BIM・CADカスタマイズの発注判断で、「外注か内製か」という選択を迫られたとき、多くのDX担当者が同じ場所で失敗しています。判断を誤らせる5つの思い込みと、プロジェクト成功への現実的な基準を、実務経験から解き明かします。
はじめに

BIM・CADシステムのカスタマイズを発注する際、外注にするか内製にするか、多くの企業が判断で迷います。一見すると単純な選択肢に見えますが、実はコスト、スピード、品質、リスクなど複数の要素が複雑に絡み合っています。
本記事では、BIM・CAD導入の実務経験から見えてくる判断の葛藤と、陥りやすい思い込みを整理します。プロジェクト成功につながる判断基準を、具体的にお伝えします。
BIM・CADカスタマイズで外注か内製か悩む背景
外注と内製を決める際、コスト、スピード、品質で単純に比較しようとします。しかしBIM・CAドカスタマイズの場合、比較軸そのものが機能しないという問題があります。
初期費用だけでなく運用費用、直接的なコストだけでなく機会喪失、品質や納期の定義自体が曖昧なため、表面的な数字の比較では正確な判断ができません。
DX推進担当が抱えやすい3つの判断の葛藤
予算と品質、リソース不足と学習投資、スピードとタイムスケール。DX担当が直面する3つの矛盾した課題。

DX推進担当者は、まず予算と品質のバランスで迷います。限られた予算の中で、どこまでの完成度を目指すか基準が定まりません。
外注すれば高い品質が期待できますが、コストが増加します。内製なら費用を抑えられますが、品質のばらつきが生じるリスクがあります。
次に社内リソース不足と学習投資のジレンマが生じます。BIM・CADの高度な知識を持つスタッフが不足している中で、内製化に必要なスキル育成にコストと時間を投じるべきか判断できません。
さらにスピード要求と内製化のタイムスケールが矛盾します。経営層から迅速な導入を求められながら、内製では一定の準備期間が避けられず、この時間的制約が判断を一層複雑にしているのです。
BIM・CAD案件が判断しにくい根本理由とは?
単なるツール導入ではなく業務改革であり、運用定着が成否を分ける。業界標準も定まっていません。
BIM・CADカスタマイズの判断が難しい理由は、複数の要因が複雑に絡み合っているためです。
第一に、BIM・CADカスタマイズは単なるツール導入ではなく、業務プロセスの改革と組織全体の標準化に関わる投資です。ツール機能の実装だけでなく、運用ルール、体制、人的スキルといった多次元の変化を伴います。
第二に、成否がシステム実装だけでなく、その後の運用定着に大きく左右されます。導入後の社員教育、運用ルール定着、継続的な改善が成功を左右するのです。
第三に、外注か内製かという判断についての業界統一的な基準が定まっていないため、自社にとって最適な選択肢を判断することが困難です。
外注と内製を比較する際に起きるズレ
外注と内製を決める際、コスト、スピード、品質を比較軸にします。ですが、BIM・CADカスタマイズの場合、これらの比較軸そのものが機能しないという根本的な問題があります。
初期費用だけでなく運用費用、直接的なコストだけでなく機会喪失、品質や納期の定義自体が曖昧なため、表面的な数字の比較では正確な判断ができません。
コスト比較がBIM・CADで機能しない理由
外注の隠れた追加費用と内製の機会喪失。両者のコスト構造は単純には比較できません。
BIM・CAドカスタマイズでコスト比較が機能しない理由は、コストの構造が複雑だからです。
外注を選んだ場合、初期段階で見積費用は明確に見えます。しかし完成後の保守追加費用、カスタマイズ変更の追加コスト、ベンダーへの問い合わせに必要な社内対応コストなどが後から発生し、当初見積より大幅に増加することが多いです。
一方、内製を選んだ場合、表面的には外注より安く見えますが、スキル育成コスト、作業に携わる人員の機会喪失、人員の離職時の知識喪失といった隠れたコストが存在します。
失敗時の損失も織り込む必要があり、単純な比較では判断できないのです。
スピードと品質は本当に比較できるのか?
