やヒューマンエラーが多い箇所に注力するのがコツです。すべてを一気にカスタマイズしようとすると予算オーバーのリスクがあるため、段階的に改修する方法がおすすめです。
検収基準は何を設定すべきですか? 動作速度、モデルの一貫性、図面の自動生成精度など、多角的な観点での基準設定が必要です。 契約前に合格判定の基準を具体的に定義し、サンプルデータやシナリオを用いた検証方法を開発会社と事前に合意しておきましょう。納品後のバグ修正やサポート範囲、バージョン管理やアップデートポリシーまで含めて契約時に確認すると安心です。
既存のCADシステムとの互換性は保てますか? IFCや独自の変換ツールを用いれば、複数のソフト間でデータを行き来できます。 ファイル形式やデータ連携の仕組みに注目し、移行時のトラブルを軽減する設計が重要です。ただし完全な互換性を実現するには、社内ルールの見直しや運用フローの再構築も必要になります。BIMモデルで情報を作りCADに反映する手順を徹底すれば、整合性の齟齬が起こりにくくなるでしょう。
社内にシステム開発の知識がなくても大丈夫ですか? 外部のコンサルティング会社や開発会社に支援を依頼すれば問題ありません。 専門的なBIM自動化やCAD自動化を進める上で、外部リソースの活用は大きな武器となります。導入初期には社内トレーニングを実施し、実務担当者同士で知識共有の場を設けることでスムーズに定着します。将来的には社内の技術者が簡易的なカスタマイズを自主的に行えるようにするのが理想的です。
バージョンアップ時の対応はどうすればいいですか? 定期的な保守契約を結び、ソフトのバージョンアップに合わせてカスタマイズも見直します。 カスタマイズ部分が古い環境に固定されると将来的に使えなくなるリスクがあるため、年度ごとに見直しをかける方法が一般的です。更新作業のタイミングはプロジェクトスケジュールと照らし合わせ、稼働停止の影響が大きい現場では事前に代替手段を確保しておくと安心でしょう。
専門用語解説
BIM(ビム):建築情報モデリングの略称で、建物の3次元モデルに材質や数量などの属性情報を持たせる技術です。設計から施工、維持管理まで一貫してデータを活用でき、建築プロジェクト全体の効率化と品質向上に貢献します。
CAD(キャド):コンピュータ支援設計の略称で、コンピュータを使って図面や設計図を作成するソフトウェアです。手書きでは困難な複雑な図形や正確な寸法の表現が可能になり、建築や製造業など幅広い分野で活用されています。
LOD(エルオーディー):詳細度レベルのことで、BIMモデルにどれだけ詳細な情報を含めるかを示す指標です。LOD100は概略形状、LOD400は施工に必要な詳細情報まで含む段階を表し、プロジェクトの進行に合わせて段階的に詳細度を上げていきます。
IFC(アイエフシー):建築業界の国際標準データ形式で、異なるBIMソフト間でデータを共有するために使われます。ソフトウェアの種類に依存せずにモデルデータをやり取りできるため、複数の企業や部門が関わるプロジェクトでの互換性確保に欠かせません。
CDE(シーディーイー):共通データ環境の略称で、プロジェクト関係者全員が同じ情報にアクセスできるクラウド上の管理システムです。遠隔地の関係者ともリアルタイムで情報を共有でき、設計変更や進捗状況を瞬時に反映できます。
WBS(ダブリュービーエス):作業分解構成図の略称で、プロジェクト全体を小さなタスクに分解して管理する手法です。タスクと依存関係を明確にすることで、スケジュール遅延や品質低下を防ぎ、効率的なプロジェクト管理が可能になります。
Autodesk APS:オートデスク社が提供するクラウドベースのプラットフォームで、ブラウザからBIMモデルの閲覧やコメント書き込みができます。専用ソフトをインストールせずにモデルを確認でき、関係者間のリアルタイムなコミュニケーションを実現します。
執筆者プロフィール
小甲 健(Takeshi Kokabu)
AXConstDX株式会社 CEO
製造業・建設業に精通し、20年以上のソフトウェア開発実績を持つ技術起点の経営者型コンサルタントです。CADゼロからの業務構築や大規模DX推進プロジェクトを数多く手がけ、赤字案件率0.5%未満、提案受注率83%という高い成果を維持してきました。
生成AIを活用した業務改革、DX推進、コンテンツ制作、戦略支援を強みとし、近年はGXを経営・DXと統合した実装型GX戦略にも注力しています。脱炭素・省エネ・資源効率化を、IT・データ・業務設計の視点から収益性と競争力に直結させる支援を行っています。
主な専門領域
- BIM・CADカスタマイズとシステム構築支援
- 製造業・建設業向けDX戦略立案と実装
- 生成AIを活用した業務効率化
- GX(グリーントランスフォーメーション)経営戦略
実績・対外活動
- ハーバードビジネスレビュー寄稿:2回
- シリコンバレー視察:5回以上
- btraxデザイン思考研修修了(サンフランシスコ)
- CES視察:1回
先見性と迅速な意思決定を武器に、業界構造転換を見据えた先行アクションを得意とし、建設業・製造業の現場課題を解決する実践的なコンサルティングを提供しています。