
「社内システムの改善やDXを進めたいが、開発を進める人手が足りない」「新製品の開発を加速したいが、国内採用がなかなか決まらない」——こうした課題を抱える企業にとって、ベトナムに自社専属の開発チーム(GEO:海外雇用代行)を設けることも有効な選択肢の一つです。
最初から多額の費用と時間をかけて現地法人を設立したり、10名規模の大きな組織を用意したりする必要はありません。まずは任せたい業務を整理し、2〜3名のスモールチームからスタートして、業務の広がりに応じてPM/BrSE(日本語対応の進行管理・ブリッジ役)を加えた体制へ段階的に拡大していくことができます。案件ごとにメンバーが入れ替わる受託開発とは異なり、同じメンバーが継続して担当するため、システムの構造や業務の背景がチーム内に蓄積されていきます。
この記事では、2〜3名のスモールチームからベトナム専属チームを立ち上げる際の代表的な体制例(エンジニア2名体制 / PM・BrSE 1名+エンジニア3名体制)、予算を立てるために把握しておきたい5つの費用項目と全体の予算感、そして稼働後の具体的な仕事の進め方をわかりやすく解説します。
この記事のポイント
ベトナムでスモールチームから専属開発体制を立ち上げるにあたり、最初に押さえておきたい要点は次の4つです。
向いている業務:「社内システム・業務システムの開発・改善」「自社プロダクト・サービスの開発」「社内へのAI導入・DX推進(およびBIM/CAD等の設計デジタル化)」など、業務理解を深めながら継続的に改善・蓄積したい仕事に適しています。
スモールチームから始める2つの体制例:仕様が明確な場合に最小人数で始める「ケース1:エンジニア 2名体制」と、日本語での要件整理から開発・事前確認までをチーム内で回せる「ケース2:PM/BrSE 1名 + エンジニア 3名体制」があります。
費用を構成する5つの基本項目:エンジニア本人の給与だけでなく、①人件費・法定保険、②福利厚生費、③オフィス・インフラ費、④運営・労務管理費、⑤採用費(1年目のみ12分割)の5項目で全体像を把握しておくことで、想定外の追加費用を防げます。
予算の立て方:まずは全体の目安金額で規模感を把握し、求めるスキルレベルや担当業務に応じた具体的な内訳は、無料相談・お問い合わせ時に個別にご案内します。
どんな仕事から始めるとよいか?
専属チームは、一度きりで終わる単発の外注よりも、「社内システムの開発・改善」「自社プロダクトの開発」「AI導入・DX推進」のように、業務知識やシステムの理解をチーム内に蓄積しながら継続して進める仕事に向いています。
2〜3名のスモールチームからスタートする際、最初のテーマとして特に成果を出しやすいのは次の3つの領域です。
社内システム・業務システムの開発・改善:基幹システム(ERP)や受発注・在庫管理、社内の業務フローに合わせた管理ツールの開発・改修など、自社の業務ルールを理解したメンバーに継続して改善してほしい業務。
自社プロダクト・サービスの開発:Webサービスや業務ソフト、モバイルアプリなど、自社の製品・サービスとして新機能の追加や品質改善を継続的に進めていきたい業務。
社内へのAI導入・DX推進(およびBIM/CAD等の設計デジタル化):生成AIや画像認識AIを活用した業務効率化、手作業で行っているデータ処理の自動化、建設・製造分野におけるONETECHのBIM制作・設計デジタル化支援など、社内にデジタル技術を取り入れる取り組み。
反対に、「仕様がすべて固まっており、一度納品すれば終わる単発の制作物」であれば、従来の受託開発(請負契約)のほうが向いている場合もあります。また、特殊なセキュリティ設計や高度な技術検証が必要な場合は、専属チームだけで抱え込まず、ONETECHの専門エンジニアが技術面をサポートしながら進めることも可能です。
スモールチームから始める2つの体制例
最初のチーム構成は「仕様がどのくらい明確か」と「日本側で週にどのくらい確認の時間を取れるか」に合わせて選びます。まずは2〜3名のスモールチーム(エンジニア2名体制など)から小さく始めるか、最初から日本語窓口となるPM/BrSEを含めた体制で始めるケースが多くあります。

図1:スモールチームから始める2つの体制例と、お客様(日本側)・ベトナム専属チーム・ONETECHの役割分担(※図はモデルケースのイメージです。実案件の条件により変動します)。
ケース1:エンジニア 2名体制(まず最小人数で始める構成)
開発する機能や作業手順が比較的明確で、日本側の開発担当者やプロダクト責任者が直接タスクを共有できる場合に適した構成です。