品質は社内運用スキルに左右され、納期も打ち合わせで遅延。単純な反比例では判断できません。
一般的に「外注なら品質が高く納期も早い」「内製なら時間がかかるが品質は確保できる」という単純な反比例関係で考えられがちです。
しかし現実はそうではありません。外注の場合、ベンダー選定、要件確認、複数回の仕様調整に予想以上の時間を要し、実際の納期が想定より遅延するケースが見られます。
品質についても「高品質」の定義が曖昧です。ベンダーが高度な技術で実装しても、社内の運用スキル不足で十分に活用できなければ、実質的な品質は低くなります。
つまり品質や納期は、導入するシステムの技術的側面だけでなく、社内運用体制の熟度に大きく影響されるのです。
外注・内製の判断を誤らせる思い込み

BIM・CADカスタマイズの発注判断では、実務経験と現実が異なる典型的な思い込みが、意思決定を誤らせます。
「内製なら簡単で安く済む」「外注なら完全に任せきりにできる」「DX担当が判断すれば大丈夫」といった単純な発想が、後々の大きな失敗につながることは珍しくありません。
簡単そうに見えて内製が失敗する理由
複雑な業務構造が隠れており、人員確保と継続性が困難。小規模に見えて大きな投資になります。
多くの組織が「BIM・CAドカスタマイズなら簡単そうだから、まずは内製で試してみよう」と考えます。
しかし現実は異なります。一見シンプルに見えるカスタマイズでも、その背後には複雑な業務フロー、複数部門の権限構造、ステークホルダー間の暗黙的なルールが隠されています。
これらを整理し、システムに反映させるには、単なる技術スキルだけでなく業務分析能力が必要です。
さらに内製化に向けて人員を割き始めると、その人員の確保と継続性の維持が困難になります。異動や離職によって知識が失われるリスクも高く、小規模プロジェクトのように見えても、実は継続的な組織的投資が必要になります。
筆者の実務経験では、内製開始後に対応の大変さに気づき、外注への変更を余儀なくされるケースが見られます。
外注すれば任せきりにできるという誤解
ベンダーとの打ち合わせと運用引き継ぎに大きな負荷。任せきりは失敗を招きます。
外注を選んだ場合、ベンダーに完全に任せきりにできるという誤解は、発注後の大きなトラブルを招きます。
実際には、ベンダーとの仕様確認打ち合わせに予想以上の社内リソースが必要になります。要件定義段階で不明確な点が多いと、ベンダーは曖昧な仕様のまま進めざるを得ず、完成時点で期待と異なるという齟齬が生じます。
さらに社内の業務理解不足がベンダーの設計判断に悪影響を与え、後から大幅な修正を強いられるケースも見られます。
完成後の運用引き継ぎも簡単ではありません。ベンダーの技術者から社内スタッフへの教育、運用マニュアルの整備、初期トラブル対応まで、想定以上の負荷がかかり、導入直後のトラブルで苦労するという状況が起きています。
DX担当が一人判断で失敗しやすい理由
技術判断と経営判断の両立、ステークホルダー合意不足、影響分析漏れが失敗要因。
BIM・CADカスタマイズの発注判断は、DX担当者一人の判断では、技術判断と経営判断のバランスを欠きやすく、組織的な合意形成が不足しやすい傾向があります。
技術判断と経営判断を同時に行う必要があるためです。どのような技術選択をするかという技術的な判断と、予算規模として適切か、経営的に必要かという経営的判断の両立は非常に困難です。
またステークホルダー間の合意形成が不足することも失敗要因です。システムの導入は設計部門、施工部門、営業部門など複数部門に影響を与えますが、これらの部門との調整と合意を事前に得ておかないと、導入後に反発が起きます。
他部門への影響分析が漏れていると、思わぬ業務フローの混乱を招くのです。
現場で使える外注・内製の判断基準

判断の葛藤や思い込みを理解した上で、実際にどのように判断すべきかという明確な基準が必要です。
内製か外注かの選択は決して二者択一ではなく、プロジェクトの特性、組織の現在地、長期的な戦略によって異なります。
内製が向いているBIM・CADカスタマイズとは?
