ハウスメーカー・工務店開発事例【顧客管理営業チャットシステム】
新築一戸建てや注文住宅を売りたいハウスメーカーや工務店の営業を支援するスマホ対応システムの受託開発事例です。ハウスメーカーや工務店の営業担当が住宅展示場やモデルハウスに来場したマイホームを購入したいお客様とスマホアプリで繋がります。
お客様は営業担当者はチャットでスマホからいつでもどこでも気軽に質問することが可能です。
ハウスメーカーや工務店は見込み客とのスピーディで密なコミュニケーションをすることができます。
営業支援ツール機能(SFA)、顧客管理機能(CRM)で現在の営業の状況が可視化されて営業戦略の支援ツールとして活用されています。住宅業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)として、業務の効率化だけでなくお客様の利便性を向上させた結果大きな成果を出しているシステムです。2018年にリリースしてから現在も改修や改善を重ねて保守運用もしています。
ハウスメーカー営業チャットシステムの特徴
営業支援機能(SFA)
マイホームを購入したいお客様がモデルハウスに訪問した際に、アプリ登録を促されます。お客様は簡単なアンケートに答えます。お客様には営業所毎に担当者がつきます。
お客様は商談が進むにつれスタンプと景品がもらえます。お客様と担当者はチャットをすることが可能です。営業所はお客様の情報を個別または統計的に確認することが可能です。
チャット機能
チャット機能は、お客様のご家族状況に合わせ誰が話したかわかるようになっています。営業担当だけでなく契約担当やメンテナンスの担当者との会話も可能です。文字だけでなく絵文字や画像、PDF、動画も送れます。
チャットは管理画面に記録され不正防止やクレーム処理なども担当者だけでなく会社として監視することも可能です。
顧客管理機能(CRM)
顧客管理機能では、お客様の状況が個別にも統計的にもわかるようになっています。地域情報、年齢、家族構成、商談の進捗、営業所、営業担当者別状況などを上司が確認することも可能です。
日次、月次などの期間毎のアプリ利用集計でアプリの利用状況もわかるようになっています。
主な機能
ユーザー | 区分 | 機能名 |
お客様アプリ iOS/Android app |
ホームページ連携 | モデルルーム予約 |
モデルルーム情報表示 | ||
会社情報表示 | ||
営業スタッフ情報表示 | ||
会社からのお知らせ | ||
その他 | ||
ログイン | IDとパスワードでログイン | |
アプリでのお知らせ | つぶやき(営業スタッフのブログ) | |
顧客別属性別プッシュ | ||
アプリでのお知らせ | チャット(複数対複数) | |
データ保存(画像や、動画などをアプリに保存する機能) | ||
スタンプ(セールスステップ管理) | ||
ハウスメーカー CMS スマホ・PCブラウザ |
管理機能 | 会社情報登録 |
営業所、営業スタッフ登録(ID、PW発行、編集、削除) | ||
顧客管理(編集削除) | ||
権限管理機能(管理者、営業所長、営業スタッフ) | ||
分析(顧客別、営業所別、営業別) | ||
ログ監視(チャットなどを監視) | ||
その他 | ||
ログイン | IDとパスワードでログイン | |
アプリでのお知らせ登録 | つぶやき(営業スタッフのブログ) | |
顧客別属性別プッシュ | ||
営業支援機能 | チャット(複数対複数) | |
イベント登録 | ||
データ登録(顧客別に画像や動画などを送付) | ||
スタンプ登録 | ||
分析(営業所内権限) |
導入のきっかけや課題
ハウスメーカー住宅会社の課題
ハウスメーカー様は見込み客の囲い込みができていないという課題と、営業プロセスにおいて営業所や営業担当任せで管理できていないという課題がありました。
以前は住宅展示場やモデルルームに来訪したお客様に対して紙のアンケートに答えてもらっていました。営業担当はその後電話などで次回の商談のアポイントを取ります。電話だと先方の都合に合わせるために何度も電話のかけ直しが発生していました。将来の人口減少などの環境を見据え営業効率を早急に解決することが経営課題になっていました。
住宅業界のDX
このハウスメーカー様は人口減少、働き手不足、働き方改革などのマクロ環境の変化に応じたDX(デジタルトランスレーション)改革が必要でした。住宅という商品を製造し、販売しメンテナンスをするという業務の中で改革の中で今回は営業プロセスの改革をテーマにDXを行いました。他にもxRの利用、デジタルマーケティング、RPA導入、契約プロセス、メンテナンス業務の合理化、資材管理業務、CAD設計、建築、製造プロセス改善など住宅業界のDXは多岐に渡ります。逆にいうとまだまだ改善の余地があるようです。
導入までの課題
導入はトップダウンで決定しました。導入前には、営業でアプリを使うことに現場では抵抗があったようです。当時はお客様にも営業担当者にもガラケーを利用している方が多くいかに、使い易いアプリ画面UIにするかということも議論になりました。導入には会社側で営業担当者ようにiPhoneを用意し利用の徹底をしました。またハウスメーカーのアプリ企画担当様も最小限の人数で実施していたので要件定義や仕様設計の際に弊社側でも業務内容や要件がわからずに何度も確認をしてご迷惑をおかけしてしまうこともありました。
