なぜ大成建設はAutoCADをやめたのか。建築設備CAD「ARCADE NEO」の選択

設備CADのコストや属人化に、頭を抱えた経験はありませんか。BIMが叫ばれる時代でも、2D図面が現場の主役である現実は変わりません。この記事を読めば、大成建設が選んだ理由とともに、ARCADE NEOが2D設備設計の課題を解消する具体的な答えが見えてきます。

はじめに

建築設備の設計現場では、BIM移行の議論が進む一方、日々の実務はいまも2D図面とDWGデータが支えています。「AutoCADのライセンスコストが重い」「属人化したカスタマイズの維持が限界だ」という声は、大手ゼネコンから中小設計事務所まで、現場を問わず聞こえてきます。

本記事では、そうした現場の悩みに向き合う建築設備CAD「ARCADE NEO」の特性、機能、導入形態、そして大成建設の採用事例をわかりやすくお伝えします。2D設備図面の運用を現実的なコストで刷新したい方に、具体的な判断のよりどころをお届けします。本記事は、建設業DXの現場支援に20年以上携わってきた執筆者の知見をもとに構成しています。

建築設備CAD「ARCADE NEO」とは何か?

建築設備CAD「ARCADE NEO」がどのような製品か、またなぜいま注目されているかを理解するには、まず設備設計現場の構造的な課題を把握することが大切です。

BIM導入が進む大企業でも、2D図面による日常業務はなお続いています。その効率化と安定運用を両立させるツールへの需要は、年々高まっています。製品のコンセプトと、開発の背景にある現場課題をここで整理します。

ARCADE NEOの製品コンセプトと3つの強み

DWG互換・2D特化・シンプル操作の3軸が、ARCADE NEOを汎用CADと分ける核心です。

建築設備CAD「ARCADE NEO」は、2次元図面ベースの設備設計を、できるだけ直感的な操作で高速化することに特化した、DWG互換のアドオン型ソリューションです。

AutoCAD系からARESベースへとプラットフォームを広げたことで、ライセンス費用と運用の手間を抑えながら、既存の設計フローをほぼ変えずに刷新できます。小規模な設計事務所から大手の設備設計部門まで、幅広い現場にフィットする立ち位置を確立しています。

製品設計の強みは「2次元作図特化」「dwg完全互換」「シンプルな操作」の3点に絞られています。この明確な方針こそが、汎用CADとの差別化を生み出す起点です。

設備設計現場が抱える3つの課題とは?

属人化・引き継ぎコスト・バージョン管理の複雑化が、現場を悩ませる3大課題です。

「2D図面は続けたいが、既存CADの維持費やカスタマイズの複雑さに悩んでいる」という声は、現場で繰り返し聞かれます。

BIMや3Dモデルの活用が推進される一方で、設備設計の実務ではいまも大量の2D図面とDWGデータが中心です。その効率化と安定した運用こそが、最初に解くべき課題となっています。

汎用CADに自社スクリプトを積み重ねた環境では、担当者依存のノウハウによるリスク、引き継ぎにかかるコスト、バージョン管理の複雑化という3つの問題が生まれやすくなります。ARCADE NEOは、こうした現場の実情をふまえ、統一された専用ツールへの移行を支える受け皿として設計されています。

ARCADE NEOの主要機能を3つのポイントで解説

ARCADE NEOが設備設計の現場でどう役立つかを理解するには、具体的な機能と日々の作業への影響を確かめることが近道です。

機器配置・経路作図・材料集計という3つの主要機能は、それぞれが独立しているのではなく、一連の設計フローとして連動して動きます。各機能の仕組みと実務上のメリットを、ここでわかりやすくご説明します。

DWG互換アドオン構造で既存資産をそのまま活かす方法

既存のDWG資産・図面管理ルールを壊さず、設備専用機能をそのまま重ねられます。

ARCADE NEOの技術面での特徴としてまず挙げられるのが、DWG互換のARES上で動作するアドオン構造です。既存のDWG資産や図面管理のルールを変えることなく、建築設備専用の作図・集計機能をそのまま積み上げられます。