向いているケース:まずは2名のエンジニアによるスモールチームから始め、開発の進め方やコミュニケーションの相性を確かめたい場合。
日々の進め方:普段のタスク共有はチャットやチケット管理ツールで行い、週1回の定例ミーティングなど必要な場面でONETECHの通訳サポートを併用します。
日本側の関与時間の目安:週4〜6時間程度(タスクの指示、仕様の説明、成果物の確認)。
ケース2:PM/BrSE 1名 + エンジニア 3名体制(日本語でスムーズに開発を進める構成)
「やりたいことは決まっているが、細かい仕様書を毎回書く時間がない」「複数の機能開発を並行してスピード感をもって進めたい」という企業に選ばれている構成です。
向いているケース:社内システム刷新、自社プロダクトの本格的な機能開発、AI/DX推進などを、日本側の管理負担を抑えながら進めたい場合(2名体制からスタートして、後からPM/BrSEやエンジニアを追加してこの形へ広げることも可能です)。
日々の進め方:日本語対応のPM/BrSE(プロジェクトマネージャー/ブリッジSE)1名が窓口となり、日本側からの要件ヒアリング、仕様の整理、3名のエンジニアへの作業分担、提出前の動作確認までをチーム内でまとめます。
日本側の関与時間の目安:週2〜4時間程度(優先順位の決定、週1回の定例会での確認など。業務内容や管理方法により変動します)。
比較項目 | ケース1:エンジニア 2名体制 | ケース2:PM/BrSE 1名 + エンジニア 3名体制 |
|---|---|---|
チーム構成 | エンジニア 2名(必要な定例会議等で通訳サポートを併用) | 日本語対応のPM/BrSE 1名 + エンジニア 3名(要件整理から事前確認までチーム内で対応) |
適している業務状況 | 仕様や作業手順が比較的明確で、まず最小人数のスモールチームから始めたい場合 | 日本語での要件整理が多く、社内システム・自社製品・AI/DX開発を並行して進めたい場合 |
日本側の関与時間の目安 | 週 4〜6 時間程度 | 週 2〜4 時間程度(業務内容や管理方法により変動) |
拡張のイメージ | 2名で業務フローを固めた後、3名・4名へと段階的に増員可能 | 要件整理から開発・テストまでをチーム内で一貫して回せる標準体制 |
費用を構成する5つの項目と全体の予算感
専属チームの予算を立てる際は、「エンジニア本人の給与」だけでなく、現地の社会保険やオフィス環境、労務管理、採用費を含めた全体像で把握しておくことが大切です。細かい金額は求めるスキルや役割に応じて個別にご案内しますが、まずは費用を構成する5つの項目と全体の予算感を押さえておきましょう。

図2:月額費用に含まれる5つの基本項目(左)と、体制ごとの月額予算目安(右)。詳細な内訳はご要件に合わせて個別にご説明します(※図はモデルケースの概算イメージです。実案件の条件により変動します)。
月額費用に含まれる「5つの基本項目」
費用項目 | 具体的な内容 |
|---|---|
① 人件費・法定保険 | メンバー本人の月額給与(役割・経験年数・日本語力に応じて設定)と、ベトナムの法律で定められた会社負担の社会保険・医療保険・失業保険・労働組合費などを含みます。 |
② 福利厚生費 | 年1回の定期健康診断、慶弔見舞金、社内イベント、チームビルディングなど、メンバーが安心して長く働くための福利厚生です。 |
③ オフィス・インフラ費 | ホーチミンオフィス内の専用デスク・チェア、執務スペース、高速インターネット回線、電源・空調、入退室セキュリティ管理などの環境費用です。 |
④ 運営・労務管理費 | ベトナム労働法に準拠した雇用契約の手続き、毎月の給与計算・税務対応、勤怠管理、および人事担当者(HR)による定期面談・定着フォローの費用です。 |
⑤ 採用費(1年目のみ12分割) | 候補者の募集・書類選考・面接調整までは無料です。採用決定後に発生する採用費は、初期の一括負担を抑えるため1年目の12ヶ月に分割して月額に計上します(2年目以降はこの分割分がなくなります)。 |
全体の予算目安(モデルケース)と別途確認する項目
上記5つの項目を含めた全体の目安として、ケース1(エンジニア2名体制)では月額 約4,000〜4,500米ドル(約60万〜70万円)、ケース2(日本語対応のPM/BrSE 1名+エンジニア3名体制)では1年目 月額 約8,500〜9,500米ドル(約130万〜148万円、2年目以降は約8,000〜8,800米ドル)がひとつの基準となります。実際の金額は担当する業務内容やエンジニアの経験年数によって変わるため、お問い合わせ時にご要件を伺ったうえで詳しくご説明します。