導入プロセス
ONETECHの業務範囲(ベトナムで開発、日本でサポート)
- 企画:企画は基本的にハウスメーカー様がしましたが、技術的側面から提案
- 要件定義:ハウスメーカー様が実施しましたが、技術的側面から支援
- デザイン:UIUXデザインを担当
- 仕様設計:ONETECHが担当しました。外部設計、内部設計を実施
- 製造:ベトナムで開発 iPhone/android App:React Native CMS:PHP Laravel5 Chat:Node.js
- テスト:単体テスト、結合テスト、総合テストサポート、性能テスト、セキュリティテスト
- システム環境構築:AWSでクラウド環境でのアーキテクチャを構築
- 導入支援:導入マニュアルを作成し操作支援
- 運用保守:AWSのサーバー監視、障害対応、カスタマーサポートサポート、システム更新
要件定義
お客様はシステムやアプリ開発が初めてでした。お客様へ何度も訪問して、要件をヒヤリングして要件定義をまとめました。初期プロジェクトはフェーズ1とされ、フェーズ2、3へと続く拡張性も考慮しながら打ち合わせをして要件をまとめていきました。要件定義をまとめるにあたりお客様の業務内容や業務フローを理解し、ベトナム人技術者に伝えることに苦労しました。
仕様設計
要件定義をまとめた上で、業務フロー図作成、基本設計書(画面一覧、画面定義書など)を作成しました。要件定義とともに基本設計書を何度もレビューしてもらい修正を実施しました。その後アーキテクチャ設計をしました。アーキテクチャ設計ではAWSプロフェッショナルが担当しました。その後詳細設計でシーケンス図やバッチ処理設計を作成しました。
開発プロセス
お客様からの発注が確定すると、営業担当者、技術責任者、ブリッジSE及びお客様の担当者が集まりキックオフ会議を実施しました。キックオフ会議ではプロジェクトチームの共通認識化を図ります。プロジェクト概要からスケジュール、納品物の定義、開発体制の確認、進捗確認やQA管理の仕方の確認リスクとリスク回避の確認を全員で実施します。エンジニアは設計書を確認しコーディング規約に則って製造をします。テストに関しては単体テスト、結合テスト、総合テストサポート、性能テスト、セキュリティテストを行いました。QCチームがテストケースを作成して実施しました。本件はお客様のシステム担当リソースが最小だったので受け入れテストのサポートも行いました。
システム保守運用(DevOps)
保守に関しては、弊社の保守設計書に基づいて運用しています。監視・通知の処理状況確認、実施、バックアップ、リストアの処理状況確認と問い合わせ対応や調査、復旧を実施します。また月次でシステムの稼働状況などをレポートしています。
AWSのCloudWatchを設定しアラートを弊社側お客様側に通知しています。
システム改修などについては、DevOpsの概念でシステムを利用しているユーザーからのフィードバックに応じての改良がメインとなります。お客様の要望に応じて追加見積もりをさせていただき対応しています。
導入後の効果ースマホで家を買う時代
スマホで家を買う時代
本システム導入して、3年以上が経過しておりますが、ハウスメーカー様では必要不可欠の営業ツールになっています。実際の住宅の成約数は公表できませんが、年々成約率は上がっていて、現在はほぼ全ての営業担当がこのツールを使っています。まさにスマホで家を買う時代になっています。以前は電話や個人LINBを使ってたりして営業所や営業担当者任せになっていた顧客の情報が現在では経営幹部にも可視化され経営戦略に大いに役立つツールになっているようです。効果があるので本ツールは随時アップデートを続けています。
【実現できたこと】
- チャットを使う事で、見込み顧客との関係性を密なものにできた。顧客に専任担当を紐付け、会話の共有
- 直接の訪問などせずに連絡が取りあえる利便性向上
- 販売情報・イベントなどのクローズな情報をアプリ加入者および個人に伝える事が出来た
- セールスステップを計数化でき、その結果、プロモーション施策の改善ができた
ハウスメーカー様の声
A1:会社のグループとしては、住宅会社部門・リフォーム部門・不動産部門・ショッピングセンター部門の4つの事業部に分かれています。今回は住宅部門(オスカーホーム)で専用アプリ作成を依頼しました。
A1:まずは、開発コストの安さ、またそれに反するエンジニアの技術力の高さを認識しオフショアすることとなりました。
A1:言語的な意思疎通に若干の障害は感じましたが、日本側のディレクションでリレーしてくれるので大きなストレスは生じなかったです。
A1:今回のアプリは専用のクローズドアプリであり、前例のない独自のコンテンツ開発のため完成までにかなり苦労したが、BtoCツールとして活用することで、お客様との打合せがより円滑・親密な状態となっている。
・スタッフ紹介の情報とCMS社員アカウントを紐づけることで、ユーザーとのトークなどからトーク相手の情報にアクセスしやくすなっています。