機器配置では、あらかじめ整理された部材ライブラリを画面上で選んで配置するスタイルを採用しています。よく使う部材セットを複合部品として登録・再利用できるため、記号のばらつきや担当者ごとの作図のくせを抑えられます。部署全体で図面品質をそろえやすい環境が自然と整います。

経路作図から材料集計まで一気通貫でできる理由

クリックだけで継手が自動生成され、図面完成と同時に集計表も出力されます。

経路作図では、作図箇所をクリックするか、機器をダブルクリックするだけで操作がはじまります。曲げ位置を指示するだけで継手が自動生成され、まるで経路を自動でたどるような操作感を実現しています。

配線・配管・ダクトの系統別の描き分けも、ルール化された画層管理と組み合わせることで、作図の速さと図面の読みやすさを同時に保てます。

材料集計は、図面情報をそのまま数量の拾い出しに接続する機能です。これまでエクセルで行っていた集計作業をCAD側に集約することで、二重入力や転記のミスを大きく減らせます。最小限の練習で「図面を描いたらすぐ集計表が出てくる」流れを身につけられる点が、ベテランと若手が混在する部門への導入を後押しします。

導入前に知っておきたいライセンスと開発元の信頼性

ARCADE NEOを実際に導入する前に確認しておきたいのが、自社の規模や運用方針に合ったライセンスの選び方と、開発元の実績・サポート体制です。

ツールの性能が優れていても、ライセンスの仕組みが実態に合わなければ、運用コストは膨らんでしまいます。製品のラインナップと、協振技建の開発背景を確認し、長期導入を安心して判断するための情報をここで整理します。

電気設備版・総合設備版の違いと選び方のポイント

2種類のパッケージと買い切り型ライセンスで、組織規模を問わず長期導入に対応します。

パッケージは、電気設備に特化した「電気設備版」と、空調・衛生も含む「総合設備版」の2種類から選べます。ライセンス形態もひとり使いのスタンドアロン版と、複数人で共有するネットワーク版に対応しています。

小規模な設計事務所から大手ゼネコンの設備設計部門まで、組織の規模と運用方針に応じた形で導入できる構成です。価格はコストパフォーマンスを重視した設定で、買い切り型の永久ライセンスを採用しているため、長期利用を前提としたCAD投資にも向いています。

無料の体験版も用意されており、実際の図面と運用ルールに照らして検証してから導入を判断できます。

1963年創業・4,500本以上の実績が示す開発力とは?

60年超の実績と4,500本の出荷数が、現場由来の専門性とサポート信頼を裏付けます。

開発元の協振技建は1963年創業の老舗企業で、DWG環境上で動くCADアドオンの開発と個別システムの構築を長年にわたり手がけてきました。全シリーズの累計出荷数は4,500本以上にのぼり、現場で鍛えられたノウハウがARCADE NEOの操作体系と機能設計に直接生かされています。

長年の製品開発を通じて積み上げた設備設計実務への深い理解が、汎用CADにはない専門性の高さを製品に与えています。こうした背景が、導入企業に対する信頼感と、継続的なサポートへの安心感を支えています。

大成建設が証明したARCADE NEO導入の効果と選択理由

大成建設という大手ゼネコンがARCADE NEOを採用した事実は、この製品の実務適合性を端的に示しています。BIM推進に積極的な企業が、設備設計の2D図面運用を現実的に最適化するという判断を下したことは、業界全体への示唆となっています。

ここでは大成建設の導入経緯と、ARCADE NEOが「いま選ばれる理由」を実務的な視点から掘り下げます。同様の導入判断を支援してきた経験からも、この事例には業界共通の課題解決のヒントが詰まっています。

大成建設がAutoCADからARES+ARCADE NEOに移行した理由

BIM推進企業でも「若手が迷わず使える2D環境」がCAD選定の決め手になりました。

最も象徴的な導入事例は、大成建設の設備設計部門がARCADEシリーズのベースをAutoCADからARES Commanderへ切り替え、その上でARCADE NEOを採用したケースです。