要件が明確で、スキルが備わり、長期運用が必要な場合。競争優位性に関わるなら内製が有効です。
内製が向いているBIM・CAドカスタマイズには、いくつかの共通特性があります。プロジェクトの特性と組織の体制を照らし合わせることで、内製の適用可否を判断することができます。
内製を選択するべき場合の条件は、以下の通りです。
- 要件が明確で変更が少ない:要件がぶれると内製の場合は対応が困難になるため、確実な仕様が事前に定まっていることが重要です。導入前の業務分析と要件定義の精度が成功を左右します。
- 社内に必要なスキルが存在する:BIM・CAD技術だけでなく、業務フロー設計、プロジェクト管理能力を持つ人材が不可欠です。スキルがない場合でも育成可能な体制と人員確保が条件となります。
- 長期的な運用保守が必要:ベンダー依存を避け、継続的な改善と柔軟な対応が必要な場合、社内にノウハウが蓄積される内製が適しています。
- 自社の競争優位性に直結する:カスタマイズが自社独自の業務プロセスやノウハウに深く関わる場合、内製により知的資産を社内に留めることができます。
これらの条件が複数当てはまるほど、内製による投資の効果が高くなります。
外注を選ぶべきBIM・CAD案件の特徴
要件が複雑、スキル育成に時間がかかる、迅速導入が必須、一般的なカスタマイズなら外注。
外注を選ぶべきBIM・CAド案件には、特有の特徴があります。これらの特徴を複数持つプロジェクトは、専門企業のノウハウと経験を活用する方が、プロジェクト成功の確度が高まります。
外注が最適である案件の特徴は、以下の通りです。
- 要件が複雑で専門的設計が必要:建築設計、施工管理、BIM統合といった複数領域にまたがる要件は、専門企業のノウハウが不可欠です。高度な技術判断が求められる場合、外注による品質確保が効果的です。
- 社内スキルが不足で育成コストが高い:スキル育成には3ヶ月~3年と業務複雑度に応じた時間がかかることもあり、コストと時間を勘案すると外注が効率的です。すぐに人材育成が難しい場合は外注を検討すべきです。
- 迅速な導入が経営的に必須:市場環境の変化に対応する必要があるなら、専門企業の実績とノウハウを活かした外注が有効です。タイムライン優先の場合、外注の選択が優先度を高めます。
- 同業他社でも使える一般的なカスタマイズ:複数社の経験が集約されたベンダーソリューションを活用する方が効率的です。業界標準的な要件の場合、既存のベストプラクティスを活用できます。
これらの特徴が多く該当する場合、外注により時間と品質の両立が可能になります。
外注と内製を併用する現実的な選択肢
フェーズ分け、役割分担、継続パートナーシップ。柔軟な組み合わせが現実的です。
実務的には、外注と内製を二者択一ではなく、併用する選択肢が現実的です。
第一の併用方法はフェーズ分けです。初期段階は外注で高度な設計と実装を行い、安定後は社内スタッフが保守や改善を担う方法です。これにより、外注の高い品質と内製のコスト効率を両立できます。
第二の併用方法は役割分担です。コア機能や複雑な部分は外注し、周辺的なカスタマイズや定期的な保守改善は内製する方法です。組織のスキル習熟度に応じて段階的に内製化を進められます。
第三の併用方法は継続的パートナーシップ型です。主要な外注企業と長期的な関係を構築し、新機能追加や改善を継続的に受けながら、社内チームも徐々に学習していく方法です。
外注前に整理すべきRFP作成の重要ポイント

外注を選択した場合、プロジェクト成功の鍵となるのが提案依頼書、つまりRFPの質です。
BIM・CAドカスタマイズは要件が複雑で曖昧になりやすい領域だからこそ、発注前の段階で十分な情報整理と要件定義が必要です。
精密に準備されたRFPは、ベンダー選定の客観的根拠となり、納品後のスコープ争いやトラブルを大幅に削減します。
BIM・CADカスタマイズでRFPが重要な理由
仕様曖昧化によるベンダー恣意化、スコープクリープ、客観的選定基準。RFPが要になります。
BIM・CAドカスタマイズの領域で、RFPが特に重要な理由があります。
第一に仕様が曖昧になりやすいということです。業務フロー、データ連携、ユーザーインターフェースなど、エンドユーザーの具体的なニーズを言語化することが困難であり、RFP段階で不明確のまま発注すると、ベンダーの恣意的な解釈で設計が進む危険があります。
第二にRFP不足がスコープクリープ、つまり要件が増殖し続けることを招きます。明確な要件がないと追加要求が次々と発生し、コストと納期が際限なく増加するのです。
第三にベンダー選定時に客観的な根拠が必要だということです。複数のベンダーの提案を公平に比較し、どのベンダーが自社ニーズに最適かを判断するには、詳細で共通のRFP基準が不可欠です。
RFPに最低限書くべき項目と整理方法
現状分析、期待効果、技術要件、スケジュール予算体制、運用方針。5つの項目が必須です。