なお、以下の項目はチームの状況に合わせて別途確認・実費計上します。
年末賞与(いわゆる「13ヶ月目給与」):ベトナムの雇用慣行として、年末(旧正月前)に給与1ヶ月分相当の賞与を支給するのが一般的です(毎月積み立てるか、年末に精算するかを選択できます)。
2年目以降の昇給分:メンバーの成果や市場水準を踏まえ、年1回の評価時にお客様とご相談のうえ決定します。
業務用PC・専用機材・有料ライセンス等:開発に必要なスペックのPC手配、有料ソフトウェア(CAD/BIMソフト等)のライセンス、および日本・ベトナム間の出張旅費は実費ベースで確認します。
実際の仕事の進め方と導入企業の実績
稼働後は「①やりたいこと・優先順位の共有 → ②要件の整理と作業の分担 → ③開発とチーム内での事前確認 → ④週次の確認と業務知識の蓄積」という4つのステップで日々の業務を進めます。
稼働後の実際の仕事の進め方(4つのステップ)
ステップ | 具体的な進め方(社内システム・自社製品・AI/DX開発の例) |
|---|---|
1. やりたいこと・優先順位の共有(担当:お客様) | 解決したい業務課題や画面のイメージ、優先して進めたい機能を共有します。最初から完璧な仕様書が揃っていなくても、定例ミーティングで背景や目的をお話しいただきながらすり合わせます。 |
2. 要件の整理と作業の分担(担当:PM/BrSE または リーダー) | PM/BrSE(またはリーダー)が日本語で仕様や条件を確認し、不明点を質問票や短い設計メモに整理します。認識が揃った段階で、各エンジニアの得意分野に合わせて作業を分担します。 |
3. 開発とチーム内での事前確認(担当:エンジニア + PM/BrSE) | 各エンジニアが機能の開発と動作テストを行います。お客様へ提出する前に、PM/BrSEやリーダーが「仕様どおりに動いているか」「抜け漏れがないか」をチーム内で事前確認し、手戻りを減らします。 |
4. 週次の確認と業務知識の蓄積(担当:お客様 + 専属チーム) | 週1回の定例会で実際の画面や成果物を確認し、次の優先順位を決めます。同じメンバーが継続して担当するため、システムの構造や業務知識がチーム内に蓄積され、回を重ねるごとに説明の負担が軽くなります。 |
スモールチームから拡大した導入企業の実績(2026年時点)
CASE 1|Agency Assist 様(京都・精密機械商社 / 従業員139名):社内基幹システム(ERP)の改善・自動化を目的に4名のスモールチームからスタートし、AIエンジニアを含む6名体制へ拡大。専用オフィスで業務知識を蓄積しながら継続運用しています。
CASE 2|オスカーホーム(OSCAR)様(富山・住宅建設 / 売上90億円規模):日本の木造住宅・設計ルールに合わせた専属CADチームを4名からスタートし、12名体制へ拡大。7年間で離職率5%未満の高い定着率を実現しています(設計業務の外注・体制づくりの考え方はベトナムへのBIM外注先の選び方と検収手順の解説記事もご参照ください)。
※上記は掲載確認済みの実績です。また、ある日本のソフトウェア製品企業ではエンジニア2名のスモールチームから自社製品の機能開発・改善を始め、開発量の増加に合わせてPM/BrSEの追加を進めていますが、成果や期間は業務内容により異なります。
相談からチーム稼働までの5つのステップ
無料相談から専属チームの稼働開始までは、候補者の現職における退職予告期間(ベトナム労働法に基づき30〜45日)を含め、全体でおよそ2.5〜3ヶ月が目安となります。

図3:相談からチーム稼働までの5ステップ(上段)と、稼働後の実際の仕事の進め方4ステップ(下段)(※図はモデルケースのイメージです。実案件の条件により変動します)。
STEP 1|無料相談:課題と予算感を伺う(約30分・求人票不要):今進めたい社内システムや製品開発、人手が足りず止まっている作業、想定している予算感をお聞きします。完成した求人票(JD)は不要です。
STEP 2|役割・求人票作成:構成例と概算予算をご提案(1〜2週間):エンジニア2名体制やPM/BrSE+エンジニア体制など、貴社の業務に合ったスモールチームの構成案、求人票案、概算のお見積もりをONETECHが作成します。
STEP 3|募集・面接:候補者を探し、面接する(目安:約1〜1.5ヶ月):ONETECHが候補者の募集・書類確認・事前の技術確認・日程調整を行います。採用が決まるまで費用はかかりません。