BIM推進の専門部署を持ちながらも、2D CAD図面の効率化とDWG運用の安定性を大切にする同社において、ARCADE NEOは「若手が迷わず使いはじめられる環境」として高く評価されています。BIMと2D CADが現場でしばらく共存していくことを前提に、「いまの2Dをどう進化させるか」という問いへの現実的な答えとして、この採用判断は業界へ向けた明確なメッセージになっています。

BIM時代に2D CAD専用ツールを選ぶ合理的な判断基準

BIM時代に2D CAD専用ツールを選ぶ合理的な判断基準

BIM移行を急がず、いまの2D資産を守りながら現場を底上げする判断が合理的です。

ARCADE NEOは、BIMへの全面移行を前提とした次世代ツールではありません。既存の2D設備図面の流れを現実的なコストで更新し、DWG資産を守りながら10年単位の安定運用を目指す、実務に根ざした選択肢です。

2D中心の設備設計を続けながら、ライセンス費用の最適化と人材育成のしやすさを重視したい組織にとって、積極的に検討する価値があります。「現在の現場を着実に底上げする」という思想が製品全体を貫いており、BIMへの段階的な移行を見据えたロードマップとも矛盾しない選択です。

まとめ:建築設備CAD「ARCADE NEO」は2D設計現場の現実解

まとめ:建築設備CAD「ARCADE NEO」は2D設計現場の現実解

建築設備CAD「ARCADE NEO」は、「BIMか2D CADか」という二択を超え、いまの設備設計現場を着実に底上げする実務特化型のツールです。

DWG完全互換のARESアドオン構造で既存資産を守りながら、機器配置・経路作図・材料集計を一続きで処理できる専用機能が、図面品質の統一と業務の効率化を同時に実現します。大成建設の採用事例が示すように、大手企業でも「若手が迷わず使える環境」が選定の核になってきています。

電気設備版・総合設備版の2ライセンス体系と買い切り型モデルは、規模を問わず長期運用を支えます。2D設備図面の刷新を考えている設計部門にとって、ARCADE NEOはまず無料体験版で試してみる価値のある選択肢です。

FAQ

ARCADE NEOはAutoCADの代わりとして使えますか? dwgファイルの互換性があるため、AutoCADからの移行がスムーズに行えます。

ARCADE NEOはARES上で動作するDWG互換のCADアドオンです。既存のAutoCADで作成した図面ファイルをそのまま開いて編集できるため、過去の図面資産を捨てる必要はありません。ライセンスコストの削減を目的にAutoCADからの乗り換えを検討している設計事務所や企業に、現実的な選択肢として活用されています。

BIMを導入済みでも、ARCADE NEOを使う意味はありますか? BIM環境でも2D図面業務は続くため、ARCADE NEOは有効な補完ツールになります。

大成建設のようにBIM推進部門を持つ企業でも、日常の設備設計業務では2D CAD図面が中心です。BIMと2D CADはしばらく共存が続くと見られており、2D業務の効率化は独立した課題として取り組む必要があります。ARCADE NEOはBIM移行のロードマップと矛盾せず、いまの現場を底上げするための現実解として機能します。

電気設備版と総合設備版はどう選べばよいですか? 担当する設備の種類と業務範囲によって、最適なパッケージが変わります。

電気設備版は電気設備の作図に特化しており、電気系専門の設計事務所や部門に向いています。空調・衛生・電気をまとめて扱う総合的な設備設計業務を担う組織には、総合設備版が適しています。まずは無料体験版で自社の図面環境と機能の適合性を確かめてから判断することをおすすめします。

属人化した自社LISPからの移行は難しいですか? 統一された専用ツールへの移行は、段階的に進めることで無理なく実現できます。

自社LISPは担当者ごとの仕様が異なるため、引き継ぎや更新に多くのコストがかかります。ARCADE NEOは設備設計専用の作図・集計機能を標準で備えているため、個別スクリプトに頼らずとも業務が回せる設計です。既存のDWG資産はそのまま活用できるので、移行リスクを最小限に抑えながら環境を整えられます。

スタンドアロン版とネットワーク版はどう違いますか? 利用人数と運用スタイルに応じて、最適なライセンス形態を選べます。

スタンドアロン版は1台のパソコンに紐づく形式で、個人または少人数の事務所に適しています。ネットワーク版は社内ネットワーク上で複数のメンバーがライセンスを共有できる形式で、部署単位での導入に向いています。どちらも買い切り型の永久ライセンスのため、月額費用の積み上がりを気にせず長期運用が可能です。