RFPの作成には、発注組織の業務理解と要件整理が不可欠です。以下の5つの項目を漏れなく準備することで、ベンダーから的確な提案を引き出すことができます。
RFPに最低限盛り込むべき項目は、以下の通りです。
- 現状業務フロー説明:現在どのような業務プロセスで、どのような課題があるのかを具体的に記述します。これをベンダーが理解することで、適切な解決案が提示できます。
- 実現したい業務フロー説明と期待効果:導入後、どのような業務フローになるべきか、どのような効果を期待するのかを明確にします。投資対効果を具体的に示すことが重要です。
- 技術要件の整理:BIMソフト、CADソフトのバージョン、互換性要件、データ形式など技術的な要件を列挙します。既存システムとの連携条件も明記が必要です。
- スケジュール、予算、体制の明示:納期、予算上限、社内の担当者体制を示すことで、ベンダー側の実現可能性を判断できます。現実的な期待値の設定が重要です。
- 導入後の運用保守想定方針:保守期間、更新頻度、サポート体制などを事前に合意することが重要です。長期的なパートナーシップの基盤を作ります。
これらの項目を詳細に準備することで、ベンダー評価の透明性が高まり、導入後のトラブルを防ぐことができます。
RFP不足で起きやすい外注トラブル例
期待値設定、業務ルール未整理による追加カスタマイズ連鎖、運用引き継ぎ失敗。よくある3つの事例。
RFP不足で起きやすい外注トラブルの実例を紹介します。
第一の事例はベンダーの過度な期待値設定です。要件が曖昧なままRFPを提示すると、ベンダーは前向きな提案をします。その結果、期待値が膨らみ、納品時に期待と異なるという齟齬が生じるのです。
第二の事例は社内業務ルール未整理による追加カスタマイズの連鎖です。RFP作成時に社内の業務フロー分析が不十分だと、導入後に要件が次々と出現し、追加カスタマイズが止まりません。
第三の事例は運用引き継ぎ失敗です。RFPで運用方針が明記されていないと、ベンダーからの引き継ぎが不十分になり、導入直後から運用トラブルが頻発するのです。
まとめ
BIM・CAドカスタマイズの外注と内製の選択は、一見複雑に見えますが、プロジェクトの特性と組織の現在地を客観的に評価すれば、自ずと答えが見えます。
重要なのは、単純な安さや速さという判断ではなく、長期的な競争力と組織能力の観点から判断することです。
完全な外注か完全な内製かではなく、フェーズ分けや役割分担による柔軟な併用も現実的な選択肢です。
そして何より、外注を選択した場合はRFPの質が成否を左右します。曖昧な仕様を避け、社内業務を十分に分析した上で、ベンダーに明確な要件を提示することが、プロジェクト成功への最短経路なのです。
FAQ
外注と内製、どちらを選ぶべきですか? プロジェクトの特性と組織の現在地によって異なります。 記事で紹介した「内製が向いているケース」と「外注を選ぶべき案件」の特徴を照らし合わせることで、判断基準が見えます。要件が明確で社内スキルがあれば内製、複雑で迅速導入が必須なら外注という目安で検討してください。ただし完全に二者択一ではなく、フェーズ分けや役割分担による併用も現実的な選択肢です。
BIM・CADカスタマイズの判断にはどのくらいの期間が必要ですか? 複数部門が関わる中~大規模プロジェクトでは1~2ヶ月、小規模案件では2~4週間の調査・検討期間をお勧めします。 社内業務の分析、ステークホルダーとの合意形成、ベンダーへのヒアリング、複数案の比較検討など、丁寧なプロセスが必要です。プロジェクトの規模や複雑度に応じて時間を調整し、経営層から十分な検討期間を確保することが重要です。
RFPとは何で、なぜ重要なのですか? RFPは「提案依頼書」で、外注先への発注内容を明確に示す書類です。 RFPがなければベンダーは曖昧な解釈で進めざるを得ず、納品時に「期待と異なる」という齟齬が生じます。現状の課題、実現したい業務フロー、技術要件、スケジュール、予算、運用方針など、5つの必須項目をきちんと記述することで、ベンダー選定や後々のトラブルを防ぐことができます。
内製で失敗した場合、途中から外注に切り替えられますか? 可能ですが、組織への負荷と追加コストが大きくなります。 内製開始後に対応の大変さに気づいて外注に切り替えるケースが見られます。ただし既に使用したリソース、蓄積した(不完全な)ノウハウ、ベンダー選定からやり直すコストなど、当初の想定より大幅に増加することになります。重要なのは最初の判断を慎重に行うことと、途中で判断を見直せる体制を整えておくことです。
DX担当は一人では判断できないということですか? はい。技術判断と経営判断の両立、複数部門との調整が必要です。 DX担当者一人では、技術的に最適な選択と経営的に実現可能な選択のバランスが取れません。また設計部門、施工部門、営業部門など関係部門の意見を事前に集約しないと、導入後に反発が起きます。最低でも経営層、関係部門長、技術アドバイザーと一緒に判断する体制が望ましいです。