STEP 4|契約・環境準備:雇用手続きと開発環境を整える(退職予告期間:30〜45日):内定受諾後、ONETECHが現地の雇用契約、専用座席、PCやネットワーク環境を準備します(※ベトナム労働法上、現職がある候補者は30〜45日の退職予告期間が必要です)。
STEP 5|稼働・定着支援:小さく動かして確かめる(稼働後〜継続):週1回の定例会で進捗と成果物を確認しながら進めます。稼働後もONETECHの人事担当者が定期面談を行い、メンバーの定着をサポートします。
日本側の負担を増やさず、スムーズに運営するポイント
専属チームを無理なく続けるコツは、「お客様が業務の優先順位と成果確認を行い、現地の雇用管理やオフィス運営はONETECHに任せる」という役割分担を明確にすることです。日々の進捗確認やエンジニアへの細かな説明は、チーム内のPM/BrSEやリーダーが間に入ることで、日本側の負担を大きく減らすことができます。
現場からの視点|グエン ラム タオ(ONETECH 創業者兼CEO):「これまで多くの日越チーム立ち上げに関わってきて感じるのは、『採用できた日がゴールではない』ということです。最初から大きな組織や完璧な仕様書を用意しようとして動き出せなくなるよりも、まずは社内システムや自社製品のわかりやすい機能から2〜3名のスモールチームで始め、日本側の意図を汲み取って現場へ伝えるPM/BrSEやリーダーと一緒に『仕事の進め方』を作っていく企業が、結果として長く安定したチームに育てています。」
よくあるご質問(FAQ)
Q1. ベトナムで2〜3名のスモールチームから専属体制をつくる場合、費用はどのように決まりますか?
月額費用は、メンバーの役割(エンジニア・PM/BrSEなど)や求めるスキルレベル、人数によって決まります。内訳としては給与だけでなく、法定保険、福利厚生、オフィス環境、労務管理、採用費(1年目のみ12分割)の5項目を含めて算出します。記事内でご紹介したエンジニア2名体制やPM/BrSE+エンジニア3名体制の目安金額をベースに、お問い合わせ時に貴社の業務内容に合わせた具体的なお見積もりをご案内します。
Q2. 採用費の「12ヶ月分割」とはどういう仕組みですか?
候補者探しや書類選考、面接の調整までは無料で行います。採用が決定(内定受諾)した後に採用費が発生しますが、初期の一括負担を抑えるため、1年目の12ヶ月に分割して毎月の費用に含める形をご提案しています。2年目以降はこの採用費の分割分がなくなります。
Q3. 従来の受託開発や現地法人設立と何が違いますか?
受託開発では案件ごとに成果物が納品されますが、専属チーム(GEO)では同じメンバーが継続して貴社の業務を担当するため、システムの構造や業務ノウハウがチーム内に蓄積されます。また、現地の雇用契約・給与計算・労務管理・オフィス環境はONETECH現地法人がベトナムの法令に基づいて担当し、お客様は業務内容や優先順位の決定と成果確認を行うため、現地法人を設立しなくても2〜3名のスモールチームからスムーズに運用できます。
Q4. 日本側の担当者は週にどのくらいの時間を確保する必要がありますか?
業務内容や管理方法によって変動しますが、日本語で要件整理や進捗管理を行うPM/BrSEを含む構成(ケース2)では、週2〜4時間程度(優先順位の共有、週1回の定例会での成果確認など)を目安に運用されるケースが多くあります。エンジニア2名に直接タスクを共有する構成(ケース1)では週4〜6時間程度を見込みます。
Q5. IT・AIエンジニア以外に、BIM/CADなどの設計人材も同じ仕組みで採用できますか?
はい、対応可能です。ONETECHは社内システム・Web/モバイル開発・AI導入だけでなく、建設・製造分野のBIM/CADモデリング(Revit、Archicad、点群からの3Dモデリング、施工図作成など)も主力事業としています。実技確認を通じてスキルを見極めたうえで専属チームを構築できます。
まとめ・無料相談と概算見積もりのご案内
ベトナムでの専属開発チーム(GEO)構築は、現地法人を設立することなく、まずは2〜3名のスモールチームから始めて段階的に育てていける実践的な選択肢です。社内システム改善、自社プロダクト開発、AI/DX推進など、まず進めたい業務に合わせて無理のない体制と予算を設計できます。
まずは、今進めたい業務や人手が足りていない仕事を一つお聞かせください。完成した求人票(JD)や細かい仕様書がなくても問題ありません。30分ほどのオンライン無料相談にて、貴社の業務に合ったチーム構成例と概算予算をご案内します。ご相談はONETECHのお問い合わせ・無料相談窓口よりお申し込みいただけます。ほかの技術記事や活用事例はONETECHコラム一覧からご覧いただけます。