・アプリ側に表示するイベント情報は会社HPから自動的に取得して表示しています(アプリCMSにサイド入力する必要はありません。)
・顧客情報には成約までにかかった日数などを保持しており、トークの流れや見学会などの来場履歴と合わせて、理想的な営業フローを検証することが可能です。
A1:国民性の違いからか、納期などを決めておかないと遅れ気味になる。「日本語を話せる」という事とと「日本語を文章として理解している」という事に違いがあるので、そういった部分を補助するスタッフが必要と思う。
ベトナムオフショア開発の効果
なんといってもコスト削減効果が期待できます。おそらくこのシステムを日本のSIで受託開発で作った場合に数千万円の費用となると想定されます。オフショア開発ではコミュニケーションが最も大事になってきます。特にシステムの目的や業務の理解ができるとコミュニケーションは改善されてきます。コミュニケーションが改善されれば開発人員の人件費は日本と比べるとまだまだベトナムの方が安く済みますのでコスト削減効果は顕著になってきます。
プロジェクトの反省点
当初はベトナムへの業務を伝えることに苦労しました。背景としてはベトナムでの住宅事情が日本とは違うことがあげられます。また営業体制や管理プロセスを伝えることも大変でした。そのことによってリリース時は多くのバグが残り大変なご迷惑をおかけしました。しかしながらこれらの反省をもとに要件や仕様の明確化が最も重要だということで開発プロセスを常に見直すことができました。そのことにより現在では安定したシステムになっていて、お客様でも成果が上がっておりハウスメーカー様のDXに成功した事例となりました。
【課題】
- 初期導入時に営業担当へのアプリ利用の啓蒙に時間がかかった。
- 現場の要求を吸い上げすぎてアプリが複雑化しすぎないように
今後の予定
現在は、見込み客の囲い込みから、契約、着工、工事までの管理です。今後は購入後の住宅の管理、メンテナンスや増築改築の管理の機能追加までご要望されています。また設計書データや顧客情報は基幹システムで管理していますが、今後は基幹システムとの連携なども視野に入ってきます。
技術的観点
チャット機能
WebSocket通信でSocket.ioライブラリを利用してリアルタイムチャット機能を開発しました。Socket.ioライブラリはSocket.ioサーバへ接続しているユーザー間で情報を共有する仕組みを提供してくれます。サーバー側の処理を実現するためのNode.jsライブラリと、クライアント側の処理を実現するためのJavaScriptライブラリで構成されています。
ReactNativeでクロスプラットフォーム開発
スマートフォンアプリは、iOS,Androidに対応しています。今回は両OSワンソースで開発管理できるReactNativeでクロスプラットフォーム開発しました。これによりコストダウンや、工期の削減ができました。ReactNativeは既存のWeb技術ベースで設計されています。他の案件でもFlutterやReactNative、Unityでスマホアプリのクロスプラットフォーム開発の実績は多数あります。
CMSの特徴
PHPのLaravel 8.0フレームワークでユーザー管理やコンテンツ管理機能などのCMS管理画面を開発しました。
CMSからのプッシュ通知機能はFirebase Cloud Messaging(FCM)を利用して開発しました。プッシュ通知をFirebase Cloud Messagingで作成し、アプリ側(iOS,Android)へ通知するようにしました。
管理画面から顧客を条件で指定しCrontabを使って個別配信や一括配信でメッセージが送信できます。
AWSインフラ構築・運用
AWS WAF(Web Application Firewall)サービスを設定
ネットワークトラフィックの分散処理のため、AWS ELB(Elastic Load Balancing)でそれぞれのマルチAZへのEC2インスタンスへ割当処理しています。特に画像などの容量の大きいお知らせなどを同時配信する際の可用性、冗長性を担保しています。
全体システム監視はAWS CloudWatchを利用して、エラーイベントなどが発生する時は即時通知で担当が対応しています。
HPとの連携機能
クライアントの企業ホームページはWordpressで構築しています。弊社の方で運用もしておりましたので、ホームページからの各種機能のWordPress Rest Apiを設定してを作成してJsonで本アプリに連携しました。ホームページからモデルルームの面談予約した日程は、ユーザーのアプリにも自動反映されます。また各営業エリアの最新情報はアプリにお客様の登録地域ごとにワントゥーワンで反映されます。
導入までの費用感
- 企画開発 1000万円程度
- フェーズ1:500万円程度(設計100万円、デザイン80万円、システム開発320万円)
- フェーズ2:300万円程度工事管理をアップデート
- その他のアップデート費用 200万円程度 運用しながらDevOps開発をしています。
営業支援チャットアプリの応用できる業種業界
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