外注と内製を併用する場合、どのような進め方が良いですか? フェーズ分け、役割分担、継続パートナーシップの3つの方法があります。 フェーズ分けは初期を外注で実装し安定後を内製に切り替える方法、役割分担はコア機能を外注し周辺を内製する方法、継続パートナーシップは外注企業と長期関係を築きながら社内チームも学習する方法です。組織のスキルレベルと長期戦略に合わせて選択することが、コスト効率と品質のバランスを実現します。
スコープクリープが起きないようにするには、どうすればいいですか? RFP段階での要件明確化と、プロジェクト中の追加要求管理が重要です。 曖昧なRFPから発注すると「これもできるのでは」と追加要求が次々と発生し、コストと納期が際限なく増加します。事前に現状業務の十分な分析を行い、実現したい業務フロー・期待効果を具体的に定義することが予防策になります。また導入後の追加要求は費用・期間への影響を示した上で、優先度判断を経営層と共に行う体制が不可欠です。
専門用語解説
BIM・CADカスタマイズ:BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)とCAD(コンピュータ支援設計)のツールに対して、自社の業務フローや運用ルールに合わせた機能追加や改造を行うことです。単なるツール導入ではなく、業務プロセスの改革に関わる重要な投資です。
RFP(提案依頼書):外注先のベンダーに対して、プロジェクトの要件や期待事項を明確に示す書類のことです。現状課題、実現目標、技術要件、スケジュール、予算、運用方針など、発注内容を網羅的に記述し、ベンダーからの的確な提案を引き出すための重要な基礎文書です。
スコープクリープ:プロジェクト開始後に、当初の要件にはなかった新しい要求が次々と追加されていく現象のことです。要件が曖昧なまま発注すると起きやすく、コストと納期が際限なく増加する原因になるため、RFP段階での要件明確化が予防策となります。
DX(デジタルトランスフォーメーション):デジタル技術を活用して、業務プロセスや組織体制、企業文化を変革し、競争力を高める取り組みのことです。BIM・CADカスタマイズは、建設・製造業におけるDX推進の重要な要素として位置づけられます。
ベンダー:システムやツール、サービスを提供する外部企業のことです。記事ではBIM・CADカスタマイズの外注先企業をベンダーと呼んでいます。ベンダーとの仕様確認、品質管理、運用引き継ぎなど、良好なパートナーシップの構築が外注成功の鍵になります。
要件定義:プロジェクトで実現したいことを具体的に整理し、必要な機能や仕様を明確に定義するプロセスのことです。BIM・CADカスタマイズでは、現状業務の課題分析から理想的な業務フローの設計まで、丁寧な要件定義が成功を左右する最も重要なステップです。
運用保守:システムやツールを導入した後、継続的に正常に機能させるための活動のことです。定期的なアップデート、トラブル対応、ユーザーサポート、機能改善などが含まれます。外注か内製かの判断時には、導入後の長期的な運用保守体制をどうするかが重要な検討要素になります。
執筆者プロフィール
小甲 健(Takeshi Kokabu) AXConstDX株式会社 CEO
製造業・建設業に精通した経営型コンサルタントです。ソフトウェア開発歴20年以上の経験を基に、CADシステムのゼロからの構築、大規模DX推進、複雑な業務フロー改革など、多くの現場課題の解決を手がけてきました。本記事で述べたBIM・CADカスタマイズの外注・内製判断に関しても、実務を通じて得られた知見を元に執筆しています。
専門領域と実績
DX・デジタル変革支援 生成AI、データ分析、業務プロセス設計を活用し、製造業・建設業の経営課題を解決します。単なるツール導入ではなく、組織の業務改革と競争力強化に直結させる支援が特徴です。
実績
- CADシステムのゼロからの業務構築実績多数
- 赤字案件率0.5%未満、提案受注率83%※という高い成果を達成しており、継続的に品質と顧客満足度を保つことを心がけています
- 大規模DX案件における業務フロー設計と実装
※集計期間:過去3年間の主要プロジェクト実績に基づく
グローバルな視点
- ハーバードビジネスレビュー寄稿(2回)
- シリコンバレー視察、CES視察を通じたトレンド研究
- デザイン思考研修(サンフランシスコ・btrax)受講
執筆の背景
このBIM・CADカスタマイズの外注・内製判断に関する記事は、20年以上のソフトウェア開発経験と、数多くのDX推進プロジェクトを通じて見えてきた現場の実態を基にしています。判断の誤りやすさ、思い込みの危険性、RFPの重要性といった指摘は、実務で繰り返し遭遇した事例から導き出したものです。
読者が正確な判断基準を持つことで、プロジェクト成功の確度が大幅に向上すると信じています。技術的な最適性と経営的な現実性のバランスを取り、自社に最適な選択ができる支援になれば幸いです。