若手社員でもすぐに使いこなせますか? 最小限のトレーニングで操作を習得できる設計になっています。

ARCADE NEOはあらかじめ整理された部材ライブラリを選んで配置するシンプルな操作が基本です。図面を描くと同時に材料集計まで完了する一連のフローが直感的に学べるため、CAD経験が浅い若手でも短期間で実務に対応できるようになります。大成建設でも「若手が迷わず使いはじめられる環境」として高く評価されています。

無料体験版でどこまで試せますか? 実際の図面環境で主要機能をそのまま検証できます。

無料体験版では、機器配置・経路作図・材料集計といったARCADE NEOの主要機能を実際の図面を使って試すことができます。自社の運用ルールやDWG資産との相性を確かめた上で導入判断を下せるため、費用をかける前にリスクを最小化できます。まずは体験版から始めることが、納得のいく導入への近道です。

専門用語解説

ARCADE NEO: 協振技建が開発する建築設備専用CADアドオンの製品名です。DWG互換のARES上で動作し、機器配置・経路作図・材料集計を一体的に処理できる設備設計特化型ツールです。

DWG: AutoCADで標準的に使われる図面ファイルの形式です。建築・設備設計の業界で広く普及しており、このファイル形式に対応していることが、CADツール選定の重要な条件のひとつになっています。

ARES: Graebert社が開発するDWG互換CADエンジンです。AutoCADと同等のファイル形式に対応しながら、ライセンス費用を抑えた運用が可能で、ARCADE NEOの動作基盤として採用されています。

アドオン: 既存のソフトウェアに機能を追加するための拡張プログラムのことです。ARCADE NEOはARESというCADエンジン上で動作するアドオンであり、既存の図面資産やルールを変えずに専用機能を追加できる構造になっています。

LISP(リスプ): AutoCAD上で動作するカスタマイズ用のスクリプト言語です。作業の自動化や独自機能の追加に便利な反面、担当者ごとに仕様が異なりやすく、属人化や引き継ぎコストの原因になることがあります。

BIM(ビム): Building Information Modelingの略で、建物の設計・施工・管理に関する情報を3次元モデルとして一元管理する手法です。国内でも普及が進んでいますが、日常の設備設計業務では依然として2D図面との共存が続いています。

永久ライセンス: ソフトウェアを買い切り型で取得するライセンス形態です。月額や年額のサブスクリプションとは異なり、一度購入すれば継続的な費用が発生しないため、長期運用を前提としたCAD投資に適しています。

執筆者プロフィール

小甲 健(Kokabu Takeshi) AXConstDX株式会社 CEO/株式会社OneTechnologyJapan 特別顧問

製造業・建設業に精通したハイブリッド型コンサルタントです。ソフトウェア開発歴20年以上を持ち、CADゼロからの業務構築や大規模DX推進を数多く手がけてきました。赤字案件率0.5%未満、提案受注率83%という高い成果を維持しながら、現場の課題に向き合い続けています。本記事で取り上げたARCADE NEOのような設備CADの導入支援も、こうした建設業DX支援の実務経験に基づいています。

生成AIを活用した業務改革・DX推進・コンテンツ制作・戦略支援を強みとし、近年はGX(グリーントランスフォーメーション)を経営・DXと統合した「実装型GX戦略」にも注力しています。脱炭素・省エネ・資源効率化を、IT・データ・業務設計の視点から収益性と競争力に直結させる支援を行っています。

先見性と迅速な意思決定を武器に、業界構造転換(DX → GX)を見据えた先行アクションを得意としています。

主な実績・活動

ハーバードビジネスレビューへの寄稿実績 2回

CES(世界最大級の技術見本市)視察 1回

btraxデザイン思考研修(サンフランシスコ)受講

シリコンバレー視察 5回以上

愛読書・影響を受けた人物:ピーター・ドラッカー、孫正義、白潟敏朗、安達裕哉、後藤稔行 ほか

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